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専太が、あったお伽ばあさん(北畠八穂童話集)

専太が、あったお伽ばあさん(北畠八穂童話集)

「専太が、あったお伽ばあさん」をテキストにしました。底本は、国会図書館の近代デジタルライブラリーにある『マコチン虹製造:北畠八穂童話集』です。

(2013年3月 金森国臣)


目次

1. マコチン虹製造

8. 海まつり

2. 夏の星座

9. 津軽のワラシ

3. 専太が、あったお伽ばあさん

10. 乞食マコチン

4. 聖夜

11. チョンミーと原子力

5. ほら、木の間に

12. 一、二三

6. マジックは失敗か

13. 六ッ指の海おとこ

7. とうもろこし

各項目をクリックすると当該ページにジャンプします。


3. 専太が、あったお伽ばあさん

 専太は東のまどへくるたび、そのこやをながめるのがすきであった。三尺はば、一間長さの、むしろでかこったこやだ。中にはばあさんが一人すんでいた。

 けさは、こやの外で、かけたしちりんで、ばあさんが火をおこしている。ヤツデの葉であおいでぃる。いっしょにみていた専太の兄さんが、

「てんぐさだな」

 と、いった。専太はそれをきいて、しちりんをあをぐばあさんをみていると、火はあのばあさんがはじめて、ああしてこしらえるもののように見えた。

「兄さん、火ってのは、マサツでおきるんだね」

「そうだとも」

 兄さんは学校どうぐをそろえて、さっさとしたくをした。専太は、火はマサツでおきると、きかしてくれる兄さんみたいに、早く学校へいきたかった。うらやましかった。

「兄さん とちゅうまで送ってゆくよ」

「角正のかどまでだよ」

 角正と太い字のかんばんをかけたショウユウやの角からは、兄さんの友だちが、ぐんとおおぜいみちづれになる。

「うん」

 専太は、しかたなし、元気に返事をする。あかあさんは笑いながら、専太にも、おむすびを一つノリにつつんで下すった。

 専太は兄さんのこしのバンドに、右手でつかまって出かけた。兄さんはズンズン歩いた。専太はひきずられそうだった。ショウユウやのかどまですぐ来た。やくそくだから、専太は手をはなした。兄さんは待っていた友だちと話しだし、専太をちょっとみたきり、行ってしまった。

 専太は、兄さんたちの一群が、日ざしをせおって、遠くなるのをみて立っていた。学校への道は、そこから広くて、まっすぐなので、一群は豆つぶになるまでみえていた。しまいには、ほんとにポッチリの点々で動いて行った。

「いい目だなァ」

 専太は父さんにほめられたように、じぶんの目をほめてから、くるりと後をむいて、帰りだした。茶色の石ころをみつけて、ケリケリ歩いた。

「あれッ」

 石ころが草むらに入ったのをそのままにして立ちどまった。空屋敷の所だ。ばあさんのこやの南むきのむしろがめくれている。やねから、まっ白に、まっ黒のブチのねこの子がのぞいている。専太は、神様が、そこへおいでと、ゆびさしてくださるように思った。かけださずにいられなかった。ペンペン草と、赤マンマやドクダミが足にからまった。

 ばあさんは、にた小魚をつまんで、ねこにさしのべていた。こねこはやねからからおりたいのだが、おりられなくって、すこしずつ、わきの丸太の柱をずりおちてきた。専太は手をのばして、こねこをばあさんのゆびのところへ持って行った。

 こねこは、ももいろの口で、ペチャペチャと小魚をうまそうにたべた。

「もっとかい」

 ばあさんはもう一つ、貝でできたなべから、小魚をつまんで、こねこにたべさした。専太は気がついて、ハンカチのノリムスビを、ほどいた。わってこねこの口へごはんつぶと、タマゴヤキの片はしをはこんだ。こねこは四度目にもうのこした。

「もう、おなかが、くちくなりました」

 ばあさんが、こねこのかわりにいった。専太はノリムスビを半分、おばあさんの手へのせた。ばあさんはムスビの半分をじいっとみて、

「ひさしぶり」

 と、ニコリとした。専太ものこりを、ばあさんのまねをして、少しずつ、ゆっくり

金森による註(順不同):

なし


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