新潟の主な温泉地


1.新潟の温泉概観

 新潟県には、全国的に有名な歓楽的温泉地はあまりありませんが、小規模ながらも趣ある温泉が数多くあります。出湯温泉や栃尾又温泉などのように1200年以上の歴史を誇る温泉もありますが、多くは近代になってから開発されたものです。特に、平成年代以降、例のふる里創生資金を基に温泉が掘削され、数多くの公共温泉が開業したのは全国同様です。

 これとは別に、新潟県には特徴ある温泉が数多く存在します。新潟県はかつて日本最大の油田地帯でした。長岡・柏崎周辺、新津周辺などは一大油田地帯で、石油で財をなした名家が数多くあり、日本石油の発祥の地も柏崎です。明治以降、石油の掘削が盛んに行われましたが、この掘削のときに温泉が出たという例が多くあるのです。海岸部の丘陵地帯に湧く温泉の多くは、石油開発の副産物です。瀬波温泉、月岡温泉、新津温泉、柏崎温泉などはいずれもそうです。中条の塩の湯温泉、西方の湯などは石油の油分が浮いていたりします。

 また、石油と関連して、天然ガスの湧出も多く、鵜の浜温泉や六日町温泉は天然ガス掘削の副産物です。そのほか、江戸時代頃から冷鉱泉を天然ガスで沸かしていたという温泉も数多くあります。こういう温泉は山の中の一軒宿に多く、素朴な魅力があります。

 新潟県には、妙高山、焼山などのほかは活火山があまりなく、噴煙立ち上る火山性の温泉という趣は乏しいのですが、瀬波温泉や松之山温泉のように火山がないのに熱湯が噴き出ているところがあります。さらに、月岡温泉のように(自称)硫化水素日本一という温泉もあり、個性的な温泉が数多く存在します。歓楽地化・観光地化されていない素朴な温泉を楽しみましょう。
 
(→関連情報:新潟の温泉一覧新潟の温泉の現況泉質で選ぶおすすめ温泉
 

2.新潟の主な温泉地

 新潟県内の主な温泉地を御紹介します。

1.瀬波温泉

 新潟県の北部、村上市の海岸部にある温泉で、石油開発の副産物として生まれた温泉です。温泉街には多数の温泉櫓が見られ、湯気がたなびく様は風情豊かです。近くに火山もないのに熱湯が噴出するのは不思議です。
 温泉街は海岸沿いとやや内陸部とに分かれます。やや石油臭いナトリウム-塩化物泉で、基本的には各源泉とも同じような泉質ですが、井戸による微妙な違いがあります。ホテル・すゞきヶ池の裏に行くと、勢いよく噴出する源泉を見ることができます。

 日帰り入浴施設としては、湯元・龍泉ゆ処そば処・磐舟があり、湯量豊富な温泉を楽しむことができます。また、ホテルや旅館の立ち寄り湯も可能です。海岸部のホテルや高台にあるホテルからは日本海が一望されます。特に海岸沿いのホテルは、目の前が砂浜で、プライベートビーチ感覚です。日本海に沈む夕日を見ながらの入浴は格別です。

 すぐ近くには岩船港鮮魚センターがあり、お土産に便利です。市内には、「イヨボヤ会館」という鮭をテーマにした観光・物産館があり、実際に鮭が遡上する三面川の川底をトンネルから覗くことができます。その他、村上大祭の山車を見ることができる「おしゃぎり会館」というのもあります。北へ車を走らせば、風光明媚な笹川流れもすぐです。

.えちごせきかわ温泉郷

 新潟から山形へ向かう国道113号線沿いにある関川村の温泉です。荒川に面しており、荒川峡温泉郷とも称しています。桂の関温泉、雲母温泉、湯沢温泉、高瀬温泉、鷹ノ巣温泉からなります。泉質はそれぞれで異なります。各温泉とも温泉街と言うほどのものはなく、ひなびた雰囲気が漂っています。

 国道沿いの桂の関温泉は日帰り専用で、道の駅を併設し、賑わっています。その先の道路沿い左手に、雲母温泉を引き湯した上関共同浴場があります。その先の雲母(きら)温泉は荒川の堤防と国道の間の集落にあり、生活臭たっぷりです。雲母共同浴場がありますが、ひなびた風情が魅力的です。温泉橋という橋で荒川を渡った対岸の左手には、湯沢温泉があり、湯沢共同浴場があります。また、右手には高瀬温泉があります。共同浴場はありませんが、旅館の立ち寄り湯が可能です。老人憩いの家もあります。国道を山形側にすこし進んだ先には鷹ノ巣温泉があり、荒川を渡る吊り橋が名物です。

 関川村の民芸品として「猫ちぐら」というものがあり、要するに猫の家ですが、国道沿いにモニュメントがあって猫好きにはたまらないでしょう。

3.月岡温泉

 新潟市の奥座敷として発展した温泉です。近くには新潟競馬場やたくさんのゴルフ場があり、県外の利用者もたくさんあります。大型ホテルも多くあり、団体旅行客も多く、温泉街の外の駐車場に県外の大型観光バスが多数駐車している様は壮観です。温泉街も風情があり、温泉まんじゅうの湯気や、芸者さんなど、郷愁を誘います。

 大正時代に石油開発の副産物として生まれた温泉ですので、それほど歴史があるわけではありませんが、新潟を代表する温泉地のひとつです。泉質は含硫黄-ナトリウム−塩化物泉。何本かの源泉井戸がありますが、硫化水素の含有量は日本でも屈指であり、温泉街に硫黄臭が漂います。泉質的には、全国的にもトップレベルであり、硫黄泉好きの方には特におすすめです。

 泉質を楽しむなら、大型旅館の巨大循環浴槽よりも小さな旅館の掛け流し浴槽がおすすめです。立ち寄り入浴を受け付けている旅館も何軒かあります。日帰り施設としては、月岡共同浴場・美人の泉があります。そのほか、カリオンパークという公園横に、福祉施設を兼ねたほうづきの里があります。

 月岡温泉と言えば、昔は、月岡ヘルスセンターや月岡動物園があり、私が子供の頃の思い出いっぱいの場所です。結婚前に家内と動物園でデートし、お忍びで泊まったのもこの温泉でしたが、動物園がなくなって久しく、様変わりしてしまいました。

4.五頭温泉郷

 五頭山は山頂部が5つの峰からなり、その名の由来となっています。蒲原平野に暮らす人なら一度は登ったことがある山で、老若男女に親しまれています。私も小・中学校時代に何度か登っています。その五頭山の麓にある、村杉温泉、今板温泉、出湯温泉を総称して五頭温泉郷と呼んでいます。

 村杉、出湯は古くからの温泉で、特に出湯温泉は弘法大師が開いたと伝えられ、千年以上の歴史を誇ります。村杉温泉も薬師如来が授けたとかで、数百年の歴史を誇り、温泉街裏に薬師堂が祀られています。今板温泉は一軒宿ですが、村杉、出湯は小さいながらも温泉街を形成し、賑わいをみせています。村杉温泉の方が若干規模が大きいですが、道が細いのが難点です。出湯温泉は弘法大師ゆかりの華報時を一番奥にして温泉旅館が並んでいます。旅館は木造で、ひなびた感じが郷愁を誘います。ともに古くから新潟平野の人々の湯治場として親しまれてきた温泉です。また、五頭山の登山口として、ハイキング客でも賑わっています。また、村杉温泉はラジウム泉で、子宝の湯としても知られています。

 共同浴場としては、村杉には、村杉共同浴場・薬師の湯が、出湯温泉には、出湯温泉共同浴場華報寺共同浴場があります。特に華報寺共同浴場は寺の境内にある温泉としてユニークです。

 また、五頭温泉郷活性化のため、テレビ番組とタイアップして、名物となる露天風呂、鍋料理、土産品を作ろうと若手の主人方が奮闘し、この模様は2002年の正月の特番として全国放送されました。これにより、村杉共同露天風呂出湯共同露天風呂が新たに作られ、名物として賑わいましたが、出湯共同露天風呂は間もなく閉鎖されてしまいました。

 新発田市の城山温泉から南に向かって順に、月岡温泉、笹神ケイマン温泉(休湯)、真光寺温泉、出湯温泉、今板温泉、村杉温泉、宝珠温泉と国道290号線に沿って、ほぼ一直線上に温泉が並んでいることがわかります。このライン上には活断層があり、これと温泉と関連があるのかもしれません。

5.阿賀野川流域の温泉

 福島県から新潟を横断し、日本海に注ぐ阿賀野川流域に、数多くの温泉が点在します。川沿いには国道49号線、磐越自動車道、磐越西線が走り、交通は便利です。阿賀野市安田から阿賀町津川に至る阿賀野川流域は風光明媚であり、阿賀野川ラインとして親しまれています。中流域の三川では舟下りも行われています。

 温泉としては、下流から、旧安田町の宝珠温泉、五泉市の馬下温泉咲花温泉、旧三川村の阿賀高原温泉、三川温泉新三川温泉、旧津川町の津川温泉、旧鹿瀬町の麒麟山温泉かのせ温泉、角神温泉などがあり、旧上川村には、阿賀野川支流の常浪川上流に御神楽温泉が、柴倉川上流には七福温泉があります。

 それぞれ泉質は異なり、施設としては小規模ながら特徴あるところが多いです。いわゆる温泉街的なものはありませんが、規模としては咲花温泉が一番大きいでしょうか。ここは良質な硫黄泉が掛け流しされ、新鮮な源泉を味わえる穴場となっています。なお、旧上川村、津川町、鹿瀬町の温泉を総称して奥阿賀温泉郷と呼ぶこともあります。
 また磐越西線には、休日にSL(ばんえつ物語号)が運行されており、時間帯によってはSLを見ることができます。

6.岩室・弥彦温泉

 新潟平野のどこからも弥彦山・角田山がよく見えます。この周辺には大小たくさんの温泉があります。新潟から弥彦に向かう県道は弥彦街道とよばれます。この道路沿いに、湯の腰温泉福寿温泉、岩室温泉、多宝温泉、弥彦温泉、観音寺温泉、長崎温泉が連なります。山の反対側の海岸部には、国道402号線が走り、越後七浦シーサイドラインと呼ばれています。この道路沿いに野積温泉田ノ浦温泉があります。ちょうど山を縁取るように狭い地域に温泉が連なっています。その中心になるのが、岩室温泉と弥彦温泉です。

 岩室温泉は新潟の奥座敷として近年特に賑わいをみせており、旅館も近代化されています。その分高級化されすぎた感もあります。もともとの源泉は霊雁の湯と呼ばれる冷鉱泉でしたが、現在使用されているのは新源泉で、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉です。硫黄臭がするなかなか良い泉質です。温泉街という趣は少ないのですが、夕方ともなれば、芸妓衆の歩く姿がみられます。温泉街を一望できる高台に、日帰り施設として遊雁の湯・よりなれがあります。

 また温泉街のはずれで新しい源泉が掘削され、利用されないまま硫化水素臭を漂わせていましたが、多宝温泉・だいろの湯として2001年暮れに開業しています。これは硫化水素含有量が計84.4mg/kgもあり、源泉100%、非加熱、掛け流しで利用されたすばらしい温泉です。

 次に、弥彦温泉は、新潟では最もメジャーで越後一の宮として親しまれている弥彦神社の門前として栄えた温泉で、大小多数の温泉宿があります。昔は独自の源泉を有していましたが、枯れてしまったため、隣の観音寺温泉から引き湯されました。しかし、温泉の使用可能量が少なく、もともとが単純硫黄冷鉱泉で沸かす必要があるため、どの旅館も加熱・循環されており、硫黄泉としての味わいが乏しいのが残念でした。(温泉日記参照) その後独自源泉として弥彦湯神社温泉が掘削され、現在はその源泉が各旅館に供給されています。
 日帰り専門の施設としては、2003年4月にバーデン ヴァイスがオープンしましたが、その後営業が縮小されました。

 弥彦温泉の隣の観音寺温泉には、かつて日帰り専門のやひこ乃ゆがありましたが閉館しました。湯元の長生館も地震による源泉井戸損傷で閉館を余儀なくされました。さらにその先には最近掘削された湯量豊富なやひこ桜井郷温泉があり、地元民専用の高齢者総合生活支援センターで使用されています。その後一般向けの湯さくらの湯が開業し、賑わいを見せています。少し足を伸ばせば、魚のアメ横として全国的に有名な寺泊があります。ここにも、寺泊海岸温泉寺泊温泉、寺泊岬温泉等があります。

 観光としては、弥彦神社、弥彦山スカイラインが賑わっていますが、弥彦山隣の国上山中腹にある国上寺も静かで趣があります。ここには良寛で有名な五合庵があります。また、近くに弘智法印という僧の即身仏(ミイラ)のある西生寺があります。昔この寺に湧く鉱泉を沸かして弘智温泉という温泉宿がありましたが廃業し、その源泉を引いて利用したのが野積温泉です。

7.湯田上温泉

 広大な新潟平野の東の端の丘陵地帯に湧く温泉です。数件の温泉旅館がありますが、温泉入り口の看板は大きいものの、温泉街的な風情はありません。新潟県内ではテレビCMで良く知られたホテルもあり、書きながらコマーシャルソングを思わず口ずさんでしまいます。「ヨウコソ、ホテールー オーヤーナーギーエー・・・」 
 泉質は、昔は硫黄泉を湧かしていて、湯量は乏しかったようですが、最近新しい源泉を掘り、ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉となりました。日帰り温泉施設としては、ごまどう湯っ多里館があります。近くには、あじさいで新潟では有名な護摩堂山があります。

8.長岡市の温泉

 新潟県第2の都市である長岡市に数多くの温泉があることを意外に思う人も多いに違いありません。長岡市は東西を山に囲まれ、北は新潟平野につながります。東の山沿いに、桂温泉、東山温泉、愛隣温泉、成願寺温泉、長岡温泉、長岡かまぶろ温泉、長岡湯沢温泉、蓬平温泉等があり、信濃川を挟んだ西側に寺宝温泉、西側の丘陵地帯に宮本温泉三島谷温泉青葉温泉灰下の湯等があります。そのつながりとして、旧西山町の地蔵温泉、刈羽村の油田鉱泉、柏崎の妙見温泉、峠の湯などがあります。
 長岡温泉、蓬平温泉を除けば一軒宿ばかりで、温泉地としての趣は乏しいように思います。設備は劣りますが泉質的には、源泉100%掛け流しの寺宝温泉が優れていると思います。泡付きの多さは県内屈指です。

9.湯之谷温泉郷

 奥只見の銀山開発やダム建設で発展したのが旧湯之谷村の温泉です。小出側から順に葎沢温泉芋川温泉折立温泉大湯温泉、栃尾又温泉、駒の湯温泉があり、これらを総称して、湯之谷温泉郷と呼んでいます。
 また、小出IC近くに、芋川温泉を引き湯した薬師温泉があります。また、奥只見の銀山平には、根強いファンが多く野趣満点な銀山平温泉がありましたが、現在は取り払われ、別の場所に白銀の湯として立派な施設に生まれ変わりました。

 このうち、一番中心になるのが大湯温泉であり、情緒豊かな温泉街を形成しています。川の両岸に旅館が建ち並び、細い路地に並ぶ土産物店にヌード劇場と、小規模ながら絵に描いたような温泉街を形成しています。こういう温泉街は新潟県内には意外にないのです。

 また大湯温泉からほど近い栃尾又温泉は、日本有数のラジウム泉として有名であり、子宝の湯としても知られています。小規模旅館と湯治宿からなり、歓楽的要素はありません。非加熱のぬる湯にじっくり浸かるのがこの温泉の楽しみ方です。かつて、栃尾又温泉センターがあって、青いタイルの浴槽が独特の雰囲気を醸し出していましたが、増築・改修され、現在は栃尾又霊泉の湯として営業しています。

 また、かなり山中に入った駒の湯温泉は電気の通じないランプの宿として親しまれており、湯量豊富な噴泉塔は感動ものです。これだけ大量の掛け流しは、新潟県内最高だと思います。この温泉付近にダムの建設計画があり、反対運動も起こりましたが、計画が撤回され一安心です。

10.六日町温泉郷

 南魚沼市の六日町には、六日町温泉のほか、スキー場のある上ノ原高原温泉、その先にひっそりある君帰温泉(廃湯)、北に河原沢鉱泉、魚野川の東側に、五十沢温泉畦地温泉があり、総称して六日町温泉郷と呼びます。中心となるのはやはり六日町温泉です。天然ガスの掘削中に湧き出たのが始まりであり、温泉街は魚野川左岸と右岸の坂戸地区に分かれます。

 共同浴場としては、町の中心街に六日町中央温泉共同浴場があります。各旅館とも立ち寄り湯を受けていますが、日帰り施設としては、JRの西側に龍気別館、川を渡った坂戸地区に清流館(閉館)があります。泉質は中央配湯された単純泉がほとんどですが、龍気別館は硫黄臭が漂います。その他、河原沢鉱泉は2軒の旅館があますが小規模です。

 国道17号線から魚野川を渡り、三国川ダム方面に進むと五十沢温泉があります。広大な露天風呂と混浴が魅力で、根強いファンも多いようです。さらに進むと畦地温泉がありますが、田んぼの中の一軒宿です。あまり知られていませんが、温泉ではないものの三国川ダム下に露天風呂があり、キャンプ客を中心に利用されています。

11.越後湯沢温泉

 川端康成の「雪国」であまりにも有名になった新潟を代表する温泉地のひとつです。スキーと温泉を楽しめ、新幹線の駅前に温泉街があって、アクセスは抜群です。温泉街にはたくさんの日帰り入浴施設があります。

 越後湯沢駅西口を出ると、すぐに美術館の中の温泉として有名なカトマンズがあり、温泉街を歩くと、ロープウェイの乗り場にコマクサの湯、さらに奥に歩くと山の湯、新幹線下をくぐって反対側に行くと駒子の湯、駅方向に戻って商店街に行くと江神温泉浴場があります。その他、ホテルや旅館でも立ち寄り湯を受けていますし、そして駅舎内にも酒風呂で有名なぽんしゅ館があります。
 このように歩いていける範囲に多数の施設があります。ただし、山の湯を除いては泉質は単純泉であり、中央配湯されているため、施設ごとの特徴は乏しいように思われます。

 その他、車で少し行けば、岩の湯ハーブの湯などがありますし、国道17号線を苗場方面に進むと、神立の湯貝掛温泉街道の湯宿場の湯と温泉が続きます。山道を2時間以上歩いた清津川上流の山中には、温泉通のファンが多い赤湯温泉があります。さらにリゾート地としてその名も高い苗場に行けば、泉質にこだわりのある美人の湯があります。その他にもいくつかの温泉が点在しており、越後湯沢はまさに温泉天国です。

12.柏崎の温泉

 世界最大の原子力発電所がある町として有名になった柏崎は、かつては石油開発で賑わいをみせていました。その油田掘削の副産物でできたのが柏崎温泉です。住宅地・商業地に旅館は点在しているので、温泉街というほどのものはありませんが、ネオンの怪しげな歓楽街はあります。泉質は食塩泉で、日帰り温泉施設としては、ソルトスパ潮風があります。

 そのほかには、海水浴で県外客で賑わう鯨波には鯨波松島温泉が、桜の名所で県内では有名な赤坂山公園近くにかんぽの宿・柏崎があります。また、国道8号線の長岡に向かう峠道に、妙見温泉、そして、ひとりでは行けない禁断の峠の湯・アンがあります。さらに、東の山中には古くから薬湯として知られていた広田鉱泉があります。
 さらに、周辺の市町村では、刈羽村には油田鉱泉、西山町に大崎温泉地蔵温泉、越路町に西谷鉱泉、墓間温泉、高柳町にじょんのび温泉月湯女温泉、天王山温泉などがあります。

13.妻有郷の温泉

 十日町市を中心に、周辺の旧川西町、旧松代町、旧松之山町、旧中里村、津南町を合わせて、妻有(つまり)郷と呼んでおり、ひとつの文化圏を形成しています。新潟県でも最も雪深い地域ですが、魅力的な温泉も数多くあります。

 旧川西町には、幼稚園の園舎を改造した千手温泉が温泉通の人気を博していましたが、2001年秋、改築されて、千年の湯として再オープンしました。ほのぼのとした魅力はなくなりましたが、掛け流しは健在で安心しました。

 旧松代町には山の上に芝峠温泉あり、抜群の眺望を誇っています。旧松之山町の松之山温泉は別項にまとめます。

 十日町市には、北部に消雪パイプの掘削時に湧出し、毎分2000Lの豊富な湯量を誇る下条温泉があります。また、町の中心街に越後妻有交流館キナーレ「明石の湯」が新しくできました。さらに塩沢方面の山間に入った所に、ひなびた風情の、塩ノ又温泉二ツ屋温泉越後俵山温泉があり、十日町温泉郷あるいは六箇温泉郷とも称しています。また南部には、欧風の高級リゾート地(ベルナティオ)として賑わいをみせ、ワールドカップではクロアチアのキャンプ地にもなった当間温泉があります。

 旧中里村には、ミオン中里ゆくら妻有の日帰り温泉のほか、日本三大峡谷のひとつである清津峡に清津峡小出温泉があり、日帰り施設としては苗場館湯処よーへりがあります。また、清津峡に行く手前には瀬戸口の湯があります。

 最南部の津南町は温泉の宝庫です。信濃川沿いに、長野県境に向かって、辰ノ口温泉、鹿渡温泉、津南駅前温泉、段野温泉小下里温泉田中温泉宮野原温泉と続きます。このうち津南駅前温泉の日帰り温泉施設・リバーサイド津南はJRの駅舎内にある温泉としてユニークです。小下里温泉には本格的なクアハウスもあります。
 また、津南町は信濃川が長い年月の間に作り出した日本一の河岸段丘が雄大です。かなりの山道を登った後に出現する広大な平地には驚嘆します。この段丘の上には、巨大リゾート地として人気があり、2種類の源泉を持つグリーンピア津南温泉、中津川を挟んだ対岸の段丘上には名水で有名な竜ヶ窪があり、その手前に、広大な露天風呂が心地よい竜ヶ窪温泉があります。さらに、信濃川を挟んだ対岸の段丘上のスキー場(マウンテンパーク)には、津南駅前温泉を引き湯したカガン温泉があります。

 また、津南から長野県へと続く中津川沿いの地域は秋山郷と呼ばれ、平家の落人伝説で知られます。地理的に閉鎖された地域であり、新潟・長野両県にまたがった、山間の風情ある文化圏を形成しています。昔は交通が不便でしたが、細道ながら国道405号が通じ、最近では行楽地として人気があります。秋山郷には趣ある温泉が点在し、山の中腹にへばりつくようにして建ち洞窟風呂で有名な逆巻温泉、栃の実館の露天風呂が人気の結東温泉などがあります。さらに奥に進めば長野県側の、小赤沢温泉、屋敷温泉、和山温泉、栃川高原温泉、切明温泉へと続きます。

14.松之山温泉

 草津温泉、有馬温泉と並んで日本三大薬湯と自称し、数的根拠は良くわかりませんが、硼酸の含有量は日本一だと宣伝しています。近くには火山はありませんが、熱湯が湧き出ているのが不思議です。ジオプレッシャー型温泉と説明されることもあります。

 さて、一番歴史が古く、中心となるのは鷹の湯で、小さな温泉街を形成しています。温泉街の中央には共同浴場の鷹の湯があります。更に少し進んだところに、鏡の湯があり、木造三階建ての凌雲閣が重厚な風情を醸し出しています。また、松之山温泉街の手前には、新しく掘削された湯坂温泉があり、日帰り温泉の湯の山があります。少し離れた兎口地区には、庚申の湯の植木屋旅館があります。その裏には、新しい源泉があり、露天風呂の翠の湯(廃湯)として利用されています。翠の湯は植木屋旅館が管理委託されています。ここは兎口温泉とも呼ばれています。

 これらがいわゆる松之山温泉で、石油臭のある独特の泉質です。その他に、少し離れたところに、じょうもんの湯湯田温泉まきばの湯があり、松之山の少し強烈な泉質とは異なって、柔らかな優しい湯が特徴的です。

15.鵜の浜温泉

 上越市大潟区の海岸に湧く鵜の浜温泉は、天然ガス掘削の副産物です。最盛期には日本一の産出量を誇った頸城ガス田の中心に位置し、地下700mから温泉が湧出しました。昭和33年に帝国石油の手により公衆浴場が開設されたのが始まりといいます。数軒の温泉旅館があり小さな温泉街を形成し、日帰り温泉施設として、鵜の浜人魚館があります。この地には、小川未明の童話「赤いローソクと人魚」で知られる人魚伝説があり、人魚館の由来となっています。観光シーズンには地引き網も行われ、海の幸が堪能できます。

 温泉街のすぐ北には柿崎上下浜温泉があり、日帰り施設としてはまなすふれあいセンターがあります。

16.妙高山周辺の温泉

 妙高山は新潟を代表する活火山であり、山麓に数多くの温泉があります。スキーのメッカとしても全国的に有名な場所です。妙高山の北地獄谷を源泉として、赤倉温泉があり、冬はスキー、夏は避暑と、この地区で一番のにぎわいをみせています。共同浴場や露天風呂の滝の湯があります。また、隣には赤倉温泉から引き湯した新赤倉温泉があります。もっと標高の高いところには関温泉があり、鉄分が多く、赤湯が特徴です。さらに標高の高いところに、燕温泉があり、関温泉の赤い湯とは対称的に、硫黄泉で白い湯が特徴的です。急坂な斜面に小さな温泉街が形成され、露天風呂の黄金の湯河原の湯が有名です。
 一方、妙高山の南地獄谷を源泉とする妙高温泉が古くからあり、温泉街を形成し、共同浴場もあります。南地獄谷から妙高温泉に引き湯する途中に開発されたのが池の平温泉で、別荘や会社の保養所がたくさんあって、夏・冬ともにぎわいをみせています。近くのいもり池から見る妙高山は雄大です。また、南の山麓には杉野原温泉があります。その他、周辺に温泉が点在し、妙高高原は新潟を代表する観光地のひとつになっています。

17.糸魚川の温泉

 糸魚川といえばフォッサマグナの町としてご存じの方が多いことでしょう。静岡-糸魚川構造線として学校で習いましたよね。地質的に特徴ある地ですし、焼山という活火山もありますから、当然温泉も出そうと予想されますが、その通り数多くの温泉があります。

 焼山の麓には、湯花と硫黄臭が魅力的な焼山温泉、温泉で炊いたご飯が名物で、重炭酸ナトリウム含有量日本一を自称する笹倉温泉があります。市街地の外れには、熱湯が噴き出る噴泉が豪快なその名もズバリ、フォッサマグナ糸魚川温泉があり、日帰り施設としてひすいの湯があります。姫川沿いの長野県境には、姫川温泉、白馬温泉、蒲原温泉がありますが、蒲原温泉は水害により破壊され、現在は入浴できないのが残念です。その他、山中には都忘れの湯として人気が高い雨飾温泉(梶山新湯)、そして、全国的にもファンが多く、新潟県最高地の温泉であり、アルプスを見渡す露天風呂が名物の蓮華温泉があります。興味深いのは各温泉とも泉質が違うということです。いかにもフォッサマグナの町を感じさせます。

18.佐渡の温泉

 おけさと金山の島、佐渡島は、実は温泉の島でもあります。少なくとも20ヶ所以上はあり、主なものだけでも、佐渡の玄関口、両津には、椎崎温泉、住吉温泉、秋津温泉、朱鷺の村・新穂には潟上温泉、畑野には畑野温泉、金井には金井温泉、佐和田に佐和田温泉、八幡温泉、真野に真野温泉、金山の町、相川には相川温泉鹿伏温泉、平根埼温泉、大佐渡温泉、長手岬温泉、羽茂に羽茂温泉、佐渡のもうひとつの玄関口、直江津とフェリーで結ぶ小木には小木温泉、小木海岸温泉などがあります。さらに、寺泊とフェリー航路のある赤泊にも温泉がありますので、結局佐渡の旧全市町村に温泉があることになります。そのほかにもいくつか温泉がありますから、佐渡の温泉めぐりも奥深いものがあります。