今年もたくさんの演奏に接することができました。5月の連休明けから新型コロナは5類に移行して、社会生活の制限は撤廃され、コンサートも通常通りに開催されるようになりました。 例年のように、チケットを買いながら、行けなかったコンサートがありましたし、聴きに行きたくても他の公演とかぶってしまって行けなかったものもありました。 こんな1年でしたが、今年もたくさんの名演に出会えて、ベスト10を選ぶにも困難を極めましたが、苦渋の選択で10公演を選びました。 私の思い入れが強い新潟市ジュニアオーケストラ教室は、例年通りに殿堂入りということで、選考から除外しましたが、「新潟市ジュニアオーケストラ教室第42回演奏会」(2023年8月27日)で演奏されたドヴォルザークの交響曲第8番は、これまで新潟のアマオケで聴いた中で最良の演奏であり、「伝説のドボ8」として末永く語り継がれるものと思います。 また、本日(12月31日)15時から「りゅーとぴあジルベスターコンサート2023」が開催され、素晴らしい演奏会になることが間違いなしなのですが、この原稿の締め切り時間外ということで、今回は除外させていただきます。 では、開催順に思い出深かった演奏会を紹介したいと思います。 2023年2月1日(水)19:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 角野隼斗 全国ツアー 2023 “Reimagine” グランドピアノとアップライトピアノを駆使し、考え抜かれたプログラムと期待にたがわぬ演奏に、角野さんの素晴らしさを再認識し、若き才能の前にひれ伏すのみでした。 2023年2月3日(金)19:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 反田恭平 & 務川慧悟 2台ピアノツアー 2023 緩急・強弱自在、音は色彩感にあふれ、濁りの全くないクリアな響きは、この二人ならではでした。強靭な打鍵から繰り出される音の洪水に圧倒され、高揚感で胸が高鳴りました。 2023年5月13日(土) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 谷 昴登 ピアノ・リサイタル 十分に考え抜かれたプログラムも素晴らしく、天に突き抜ける鋭い高音、パワー溢れる低音、全音域に渡って音は美しく輝いていました。弱冠20歳の若者が創り出す生命感あふれる音楽に、パワーをいただき、音楽を聴く喜びを感じました。 2023年8月20日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 東京交響楽団第132回新潟定期演奏会 鈴木優人さんの指揮で、メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」と第2番「讃歌」が演奏されましたが、心が揺り動かされるような圧倒的な音楽に、ホールは興奮と感動の嵐となりました。暗譜で音量豊かに力強く歌い切ったにいがた東響コーラスの皆さんも素晴らしかったです。 2023年9月9日(土) 14:00 新潟市民芸術文化会館 スタジオA 平林弓奈ピアノリサイタル 色彩感とパワー溢れる音楽は圧倒的であり、音量豊かに響かせながらも、音に濁りは全くなく、弱奏時での透明感のある音や突き抜けるような高音のクリアさも格別でした。 2023年9月24日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 東京交響楽団第133回新潟定期演奏会 33歳の若き指揮者のヴィオッティが創り出した躍動感・生命感にあふれたベートーヴェンの「英雄」、そして各セクションとも抜群のパフォーマンスを発揮して、壮大な音楽絵巻を聴かせてくれたR.シュトラウスの「英雄の生涯」。その驚異的な演奏にひれ伏しました。 2023年10月1日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 新潟メモリアルオーケストラ第32回定期演奏会 サン=サーンスの交響曲第3番は、音量豊かにパワフルに鳴り響くオルガンと、それを超越するエネルギーで燃え上がるオーケストラにより、ホールは感動と興奮で満たされました。後半のエルガーの「エニグマ変奏曲」も、美しいアンサンブルと壮大なオケの盛り上がりに、音楽の喜びを噛みしめました。 2023年11月4日(土) 17:00 柏崎市文化会館 アルフォーレ 大ホール クリスチャン・ツィメルマン・ピアノ・リサイタル いずれの曲目も、緩急・強弱を大きく揺り動かし、ツイメルマンの味付けがされて、ツィメルマンの音楽に昇華され、心に迫る熱い音楽が生み出されました。圧巻は、最後のシマノフスキであり、豊潤でありながらクリアに響くピアノの美しさとともに、心を揺り動かす音楽に圧倒され、胸を熱くしました。 2023年11月12日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 東京交響楽団第134回新潟定期演奏会 音楽監督のノットの指揮により、独自の味付けがされた生命感に溢れる音楽に新鮮な感動をいただきました。12型という小型の東響も機動力を発揮していました。 2023年11月23日(木) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール 小林愛実ピアノリサイタル 刺激的でない柔らかなピアノは、エレガントさを感じさせ、慈愛に満ちており、聴く者の心を癒し、青白い炎が燃えるようで、遠赤外線で身体の芯が温めれらるような、そんな静かな感動が、聴く者の心にもたらされました。 これらに続く演奏会として、新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団第10回記念演奏会(2023年3月5日)、新潟A・フィルハーモニック第二回定期演奏会(2023年6月10日)、TOKI弦楽四重奏団20周年記念・新潟シンフォニエッタTOKI デビュー スペシャルWプログラムコンサート(2023年8月5日)など、新潟の音楽家による高水準の演奏会も挙げられます。 また、阿賀野市の寺院の本堂で開催された頼勝寺第11回音楽会ヴィヴァルディ「四季」(2023年6月11日)も強烈に印象に残っています、 そのほか、コバケンさん指揮による読売日本交響楽団(2023年10月9日)、佐渡裕指揮シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会(2023年11月5日)も感動的でしたし、政治的意味も含めてウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団2つの第九も感動を誘いました。 そして、音楽の公演ではありませんが、東京バレエ団×金森穣「かぐや姫」全3幕(2023年12月2日)と Noism X 鼓童 「鬼」(2023年12月16日)も世界水準の舞台芸術として素晴らしいものであり、番外として載せさせていただきます。 では、これらの演奏会の中で、私の選ぶベスト1は、「谷 昴登 ピアノ・リサイタル」です。 今年は例年以上にピアノ演奏を聴く機会があり、聴いたピアニストは、リサイタルと協奏曲演奏を含めて、演奏日順に、大瀧拓哉、角野隼斗、反田恭平、務川慧悟、三浦謙司、實川 風、谷 昴登、亀井聖矢、及川浩治、平林弓奈、仲道郁代、大滝 俊、藤田真央、クリスチャン・ツィメルマン、ゲルハルト・オピッツ、小林愛実 など、若手から熟年ピアニストまで多彩ですが、特に20代の若手ピアニストの素晴らしさに感動しました。 その中にあって、谷 昴登さんは、弱冠20歳ながらも、音楽性に溢れ、色彩感豊かで、ダイナミックな演奏に息をのみました。新潟のような地方ではまだ知名度は低いながらも、将来性豊かであり、これからさらに飛躍していくことは間違いありません。あのとき新潟での初リサイタルを聴いたんだと、将来自慢できることは間違いなく、それも遠い将来ではないように思います。 以上、2023年コンサート・マイ・ベスト10をお贈りしました。皆様方のベスト10、そして、ベスト1は何だったでしょうか。来年もたくさんのコンサートを聴けるよう、仕事に励み、頑張って生きていきたいと思います。 今年も1年間ありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。 |