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梅の栽培と加工

梅の栽培と加工

梅の栽培と加工(奈良県月瀬青年学校著)

梅の栽培と加工 奈良県月瀬青年学校著 昭和14

梅の栽培と加工』(奈良県月瀬青年学校著)の第四章「梅の加工法」をテキストにしました。

昭和14年の発行なので、内容は古いのですが、自家消費用の梅漬けや梅シロップをつくっていることもあり、何か参考になる事項はないか、ヒントを得るために作成しました。

梅を発酵させれば、そのまま「梅酒」になることをこれで知りました。

第四章 梅の加工法

  • 第一節 梅干
    • 第一項 白梅干
    • 第二項 赤梅干
    • 第三項 月瀬漬(甘露梅)
    • 第四項 紫蘇巻梅干
    • 第五項 その他
  • 第二節 梅ジャム
  • 第三節 梅のシロップ
  • 第四節 梅酒
  • 第五節 梅びしほ
  • 第六節 その他

読みやすくするために、適宜、新字体を使ったりしています。

(2015年6月 金森国臣)


第一節 梅干

第一項 白梅干

梅実は専ら加工用に供せられ、その酸味は該果の特徴として賞美せられている。

今日一般に広く利用されているのは、梅干であり、古来から衛生的食品として、上下の別なく重用されたものである。その方法に二種あって一は関東において行われる漬方で、他は関西において行われる漬方である。多少の相違はあるが大体相似たものではある。

 材料 梅実、食塩四割

 方法 用器として四斗樽又は瓶を用意し、梅実は大きさにより大、中、小に区別しておく。用器梅実何れもよく水洗し、梅実は笊に上げて水を切る。用器が乾燥したならば底に小量食塩を撒布し梅実を一粒づつきれいに並べ次に食塩を振り、又梅実を並べる、この作業を繰返してゆくのであるが、塩は下部よりも上部の方へ多くするように心掛ける。

こうして一−二日放置しておくと、梅酢が出てくるから、梅の三分の一位の重さの重石をして三週間位おく。

丁度土用の頃取出して笊に上げ梅酢を切った後、莚に一粒づつ拡げて陽光にあてて乾燥する。一日に二−三回反転して全体に陽光を受けるよう心掛け、三日程すれば目的の白梅干となるのである。この乾燥を普通土用干という。

これで白梅干として食用に供してもよく、貯蔵する場合には水気のない用器に詰めて蓋をしておけば永く貯蔵出来る。

第二項 赤梅干

 材料 梅実一斗、食塩三升、紫蘇葉四〇〇匁

 方法 梅実を水洗して清水に一昼夜浸しておく。後取出して笊に上げ水を切る。

次に白梅干と同様の作業をする。

一方紫蘇の葉を葉柄を除いて水洗し、塩でもんであくを出す。あくが出たならば一日位日光にあてて乾燥し、梅酢(梅実を漬けて出た汁)を三分の一取りこれに紫蘇をつけて、もみ出す。すると赤く染まるからこの梅酢を壜に入れて太陽にあてておくと、美麗な液となる。

塩漬した梅は土用干を行い、特に晴天の夜間に夜露にあてると良品が得られる。かくして一週間程すれば、再び梅酢に入れる。この時紫蘇の葉も共に漬け込み十日位おき、再び乾燥する。この場合二−三日でよい。次に本漬に移るのであるが、本漬は梅と紫蘇葉を交互に層をなすように詰め込み、前に取っておいた赤い梅酢を注入して中蓋をし更に本蓋をして、冷所に置く。

梅実選択上の注意 梅実は適熟のものを用いること、無傷のもの、黒星病のため斑点の生じたものは品質を損うものである。

果肉厚く核の小さいもの。酸味の強すぎぬもの等に留意して良い梅を選ぶことは製品の価値を向上する方途である。

第三項 月瀬漬(甘露梅)

大和月瀬の名産で、昭和七年陸軍特別大演習の時大阪行幸の御砌畏くもお買い上げの光栄に浴した誉の月瀬漬である。

 材科 青梅、食塩二割、黄ザラメ(又は白ザラメ)八割。紫蘇

梅実は城州白、吉郎兵衛等の大形種がよく、苦味が去り次第青い内に収穫して用いる。完熟して軟かくなったものは駄目である。

 方法 梅実を水洗し水を切る。鋭利な小刀で縱に切目を入れ、半月形に果肉を割る。出来た果肉を食塩と混合して用器に入れ、軽い重石をして一昼夜おく。そうすれば梅酢が出るからこれは紫蘇をつけるに用いる。

次に紫蘇は葉柄を切り取り、少量の梅酢の中につけて、軽く押石をしておく。二日目位経つと一枚づつ取出し塩漬した梅実一片を包む。次に黄ザラメ(又は白ザラメ)と交互に詰込み重石をしておく。かくすると秋頃になって食用とすることが出来る。

製品は肉がしまっており、歯切れよく、甘酸もその度を得て美味である。特に遠足用に万人向の漬物である。

第四項 紫蘇巻梅干

小田原地方の名産で、白梅干の梅を一つ一つ紫蘇葉にまいたものである。

 材料 梅実(適熟のもの)、紫蘇葉、食塩

 方法 梅実は白梅干の製法通りに処理する。紫蘇は、特に大形のものを選び水洗して、葉柄を切り去る。梅酢に一割五分の食塩を混じて、この液中に紫蘇葉を浸しよく浸み込ませる。次にこれを桶に移し、押石をして一週間−十日位漬ける。漬け終れば取出して、白梅干を一個づつ包む。

これを樽に詰め、五日位後に上位と下位を位置を変じておくと、美しい漬物が出来る。本製品は貯蔵はきかぬから早く食うがよい。

第五項 その他

その他梅干としては、花梅、紅梅、ドブ漬、甘露梅(月瀬漬に似て少し製法異るもの)等あるが花梅は、小梅による白梅干と考えて支陣なく。紅梅は同様赤梅干と思えばよい。ドブ漬は開西に多い漬物で、白梅干を土用干後、もとの梅酢内に漬け込み、上層に紫蘇葉をおいて貯蔵するものである。

大体梅干についてはこれ位にして次に移りたいと思う。


第二節 梅ジャム

 材料 完熟の梅、砂糖等量

 方法 完熟した梅を水洗して水を切り、桶に入れて熱湯を注ぎ約三十分放置すると果皮軟かくなる故直ちに潰し袋にて果肉を搾る。熱湯を注ぐ代りに梅実を蒸すならば一層好結果が得られる。

果肉を取れば次に砂糖を加へて煮熟する。その方法は二重鍋を用ひて攪拌しつつ文火で煮つつ約二割位減量したとき砂糖を入れ約三十分煮沸するのである。


第三節 梅のシロップ

夏季清涼飲料として梅シロップは衛生的であり、風味の点からも亦独特の嗜好をもたれている。

 材料 青梅一升、砂糖二斤

 方法 用器及び梅は水洗して水を切っておく。器の底へ砂糖二、三分敷いて梅一重に並べる。次に砂糖その次に梅と交互に重ねて層を作り蓋して一週間位おく。すると果汁侵出するから搾り取ってフランネルで濾過する。それでシロップは出来たわけだが発酵を防ぐため着色をして壜につめ、摂氏七十度で脱気、打栓して約三十分間煮沸殺菌すればよい。飲用する場合は水でうすめて用いれば美味である。

後の梅実はそのまま梅干の代用として食用することが出来る。

シロップ製造上の注意

一、梅実はやや未熟のものを用いる。

二、シロップはそのままでは発酵して炭酸ガスを生じ噴出することがあるから必ず加熱殺菌をすること。

三、果汁が浸出すれば直ちに製造すること、さもなければ香気を損ずる恐れがある。

四、酸味が強い時は飲用の際適宜砂糖を加えて用いること。

五、水で希める代りに、氷水或はサイダーを加用するならば誠にあなどり難いものがある。夏日の炎暑もこのために忘れ爽涼の気自らわくであろう。


第四節 梅酒

これに二種ある。一は果肉に砂糖を加え発酵させたもので、他は酒に果汁を浸出させて作ったものである。家庭用としては前者は醸造法に抵触する故その製法は記述せぬ事とし、後者即ち、果汁を酒に浸出させる方法を述べよう。

 材料 青梅 一升(一・八立)

 白砂糖 二〇〇匁(七五〇瓦)

 焼酎 五合(〇・九立)

 水 二合(〇・四立)

或は

 青梅 一升(一・八立)

 みりん 五合(〇・九立)

 焼酎 五合(〇・九立)

二者いづれでもよい。

 方法 調味料(焼酎、みりん、砂糖)等を適当に混合して味のよい混合酒を作り、その中へ青梅を漬込み約一ヶ月浸出してその液を飲用するのである。

清涼飲料として適宜薄めて飲用すればよく、薬用としても利用される。


第五節 梅びしほ

小田原地方の名産である。

材料 梅干

白砂糖 八割

食紅 若干

方法 梅干製造の際軟かくなったものや、皮の破損したもの等を集めて潰し、核を除去して布で瀘し出す。

次に砂糖を加えてすりまぜ、三十分間位煮て食紅を以って着色すると美麗なものが出来る。家庭用にはこれを壜に入れて貯蔵する。

販売用途ならばアンカーカップで密封して売るのである。


第六節 その他

その他梅の加工として青梅漬、粕漬等もあり、また薬用として古来梅は疫病の予防に利用せられている。

健胃剤−梅干の黒焼、紫蘇。

解熱剤−梅干を灼熱して熱湯を注ぐ。

または梅の酸はコレラ等の伝染病の予防に役立つものである。

咳薬−烏梅、梅干飴

腸チフスに特効ある梅肉エキス等々梅の利用は甚だ広い。

烏梅の製法−完熟した梅実を集めて、これに鍋炭をぬり、竹簀の上に拡げて、籾殻を燻べた上におき、一昼夜半程燻煙する、その後五日程日光にさらし十分乾燥する。

梅肉エキスの製法−未熟の青梅を山葵すりですりつぶし、果汁を搾取し、土鍋にてとろとろと煮たものを、水分を蒸発させる。

梅干飴の製法−梅干の核中の仁を取り出し、これを刻み十個に対し水一合の割合で鍋で煮る。この中へ砂糖少量を入れ文火で飴状になるまで煮つめる。

誠に美味しい薬で子供の百日咳に特効があるという。


註記など

衛生的食品 「健康食品」のような意味か

文火(ぶんか) 弱い火力

壜(びん)

適熟(てきじゅく) こういう言葉に出会うと、うれしくなる

ドブ漬 自分が造っているのは、この「ドブ漬」だと思っていたが、白梅干を土用干しする点で、どうも違うことがわかった。ドブ漬けだとしても、超簡易版ということになるが、自家消費用なので、まぁいいということにしておく。

煮熟(しゃじゅく) 煮ながら減量するという意味か

希める(うすめる)

爽涼(そうりょう) これもいい言葉だ

立(リットル)

瓦(グラム)


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