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                       尚(なお) はまだその上にあるという意にして、加えるという義。尚之(これにくわうる)などの如し。 
                      猶(なお) 立ちもどりて見れば、やはりそのすぢであるという意にして、猶行平地(なおへいちをゆくがごとし)の義なり。 
                      又(また) 二つ並べていう時に用う。 
                      亦(また) もまたといい、他に比べてこれもまたという意なり。 
                      復(また) 再の意にして、重ねていう時に用う。 
                      乃(すなわち) そこでという意。上と下とをつなぐ時に用うること多し。 
                      則(すなわち) そういうことにして見ればの意。 
                      即(すなわち) ぢきに又はとりもなおさずの意。 
                      輙(すなわち) たやすくの意。 
                      曾(かつ)テ ちよっとでもという意。ふと一回ありしことに用う。 
                      嘗(かつ)テ まえかたという意。なめる、こころみるともよみ、一回二回にかかわらず、あまねくの義なり。 
                      弥(いよいよ) いやが上にもという意にして、段々みちて一ぱいにわたること。 
                      愈(いよいよ) 今までとは異り、段をこえてすぐれたという意なり。 
                      能(よく) 自分にて自由に出来ることをいう。 
                      善(よく) 誰が見てもよいという意。 
                      克(よく) 成しとげる意。力を用いてその難きところを尽くすをいう。 
                      悉(ことごとく) ありだけという意。一つづつ数えて残さぬをいう義なり。 
                      尽(ことごとく) 残りなくの意。だんだんに尽くし終ること。 
                      漸(ようやく) だんだんという意。水のおいおいとしみこむ如き義なり。 
                      稍(やや) 少しづつの意。 
                      屡々(しばしば) たびたびの意。 
                      驟(にわかに) 急の意。 
                      唯(ただ) 一念にそのことばかりにいう意。 
                      但(ただし) 外のことをのけていう意。いくつもある中で外のものをのけていう義。 
                      徒(ただに) むだにという意。 
                      啻(ただに) そればかりでなく、まださきのある意。 
                      奚(なん)ゾ 啻の意。 
                      只(ただ) ばかりという意。外に対してこのことばかりの意をいう。 
                      始(はじめ) 終の反対にて事をはじめる意。 
                      初(はじめ) 後(のち)に対することにて、最初の意。 
                      豈(あに) いかでかの意。 
                      既(すでに) そうあったという意。終りたるあとを見ていう義なり。 
                      已(すでに) もはやの意。已は現在に用い、既は過去に用う。 
                      益(ますます) ます意にして、今までに比し多くなったといふ義。 
                      増(ますます) かさねかける意。上へ重ねる義なり。 
                      因(よって) それによっての意。 
                      安(なんぞ)、曷(なんぞ)皆同意にして、どうしてといい意。いづくんぞより軽(かろ)し。 
                      最(もっとも) すべてのものの中にて、一番さきという意。 
                      尤(もっとも) 常とかわりたる意。 
                      此(この) 目さきのものをさす意。 
                      是(これ) その中の様子をいう意。 
                      適(たまたま) 丁度その時にという意。 
                      偶(たまたま) 思いよらずふとありたること。 
                      聞(きく) ちょっと聞くこと。聴(きく)は丁寧にきくこと。 
                      在(あり) ありとよみ、その地位につきていふ。 
                      有(あり) その物についていう。無に対する字なり。 
                      恰(あたかも) ちょうどの意。宛(あたかも)はさながらの意。 
                      嵯(ああ) 感心していうことば。喜賞にも悲嘆にも用いる。 
                      嗚(ああ) さてもの意。思いやりてなげくこと。 
                      口喜(ああ) 腹のそこより出づる声をいう。(金森註:実際の表記は「口偏に喜」です。) 
                      恒(つね) いつもの如くの意。 
                      常(つね) あけくれにの意。 
                      如(ごとし) その通りの意。 
                      若(ごとし) その様なとの意。 
                      似(に) どこやら同じさまがあるという意。 
                      終(おわり) しじゅうのところがという意。 
                      遂(つい) とうとうなしとげるという意。 
                      縦令(たとい)、仮令(たとい)、饒使(たとい)、は皆同じ意味なり。もし又よしやの意。喩(たとえ)、譬(たとえ)も同意にてたとえていわばの意なり。 
                      敢(あえて) おしきって、しいての意なり。 
                      旨(むね) 納得の意。 
                      見(み) あっさりみる意。 
                      観(み) みぬく意。 
                      妄(みだりに) わけもなくの意。 
                      猥(みだりに) なれなれしくの意。 
                      蓋(けだし) 大略をおさえていう意。 
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