新潟交響楽団第105回定期演奏会
  ←前  次→
2020年11月22日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:大河内雅彦
 


ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

(休憩15分)

ブラームス:交響曲第1番

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

 昨年11月以来、1年ぶりの新潟交響楽団定期演奏会です。前回の第104回定期演奏会は、小黒亜紀さんとのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第4番の熱気溢れる素晴らしい演奏に胸を熱くし、新潟交響楽団の素晴らしさを再認識させられました。

 あれから1年。新型コロナウイルス感染症という予期せぬ疫病に襲われ、世界は大きく様変わりしてしまいました。音楽活動は制限され、オーケストラ公演も中止されました。夏場からプロオケは感染対策を講じながら活動を再開しましたが、アマオケは活動できない状態が続いていました。
 この定期演奏会も、本来であれば6月に開催される予定だったのですが、今日まで延期になりました。県内のアマオケでは最初の定期演奏会再開であり、喜ばしいことと思います。

 今日の第105回定期演奏会は、当初はドヴォルザークの序曲「謝肉祭」、R.シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲、ブラームスの交響曲第1番が予定されていましたが、演目はドヴォルザークとブラームスの2曲にしぼられ、通常の有料コンサートではなく、整理券による無料公演となりました。練習の確保が大変だったとは思いますが、開催が実現できて何よりと思います。

 新潟交響楽団がブラームスの1番を演奏するのは、2005年11月の第77回定期演奏会以来15年ぶりになります。前回は新潟出身の新通英洋さんの指揮でしたが、今回は大河内さんの指揮で、どんな演奏を聴かせてくれるか楽しみでした。


 今日は朝から晴れ間が見られ、気温も高めで気持ち良い日曜日になりました。夕方から雨になる予報ですが、つかの間の晴れ間を満喫しましょう。

 ホームページを一旦更新し、在宅ワークをこなし、猫と戯れ、ゆっくりと昼食を摂ったあと、りゅーとぴあへと向かいました。
 検温を受けて館内に入りますと、開場待ちの列ができ始めたところでしたので、受付で申し込んでいた整理券を受けとり、列に並びました。しばらくして開場となり、いつもの2階正面に席を取りました。
 密接を避けるため、定員の1/2に制限したとのことですが、席の間隔を開けることなく、密集・密着して座っている方々が多く、せっかくの配慮が浸透しなかったのは残念でした。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンミスの松村さんが登場して一段と大きな拍手が贈られ、チューニングとなりました。
 団員が全員参加できなかったためと思いますが、弦が少ないようで、私の目視で弦5部は11-8-10-7-8 と、ヴァイオリンの少なさが目につきました。でも、第1ヴァイオリンは、前後の間隔をいつもより広めに開けていましたので、視覚的にはオケのサイズは小さく見えませんでした。

 大河内さんが登場し、ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」です。曲名の如く明るくリズムを刻み、華やかな音響でホールの空気を明るくしました。いきなりの快演に、オケの皆さんの意気込みと、音楽する喜びが伝わるようでした。

 休憩の後、メインのブラームスの交響曲第1番です。第1楽章は、ティンパニの連打に載せて、ゆっくり目に始まりましたが、次第に緊張感を増すとともにスピードアップし、熱を帯びてきました。ゆったりと歌わせた後、再び緊張感が訪れますが、静かな落ち着きの中に楽章を閉じました。
 第2楽章は、ゆったりとした序奏の後の聴かせどころのオーボエのソロもバッチリと決まり、ゆったりと美しく歌い上げました。松村さんの美しいヴァイオリンソロにもうっとりとし、天に昇るかのようでした。
 第3楽章は、弦のピチカートに載せてクラリネットが美しくメロディーを奏で、燃える情熱を胸に秘めて、暗雲との戦いに備えてエネルギーを蓄えました。
 アタッカで第4楽章へ。弦のピチカートの後、コロナ禍を思わせるような黒い雲に覆われますが、一条の光が差しこみ、金管のコラールに導かれて歓喜の歌を奏でました。それも束の間、第2波、第3波と暗雲に襲われますが見事に苦難を克服し、勝利の凱歌を高らかに歌い上げました。
 現在の暗い世相に明るさをもたらし、困難に耐え忍ぶ人々にエールを贈り、明日への希望を与えてくれるような熱い音楽に、ただただ胸を熱くしました。

 カーテンコールで大河内さんに花束が贈られ、大きな拍手に応えて、アンコールは定番の「ハンガリー舞曲第5番」でした。軽快に流れるように演奏し、明るい気分の中に終演となりました。

 新型コロナ禍で、3月以降練習ができず、7月から徐々に練習を再開したものの、団員が一堂に会することも難しかったそうです。医療関係、介護関係の仕事のため、出演を断念した団員も少なからずおられたとのことです。
 そんな困難を乗り越えて演奏会を開催し、燃え上がるような渾身の演奏で、聴衆に元気と希望を与えてくれた潟響の皆さんにブラボーを贈りましょう。ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。

 と、明るい気分で帰宅したのですが、今日もたくさんの新型コロナ感染者が出たことが報じられていました。明日はわが身かもしれません。予報通りに雨も降り出し、気分は晴れませんね。


 さて、次回の第106回定期演奏会は、2021年6月27日に、りゅーとぴあで開催され、シューマンの交響曲第3番「ライン」ほかが演奏されます。指揮は大河内雅彦さん。次回も熱い演奏が期待できそうです。楽しみに待ちましょう。

 ただし、この日は何と、北区フィルハーモニー管弦楽団第9回定期演奏会の日。メインの演目は今日と同じブラームスの交響曲第1番です。コンミスが加藤礼子さんということで、これも是非聴きたいところです。
 何も同じ日、同じ時刻にしなくてもいいのにと思うのは私だけではないでしょう。どちらも行きたいですが、体はひとつ。困ったことになりました。直前まで悩みそうです。
 
 

(客席:2階C2-9、整理券:無料)