暗黒街往来：隠語・符牒辞典

	電子復刻
	日本擬人名辞書
	ヨヘイ画集
	小泉八雲-幽霊
	小泉八雲-童謡集
	うしのよだれ
	一語千笑
	滑稽笑話
	滑稽百笑話
	明治・大正の川柳
	つむじまがり
	野草の食べ方
	近世少年日用文範
	マコチン虹製造
	青森縣俚諺集
	安全いろはかるた
	新撰いろはかるた
	語原学式仮名遣新書
	歌集しがらみ
	林泉集（中村憲吉）
	梅の栽培と加工
	暗黒街往来辞典

	暗黒街往来：隠語・符牒辞典

ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行ワ行『暗黒街往来：隠語・符牒辞典』（1936年刊）の用語集部分をテキストにしました。泥棒、博徒、香具師などの隠語や符牒が収録されています。古い資料なので役に立たないと思いますが、何らかの参考になるかも知れません。凡例など：旧字は新字に変更している旧仮名遣いは新仮名遣いに変更している拗音や撥音は小文字に変更している他の資料に掲載されている用語も随時追加します。書誌情報は末尾に示します。（2016年4月　金森國臣）

	ア行

アの部
アイ　　匕首。空巣狙い。一家不在アイカギヲアワス　　交接アイコ　　火事場泥棒アイス　　高利貸。持凶器窃盗アイチャン　　掏摸　（警察社会常識辞典にも掲出）アイビキ　　腰掛。合鍵アイボレ　　魚又は刺身　（出典：警察社会常識辞典）アオチ　　羽織。鶏。風アオリ　　風。万引アカ　　戸締を焼き切って侵入する窃盗。社会主義者。共産主義者。持凶器窃盗。火事。燐寸アカイヌヲケシカケル　　放火するアカウマ　　火事。銅貨（又アカウメ。アカネコとも云う）アカウラ　　典獄アカオニ　　検事アカコリ　　貴重品アカシン夕　　銅貨（又アカソラ。アカハラなどという）アカチャン　　密告者。密偵アカトンボ　　唐辛子アカネコヲハワセル　　放火するアカヒネ　憲兵　（出典：警察社会常識辞典）アカマヘダレ　　塩畦アカナマ　　銅貨アガリ　　空巣狙い、下座敷で気のつかぬうちに二階で’仕事をする窃盗。夕方アカリガハル　　犯行が発覚して路の危なくなることをいうアカリフミ　　万引アガリフミ　　玄関で家人の隙をうかがって外套帽子の類を盗む泥棒アガル　　犯行を悟られて逃走することをいうアキ　　空巣狽いアキウド　　強窃盗常習者アキシ　　空巣狙いアキス（空巣）　　全家留守に侵入する窃盗。（出典：警察実務宝鑑）アキナイシ　　強窃盗常習者。故買者アク　　自由アケバネズミ　　朝食前後の掻払いアケバラシ　　窃盗が門戸の施錠を破ることをいうアゲマキ　　娼妓アコギ　　悪事深入アゴトリ（アゴ取リ）　　犯行取調　ものを言うのには顎を動かすから出た言葉。顎をとられるという意味。（出典：警察社会常識辞典）アゴハル　　犯行を自白しないことをいうアゴバル　　否認　本当のことを言わずに頑張るという意味。（出典：警察社会常識辞典）アサアキ　　午前中の空巣狙いアサバ　　朝アシガツク　　犯行を嗅ぎつかれたことをいうアタイ　　値段が高い。仕事がしにくいアタマ　　帽子　（出典：警察社会常識辞典）アグイジン　　用心深く欺しにくい人物　（金森註：アダイジン？）アタタメル　　放火アダチガハラサンダンメ　　刑務所の仲間へ飲食物を差入をすることをいうアタリ　　大きな窃盗。突き当って懐中物を掏るアタリマヘ　　被害者と並行した刹那に懐中物を掏るアツ　　綿入。（又、アツラフンとも云う）アツケショウ　　雪アツサン　　婦人アツタ　　数量八アツタモン　　馬鹿アツバ　　泥棒に押入る前に脱糞することを云うアツブ　　盗む。掻払う。強奪するアテ　　戸錠を破開する道具。掏摸用鋭利な刃物（刄物。犬猫専門泥障の皮剥用刃物。強盗犯。犯罪事件の載っている新聞記事　（金森註：警察社会常識辞典では「鋭利なる刄物」。警察実務宝鑑では「雨戸を外す時等使う道具」）アテガツク　　目星をつけた家アテコミ　　強窃盗犯人が目星の家を物色して押入の凖備をすることアテチャリ　　殺人に用いた凶器又は押入に用いた道具を捨てることアトイ　　警察署長アトオシ　　肩を並べた瞬間に掏るアナグマ　　賭博詐欺の一手段、盆茣蓙の下から、上で伏せる壼の中の骨子の目を変える仕掛アナシ　　引窓、床下、二階の窓、便所口等から忍込む窃盗。アナヅタイとも云うアネシ　　金箔付の強盗（仲間の呼称）アイル　　制服巡査アブセル　　殺傷アブナイ　　数量九アブラ　　快晴日。暑熱日。強窃盗が忍込む際敷居や戸車に尿をかけることもアブラをかけるというアマキス　　甘酒アマキリ　　鋸、錐、小箒木等を使用して屋根を切抜いて忍込む窃盗アマシャリ　　菓子アミガカリ　　就縛アミダ　　笠。帽子アミダヲケル　　荷車の後から車上の荷物を掻払うことをいうアライ　　生娘。処女アラウ　　蔵品を調べることをいうアラシ　　強盗暴行犯人。博徒凶漢無頼の徒アラトリ　　賭博開帳中に踏込んで脅迫賭銭の一部を強請することをいうアラメチ　　盗難被害にかかった事のない土蔵又は家。処女アリアケ　　十五銭アリツケ　　錠前を破って忍込む準備行為アワセサンピン　　酒老錠アワビ　　錠前アンコ　　鶏姦アンゴ　　外出を見合せて家に匿れていることアンザン　　忍込みのらくな土蔵アンチン　　女帯アンドン　　壁を破って忍込む土蔵破りアンナイ　　提灯アンベル　　捕縛アンマ　　夜間の掏摸。詐欺賭博。共犯夜行列車内の窃盗
イの部
イアキ（居アキ）　　家人が在宅中でも隙をみて仕ごとをする窃盗イアキ（居アキ）　　家人が居るに裏の方に居るところを前から一寸の隙に侵入する窃盗。（出典：警察実務宝鑑）イウ　　掏摸の銭入イカモ　　芸妓イキホトケ　　規律に違背して減食されること（囚人用語）イキモドリ　　鋸イクリ　　詐欺師イケ　　窃取の貴重品イサバシ　　竹桿などの先に釘をつけて窓外から家内のものを釣り取る窃盗イシ　　頭　（出典：警察社会常識辞典）イシヲダカセル　　拷問にかけるイシジゾウ　　静かにしているイシノシタ　　漬物イシワリ　　強盗イス　　故買者イスケ　　前と同じイソイ　　厳重イソヲツケル　　施錠を破壊して忍込むことをいうイソガシイ　　危ないイダ　　処女。娘イタチ　　刑事。巡査イタツケ　　錠前破開イタノマ（板ノ間）　　湯屋専門の窃盗。湯屋の脱衣場は大方板の間である。（出典：警察社会常識辞典）イタノマ（板ノ間）　（又は）板間稼。湯屋の脱衣場窃盗。（出典：警察実務宝鑑）イタバリ（板張リ）　　板塀の所で女工の来るのを待つこと。女をものにしようとすることを張るという。（出典：警察社会常識辞典）イタフミ　　板間かせぎイチ　　弁護士イチドリ　　窃盗イチノジ　　巡査。錠前イチマイモノ　　単独の強窃盗（共犯者の数に依り二枚者又は三枚者などという）イチロク（一六）　　質屋。一と六で七、質となるからだ。（出典：警察社会常識辞典）イチン　　賊品を隠すイツク　　百円イッパイ　　一円イッパイ（一杯）　　一回のこと。五杯は五回。（出典：警察社会常識辞典）イッポン　　千円（百円にも云う）イナリシ　　手代、番頭、事務員等に化け込んで悪事をするもの）イヌ　　刑事、間諜、密偵、密告者イヌ　　諜者。（出典：警察実務宝鑑）イナシ　　詐欺師イノシシ　　男性の局部。山林盗伐常習者。十円紙幣イボカツサン　　錠前イラク　　火事イリアキ　　空巣狙いイリツケ　　犯罪場所の物色をすることイロゲ　　看守長イロクロムスメ　　黒壁土蔵イロシロムスメ　　白壁土蔵イワ　　財布（掏摸用語）インガチャ　　警部インコ　　×接インコパン　　握り飯インランムスメ　　忍び込みのらくな土蔵
ウの部
熟んだ柿ァ潰れるテも物言わない　（大人は濫りに騒がぬ）うるだぐ男ァ金にならねェ馬に銭馬の尻サ念仏　（無駄）うるだぐ男とハダカる女は見られない。売物サ花コ　（一、売物を美しく飾り立てよ　二、年頃の娘を美しくせよ）うどの大木　（一、えらそうに見えても中味がない　二、達者そうでも病気がち）うそは日本の宝　（註、これは他地方より流入したるものらしいが地方老人より採集したもの）うまいところは骨にある　（一、肴の骨をしゃぶればうまい　二、努力すればよいことがある）
エの部
エキフク　　事務服エテ　　強盗前科者。天切窃盗―屋根を切り破って忍込むエニイ　　刑事エビ　　錠前　（警察実務宝鑑にも掲出）エリヲキル　　雨戸其他締を切抜くことエリヅケ　　忍び込む前に目的の家を物色して当りをつけることエリマツ　　仏堂エンコ　　空巣狙い。合鍵。指輪。手。指。公園エンココウエン（エンコ公園）主として浅草公園。（出典：警察社会常識辞典）エンコヅケ　　掏摸に着手することエンゾウ　　飯エンタ　　煙草　（警察社会常識辞典にも掲出）エンタロウ（円太郎）　　貞操観念のない女。乗合自動車は誰れでも乗る人を選ばないからだ。（出典：警察社会常識辞典）エンヅケル　　賊品を手際よく処分するエンビキ　　犯罪密告エンマ　　検事。警部。巡査。忍込用釘抜エンマチョウ　　巡査の手帳
オの部
オイ　　看守オイヅル　　忍込用道具オイソリ　　剃刀オイソレ　　掏摸用剃刀に似た鋭利な小刀オイダキ　　詐話師オイラン　　土蔵。二階オオジメ　　人を大勢集めること―香具師用語、オオジメ師は墓の油売り、艶歌師などのことをいうオオヒキ　　詐欺師の親分のことをいうオオヒネ　　巡査部長オオアミ　　非常警戒オウリン　　博徒親分オカフミ　　籠脱詐欺オガム　　哀訴歎願。被害者の財布などをひそかに見て置くことオカル　　簪。二階。梯子。二階から忍込む窃盗オカル　二階　忠臣蔵の「おかるは二階でのべ鏡」のところから出た言葉。（出典：警察社会常識辞典）オヤルカイ　　婦人専門の掏摸　（金森註：？）オカルカンザシ（オカル簪）　　忠臣蔵のおかる女が髪に沢山の簪をさしていたところから出た言葉であろう。（出典：警察社会常識辞典）オカルバ　　二階オカン　　一ト休みしていること。お燗。即ち酒を呑んで休養しているところから転化した語か。（出典：警察社会常識辞典）オキ　　数量七。置引窃盗オキカヘ　　置引窃盗オキバ　　質屋オキヒキ（置引）　　停車場、待合室、銀行、郵便局の窓口等ですばやく金品を窃取逃走する泥棒　停車場、銀行、会社等の待合窒に於ける窃盗。置いてある品物を引いて行くという意味。（出典：警察社会常識辞典）オキヤサギ（置屋詐欺）　新店の質屋を物色し鑑識眼に乏しきを利用して無価値なるものを高価なるものの如く裝いて金銭を騙取する。置屋とは、質を置く所の意であろう。（出典：警察社会常識辞典）オキヨサン　　判事オクムサウ　　錠前オクリ　　検事局送りオクリダシ　　尾行して掏摸を働くこと。家人外出をうかがって空巣を働くことオゴー　板の間と同義。即ち湯屋、水泳場等に於て他人の入浴中脱衣置場籠より衣類金品を窃取するもの。昔し御講で社の堂などに大勢集ったところで掠めたところから転化した語であろう。（出典：警察社会常識辞典）オサト　　酢オシ　　万引オシコミ　　強盗（オシイリともいう）オヒチ（お七）　　放火　近松の戯曲に八百屋お七という娘が放火して火刑に処せられたところからこの語が出たものである。（出典：警察社会常識辞典）オシモヤシキ　　便所オシャマ　　芸娼妓オシロイ　　白壁土蔵オソメ　　土蔵破りオダイシ　　刑事オダイシサン　　骨？賭博オダワラ　　合鍵。提灯オチ　　綿入衣類オチヤヒキ　　法廷で取調べもなく再び刑務所へ戻されることをいうオツキ　　番犬オッサン　　刑事。巡査。猿オテ　　数量五オテジュ　　五十。五十円オテヒャク　　五百。五百円オテラマイリ　　教誨師の説教を聞くことをいうオテンキシ（お天気師）　　土砂流し又はガセ流しとも云う。偽造金指輪、煙管などを種にして、通行人に拾ったとみせて礼金を山分にしようと称し、或は誰も見ていないから二人で隠匿して利益を山分けにしようなどと称し、巧みに相手から金銭を騙取する連中のことをいう警察社会常識辞典では：　共謀してする一種の詐欺。その方法は多数にあるが、一例を示せば道路・公園等にて、Aが田舎出の地方人Dに馴れ馴れしく話かけて道連れとなる。その前へ共犯のBが無価値なものを故意に遺失する。Aが拾って金目のものだと驚く様子をする。そして山分けしようとする。そこへ共犯Cが来て、届出でろと云う。結局BとDが山分けしようと相談をまとめる。分配の場所を決める。その中一人が用事があるから先へ行っていてくれと逃げる。残りの一人がまた用事があるからと云って拾得物をDに渡し、その預る代りに保障の意味でDより金円を騙取して逃走するのである。Aをダキ（抱きこむ者の意）Bをモチ、Cをミハリ「見張」り）と云う。オトシ　　故買者オトシバコ　　賽銭泥棒オトシマヘ　　解決オトマヘ　　住宅表口オトモダチ　　仲間。現金泥棒オドリコ　　強盗オドリコミ　　前と同じオドル　　被害者が気づいたことオニ　　巡査。蚊帳オニツラ　　蚊帳オニバ　　強盗用鋸オハグロ　　黒壁土蔵オバケ　　偽造紙幣行使者オハ　　目星をつけた相手に見込みがないこと。ふところに金のないことオバサン　　詐欺―伯母さんになりすまして金品を騙取するオハツサン　　逃亡オハマ　　オハコと同じオハヨウ　　入場券利用の乗物泥棒オビキ　　ペーパ詐欺師、詐話師等の客引をする共犯オビシ　　詐欺師オビシタムスメ　　土蔵の周囲に盗難予防の裾張したものをいうオビラ　　紙幣オブー　　板の間稼ぎオブケ　　警部オマ　　巡査オマンジュニナル　　殺害されたオモヤ　　警視庁。刑務所。酒のある家オモヨケ　　富豪オヤジ　　親分。署長。看守オヤシキ　　刑務所オヤダマ　　署長オヤゴロ　　看守長オヤヒネ　　署長オヤマ　　娼妓オビラ　　袴（オリビラともいう）オレル　　自白。ハクともいう。（出典：警察実務宝鑑）オンリョウ　　借りる。賊品。受ける

	カ行

カの部
カイキ　　機械ガイキン　　銀貨ガイコウイン　　空巣狙いガイシ　　少女誘拐ガイシャ（害者）　　被害者　（警察社会常識辞典にも掲出）カイス　　故買者カイズ　　委託金品拐帯消費犯人カイニ　　二階カイメン　　面会カイモノ　　万引カエル　　財布カエル　　蟇口。蛙の口が蟇口に似ているからである。（出典：警察社会常識辞典）（警察実務宝鑑にも掲出）カホガウレル　　悪党仲間で幅がきくことをいうカカヘ　　並行した途端に掏る「ナラビ」と同じカガセ　　嘘を申立てることをいうカガミヤ　　目星をつけた家カカリ　　錠前カカル　　捕縛カキ　　贈賄。犯罪密告者カギ　　手。窃盗行為。内懐カキアラシ　　田野窃盗。山林盗伐カキイレ　　銀貨カキモチヤキ　　賭博開帳中カク　　刑事。風呂敷。賊品カクキリ　　窓カクサイ　　贋造通貨カクヌケ　　籠抜詐欺カクモノ　　反物カグラ　　脅迫カグラデン　　死刑場カグラヤ　　劇場寄席カクレ　　タ暮れカゲ　　詐話師の共犯―見張や仲間の連絡に任ずるガケ　　数量九カケコミ　　混雜に取りまぎれた店員や家人の隙をみて掻浚いを働く泥棒カゲボーシ　　賭博の見張人及び賭博開帳中蔭で働く一種のサクラ―仲間の廻し者カゲムシ　　錠前カケモノ　　同上カゴ　　住宅ガサ　　捜索カジ　　忍込道具。便所。詐欺師の共犯、仲間と被害者の間で術策を弄する役をするガシイ　　空腹。貧乏カジヤ　　焼切強窃盗カスビリ　　芸妓カスミハル　　喫煙カスメ　　万引カセ　　警察署カゼ　　逃走ガセ　　嘘。贋。売春婦。自首カゼガハイ　　手剛くて忍込み困難ガセツウ　　贋造紙貨幣ガセナガシ　　お天気師の別名ガセビリ　　売春婦ガチャ　　制服巡査カタイ　　強情カタオヤ　　一派の親分或は長カタヒネ　刑事巡査　（出典：警察社会常識辞典）カチ　　数量三カチカン　三十銭　（出典：警察社会常識辞典）カチジュウ　　三十。三十円カチビャク　　三百。三百円ガチャ　巡査。剣がガチャつくからであろう。（出典：警察社会常識辞典）カツ　　恐喝カッパ　　お天気師カドソデ（角袖）　　刑事巡査。（出典：警察実務宝鑑）カドデアキ　　夕食後家人が縁日などへ出かけた留守を狙う空巣盗カナシ　　金庫カナボウ　　夜警カニ　　鋏カネ　　黒塗土塀。黒壁土蔵ガネ　　眼鏡。鋏カネカヘシ　　贋造銀貨使いカネカタ　　故買者カネス　　寺院カネツケ夕　　土蔵を破ったカネナガシ　　カネカヘシに同じカネバコシ　　電車内の掏摸カネジュウ　　針。釘カノジ　　娼妓カバン　　賊品隠匿者カブワケ　　前と同じ又、賊品分配の意カブアワセ　　万引の相棒カブス　　殺傷するカブセ　　帽子。頭吊カブリ　　劇場がはねて後の混雑にまぎれて掏る一派の称カボ　　万引カマ　　拘留。密告カマウツ　　賊品隠匿ガマエル　　交合カマセル　　脅迫するカマツタ　　来たカマリ　　留置場。監房カミ　　強盗。京阪地方の称呼カミツブシ　　乗物発車間際を狙う掻浚いカミナリ　　屋根伝いに忍込む窃盗ガミモノ　　賊品カミン　　星カモ　　被害者カモ　　犯罪の目的物。多くは人（被害者）を云う。（出典：警察社会常識辞典）カモイリ　　弁護士カモクビ　　娼妓　（出典：警察社会常識辞典）ガモン　　塀。表口ガヤ　　山カヤウツ　　賊品を土中に埋めて隠匿することをいうガヤウツ　　昼寝して夜間に働くことカラカサ　　芋カラシ　　和伺カラス　　詐欺師。賊品隠匿者。冬服巡査。黒靴。暗夜カラス　　詐欺（鷺を鳥にしたもの）。（出典：警察実務宝鑑）カラスコミ　　押売。合力喜捨強請カラミ　　共犯。カリ　　放火。ガリ　　小児。鋸。新参者。暗夜。窃盗カリス　　僧侶カルイン　　痘痕カルクリ　　置引窃盗カルクル　　賊品隠匿カルタ　　箪笥カワ　　襦袢カン　　十銭。掏摸用鋏。強盗ガン　　窃盗カンガイッタ　　犯罪発覚カンガタカイ　　刑事が張っているカングレ　　暗夜。曇天。盲人カンタンシ（邯鄲師）　　宿屋泊込の窃盗。蘆生が邯鄲の宿で夢を見たという支那の故事から出た言葉。（出典：警察社会常識辞典）カンタンシ（邯鄲師）　　宿屋寝床の枕探し窃盗。（出典：警察実務宝鑑）カンコウバ　　便所カンジ　　時間ガンスイ　　涙カンタン　　睡る。寝床カンタンシ　　旅館専門の泥棒。枕さがしカントリ　　賊品分配カンヌキ　　停車場の待合室又は改札口で稼ぐ掏摸カンヌシ　　葱カンハチ　　嘘言者ガンブツ　　贋造銀貨使いカンモドシ　　鎖の茄子環を外して時計を掏ることを云い、之が出来れば掏摸は一人前と云われるカンワケ（勘分け）　　カントリに同じ　蔵品分配。勘定をして分配するという意味であろう。（出典：警察社会常識辞典）カンワダ　　旧悪を知っている者に餌を与えて秘密を守って貰うことをいうカンワリ　　逃亡
キの部
ギオン　　単衣物ギオンビラ　　帷布キガ　　小便キカイ　　甲斐絹キク　　掏摸キクキク　　音信文通キクノハナ　　見張役キクラゲ　　耳キクラスル　　聞くキクラバー　　聾者ギサ　　詐欺キサブローイレ　　煙草入れギシ　　詐欺師。ペーパー師キス　　酒　（警察社会常識辞典にも掲出）キスグレ　　泥醉者（キスマンともいう）キスラ　　金貨キセ　　羽織。外套キツネ　　芸妓。鋏キツバライ　　無銭飲食　（出典：警察社会常識辞典）キネズミ　　大工。屋根伝い窃盗ギフ　　古着。フルギを逆に読んでルを抜いた言葉。（出典：警察社会常識辞典）キホ　　内縁夫婦キムス　　警戒厳重の土蔵キュウヲスエル　　放火　（警察実務宝鑑にも掲出）キュウカンヒキ（九官引き）　　玄関先の靴など凌う賊。　靴専門の窃盗（出典：警察社会常識辞典）ギュジ　　掏摸親分キュー夕　　掏摸キョウヤチ　　強姦キョク　　郵便局。警視庁キョフリ　　三味線キラシビラ　　単衣物ギリ　　詐欺師ギリゴト　　悪事ギリジン　　強盗前科者キリマヘ　　衣類（キリザイともいう）ギル　　盗む。掻払う胡麻化すキルク　　×姦キンカクジ　　便所キワ　　数量九ギンカタ　　賭博資金を貸す資本主キンギョノサシミ　　油断のならぬ人物キングポイント　　東京玉ノ井の魔窟ギンコウ　　合鍵キンスケ　　窃盗犯人キンスヂ　　警部以上の警察官キンスラ　　金貨ギンスラ　　銀貨ギンダイ　　たんまり金を持っていると見込みつけた相手（詐欺賭博師用語）キントキ　　斧キンナマ　　金貨キンマン（金マン）　　金時計　（警察実務宝鑑にも掲出）　時計が饅頭に似ているところから之をマンと云い、金のマンという意味。（出典：警察社会常識辞典）ギンマン（銀マン）　　銀時計　（警察実務宝鑑にも掲出）
クの部
グ　　質。質屋。賊品グイ　　仲間クイチ　　笑いクイツキ　　錠前クイヌケ　　枕さがしの別名クキヌキ　　芸妓クギヌキ　　典獄クサ　　地名浅草クサモチ　　売春婦クジラ　　隻眼者。眼の細い肥えた人物クヅシヤ　　高利貸クダス　　紙入又は鞄などの中味をぬいて捨てることをいうクユーワタユウ　　穴師の別名。弁護士グチアゲル　　自白する（グチバル、グチヲネルなどいう）グドウ　　道具グトウフクロ　　凶器入れグニ　　質屋　（出典：警察社会常識辞典）グニ　　質屋。グニ屋とも云う。（出典：警察実務宝鑑）グニヤ　　質屋グニモク　　質にいれるクモ　　賊品。天窓などから下る窃盗。煙草クモノス　　金網クヤ　　厄グヤ　　質屋クラ　　銀行。倉庫。質屋クラ　　賭博の詐欺行為。（出典：警察実務宝鑑）クリ　　巡査。警察官クリキン　　巡査部長。警部。警部補グル　　帯。共謀者グル　　仲間、共犯。仲間をグルという、「くるわ」から転化した言葉。（出典：警察社会常識辞典）クルマオシ　　荷車のあとを尾けて荷を盗む賊、源氏追い、蜂追い、車廻しなどというクルミ　　手提鞄グレ　　不良青少年少女。愚連隊与太者グレ　　無頼漢。常軌を逸することをグレると云う俗語である。（出典：警察社会常識辞典）グレル　　発見される。発覚クロ　　銅貨クロジニカヘス　　殺傷するクロンボ　　強盗クワ　　錠前
ケの部
ケ　　被害者ケアゲ　　鴨を物色する意で目的の被害者を求めることケイズカイ　　故買者ケイスケ　　警部ゲイスケ　　被害者ケイチャン　　時計。懐中時計、単にチャンともいうケガレ　　一般警察官ケコミ　　強盗ゲジ　　鋸。刑事ゲジハク　　指輪の裏に仕掛けた掏摸用小形の刄物ケショウシ　　婦女誘拐専門犯人ケス　　殺傷ゲス　　味噌ゲスイネズミ　　便所の汲取口から入る強盗ケズル　　酒を飲むゲソ　　足。誓い。下駄ゲソ　　履物。（出典：警察実務宝鑑）ゲソヒキ　　履物専門の賊ゲツショ　　朝ケツスル　　尾行するケツネライ　　空巣ケバ　　太陽ケマツリ　　淫事に惑溺することをいうケル　　歩く。逃るケレンシ　　騙取専門の賊ゲロ　　自白ゲン　　女子の局部。言語。盛装婦人ゲン　　婦人　（出典：警察社会常識辞典）ゲンキョ　　嘘言。詐欺師。欺話師ゲンキョウ　　芸人ゲンコ　　数量五ゲンサン　　婦女誘拐専門犯人ケンシ　　旅商人に化けて窃盗詐欺などを働く渡り者ゲンシ　　現金専門の賊ゲンジシ（源氏師）　　路上にて荷車の積荷を専門とする窃盗。源氏車の車を略したる語　（出典：警察社会常識辞典）ゲンジシ（源氏師）　　路傍に停めたる又は行進中の荷車より物品を抜取る窃盗。（出典：警察実務宝鑑）ケンジル　　見る。悟る。察するケンスル　　秘密を守って自白しないゲンゾ　　男子陰部ケンタ　　山窩ケンタ　　仲間　（出典：警察社会常識辞典）ゲンノマヘ　　女帯。女帯の間を狙う掏摸ケンピ　　密告者ゲンブクロ　　足袋
コの部
ゴイ　　行く。帰る。逃亡ゴイサギ　　判検事コウ　　銀行コウヒン　　上品コウモリ　　弁護士ゴカ　　喧嘩　（出典：警察社会常識辞典）コガケ　　足袋。靴下コカス　　蔵品を故買に資る。（出典：警察実務宝鑑）コクラ　　麥ゴケ　　売春婦コケル　　捕縛、收襤コゴト　　風ゴザイモノ　　田舎者コサクカセギ　　美人局コシキリ　　襦袢コシナス　　煙草入コシビラ　　襦袢コビラ　　同上コシマキ　　土蔵の下部周囲―土蔵の下部を破って侵入する賊をコシマキキリというゴス　　賭博未遂。博徒親分コダル　　百円コツ　　歯。骨子。仲間の廻し者ゴツウ　　五円紙幣コネル　　賭博開帳コマ　　小間物　（出典：警察社会常識辞典）コノシロ　　看守コハ　　箱。巡査派出所コハガラ　　空財布コハバ　　停車場コブシ　　数量五コブリ　　薄刃の小刀ゴボウ　　筆コボレ　　雨コマシ　　誘惑。偽瞞。弁護士コマチムスメ　　容易に忍込めない土蔵ゴミ　　玄関や台所に坐り込み強請的に物を売る事。踏ん込みの込み（ゴミ）の意か。（出典：警察社会常識辞典）コミシ　　教唆者。案内者ゴミシ　　いかさま物を売りつけて歩く行商人コミセ　　香具師の一部門、普通の露店商人をいうゴミトリ　　電車、バス、地下鉄等の昇降口で混雑にまぎれて稼ぐ掏摸、ゴミハコシ或はゴヤともいうゴヤスケ　　博徒親分ゴロ　　喧嘩（ゴロマクは喧嘩をする）コロオイ　　車押しに同じゴロク　　河原コロビ　　香具師の一部門、コミセをやる連中よりも慓敢である、実はコロビが真実の香具師とも云われているコロヤ　　人力車夫、源氏屋ともいうコロンボ　　骨子を使う詐欺賭博コンタンフクロ　　凶器入コンチュウ　　空巣狙いゴンパチ　　食客コンブ　　帯。羽織。外套類

	サ行

サの部
サイクイ　　臭いサイタオト　　剽盗サホシタ　　干物泥棒ザカ　　地名大阪サカベラ　　出刄包丁サガリ　　引窓サガリクモ　　天窓から忍込む窃盗サギ　　夏服巡査サキヤバイ　　要心わるいサタゾウ　　男子局部サクベイ　　刑事（山窩用語）サクラ　　客に化けた仲間の廻し者（香具師用語）　客の中に混る仲間。作楽即ち楽を作る者という意味であろうと云われている。（出典：警察社会常識辞典）サクリ　　鎖（サリクともいう）サゲ　　袖付衣類サゲバ　　故買品、賊品の運搬先サシ　　単独犯行。密告。賊品。被害者と相して居ることサシハバ　　堕胎施術者サス　　密告。指さすのさすの意。（出典：警察社会常識辞典）サダクロウ　　命。鉄砲サツ　　警察署　警察署の察のみを表したもの。（出典：警察社会常識辞典）サツパ　　数量九サトノハナヨメ　　田舍者（掏摸用語）サナダ　　数量六サブ　　露店、見世物等大勢の人の集る場所を稼場とする掏摸サミダレ　　霜ザラ　　銅貨。（出典：警察実務宝鑑）サル　　凶人ザルソバ　　売春婦サルマワシ　　看守サワシ（サワ師）　　詐欺師の一種、ペーパー師　数人共謀して料理屋等に連れ込み、賭博類似行為を為し結局相手を欺罔して金銭を騙取するもの（出典：警察社会常識辞典）サハリ　　明方サンショ　　山窩用具、畳針を曲げたような凶器サンショダマ　　忍込用鋸サンズン（三寸）　　香具師の一部門。殆どコミセと同じ　一般露店商人　（出典：警察社会常識辞典）サンタク　　沢山ザンブリ　　入浴サンブン　　紙幣を二枚に剥して反対に貼り合せたものペーパー師隠語サン　　看守サンマイメ　　天切窃盗の別名サンヤ　　忍込用合鍵サンヤフクロ　　強窃盗用凶器類を入れた袋
シの部
シホ　　星月夜シホマチ　　時間を待つシカ　　菓子シカオイ（鹿追）　　詐欺師の一種「ジンダイ」「タキ」などと称する共犯があって巧みに田舎者を欺いて金を騙取する一派　犯人（金満家を裝う）等は目切「かづは」があることを話し、先ずそこで彼がその方法に巧妙なることを示し、この方法によって一儲けせんと被害者を勧誘の上資金を出さしめ、第三者を物色してこれと目切「かづは」を行い初めは連戦連勝なれども、機を見て方法を反対に誤魔化して第三者の大勝に帰せしめるのであって、実ははこの第三者が真の共犯人なのである。而して初め被害者を誘引する者をアホリ又はダキと云い、金持に扮する者を「盡大」その仲介をするものを「忠兵衛」と称する。（出典：警察社会常識辞典）　（金森註：盡大（ジンダイ））シカオシ　　掏摸、ナラビと同じシキ　　住宅。隠れ家　敷は占むる所の意であり、これより出でし言葉。（出典：警察社会常識辞典）シキ　　犯人の居所。（出典：警察実務宝鑑）シキカン　　住宅に関係あること。カンは鑑でそのままにうつること。（出典：警察社会常識辞典）シクタ　　鞄。蔵品シケ　　不況。悪ジケイ　　刑事ジケン　　検事シケテル　　飯も食わず金もないこと。海がしけると漁師が衣食の資を得られぬところから来た言葉であろう。（出典：警察社会常識辞典）ジゴトシ　　詐欺師ジゴロ　　劇場寄席などを稼場にする賊シズカ　　数量五シタヌキ　　強窃盗用釘抜シタバ　　女房。内儀。女将。夫人シツ　　大窃盗シツビキ　　先端が曲折した針金、施錠箇所を探る道具シテン　　山窩が隠れている場所シテンヲクム　　樹間に蚊帳を吊ることをいう山窩用語）ジハン　　判事シブロク　　檻房。檻房の飯シマ　　縄張の土地。貸座敷シマダムスメ　　財物豊かな土蔵シヤ　　銀行。会社。団体。仲間シャカ　　手錠シャカハイッタ　　賭博勝負が終った（詐話師用語）シャク　　数量九シャクシ　　同六ジャクロ　　禿頭シャデン　　電車シャモ　　芸妓、被害者シャリ　　米。飯（シャリツグ、シャリケヅル、シャリホヤクは共に飯を食うの意）シャリ　御飯。「仏舎利（仏骨）米粒に似たり」ということが秘蔵記に書いてある。そこから出た言葉。（出典：警察社会常識辞典）シャリイレ　　口腔ジャリ（砂利）　　強盗。子供ジュウサンヤ　　小間店ジュウヒチムスメ　　豊富な土蔵ジュウツウ　　十円紙幤シュウト　　番犬ジュウノジ　　錠前シュウマイ　　婦女誘拐専門犯人ジュク　　地名東京新宿シュンカン　　無期懲役ション　　停車場ジラアケル　　他人の内幕をあばくことジライヤ　　鞄シラカワ　　熟睡　よく睡ることを白河夜舟という語があり「しらかわ」は感がないという意味、即ち睡ること。（出典：警察社会常識辞典）シラ夕キ　　豪雨シロタマ　　銀貨シロ　　銀貨。田中。コカイン（薬）。詐欺師　（金森註：基本的には「銀貨」と思われる）シロイ　　望み薄すいシロイ　　見込ないこと。（出典：警察実務宝鑑）シロク　　刑務所シロサギ（白鷺）　　夏服巡査　普通制服巡査はコツ。（出典：警察実務宝鑑）シロネズミ（白鼠）　　店員が店の品物を盗むこと。鼠は物を少しづつ引いて行くからである。（出典：警察社会常識辞典）シワ　　私。俺。我シワイ　　神社シン　　現金専門の賊シンヲキル　　あたまをはねるジンギ　　やくざ仲間対面の挨拶儀礼から始まり、意地張合。復讐。助合など義理ごとをいうジンキチ　　絹物類シンクロ　　饅頭シンゲン　　甲斐絹シンシロ　　牡丹餅シンセキ　　贋物の書画シンゾウ　　花嫁。嫁入前の娘シン夕　　通貨。箪笥ジンダイ（盡大）　　金持シンダムスメ　　貧弱な土蔵ジントウ　　西洋人シンドウ　　娘師の別名―窃盗ジンバイ　　比較的真面目な露店商人警察社会常識辞典では：　真面目なる露店商人
スの部
スウ　　住宅。隠れ家スイゲソ　　高下駄スイセン　　酒スイトリ（吸い取り）　　授受する。掏摸の共犯者　Aが掏り取った品物を速にBに渡して犯跡を晦すこと。（出典：警察社会常識辞典）スイバレ　　雨降りズイバン　　雨スイビラ　　手拭スイモノ　　骨子スカシ　　障子。合鍵ズカレル　　感付かれる。感付かれた（「ズキ」「ズク」「ズカレタ」等皆同じ）　（金森註：ヅカレルが正しいと思われる）スケマ　　下足専門の窃盗。スケマアゲともいうスコ　　懐中時計スゴキ　　忍込用鋸スズメ　　×姦。暴行スタン　　箪笥ズツクリ　　時計の環を外して時計だけ掏ることをいうズドン　　掏摸のうわまえをはねることをいうスブタ　　銅貨スベ　　不良少女。よからぬ女の意味、伊豆地方には色情深き女をスベタという。（出典：警察社会常識辞典）ズベ　　不良少女スベリ　　弁護士スバウ　　坊主ズミ　　川。池。沼ズラ　　逃走ズラカル　　逃走　（警察実務宝鑑にも掲出）ズラス　　逃がすスルメ　　忍込用鋸スリバチ　　饅頭笠スハリ　　ペーパー詐欺の親分ズンブリ　　風呂
セの部
セガイ　　困難セキショ　　警察署セキヤ　　掏摸セケンシ（世間師）　　山窩（箕や笊を作りつつ時に窃盗等をなし永く一定地に定住せず彼処此処渡り行く賎民）。（出典：警察実務宝鑑）セト　　旅錠破壊セハリ　　錠前セブリ　　山窩の住居。（出典：警察実務宝鑑）セブリアガリ　　眼醒セブル　　寝る。山窩の天幕張宿所セミ　　貧民窟。裹山路。錠前破壊セメ　　金庫セラシ　　衣類。釘抜センズリ　　蝋躅センボン　　焼切強盗
ソの部
ゾウ　　蔵品ソウタン　　合鍵ソウメン　　捕縄ソウメンクッタ　　捕縄されたゾウモツ　　着物ゾウロク　　男の被害者ソツペイ　　刑事ソデ　　私服巡査。刑事ソデカイ（袖買い）　　二重廻しや袖を利用して掏る　例えば右手を懐中を経て左の袖口より出し左側に座せる人の財貨を拉めとる掏摸「買いは換いならん」（出典：警察社会常識辞典）ソトパア（外パア）　　外ポケット　（出典：警察社会常識辞典）ソトモ　　外のところ。被害者の足を踏み或は女の臀部を突き、吃驚して振向く途端に、仲間が前から掏る方方法ゾメウチ　　大道でやる賭博ソヤ　　お天気師の見張役、ウハに同じソライチウチ　　空巣狙いソリ　　剃刀。掏摸用小形刄物ソロ　　忍込用鋸。

	タ行

タの部
ダイ　　懐中物。材料タイイン（退院）　　釈放タイイン（退院）　　出獄。刑務所を病院と云うところから出た言葉。（出典：警察社会常識辞典）ダイキョウ　　兄弟分ダイサキ　　被害者ダイノモノ　　財布紙入類ダイマキニアウ　　現行犯で捕ったダイモン　　蔵品ダイヤ　　腕っぷしの強い男タヲ　　馬鹿。ヲタフクのヲタの逆か。（出典：警察社会常識辞典）タカ　　宵口の空巣タカイ（高い）　　掏り難い。容易に手がとどかぬという意味であろう。（出典：警察社会常識辞典）タカダイ　　家根や壁を切り破って忍び込む賊タカバ（高場）　　二階　高場で高い場所という意味。（出典：警察社会常識辞典）タカマチ　　市。祭。共進会等の人出タカリ　　恐喝して金銭を強請することダキ　　抱き込むという意、（お天気師の項参照）（出典：警察社会常識辞典）ダキコミ　　美人局タキダシ　　袂やポケットへ煙草の吹殼を入れて、着衣がこげて狼狽する隙に掏りを働くことをいう夕ケグシ　　掏摸用小形の鋏タゲダシ　　持逃窃盗タコ　　僧侶ダコ　　山窩タコビラ　　獄衣ダス　　掏摸常習者タタキ（叩キ）　　強盗　（警察実務宝鑑にも掲出）　戸を叩いて家人を起し鍵をはずさして押し入ったところから出た言葉であろう。（出典：警察社会常識辞典）タタク　　強窃盗を働くことをいうタタマグレ　　星タタム　　殺傷するタチ　　魚ダチ　　仲間。友達ダチアキ　　二人共謀の空巣ダテ　　芥箱師タテマヘ　　服装タナシ　　万引タナスリ　　同上タマリ　　品置場タメ　　数量四タメジュウ　　四十。四十円タメビャク　　四百。四百円ダルマ　　殺傷。売春婦ダルマハズシ（達磨外し）　　着ている羽織を掏る　混雑中懐中手をしている者よりその羽織を盗むもの懷中手をして居れば手無しの逹摩のようだから。（出典：警察社会常識辞典）タレコム　　訴えるタレスケ　　被害者タロウ（太郎）　　被害者。客。田舎者夕ンカ（啖呵）　　口上。凄文句タンカツケル（タンカ付ケル）　　説明する。タンカは啖呵で、論駁する意。（出典：警察社会常識辞典）ダンゴ　　密淫売タント　　刑事ダンビラ　　刀。平広（タイラヒロ）の転訛、即ち大きな巾広の刀。（出典：警察社会常識辞典）
チの部
チーハ　　支那渡来の賭博。一場に会せずして開帳が出来る特種なものチイツバ　　賭博の一種チカ　　数量三チガイ　　行き違いに掏る稼人の称呼　被害者と行違いの瞬間に財物を掏り取るもの　（出典：警察社会常識辞典）チギ　　数量十チギチョウ　　数量十五。十五円チギヤリ　　同上十一。十一円チギリョウ　　同十円ヂゴク　　私娼。監獄。チツクリ　　密告チバシ（チバ師）　　のれん師に類似するもの。二人以上の共犯が必要なる点に於て「のれん」師と異なる。例えば、新店に立寄り、顧客の如き風をして一定の商票の品物を買い度しと云い、店主より生憎樣と云わるるや他店を問合せたるも絶無なる由を語りて失望の色を示し、然る後二三日を過ぎてその商票ある品物に高価た売りつけて代金を騙取するものを云う。（出典：警察社会常識辞典）チーハー　　賭博の一種。親元、運送。買手とあり、親元は三十六罫、（一罫に各別の一熟語を印刷してあるもの）中の一熟語を隠し買手が之を当てんとして賭金するのである。若し当った場合は賭金の三十倍を買手に割戻す。運送とは買手のところに行って賭金せしめる。それには三十六種の熟語を印刷したる紙片を持ち、賭金者はその印刷物に自己の当てんとする熟語の下に自己の名と賭金高を書く。運送は時間を定めてこれを親元に持参し多くの運送が、立会の上親元の隠したる熟語を開いて当りを定める。運送は自己の運送せる者が当れば賭金の三倍を手数料として取る。（出典：警察社会常識辞典）ヂビキ　　犯罪幇助者チボ　　掏摸。関西の方言。（警察社会常識辞典にも掲出）チマ　　仲間ヂメ　　捕縄チャカ　　刄物。襦袢チャキ　　掏摸。鋏チャギル　　淫事を為す。チャツツキ　　交× チャブ　　密淫売チャブル　　現行捕縛チャラフク　　女と関係を結ぶチャラン　　帯類チャリスル　　捨てる（チャブル。チャリフルとも云う）チャン　　時計チャンチキ　　サンヤフクロと同じチュウ　　住宅チュウペイ　　詐話師の共犯のサクラチャウ　　客チャウチン　　腹。犯罪発覚チャウチンハリカヘ　　食事チャウマツ　　田舎者。被害者チャウロク　　土蔵チャウロクシ　　娘師チョボー　　骨子賭博の一種類チョンペイ　　酒チラス　　売チリ　　縮緬チリベラ　　足袋チン　　手錠。田舎チンタケイ　　蔵品転売チンコロ　　密告者チンコロ　　娼妓　（出典：警察社会常識辞典）チンスケ　　百姓女チンスケリ　　人妻チンツウ　　十円チンペラ　　不良少年。子供。子供の掏摸―チンピラともいうチンマイ　　娘。田舎女。女の被害者。鍵チンレツシ　　店頭陳列棚の硝子を破壊し商品を窃取する専門泥棒
ツの部
ズ　　系図買　（金森註：原典の表記は「ヅ」）ツウ　　強盗ツウヲスル　　通知ツウタノクスメ　　豊富な蔵ツヘヲモテ　　用心しろツカミ　　掻払いヅカレル　　発覚。感付かれるの意である。（出典：警察社会常識辞典）ツキ　　？。通貨。香具師の一部門ツキヅラ　　食い逃げツグ　　食う。飲むツゲキ　　贋造通貨ツケサキ　　仲間に「カモ」を売り渡すツケメトル　　強盗の現場で強姦するツヂ　　非常線ツタイ　　家根伝い窃盗ツツモタセ　　合意の上妻の貞操を餌に脅迫金品を強請することをいうツッコム　　強姦。読んで字の如し。（出典：警察社会常識辞典）ツナギ　　電話ツナギバ　　刑務所内囚人面会所ツノ　　牛。牛肉ツバメガヘシ　　人を突き倒し其の刹那に掏るツブ　　骨子ツマコカシ　　×姦ズヤ　　系図買　（金森註：原典の表記は「ヅヤ」）ズヤ　　故買者　（出典：警察社会常識辞典）　（金森註：原典の表記は「ヅヤ」）ツリアゲ　　忍込用具ツリコミ　　強×
テの部
テカ　　ごむ風船、チカとも云うデカ　　刑事。刑事巡査　（警察社会常識辞典と警察実務宝鑑にも掲出）テガカリ　　数量五テガマワル（手がまわる）　　手配がつくこと。（出典：警察実務宝鑑）デカサ　　共犯の偽刑事が現われて被害者を追払う手段テキヤ（的屋）　　香具師　露天商人のこと　（出典：警察社会常識辞典）テコ　　箸テツカリ　　電気。金物。火事場泥棒デッチ　　殴打　（出典：警察社会常識辞典）デッチル　　殴るテッボウジケンシ（鉄砲事件師）　　官職を詐称する詐欺漢　犯人共謀し、二人（AB）は蔵物売買、一人（C）は刑事巡査を裝い、金品を騙取するのである。例えばAが日頃欲心深き商人を物色し之と近づき、蔵物買いの利を説いて私欲を駆り、之を案内してB宅に至り仮装蔵品を売りつけ、商人が包を持って持参帰宅する途中にてCが刑事を装ってその包を盗品の疑ありと称して巧みに巻き上げるのである。（出典：警察社会常識辞典）テナガ　　忍込用鋸テブ　　五十銭、テブカンとも云うデボ　　僧侶。教誨師テラ　　賭場で胴元の集める賦金、純金テラシ　　月。照明道具。金側時計テラス（照らす）　　放火　（出典：警察社会常識辞典）テラヲカケル　　施錠を焼切るテラツケ　　燐寸テン　　好況。窓テン　　上等。天の意で高いとか上等とか云う意である。（出典：警察社会常識辞典）テンヲウツ　　万引が盗品を股間に忍ばせることをいうテンガイ　　笠。傘アンガイビキ（天蓋引）　　干物専門泥棒、テンジンともいうアンガイビキ（天蓋引）　　窃盗。天蓋窓の紐を引いてここから入るという意味か。　（出典：警察社会常識辞典）テンジン　　詐欺共犯の偽刑事。贋造紙幣行使者。二十五銭。骨子の目の五テンヤ　　蔵品処分
トの部
ド　　故買者ドウカイ　　街道トウハチ　　娘師トウフ　　偽造紙幣束トウコウリ　　婦女誘拐犯人トウベイ　　掏摸常習者ドウミヤク　　贋造通貨トウロク　　百姓男ドウロク　　主人。被害者トロクバラス　　小便するドサ　　捕縛手入トシ　　系図買ドシ　　強盗トシヤ　　銀行ドシャナガシ　　お天気師ドス　　短刀。匕首ドゾウ　　処女ドタ　　刄物。凶器ドタロウ　　田舎者トチョウ　　忍込用小形刄物トチカン（土地鑑）　　場所に関係あること　（出典：警察社会常識辞典）トツシ　　故買者トッポイ　　強い。鋭い。良いトハ　　掩護物。客に化けた仲間の廻し者トバ　　着物。住宅トバメ　　犯行準備トバシ　　夜間稼ぎ。障壁越えて忍込トヒ　　故買者。人トブ　　逃走。（出典：警察実務宝鑑）ドブヲアケル　　隠匿した盗品を取出すドベアゲ　　隠匿蔵品を運搬するトマ　　衣類ドマ　　窓ドメル　　殺害。蔵品を地中に匿すドヤ　　旅館ドヤ　　簡易旅館。宿（ヤド）の逆語。（出典：警察社会常識辞典）ドヤ　　木賃宿のこと。または凡て宿屋。（出典：警察実務宝鑑）ドヤツキ　　宿泊、ドヤルともいうドレアイ　　野合。姦通。私淫トロ　　脂肪。蝋燭。淫水。看守トロビ　　效能書を誇大に宣伝して販売する商人。（出典：警察社会常識辞典）卜ロボウ　　男子局部ドロム　　忍び込むドンガラ　　水事場。精米所トントン　　強盗。要領（但し後者はトンスケ又はスケトンなどとも云う）　戸をトントンと叩き起したところから出た言葉　（出典：警察社会常識辞典）トンビ　　乾物の油断を掻う窃盗。（出典：警察実務宝鑑）トンボオイ　　車押しと同じ、源氏追いと同じ

	ナ行

ナの部
ナオ　　女―ナオン、ナゴ、ナゴン、ナオスケ、ナゴスケなどと云うナオコマシ　　女を誘惑する。女を口説く。女をだますナガ　　長持ナカイ　　田舎者ナカウド　　蔵品隠匿者ナカシ　　田舎廻掏摸ナガシ　　街頭の掏摸ナガシクム　　旅行ナカス　　×姦ナカツギ　　昼夜ナガバコ（長箱）　　汽車。電車ナガバコシ（長箱師）　　汽車中を専門にする掏摸　（出典：警察社会常識辞典）ナガバコシ（長箱師）　　汽車専門の掏摸。（出典：警察実務宝鑑）ナゲシ　　帯―ナゲともいう　（警察実務宝鑑にも掲出）ナゲス　　賭博ナシ　　品物。髪飾専門の掏摸ナシ　　品物又は蔵品。品（シナ）の逆語。（出典：警察社会常識辞典）ナシヲウツ　　耳打ちナスモドシ　　茄子環を外し時計を掏るナデシ　　山窩ナホ　　婦人　（出典：警察社会常識辞典）ナマ　　現金。通貨（ナマイレは財布、ナマバコは金庫銭箱、ナマシは現金専門の賊）　ナマは生で、本物という意味。（出典：警察社会常識辞典）ナマシ（ナマ師）　　現金専門の賊　（出典：警察社会常識辞典）ナマバ（ナマ場）　　金庫　（出典：警察社会常識辞典）ナラビ　　並行の刹那に掏る一派ナリ　　雷ナシハ　　離ればなれナンキンムシ　　刑事又は巡査ナンザン　　困難
ニの部
ニイヤン　　過去の犯罪が発覚したことニギリ　　映画館又は人混みで女の手を握ることをいうニギリカッパ　　碁賭博ニザエモン　　万引或は窃盗の見張人ニシマル　　強盗前科者ニチ　　日中空巣狙いニッサン　　太陽。月ニッシン　　雷ニブ　　五十銭。一円の二分の一　（出典：警察社会常識辞典）ニホイ　　掏摸ニ一ヤン　　家根伝窃盗ニン　　客。ジンとも云うニンキャク　　客人。ジンキャクも同じニントニグレル　　途中で共犯に別れるニンヤク　　役人
ヌの部
ヌイビラ　　手拭ヌカジカ　　銭の表裏で勝負する賭博ヌケ　　抜取り。共筋の眼を掠めるヌク　　袷。綿入ヌレ　　濡れごと。淫事。強×
ネの部
ネカス　　貿に入れるネカツク　　叱言。拘留。失敗ネカル　　捕縛ネキ　　飴ネコ　　刑事。芸妓。戸締りの桟を外す道具ネコイリ　　窓ネコノメ　　銀貨ネシン　　強盗暴行ネズミ　　合鍵。行衞をくらますネズミトリ　　日中空巣ネズミヒキ　　掏摸仲間の合図、啼声を模し、ネズミヲカケルとも云うネタ　　品物。材料。食事ネタ　　道具。種（タネ）の逆語。（出典：警察社会常識辞典）ネ夕ル　　犯行を否認することネバヲツカウ　　混雑の際に稼ぐ掏摸ネムス　　殺害。ネムラスも同じネムラス（眠らす）　　殺す　（出典：警察社会常識辞典）ネムリ　　殺人犯。（出典：警察実務宝鑑）
ノの部
ノオロク　　弁護士ノコ　　鋸ノコリヤ　　抜取犯の故買者ノシ　　出張すること。（出典：警察社会常識辞典）ノス　　殴り倒すノス　　殴打、打ちのばすの意味。（出典：警察社会常識辞典）ノゾウシ　　剽盗ノゾキ　　窓ノゾキン　　失踪ノダイシ　　窃盗ノビ　　忍込強窃盗。放火ノビ　　窃盗。忍び込む意であろう。（出典：警察社会常識辞典）ノビ　　（又は）ノビコミ。戸内に忍込み窃盗。（出典：警察実務宝鑑）ノビル　　逃亡。死。起き上れなくなるノミシ　　深夜戸締りを破って入る窃盗ノリキン　　旅費。ノリヒンとも云うノリコミ　　箱師呼称ノリダシ　　船舶及び積荷の窃盗ノッポ　　傘ノレンシ（のれん師）　　信用ある商品の贋物を造ってうり歩く詐欺漢ノレンシ（のれん師）　　行商詐欺の常習者を云う。ある品物を大店の整理品などと称して実は無価値なものを売りつけ、或は表面には良品を置き内面には無価値なるものを置いて不正の利得を得るのであるが、これは広義の御天気師に属すべきものである。（出典：警察社会常識辞典）

	ハ行

ハの部
バア　　厚司の衣嚢。洋服の衣嚢。印章。通貨パア　　洋服のポケット　（出典：警察社会常識辞典）バーチャン　　縮緬バイ　　商売。自白バイ　　商売。商売の売である。　（出典：警察社会常識辞典）パイ　　密偵。通貨単位円バイサイ　　青菜。裁判。後者はバイサンともいうバイショウ　　商売バイスケ　　密淫売ハイダシ　　金銭強要バイハル　　胡麻化すハイリョウ　　一回ハイリョテブ　　一円五十銭。ハイテブともいうハカ　　警察署。峠バカキリ　　錠前外し器バカシ　　偽造貨使用バカン　　鞄ハキ　　植木ハク　　忍込用錐バク　　喫飯ハクイ　　善。良。美。好況ハクイ　　綺麗なこと。白衣より出た言葉であろう。昔は月夜白衣などと尊重されたものである。（出典：警察社会常識辞典）ハクスヰ　　雪ハクスヰバレ　　雪降りバクル　　捕縛。ホバクサレルのバクルであろう。（出典：警察社会常識辞典）ハコ　　巡査派出所。停車場。箪笥。差入弁当―コハともいうハコヲツカウ　　汽車や電車其他の乗物で逃走することを云うハコシ（箱師）　　稼人すべて陸上乗物を利用する者全部ハコシ（箱師）　　汽車電車等にて稼ぐ窃盗（掏摸）。（出典：警察実務宝鑑）ハジキ　　拳銃。鉄砲。掏摸。掻浚いバシタ　　女房。妻等バタ　　乞食。ルンペン。煙草入ハダビラ　　襦袢ハチ　　一般警察官ハチノス　　窓。窓から忍込む窃盗。園遊会場などの掏摸パチモノ　　時計。指輪。金細工品贋物パチンコ　　拳銃ハッタリ　　威嚇ハッチャウ　一円　（出典：警察社会常識辞典）ハツムシ　　初犯者ハナ　　錠前ハナオ　　若い女ハナコカシ　　錠前の破壊。ハナカブセにも同じハネ　　羽織外套類バネ　　鋏バハ　　劇場、寄席、映画館等興業場ハビラ　　紙幣ハブ　　掏摸或は詐欺師に狙われる人物ハボク　　植木ハマ　　燐寸。地名横浜ハメ　　指輪ハヤ　　ポケットハヤテ　　刑事ハヤブサ　　刑事バラ　　銅貨バラケツ　　不良少年少女バラス　　処分。殺傷ハラミ　　豊富な土蔵。ハラミ娘も同じパラレル　　引致。捕縛ハリカヘ　　食事バレル　　傷つく。発覚する。破れるバンカ　　鞄バンケ　　女白浪バンケイ　　窃盗バンコ　　巡査派出所　（警察実務宝鑑にも掲出）
ヒの部
ピカ　　数量一。綿衣類ヒク　　飮む。食うヒカバラシ　　強窃盗犯人が忍込み前に脱糞することをいうビカバラス　　厠にゆくヒカワイ　　貧乏人ヒキ　　錠前を外す道具。合鍵。共謀ピキ　　万引。反物ヒコ　　忍込用鋸ヒコバラス　　衣類を切って懐中物を奪う。背負っている荷物を抜き奪るビタ　　旅。銅貨ヒダリソデ　　初犯。共犯の年少者ヒツジ　　紙幣。紙ヒツジカイ　　詐話師ヒネ　　強盗。巡査ヒネモー　　蔵品。ヒネリ　　掏摸の一種ヒモ　　情夫。共犯ヒャクゴウ　　合百賭博ビョウイン（病院）　　警察の留置楊。（出典：警察実務宝鑑）ビラ　　着物。紙幣ヒラバ　　縁日などに対し普通の夜店市をいう。ヒラビも同じヒラバシ　　縁日夜店専門の掏摸ビリ　　娼妓。芸妓。ビリナゴも同じビリヲカケル　　強姦ビリゴケ　　淫奔女ビリツリ　　遊女買ビリヤ　　遊郭。曖昧茶屋ヒル　　共犯‘ ヒルテン　　白昼の掻浚い。ヒルトンビ、ヒルワ、ヒルマイも同じヒロバシ　　市街雑鬧場所を稼場とする掏摸ヒロメ　　新聞屋ヒン　　現金ピン　　合鍵ヒンガマリ　　金持。懐中の暖かな人物ヒンタヤ　　貧乏人ヒンタ　　現金ビンツキ　　注意人物ヒンネカ　　貧乏人。金が無いヒンバッタリ　　金で見得を張る
フの部
ブ　　賭博。故買者ブイ　　共犯フイゴムケル　　姦通フカス　　蔵品処分フキヨセ　　集合フクロ　　隠家。故買者。足袋フクロアライ　　山窩の酒盛フケシ　　深夜の強窃盗。フケともいうブケ　　警部ブケイ　　前に同じブケホ　　警部補フケル　　逃亡フシ　　窃盗ブシャウ　　賭博フタヘビラ　　袷ブタバコ　　留置場、檻房フダバ　　停車場ブツ　　蔵品。品物ブツ　　賭搏のこと。（出典：警察実務宝鑑）フタ　　数量八フハモノ　　絹の衣類フミツケル　　犯行着手フリ　　数量二。フリカは二十銭又二十。フリビャクは二百又は二百円。ブリ　　庖丁。忍込用刄物フミ　　土蔵ブンブン　　文士
ヘの部
ペーシャン　　巡査ペートバ　　巡査派出所。刑事。巡査ペーパー　　紙幣ペーパーサギ（ペーパー詐欺）　　贋幤詐欺、贋幤製造に一口のらせ中間に引入れ等して其者より詐欺する犯罪。（出典：警察実務宝鑑）ペーパーシ（ペーパー師）　　詐欺師の一種ペカ　　制服巡査ベカツク　　壁を破るペカナデ　　腰板壁等を破って入る窃盗ヘガバラス　　大便するペカフダ　　詐欺用骨牌ヘカワ　　厠ヘダ　　交× ベケ　　娼妓ベケ　　外国人ベコ　　地名神戸。牛肉ペシャル　　饒舌ペテン　　頭。帽子。胡麻化す。副食物ベニヲツケル　　放火ベラ　　衣類全般。箪笥ペラ　　凶行用刄物ぺンケイ　　×姦
ホの部
ホウカムリ　　強姦ボー　　凶行用刃物ボーロク　　山小屋。住家ボク　　煙草。甘薯ボクワル　　自白ボケナス　　智慧なしホシヲツケル　　物色ボウシャ　　駄目。帽子ホソ　　捕縄。巡査　（金森註：基本的には「捕縄」）ホソノタラップ　　忍込用縄梯子ボタ　　袂を狙う掏摸。ボタハタキに同じ、初歩の掏摸ボタハタキ　　縁日等で袂を探る掏摸の窃盗。（出典：警察実務宝鑑）ボツ　　袂。珍客ボタン　　博徒親分。綿入。餅。青菜ボチ　　袖其他の掩護で掏ることをいう。ボチカケも同じホトケ　　詐欺賭博の目的人物。弁護士ホヤク　　食事。愚痴ポリ　　巡査ボンシャ　　硝子窓破り窃盗ホロオイ　　列車内で目星をつけた被害者を尾行して下車の際。荷物を窃取する賊ボンビキ　　悪周旋人。詐話師

	マ行

マの部
マイス　　鍵マイチン　　女マイトバシ　　Ｘ接マイマ　　合鍵マイリ　　婦女誘拐犯マカ　　釜マカル　　来るマキガミ　　鰹節マキドウ　　胴巷マキニアワセル　　強盗が家人を縛ることをいうマキモヤ　　巻煙草マキラン　　帯マギレ　　事件。事変マクカセギ　　干物専門泥棒マク　　掩護作用。マクキキも同じマクコ　　奥さんと嬰児を背負った女中を裝う二人組万引マクノウチ　　握り飯。仮寝マクリ　　板間稼ぎマクル　　車マグレ　　夕景の空巣マタギ　　簪。マタゲも同じマチ　　寝静まるのを待ち忍込泥棒マチヲキル　　密告マツサン　　掏摸マツポウ　　巡査マツバ　　非常警戒マツバモノ　　夫婦。共犯マナ　　現金マナイタ　　板間稼ぎマブ　　真実ママコ　　倉庫。納屋マムシ　　捕縄。予審。火縄懐炉灰マムシハワス　　放火マメイリ　　×姦マメツ　　山窩マモノ　　現金マルセーユ　　横浜本牧のチャブ屋（与太者用語）マルマゲ　　忍込易い家又は土蔵マワリヲウツ　　輪× マンジュウ　　時計　（警察実務宝鑑にも掲出）
ミの部
ミカヅキ　　櫛。戸前を破る巡査ミギソデ　　仲間の年長者ミズ　　数量六。ミズカンは六十銭。六十円はミズ十杯。ミズヒャクは六百。ミズヒャッパイは六百円。ミズチョー六銭ミズアゲ　　土蔵を破るということミマ　　博徒親分ミミ　　土蔵の窓ミヤドリ　　神官
ムの部
ムカデ　　列車。鋸ムクイレ　　煙草入ムクドリ　　被害者。瞞し易い人物ムコイリ　　土蔵破りムサ　　寒いムサボラシ　　横恋慕ムシ　　刑務所。留置場（刑務所は正しくはホンムシという）ムサレル　　拘留。留置ムスコ　　男子局部ムスメ（娘）　　土蔵。女子局部。美少年の新入檻　（金森註：基本的には「土蔵」と思われる）ムスメアラシ　　土蔵破りムスメクドク　　同前ムスメカタイ　　土蔵の破り損ね。警戒嚴重な土蔵ムスメシ（娘師）　　土蔵破り専門の賊（出典：警察実務宝鑑）ムスメセブル　　土蔵破りムネタウ　　腹掛ムネバラシ　　腹掛を切り破る掏摸
メの部
メ　　密告者メガアル　　見覚えがあるメザシ　　春メジロ　　青菜メダマ　　葱メタル　　五銭白銅メツコケ　　掏摸が目星の人物を尾行することをいうメツタ　　数量四メトウ　　外国婦人メヌキ　　強盗強姦メノコ　　忍込用鋸メン　　顔メンクヤ　　醜婦。醜貎メングレ　　顔が売れている。面識があるメンチ　　縮緬。女衣裳専門の賊メンツウ　　面識メンハクイ　　美人
モの部
モウジャ　　犠牲者。衰弱者モーション　　合図。誘惑モカ　　掏浪モク　　煙草モクジモノ　　不正品モクスケ　　煙草。柔和な官吏モクチン　　木賃宿モグラ　　床下などから忍込む泥棒、穴師モサ　　腹。度胸。掏摸モサ　　すりの総称。（出典：警察実務宝鑑）モサガスリ　　孕み女。金を持ってる者モサコケ　　空腹モヂリ　　合鍵モ夕　　掏摸モチ　　被害者。共犯者。乾分モナカ　　懐中時計モノシナ　　品物モミシ　　道路詐欺賭博師モモ　　ダイナマイトモヤ　　煙草モヤヒク　　喫煙モリコ　　洋傘モロ　　一緒モロイ　　楽な仕事。利益の多いことモンク　　反物モン夕ン　　同上。又モノタンとも云う

	ヤ行

ヤの部
ヤ　　短刀。匕首ヤキヤ　　掏摸ヤク　　悪い。厄。不況。掏摸用小刀ヤクシャ　　変装ヤケン　　山窩。火事場泥棒ヤサ　　家。隠家ヤーサン　　香具師ヤシ　　露店商人の一種、香具師と書き数百年の伝統を持つ義理事師。称呼多しヤジ　　親父。老人ヤス　　詐欺賭博常習者。忍込用器ヤチ　　女子局部ヤチカクシ　　腰巻―ヤチスキ、ヤチビラ、ウチベラ等同意ヤチグレ　　淫事に耽るヤチゼメ　　暴行―ヤチツグ、ヤチツクも同じヤチツク　　美人局ヤチバイ　　娼妓。売春婦ヤチバレ　　月経ヤチバラシ　　遊女買いヤト　　掏摸用小刀ヤネイタ　　骨牌ヤネタ　　香具師の商品ヤバ　　巡査ヤバイ　　危ないヤハ夕　　娼妓ヤプシキ　　山窩仮小屋ヤマ　　目的場所ヤスチャン　　被害者ヤユウ　　夜間の掏摸ヤリ　　数量一。ヤリチョウ一銭。ヤリカン十銭、ヤリテブ十五銭ヤワイ　　危ないヤエンボ　　密告者。刑事。巡査ヤンヂ　　親爺ヤンバ　　婆々ヤンツカイ　　故買者
ユの部
ユウアキ　　夕食後の不在を狙う空巣ユウチカ　　夕方散歩者を狙う掏摸ユウレイ　　弁護士ユウレン　　恋慕ユミヤ　　仲が悪い。怨みユンダ　　煙草
ヨの部
ヨ　　数量三ヨイアキ　　ユウアキに同じ。ヨイゾロとも云うヨイタメ　　強盗殺人犯人ヨイチ　　財布ヨイドロン　　タ方から忍込んで家人の熟睡を待って仕ごとをする窃盗ヨイノゾキ　　ヨイマツリと共にユウアキに同じヨウゲソ　　靴ヨウキス　　洋酒ヨウシャク　　洋食ヨウラン　　洋服ヨコボク　　歯ブラシヨゴロウ　　番犬ヨシコ　　男子局部ヨシコビラ　　褌。ヨシコベラともいうヨシベイ　　詐欺師ヨスジ　　警部以上の警察官ヨスミ　　風呂敷ヨセバ　　刑務所。ナカとも称す。（出典：警察実務宝鑑）ヨタモノ　　不良青少年。ヨタモンともいうヨツ　　風呂敷。ヨツデともいうヨツシ　　猫泥棒ヨツニカマル　　×姦ヨナ　　夜ヨホウ　　布団ヨメ　　交接ヨリ　　晴天ヨリヒ　　同上

	ラ行

ラの部
ラキス　　母親ラクドウ　　道楽ラシヲキル　　白を切る、即ち白状せぬことをいうラフビラ　　腰巻ラムヤ　　田舎者を誘拐して金品を騙取する悪漢ラリ　　馬鹿者。白痴。ラリコともいうラリスケ　　女に甘い人物ラル　　惚れるラン　　着物。ランバリ、ランビラなどともいうランプ　　太腸。燈
リの部
リキ　　通貨リツ　　法律リツシ　　法律の書冊を売る香具師リヤク　　強請（暴力団用語）リヤンテス　　二日醉リュウ　　拘留リュウコ　　拘留リョウタル　　千円
ルの部
ルー　　通貨ルキス　　午後の空巣ルビツキ　　子持女ルヨ　　夜
レの部
レース　　僞筆書画類レカ　　警察署レツ　　友人。仲間。共犯レール　　汽車のこと。箱又は長箱とも称す。（出典：警察実務宝鑑）レンガ　　警視庁。（出典：警察実務宝鑑）レンコン　　鼻レンコンクッテル　　経験者。年長者レコ　　情婦。情人
ロの部
ローソク　　手淫。刑務所の飯ローバ　　隠れ家ロガワ　　便所ロク　　亭主。主人。骨子ロクジ　　寺院。仏堂。死亡ロクゾウ　　主人ロクドウ　　寺院。仏道。死亡ロクブ　　窃盗犯人ロクマ　　易者ロサホテル　　刑務所ロツ　　密告。通報。通知ロツテトホス　　知らせるロツカケ　　錠前破開ロツクリ　　錠前破開用凶器ロツブ　　蟇口。銭入懐中ロツブク　　懐中金。腹ロツブルキイテル　　懐中に金があるロツボ　　通貨

	ワ行

ワの部

ワ　　指輪

ワカガキ　　偽造書画

ワギ　　不良車夫

ワキスリ　　万引の共犯者が本犯から蔵品を受取って逃走することをいう

ワク　　騒がしい。暑い

ワタシバ　　警察署

ワタリ　　通貨。挨拶

ワタリヲツケル　　交誼を結ぶ

ワッパ　　指輪　（警察実務宝鑑にも掲出）

ワッハズス　　掏摸が時計の環を外して仕ごとをすることをいう

ワニ　　他人の女房

ワモノ　　着物

ワリゴト　　悪事。犯罪。不正事

ワリリョウ　　二円

ワル　　白状する。詫まる

ワルマチキル　　悪口する

ワレル　　秘密が露見したことをいう

（終り）

	書誌情報

暗黒街往来 : 隠語・符牒辞典タイトル：暗黒街往来 : 隠語・符牒辞典著者：和田信義著出版者：東亜書房出版年：昭和11年（1936年）警察社会常識辞典タイトル：警察社会常識辞典著者：石崎魁著出版者：万世社出版年：昭和11年（1936年）警察実務宝鑑タイトル：警察実務宝鑑著者：杉本清作著出版者：日本警察新聞社出版年：大正13年（1924年）

プライバシーポリシー

Copyright(C) 2002-2019 TermWorks All Rights Reserved.