今年は新型コロナ感染により、2月下旬以降は予定されたコンサートが次々と中止されました。その後6月頃から少しずつコンサートが再開されたものの、制限された形での公演を余儀なくされました。 では、順にご紹介しましょう。
2020年2月2日(日)14:00 新潟市秋葉区文化会館 渋谷陽子さんをソリストに迎えてのサンサーンスのチェロ協奏曲は、上品さの中に情熱のほとばしりが感じられ、これぞ渋谷さんというような演奏に胸を熱くしました。後半のメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」では、機動力溢れる小編成のオケが颯爽と演奏し、躍動感ある演奏で気分を高揚させ、興奮と感動をもたらしました。
ドイツを拠点にヨーロッパ各地で演奏活動をしている弦楽合奏団によるオール・モーツァルト・プログラムでしたが、明るく軽快な演奏は、色彩感、躍動感にあふれて爽快感を感じさせ、聴き飽きた感のある曲にも新鮮な感動をもたらしました。
クリアな泉の如く清廉な音の流れが、淀みなく絶え間なく流れ、ときに胸に秘めたマグマに熱せられて、熱水となって吹き上がり、聴く者の心を熱く燃え上がらせました。聴く度に成長し続ける辻井さんの音楽のパワーに圧倒され、ひれ伏すのみでした。
新型コロナでコンサートが無くなる前の最後のコンサートでした。榎本正一さんの指揮により、乱れのないアンサンブル、メリハリのある爽快感あふれる演奏を聴かせてくれました。
新型コロナ感染蔓延後にコンサートが再開されて最初のコンサートであり、4月にりゅーとぴあ専属オルガニストに就任した後初めてのコンサートです。色彩感豊かで、総天然色の煌びやかな音世界。エネルギー感にあふれ、みなぎるパワーで圧倒されました。
来日できない音楽監督・ノットの映像による指揮に合わせての演奏という、前代未聞の歴史に残るコンサートになりました。人数を最小限に減らしたニキティンさん率いる東響が、厳しい状況を力に代えて、一期一会の会心の演奏を聴かせてくれました。
草原を吹き抜ける春風のように、爽やかに、軽やかに、淀みなく音楽の泉が流れ出ました。剛と柔、硬と軟を併せ持った音楽は個性的であり、天国的な極上の時間から一転して攻撃的にもなり、一見華奢にも見える容姿からは想像もできないパワーで圧倒し、音楽の楽しみ、演奏する楽しみ、聴く楽しみがダイレクトに伝わってきました。
尾高忠明さん指揮によるフル編成でのオーケストラ公演となり、川久保賜紀さんとのショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は、各楽章の性格の違い、対比が面白く、ヴァイオリンの深遠な響きが美しく、心に染みました。後半のバルトークの管弦楽のための協奏曲は、各パートが、存分に実力を発揮し、互いにせめぎ合い、鼓舞し合い、感動の演奏を作り上げました。
飯森範親さんの指揮で、チャイコフスキーの「悲愴」をメインにすえたロシアの名曲が演奏されましたが、期待を裏切らないダイナミックな演奏に感動しました。「悲愴」では、飯森さんが作り出すこれでもかと攻め込む嘆き節に、胸がえぐられるようでした。
これぞプロの演奏というよな素晴らしいアンサンブルに息を呑み、ホールいっぱいに響き渡る豊潤な調べに酔いしれました。日本最高峰の演奏で聴く吹奏楽の醍醐味。ホールを埋めた聴衆は大きな拍手で応えました。ブラボーの声は出せませんので、若者たちは「ブラボー」と書かれたプラカードならぬ布を掲げていました。
3月以降練習ができず、7月から徐々に練習を再開したものの、団員が一堂に会することも難しい状況を乗り越えての演奏でした。現在の暗い世相に明るさをもたらし、困難に耐え忍ぶ人々にエールを贈り、明日への希望を与えてくれるような熱い音楽に、ただただ胸を熱くしました。 これらの中からベスト1を選ぶことは難しいのですが、今年の新型コロナ禍を象徴するコンサートとして、東京交響楽団新潟特別演奏会
2020盛夏 を選びたいと思います。もう2度とこういうコンサートは体験できないことでしょう。 |