りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団第3回定期演奏会
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2020年2月24日(土) 14:00 新潟市音楽文化会館
指揮:榎本正一
ピアノ:高木明子
コンサートマスター:奈良秀樹(賛助)
 


ベートーヴェン:序曲「コリオラン」 ハ短調 作品62

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37

(アンコール)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 「悲愴」 第2楽章

(休憩15分)

ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 作品36

(アンコール)
新潟市民歌「砂浜で」
 

 今日も風が強く、雨が降ったりと、あいにくの休日となりました。午前中は職場で雑務を片付け、小雨降る中、音楽文化会館へと向かいました。

 今日は、りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団の演奏会です。このオケは2017年12月に第1回定期演奏会(創立記念演奏会)を行い、2019年2月に第2回定期演奏会を開催しています。そのほか2018年8月、2019年7月にサマーコンサートも開催しています。
 今回は第3回定期演奏会になりますが、オーケストラ好きの私ながら、これまで都合がなかなか合わず、今回初めて聴かせていただくことになりました。指揮者は新潟のフルート界の重鎮・榎本正一さんです。

 昨年の第2回定期演奏会からベートーヴェンの交響曲全曲演奏にチャレンジ中とのことであり、前回は交響曲第1番が演奏されました。今回はその全曲演奏シリーズの2回目ということで、交響曲第2番が演奏されます。
 さらに、今年はベートーヴェンの生誕250周年記念イヤーということで、オールベートーヴェンプログラムとし、このオケとしては初めて協奏曲にも取り組むとのことです。
 ベートーヴェンの交響曲全曲演奏シリーズは素晴らしいのですが、前回の交響曲第1番は聴きそびれてしまいましたので、私は全曲制覇は既に不可能となりました。

 ということで、駐車場に車をとめ、りゅーとぴあ内に新しく開店したカフェで昼食を摂りました。テーブルは空いていましたが、食器の片付けもままならないようで、手が回らなくて大変そうでした。ナポリタンとコーヒーはなかなか美味しかったです。

 腹ごしらえして音楽文化会館に行きますと、既に開場されており、席に着いてこの原稿を書き始めました。後ろの席のおばさま方の賑やかなお喋りにいたたまれなくなりましたが、じっと我慢して開演を待ちました。客席は次第に埋まり、満席に近い入りとなり、大盛況と言えましょう。

 オケの編成は弦5部が、9-8-7-6-2 と小編成です。メンバー表を見ますと、弦32人、管15人、ティンパニ1人の計48人のうち、賛助出演がコンマスの奈良さんをはじめ24人、団友が3人、お試し参加が2人となっていましたので、正規団員は19人のみということになります。メンバーの中には私の知人もおられました。

 開演時間となり拍手の中団員が入場。奈良さんが立ち上がってチューニング。榎本さんが登場して、「コリオラン」で開演しました。
 最初の弦楽の和音を聴いて、「なかなか良い音出すなあ・・」と驚きました。まだ結成間もないオケですので、それなりかなと思っていたのですが、予想以上の演奏に良い意味で裏切られました。
 その後聴いているうちにアマチュアらしさが顔を見せましたが、身振りの大きな榎本さんの指揮により、緊張感ある演奏を聴かせてくれました。

 ピアノがステージにセットされ、2曲目はピアノ協奏曲第3番です。ソリストは演奏者・指導者として活躍されている高木明子さんです。
 紫色のドレス姿がうるわしい高木さんと榎本さんが登場して演奏開始です。長い序奏の後にピアノが入りますと、一気に演奏に引き込まれました。
 堂々として安定感のあるピアノ。オーケストラを圧倒し、風格すら感じさせる演奏は、高木さんの実力が如実に示されました。カデンツアは圧巻。聴きほれるばかりでした。
 新潟のオケ、新潟の指揮者、新潟のピアニストで、こんなにも素晴らしい演奏が聴けるなんて、すごいのではないでしょうか。高木さんはまさにプロの演奏。もちろんオケはプロにはかないませんが、音色は別にして、乱れのないアンサンブル、メリハリのある演奏は聴いていて心地良かったです。

 高木さんに花束が贈られて、アンコールはベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の第2楽章が、オーケストラをバックに演奏されました。心に染みる美しい演奏でした。

 休憩後の後半は、ベートーヴェンの交響曲第2番です。これも前半の印象そのままに、榎本さんは大きな身振りでオケを制御し、切れの良い、躍動感溢れる演奏を聴かせてくれました。
 さすがに音としてはアマチュア感を感じざるを得ませんが、アンサンブルの乱れはなく、一糸乱れず引き締まった演奏は聴いていて気持ち良かったです。
 オケをグイグイとドライブする榎本さんに応え、速めのスピードで飛ばすオケ。爽快感溢れる演奏に酔いしれ、9曲の交響曲の中でも影が薄いこの曲の魅力を再発見させてもらいました。

 榎本さんに花束が贈られ、アンコールに新潟市の市民歌「砂浜で」が演奏されました。プログラムに歌詞が挟み込まれていて、客席も合唱で参加しました。オケの演奏もさることながら、私の後ろの席のおば様方の見事な歌唱に感激しました。

 榎本さんとともに素晴らしい演奏を聴かせてくれた りゅーと新潟フィルハーモニー。新潟で一番新しいオーケストラですが、その実力に驚きました。技術的にはプロとの溝は大きいですが、聴く者を感動させるパワーでは負けていません。
 そして、高木さんの見事なピアノ演奏に新潟の音楽界の底力を感じました。さらに、指揮者としての榎本さんの卓越した力も知ることができました。今後のますますの発展が楽しみです。

 次の演奏会は定期演奏会ではありませんが、7月25日(土)に江南区文化会館で、合唱団にいがたとのモーツァルトのレクイエムの特別演奏会が開催されます。これも楽しみですね。

 良い音楽を聴いて晴れやかな気分で外に出ますと強い雨が降っていました。駐車場まで息を切らして駆け足し、家路に着きました。

 

(客席:15-8、¥1000)