小林愛実 ピアノ・リサイタル
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2023年11月23日(木) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
ピアノ:小林愛実
 

シューベルト:即興曲集D935 op.142
  第1曲:アレグロ・モデラート
  第2曲:アレグレット
  第3曲:変奏曲 アンダンテ
  第4曲:アレグロ=スケルツアンド

(休憩20分)

ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調「幻想」op.61

ショパン:即興曲 第3番 変ト長調 op.51
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズop.22

(アンコール)
ショパン:ノクターン 第20番嬰ハ短調 遺作


 今日は小林愛実さんのリサイタルです。小林さんは2021年10月の第18回ショパン国際ピアノコンクールで4位に入賞されて、世界的に注目されています。
 同コンクール2位の反田恭平さんと結婚されて、8月に出産されました。10月末まで産休を取られましたが、今月から演奏活動を再開されました。
 新潟公演前には、イスラエル・フィルの来日ツアーのソリストとして共演する予定でしたが、イスラエル・パレスチナ問題の深刻化によりイスラエル・フィルの来日が困難になったため、予定が全てキャンセルされ、たっぷりと休養と取った後の新潟公演となりました。2時間のフルコンサートは、産休後は新潟が初めてだそうです。

 小林さんは、昨年9月4日に、北区文化会館でリサイタルをされ、当然聴きに行きたかったのですが、私が何よりも愛し、毎年万難を排して駆けつけている新潟市ジュニアオーケストラ教室の定期演奏会と見事に重なり、断念せざるを得ませんでした。
 そんなことがありましたので、今回のリサイタルは何としても聴きたいと思い、早々にチケットを買って楽しみにしていました。
 私が小林さんの演奏を聴くのは、2017年7月に、モスクワ・フィルとのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴いて以来、6年振りになります。
 ちなみに、次の新潟での来演予定としましては、来年10月の東京交響楽団139回新潟定期演奏会でラヴェルのピアノ協奏曲を演奏することが決まっていて、これも楽しみにしています。

 さて、文化の秋、そして年末ということもあって、このところ週末には魅力ある公演がいくつも重なってしまい、どこに行くか悩ましい選択を迫られています。
 今日も新潟市だけでもたくさんの公演があり、新潟県民会館では現在社会的に注目されている宝塚歌劇の公演が昼・夜の2公演開催され、2公演ともチケット完売だそうです。新潟市音楽文化会館では新潟混声合唱団、りゅーとぴあのスタジオAでは関口智子さんのリサイタルが昼・夜の2公演あり、劇場では立川談春独演会、能楽堂では新潟県能楽大会とホールはフル稼働です。新潟のような地方都市で、これほどたくさんの公演が同時開催とは凄いですね。

 そんな勤労感謝の日を迎えました。ここ数日の新潟は好天が続き、今日も朝から青空が広がって、気分も爽やかでした。明日から天候が崩れて冬型となり、強風が吹いて土曜日には平野部でも雪になる予報が出ていて、気分は滅入ってしまいますが、束の間の好天に感謝しましょう。

 今日はりゅーとぴあ、新潟県民会館、新潟市音楽文化会館とフル稼働していますので、駐車場の混雑が予想されます。先週の日曜日は駐車場が満杯で、新潟交響楽団の定期演奏会をあきらめた経緯がありますので、今日はそんなことがないようにと早めに家を出ました。
 しかし、世の中は甘くなく、先回と同様に、なんと今日も陸上競技場でWEリーグのサッカーの試合があり、白山公園周辺の駐車場はどこも満車。まさか日曜日に続いて今日も試合があるとは予想していませんでしたので、大きな誤算でした。
 考えが甘く、結局かなり遠くの駐車場にとめることになりました。ついていませんが、いいウォーキングになって良かったと言うべきでしょうか。

 時間的には余裕がありましたので、ゆっくりと歩いてりゅーとぴあ入りしました。りゅーとぴあの思い出キャンペーンに応募してB賞が当選していましたので、1階の事務所に立ち寄り、賞品をいただきました。ありがとうございました。
 2階に上がりますと、ロビーにはたくさんの人がおられて活気に満ちていました。既に開場が進んでおり、チラシ集めをして入場し、この原稿を書きながら開演を待ちました。
 日本の女性ピアニストのトップランナーの小林さんのリサイタルであり、25日の高崎公演は、早々にチケット完売、29日の静岡公演も残席僅少ということでしたので、新潟もそうなるかと思ったのですが、サイド席には余裕があったのは意外でした。でも、りゅーとぴあでのピアノのリサイタルとしては、かなりの入りだと思います。

 開演時間となり、白いドレスの小林さんが登場。椅子に座って、無音の静寂がしばらく続いて精神集中し、おもむろに演奏が始まりました。
 前半はシューベルトの即興曲集で、4曲が続けて演奏されました。柔らかで、優しさに満ちたピアノの音がホールに響き、ぬくもりのある音が心地良く感じられました。強奏部でも音は濁らず、ダイナミックさを感じさせながらも、包み込むような懐の深さを感じました。
 第1曲、第2曲と穏やかに演奏が進み、第3曲の変奏曲は、変奏ごとの曲調の変化を楽しみました。第4曲は、軽快に伸びやかに演奏し、爽快な気分にさせてくれました。
 各曲の間には十分すぎるほどの間を取り、無音の静寂の緊張感が演奏への期待感を高めました。刺激のない柔らかなピアノは、慈愛に満ちており、聴く者の心を癒してくれるようでした。

 休憩後の後半は、ショパンです。まず最初は、幻想ポロネーズです。これでもかというくらいに、ゆったりと歌わせ、流れ出る音楽は大河の流れのようでした。最後は大きく炎を燃え上げて、再びの静寂の中に閃光の一撃が走って曲を終えました。

 ステージから下がって、長い休みの後に登場し、即興曲第3番が演奏されました。柔らかで甘く、ゆるやかに奏でられる音楽に、うっとりと聴き入りました。

 休みなく続けて幻想即興曲が演奏されました。淀みなく柔らかな音楽の泉が湧き出るかのうようで、刺激的な響きや激しさは排除され、上品でエレガントな響きが心地良く感じられ、幻想的な夢幻の世界へと誘われました。

 小林さんは、次も続けて演奏したいようでしたが、拍手が入り、椅子から立ち上がって拍手に応えて、すぐに最後のアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズの演奏に入りました。
 この曲も、柔らかく、ゆったりと歌わせて、優しさに満ちており、刺激的な響きは感じられません。後半のポロネーズは明るく軽やかに演奏されましたが、決して荒々しくはなく、エレガントさを保ち続けていました。
 
 大きな拍手に応えて、ホールの各方向に丁寧に礼をし、アンコールにノクターン第20番を、しっとりと演奏してリサイタルは終演となりました。

 情熱的に演奏して熱く燃え上がるのではなく、それとは対極の、やさしく、穏やかな、しっとりとした音楽が創り出されていました。
 興奮を誘ってブラボーがこだまするという演奏ではなく、青白い炎が燃えるようで、遠赤外線で身体の芯が温めれらるような、そんな静かな感動が、聴く者の心にもたらされました。

 終演後には、CD購入者を対象としてサイン会が開催されました。私は次の予定があり、サイン会の行列を横目に、遠くの駐車場へと急ぎました。 
 

(客席:2階C2-9、S席:会員優待:¥4000)