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山草、野草の食べ方 | 郷土食と調理法(昭和19年発行)

山草、野草の食べ方

『郷土食と調理法(昭和19年発行)』の附録「山草、野草の食べ方」

『郷土食と調理法(昭和19年発行)』の附録「山草、野草の食べ方」をテキストにしました。

刊行年が古いので、科学的知見が変わっている可能性があります。ヒントを得るための参考程度にお使いください。

現代仮名遣いに換えていますので、五十音順になっていないところがあります。また新字体を使用しています。

  • 本文
  • 書誌情報

(2013年1月 金森国臣)


本文

あかざ

あかざ科の一年生草本。野外に自生、または栽培。葉は菱形で長い葉柄をもち、夏秋に黄緑色の細花が密着して咲く。

若い葉をつみ、ゆでてみじん切りにしたものに味噌漬大根とくるみを細かくきざんだものをまぜ合わせ、熱い御飯にふりかける。

秋、実をこきとり、油でいため、醤油で味つけする。

若い葉を蒸してほし、粉末として黄粉にまぜ、ふりかけにする。

あきぐみ

ぐみ科の落葉灌木。山野に自生。高さ三メートル。幹は直立、小枝は灰白色。葉は楕円形、全辺に銀白色の細かいつぶをしく。初夏開花、秋、円い実を結び、赤く熟すると食べられる。

あけび

あけび科の蔓性落葉灌木。山野に自生。つるは長くのび、四月、新葉とともに淡紫の花を開く。果実は熟するとたてにわれ、果肉を現す。みつばあけびのつるは、バスケットなどの細工物となる。

早春、新芽をつみとり、おひたしにする。また代用茶とする。(開花後は、かたくて食べられない。)

果実の中味をとりだしてゆで、ごま、またはくるみであえる。

中味だけとり、中に味噌を詰めて、金網の上で焼く。味噌に砂糖をまぜるとおいしい。

あざみ

きく科の多年生草本。原野に自生。葉は羽裂し、端にとげがある。初夏、紅紫色の花が咲く。食用にするのは、主にのあざみ・はまあざみ。

若い葉をあくで軟かにゆでておひたしにする。また、あくぬきして、ごまあえ・味噌あえにする。

餅にいれてもよし、味噌汁の実にもよい。

塩漬にもなるし、ほしておけば、いつでも使える。

あまな

ゆり科の多年生草本。日なたの原野に自生。卵形の地下茎は二センチくらいになる。四月、花茎の頂に、白い花を一つつける。葉は平くて柔らか。名はあまい葉の意。

地下茎を煮て食べる。また、すりつぶせば澱粉がとれる。

葉はゆでて食べてもよいし、汁の実にもなる。

いたどり

たで科の多年生草本。山野に自生。葉は卵形、または楕円形。夏、小白花を密生する.根茎は薬用となる。

若い葉と茎は、酸味があって食用となる。葉はゆでてあえものとする。茎は塩をつけて生で食べられる。塩漬もよい。

冬、ふきの代用とする地方もある。

うこぎ

うこぎ科の落葉灌木。山地に自生。葉は深緑色。長い葉柄の先が五つにさけている。初夏、長い花梗の先に、黄色い花が半球形に密生する。

若い芽をゆでて、おひたしとする。(とげに注意)

細かにきざんだ葉を、丸めて焼いた味噌にまぜ、温かい御飯にのせて食べる。

くるみ・ごまのあえものもよい。

乾物にしておくこともできる。

うど

うこぎ科の多年生草本。山野に自生、または栽培。茎は円柱形。紫は細毛をおびる。夏、葉の端に円い淡緑色の花が咲く。若い芽に佳香がある。畑作りのものは、もやしとする。

若い芽や葉の根に近い白いところを適宜に切り、皮をはぎ、千切りとして酢のものとする。

輪切りにしてゆで、ごまかくるみであえる。

魚に煮こんだり、汁にいれたり、さしみのつまにもなる。

えのきたけ(なめこ)

まつたけ科。榎・柿などの潤葉樹のくちつつあるものの地に接するところに、むらがり生える。傘の表は褐色または栗色。しめっている時は粘性がつよい。寒中も生育するおいしい食用菌である。

傘と柄を吸物・あえもの・酢のものにしたり、味噌汁の実にもする。長期の貯蔵にたえるので、瓶詰・缶詰・塩漬にもできる。

おおばこ

おおばこ科の多年生草本。原野・路傍に自生。長い柄をもつ楕円形の紫は根生。夏、多数の小白花を密着する。

若い葉をゆでて、おひたし、ごまあえにする。

かげぼしにしたものは、健胃剤となる。

おらんだきじかくし(アスパラガス)

ゆり科の多年生草本。ヨーロッパ原産。食用として栽培。地上部は一年生。茎は緑色の円柱形で、高さ一・五メートルに達する。若い茎は多肉。夏、黄緑色の小さい花が咲く。まつばうどともいう。

食用にするのはアスパラガスと呼ばれる若い茎で、煮もの・漬けものにする。

かたくり

ゆり科の多年生草本。山地の林中に自生。根茎は白色多肉、数個接して地中の深いところに横たわる。早春、二葉をだし、葉心から出た梗端に、紫色の花が咲く。地下茎から、良い澱粉がとれる。

春、若い芽をゆでて、おひたし・あえものにする。

秋、地下茎から、澱粉をとる。

からすむぎ(ちゃひきぐさ)

ほもの科の越年生草本。平野または?園に自生。ヨーロッパ原産。名はからすの食うむぎの意である。

秋、実をついて皮をさり、粉として、米や麦の粉とまぜ、団子や餅とする。

きく

きく科の多年生草本。観賞植物として栽培。茎はやや木質。葉は柄をもち互生、卵形に羽裂し、秋、頭状花をつける。園芸変種が多い。

花を熱湯でさっとゆでて、おひたしや三杯酢にする。

葉に小麦粉の衣をかけて油であげると、独特の秋の香りがする。

大根を二三日ほしておき、半月形に切り、菊の花と赤とうがらしの細切りをまぜて塩漬にする。いろどりの美しい秋の香のもの。

きくらげ

きくらげ科。秋、にわとこ・くわ・その他の枯木に多数発生。直径五−九センチ。形と色が人の耳に似ている。質がくらげのようなので、この名がある。

傘・柄とも、煮もの・酢のもの・味噌汁の実となる。支那料理に用いられ、ほして貯える。

くず

まめ科の多年生蔓植物。体上に褐色の粗毛がある。茎は長く成長してはいまつわる。葉は広く大きく、三小葉からなる。秋、葉のわきから蝶形の赤紫色の花が密生する。根は肥大、薬用とし、またくず粉を製す。茎の皮はくず布を織り、葉は馬牛の飼料となる。つるはなわの代用ともなる。

ぐみ

ぐみ科の落葉または常緑灌木。山野に生じ、また栽培。葉は楕円形、表は緑裏は銀白。初夏、淡黄花が咲く。夏、果実を結ぶ。

若い芽をゆでて、あえものとし、果実は生のまま食べる。

くわ

くわ科の落葉喬木。山地・畑に、栽培。葉は卵形、先端はとがって、心臓形をなす。四月、淡黄花を開き、果穂は熱して紫黒色になると、食用となる。

若い葉をゆでて、煮ものとしたり、あえものとする。熟した実は、そのまま食べられる。

しそ

くちびるばな科の一年生草本。支那の原産。畑に栽培。周りが鋸歯状の紫色の葉は、佳香がある。葉は梅漬の材料、果実は塩漬となる。

味噌にとうがらしを入れて、好みのときに練っておき、しその穂にまぶし、せいろうで蒸した上、かげぼしにして食べる。

穂をすこし早めにほしておき、てんぷらにしたり、塩と麹の漬物か、味噌漬にする。

しいたけ

まつたけ科。秋、林中の椎・楢・くぬぎ・桑などの幹に自生、または栽培。傘は黒褐色、柄は白色。他の三季にも生ず。食菌中の王座を占めるもの。

傘・柄とも、煮もの・吸物・まぜ飯・蒸しものとしておいしい。

よくほしたものは、貯蔵にたえる。

しめじ

まつたけ科。わりあいにかわいた山地に生ずる。多くのものがかたまって生える。傘は鼠色で小さい。柄は白で下の方がふとく、食用として味はもっとも佳。

傘・柄を煮もの、味噌汁の実とする。

じゅずだま

ほもの科の多年生草木。水辺に生じて大きくなる。群生。初秋、葉わきから穂状花穂をだす。果実は緑色から黒となり、終りに灰白色となる。つやがあってなめらか。子供は熟した実を数珠にしてあそぶ。

果実は臼でくだき、外皮をのぞき、粥や飯とし、また、粉にひいて、だんごや餅を作る。

しょうろ

しょうろ科。春、海浜の松林に生ずる。径二センチばかりの球状・塊状している。地中にある間は、白いが、とりだして空気にさらすと、淡黄色から淡褐色となる。

胞子のまだ熟さぬ白いところを食用とする。煮ものや味噌汁の実によい。

しろつめくさ(クローバ)

まめ科の多年生草木。ヨーロッパ原産。長い葉柄をもつ三枚の小葉からなる。夏、白または淡紅の蝶形花は、球状をなして長梗の上に咲く。おらんだげんげともいう。

葉をゆでて、おひたし、または汁の実とする。

しろね

くちびるばな科の多年生草本。池沼や水辺に生ずる。茎は方形、葉は長い楕円形で周辺に鋸歯がある。地下茎は白色で肥厚。夏、白い花が咲く。

地下茎を煮て用いる。また、塩漬・ぬか味噌漬もする。

すいば(すかんぽ)

たで科の多年生草本。野外に自生。茎は細長く丸くて縦の條が通り紅紫色。葉は長楕円形、春から初夏に緑紫色の花が多く咲く。葉は酸味があるので、すいばという。

生のままで食べたり、ゆでておひたしか味噌あえとする。

これからとったすいば酢は、焼鮎・白身の焼魚によく合う。

すぎな(つくし)

とくさ科の多年生草本。原野いたるところに生ずる。地下茎から二種の地上茎をだす。緑色の葉のものは栄養茎で、淡褐色の軟かいものは胞子茎で。「つくし」と呼ばれる。この両方とも食べられる。

つくしのはかまをとり、ゆでて、あえもの・煮ものとする。若い茎もよい。

すいかずら(にんどう)

すいかずら科の常緑藤本。山野に自生。葉は長い楕円形で対生、冬をしのいでしぼまず、忍冬の名がある。初夏、白または淡紅色の香りのある花が咲く。

若い葉をゆでて、汁の実やあえものとする。

薬用ともなる。

すみれ

すみれ科の多年生草本。原野や岡の上の日なたに生ずる。葉は根生して多数叢書生。春、こい紫色の花が咲く。花の形が、大工のすみつぼに似ているので、「すみいれ」から起った名。

若い葉をゆでて、おひたしやあえものにしたり、また、御飯にまぜて炊く。

せり

からかさばな科の多年生草本。湿地に茂生。春、根生葉がむらがり生え、茎生葉とともに食用となる。花は、花柱に小白花をつける。

葉によい香りがあるので、ゆでておひたしやあえものによく、味噌汁の実にもなる。

塩漬や麹の一夜漬もよい。

ぜんまい

ぜんまい科の多年生羊歯。山地・原野・水辺に自生。葉は茎から叢生。若い葉はこぶし形に曲り、白綿毛をまとう。若い茎をほして食用とする。

若い蕾を野菜とまぜて煮たり、味噌汁にいれたりする。

くるみと、豆腐へ砂糖をすこしいれて鉢ですり、水に浸して軟かになったぜんまいを煮て、水分をきり、適宜に切って、あえものにする。

ぜんまいの綿をとりさり、軟かになるまでゆでてから、日にほして保存する。貯蔵の一法は、ゆでて灰をまぶしておく。調理するときは、水に浸して軟かくもどってから用ひる。

たけのこ

ほもの科。支那の原産。諸所に栽植する孟宗竹は、内地の竹類中、もとも大なるもの。このたけのこが、一番おいしい。

地下茎の若芽をゆでて、煮もの・あえもの・味噌汁の実などにする。また、漬物・瓶詰・缶詰にもよい。

たらのきのめ

うこぎ科の落葉灌木。山野に自生。高さ三、四メートル。幹は直立。葉は大形でからかさ形に開き、八月、多くの白い花が出る。若い芽には、うどの香味がある。

若い芽をつんでゆで、あえものに、また、おひたしにする。

たんぽぽ

きく科の多年生草本。原野に自生。早春、ぎざぎざのある根生葉が叢生。四、五月ごろ、黄色い花が咲く。葉は食用となり、松は健胃剤瑚となる。

若い芽をつんでゆで、おひたしやあえものにする。

つゆくさ

つゆくさ科の一年生草本。路傍・畑地に自生。茎は地に横たわって根を生じ、分れて斜上して葉をつける。夏、あおい花が咲く。

若い葉をよく洗ってゆで、おひたしにして食べる。

つりがねにんじん

ききょう科の多年生草本。山野に自生。根は白く肥厚。茎葉は輪生、後生葉は円形で花時は落ちる。秋、五裂の紫色の鐘状花が咲く。

上部の葉をゆでて、おひたしにする。

つるにんじん

ききょう科の多年生草本。山野に自生。茎はまつわり、柄のある葉は楕円形で、四葉相接している。夏から秋に外が白、内に褐紫斑のある花が咲く。

根や茎葉を煮もの、または生食する。

茎と葉の白汁は、切りきずに効があり、漢名で羊乳という。

ちがや

ほもの科の多年生草本。原野・山地に叢生。三月末、葉に先だって花穂を出す。これがつばなで食用となる。根は薬用。

白い軟らかいつばなへ、塩をふりかけて食べる。

つた

ぶどう科の落葉藤木。岩壁・石垣・山林などに生ずる。茎の大きなものは、径四センチ位に達する。夏、黄緑色の花が咲く。葉は、秋紅葉する。古名あまづら。

晩秋から冬へかけて、つるを切ると、切口から汁が出る。この汁は甘く、甘味料となる。砂糖のなかった昔は、これを煮詰めて調味料としていた。

なずな(ぺんぺんぐさ)

じふじばな科の越年生草本。田圃や路傍に自生。根生葉は叢生。春、白い小十字花を開く。

なずなとは、なでなで愛する意である。

若い芽をゆでて、おひたしにする。

にら

ゆり科の多年生草本。山地に自生、また、畑に栽培。全草特異の臭いがある。鱗茎をなし、葉は立ち、ほそい線形で、平たく軟らかである。秋、茎の頂に半球形の白い花をつける。

若い葉をゆでて、煮もの・あえもの、また味噌汁の実にもする。味噌あえがおいしい。

のいばら

いばら科の落葉小灌木。原野、河辺、山地に生ずる。高さはニメートル内外。羽状複葉。枝にとげが多い。初夏、白または淡紅色の芳香ある花を開く。赤い実は薬用となる。

若い芽をゆでておひたしにする。

のびる

ゆり科の多年生草本。山野・堤上に自生。全草にらの臭味がある。りん茎は白く卵形。二三枚の葉は細長く下部は鞘となる。初夏、茎頂に白紫色の花を開く。

若い茎をよくゆでて、酢みそ・味噌あえ・煮ものとする、汁の実にもよい。生食もできる。

はこべ

なでしこ科の越年生草本。路傍に自生。葉は対生、茎は叢生。春、小白花を開く。

若い葉をゆでて、あえもの・おひたしにする。

はつたけ

まつたけ科。初秋、多く小松原の芝地に生ずる。傘はじょうご状。全体淡赤褐色、質もろくきずつくところは緑青色となる。食用となる。

傘・柄とも、煮つけ・塩焼・味噌汁の実となり、乾物にもなる。

はまえんどう

まめ科の多年生草本。浜辺の砂場に生ずる。えんどうに似ておるので、この名で呼ばれる。

若い葉を煮て食べ、また、ゆでてあえものとするのによい。

実は、いって粉にひき、団子になる。

はまぼうふう

からかさばな科の多年生草本。海浜の砂場に自生。その分布は棒太におよぶ。根は深く砂中に直下。地下茎は黄色、葉は砂上にひろがり、厚くてつやがある。再羽状複葉、ふちは鋸歯状である。夏、茎頭に小白花を密生する。

若い葉をつんでゆで、生食し、あえものやおひたしにする。魚料理のつまになる。

ひめしだ

うらぼし科。中部・北部日本に多い多年生羊歯草本。原野・湿地に自生。葉は根茎から生じて直立。

若い葉をゆでて、おひたしやごまあえにする。

乾物として貯蔵もできる。

ふき

きく科の多年生草本。山野に自生。地中枝を出す。葉は根後生、長い葉柄の上に円い葉をもつ。

初春、根茎から花穂を生ずる。雄花は白黄色、雌花は白色。この花穂をふきのとうという。

茎を三十センチばかりの長さに切ってゆでる。軟らかくなったら、表皮をはぎ、適宜に切り、油でいため、醤油で味つけして、とうがらし少々いれる。はいだ表皮は、日にほしてつむぎ、糸として使う。また、つくだ煮・ふき飯もよい。

葉は醤油と砂糖で煮たり、てんぷらにしたり、味噌団子にいれたりする。

ほしたり、塩漬にしたりして、冬に備えるのもいい。

ふきのとう味噌は、出はじめのものをゆで、鉢で味噌といっしょにすりまぜる。ほかに、油味噌・焼味噌もできる。油いりもよい。

ふじのはな

まめ科の落葉灌木。山野に自生、または鑑賞用として栽培。四月ごろ、紫色の蝶形花を長い花穂につける。

花をつんでゆで、あえものやおひたしにする。

ほうこぐさ(おぎょう)

きく科の越年生草本。野外に自生。春の七草のおぎょうで、春夏に黄色い花が咲く。葉茎に白い軟かい毛がついている。ははこぐさともいう。

若い葉をゆでて、餅につきいれる。

乾物とするには、ゆでてから天日でほす。

ほどいも

まめ科の多年生草本。山野に自生。地中に、球形で白肉黄褐皮のいもを生ずる。茎は長くのびてまつわり、葉は羽状複葉で、三−五枚の小葉からなる。夏、葉腋に生じた花軸の花梗から、緑黄色に紫のまじった花が咲く。

地中のいもを蒸しやきにして食べたり、またはほして澱粉をとる。

まつたけ

まつたけ科。秋、赤松林に多く発生。また、栂林にもできる。傘は初め半球状、しだいに開き、突円形となり、ついに平に開く。ひだは白色・味の美、芳香をもつこと、菌中第一。

傘・柄とも、吸物・塩焼・まぜ飯・味噌汁の実として美味。貯蔵には、瓶詰・缶詰ができる。

みずぎぼうし

ゆり科の多年生草本。水辺・溝側・湿地に自生。葉は叢生。初夏、長茎に淡紫花を開く。

若い芽をゆでて、あえもの・酢のものとしたり、味噌汁の実や漬物とする。

みつば

からかさばな科の多年生草本。山野に自生、また畑に栽培。葉は柄の本に鞘のある葉柄をもち、三小葉からなる根生葉は長柄をもつ。夏、白または淡紫色の細花をつける。

若い根や葉をゆでて、おひたし・あえものにしたり、また、おつゆの実にいれたりする。

みょうが

しょうが科の多年生草木。山中の湿地に自生、また、人家に栽培。特異の芳香がある。葉は一年生。夏、根茎から白い地下茎を分け、頂に厚い花穂をひくく地上にだして、淡黄色の花を続出する。花穂と若芽を食用とする。

花穂と若芽を、酢のもの・汁の実・漬物とする。

やぶじらみ

からかさばな科の越年生草本。原野・路傍に自生。茎は直立、分枝し、葉とともに毛を被る。葉は互生、再羽状に細裂。夏、枝頭に小白花を開く。果実は刺毛多く、熟すと他物につくのでこの名がある。

若い葉は、煮ものにしたりあえものにしたり、漬けものにもなる。

やぶまめ(ぎんまめ)

まめ科に一年生蔓性草本。原野に自生。葉は三小葉からなる。茎には疎毛がある。夏、淡紫色の蝶形の花が咲く。実を食用とする。

若い葉や果実を煮て食べる。また、御飯にまぜるのもよい。

やまごぼう

やまごぼう科の多年生草本。人家に栽培される。根は肥えて、かたまりをなして地中にいる。茎は円柱形で、高さは一・三メートルほどになる。葉は大形。夏秋の間、枝上に小白花の花茎をだす。根は薬用となる。

若い葉を煮ものにしたり漬物にしたり、ゆでてあえものにもなる。乾物にしておくのもよい。

やまのいも(じねんじょう)

やまのいも科の多年生蔓草。山野に自生。地中に直下する長大な円柱形の多肉根を生じる。茎は長くのび、葉は対生。夏、白い花が咲く。葉のわきにむかごができる。肉質根は白く軟かで、食用となる。

根・茎を酢のもの・煮もの・とろろ汁とする。

豆腐汁のやまかけは、やまのいもの皮をはぎ、おろしてよくすり、これを豆腐汁の上にかけて食べる。

とろろ汁は、おろしたいもをよくすり、味噌汁のすまし汁でうすめて、御飯にかけて食べる。麦めしなら、なおよい。

やまゆり

ゆり科の多年生草木。山地に自生、庭に栽植。茎は一メートル以上になる。鱗茎は大形で、黄味をもつ。茎は細長く、先がとがる。夏、茎頭に数個の豊大な白い花を開く。花の内面に紅小点をつける。りん茎を食用とする。

鱗茎の煮物は、球根をよく洗い、うずら豆といっしょに砂糖・味噌などで調味して煮る。

ゆうがお

うり科の一年生蔓草。アフリカ・アジヤ原産。人家に栽培。茎は長い蔓をなしてふたまたの巻きひげがある。葉は有柄互生。手のひらの形。夏、五裂の白い花が咲く。漿果を食用とし、乾瓢を製する。

茎を切り、ゆでておひたしにする。

果実をたて四つわりにして、種子をとりさり.適宜にきり、軟かくなるまでゆでてあえものにする。(うすぎりがよい。)

枝豆のあえものは、枝豆をはじいて、鉢ですりつぶしたものを、食塩・砂糖少々いれて、あえる。

種をとりさり、うすく切り、油でいため、湯をすこしいれて味噌で煮る。これに青しそをきざんでいれると、大変風味がよい。

よめな

きく科の多年生草本。野原のすこし湿ったところに自生。地下茎をひいて繁殖。茎の高さ五十センチばかり。ほそい葉は互生。秋、淡紫色の花が一つ、枝頭に咲く。

若い葉をゆでて、ごまあえやおひたしにする。

貯蔵用には、ゆでてほしておく。

よもぎ(もちぐさ)

きく科の多年生草本。山野に自生。葉は互生、羽状に分裂、うらに白毛密生、香気がある。

夏秋、茎の先に淡褐色の小形の頭状花を穂状につける。春、新芽を餅につきいれる。

若い葉をつみとって、すぐ重曹または灰などをいれて軟かにゆで、水にひたしてあくをぬき、しぼっておく。餅のねれたころによもぎをいれて、いっしょにつき上げる。団子は、しぼっておいたよもぎを、しん粉といっしょにこねまるめて蒸す。

貯蔵には、ゆでてほしておく。使うには、臼でよくついて煮る。これを洗ってをしぼり、粉といっしょに蒸して、餅につく。

わさび

じふじばな科の多年生草本。山中の渓流に生じ、また栽培。地下茎の中央は円柱状。根生葉は数枚。春、白色十字花を開く。地下茎を辛味料とする。

根をおろし、醤油にそえて、刺身のつまとする。また、すしにも用いる。

おろしたものをおろし大根とあえ、もみのりを加える。

葉と茎を細かに切り、塩漬にしてから、さらに酒粕につけたものが、静岡の名産わさび漬。

わさびは、色の青々として、ねばりけのつよいのが優良品である。

わすれぐさ(やぶかんぞう)

ゆり科の多年生草本。原野の溝や堤のほとりに多い。細長い葉は、上方に開いて先端がたれている。八月ころ、花茎をぬき、黄赤花を開く。支那では、この花を見て憂いをわすれるというので、この名がある。

若い芽をつんで、煮ものにしたり、ゆでて、あえもの・おひたしに用いる。

わらび

うらぼし科の多年生枯葉羊歯草本。春、根茎からにぎりこぶし形の新葉を出す。白茶色の綿毛をかぶっている。

春の若い葉の用途はひろい。煮もの・あえもの・油いため・味噌汁の実・塩漬・乾物。秋は、根から澱粉がとれる。

わらびは、たいへんあくが強い。あくぬきには、たばねて桶またはバケツにいれ、上にむしろの切れはあしかわらをかぶせ、その上に灰をのせ、上から熱湯をそそぐ。七、八時間そのままにしておいてから、調理するとよい。

貯蔵法は、あまり軟かにならぬほどにゆでて、塩漬にしておく。


書誌情報

郷土食と調理法』の書誌情報

  • タイトル:郷土食と調理法
  • 著者:全国学農聯盟 編
  • 出版者:学習社
  • 出版年月日:昭和19

ツブヤキ

野草茶にトライしようと思っています。

代用茶になる野草が、古い文献に紹介されていないか探していたら、この資料が見つかりました。

代用茶としては「あけび」があるだけで、目的は達せられませんでしたが、内容が面白いので、テキストに起こしてみることにしました。

もともと用語に関心があるので、「なづな」や「やぶじらみ」などの名前の由来は、興味深いものでした。また、子供の頃に食べていた野草には懐かしい思いもしました。

戦時下における食料供給の意味合いもあると思うのですが、この時代には野草に関する文献が散見されます。


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