2013年コンサート・マイ・ベスト10



 今年もたくさんのコンサートに行くことができました。相変わらず平日開催のコンサートには行くことはできず、仕事で行けなくなった公演も何度かありました。例年何度か行っていた県外でのコンサートも、今年は0でした。
 こんな状況ではありましたが、例年通りにマイベスト10を選んでみました。順位付けは難しいので、日付順に、記憶に強く残っているコンサートを10公演列挙したいと思います。


2013年1月19日(土) りゅーとぴあ コンサートホール
茂木大輔のオーケストラ・コンサートNo.8 チャイコフスキー交響曲第4番徹底解説!

 オケは小さ目の編成ですが、弦・管・打の各セクションのトップには在京オケの首席奏者を揃え、演奏の質の高さには驚かされました。音はクリアで、輝きがあり、アンサンブルも最高です。特に管は良かったです。臨時編成の寄せ集め的オケではありますが、実力は常設のオケ以上に感じました。茂木さんが作り出す生き生きとした、生命感あふれる元気な演奏により、気分も爽やかでした。最後の盛り上げ方も良かったです。


2013年2月23日(土) だいしホール
新倉 瞳 チェロリサイタル

 アイドルとしても十分通用するような可憐な容姿ですが、演奏は力強く、情熱にあふれるものでした。目を閉じて恍惚の表情で弾く様は、若さを感じさせず、堂々たるものでした。まるで音楽の神が舞い降りたかのようでした。


2013年3月16日(土) りゅーとぴあ コンサートホール
NHK交響楽団新潟公演
指揮:尾高忠明、フルート:小山裕幾、ハープ:山宮るり子

 新潟日報の新社屋「メディアシップ」の開業記念の演奏会です。新潟出身で世界に羽ばたく小山さんと山宮さんがN響と共演しました。新潟でのN響の演奏は何度か聴いていますが、これまでで一番気合が入っていたように思います。音響的には「?」と感じないでもありませんでしたが、演奏そのものは文句ありませんでした。小山さん、山宮さんの頑張りもありましたし、開業記念のコンサートとしては大成功ではなかったでしょうか。


2013年4月28日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
LFJ新潟2013 312 オーヴェルニュ室内管弦楽団、ヴェセス、吉野直子ほか

 LFJ新潟の公演からはこれを選びました。吉野さんのフルートとハープのための協奏曲も良かったですが、弱冠19歳のセヴェールのクラリネット協奏曲が秀逸でした。長身の体を大きく揺り動かしながら、緩急自在、表情豊かな演奏でした。第2楽章は思いっきりゆったりと歌わせ、天に昇るような気分にさせてくれました。若き天才の演奏に、ただただ身を委ねるだけでした。モーツァルトが降臨したかのようです。


2013年6月23日(日) 新潟県民会館
新潟交響楽団第92回定期演奏会
指揮:諸遊耕史、ピアノ:イリーナ・メジューエワ

 力強い打鍵から音量豊かな、パワーあふれる音楽が作り出されました。強靭なメジューエワさんのピアノに対抗すべく、諸遊さんは身振り大きくオケを煽って、若干乱れながらも、熱気のこもった演奏を聴かせてくれました。メジューエワさんはパワーで圧倒するのではなく、楽譜を見ながら、一音一音を大切に弾いているのがわかりました。速く弾き流すことなどはなく、丁寧な演奏でした。


2013年7月13日(土) だいしホール
ベン・キム ピアノ・リサイタル

 ベーゼンドルファーの響きがいつもよりたっぷりと、豊潤に感じました。強奏部でも音は濁らず、ホールいっぱいに響き渡ります。時おり稲妻の閃光のように輝き、天に突き抜けるような高音にハッとさせられました。どの曲もベン・キムの味付けがなされ、自分の世界を作り上げているように感じました。最後の英雄ポロネーズは大爆発。これでもかというような演奏にノックアウトされました。


2013年7月21日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
東京交響楽団第78回新潟定期演奏会
指揮:ユベール・スダーン、ピアノ:中村紘子

 こんなにも凄い演奏は久しぶりに思います。音楽監督のスダーンさんが指揮するときの東響は見違えるようです。一糸乱れぬアンサンブル。切れがあり、厚い音の響き。今日の演奏に限って言えば、世界のメジャーオケにも対抗できる演奏じゃなかったでしょうか。コンサートホールの響きもいつもよりクリアで、美しく感じられました。


2013年8月13日(火) りゅーとぴあ コンサートホール
佐村河内 守 交響曲第1番「HIROSHIMA」 特別演奏会
指揮:大友直人

 第1楽章、第2楽章とも暗くて重い音楽が主体で、時折優しいメロディが垣間見えますが、すぐに暗くて激しい音楽にかき消され、緊張感と疲労感、閉塞感を感じさせます。第3楽章も同様に始まり、絶望的気分になったところで、甘美な癒しのメロディが、暗闇にさす一条の光のごとく湧き上がります。また消えてしまうのではないかという不安感を感じますが、希望の光はさらに輝き、確固たるものとなり、希望の鐘で燃え上がります。カーテンコールでは佐村河内さんがステージに上がってスタンディングオベーション。感動の中終演となりました。


2013年9月15日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
新潟市ジュニアオーケストラ教室第32回演奏会
指揮:飯森範親

 これまでのサウンドとは大きく違って、まさに飯森サウンド。切れのあるダイナミックな演奏でした。奏者の息遣いもピッタリで、ジュニア・オケもここまで来たかと感慨にふけりながら聴いていました。重心の低い、厚みのあるサウンド。ダイナミックでエネルギッシュな演奏で興奮させられました。目を閉じて聴いていたら、東響定期かと勘違いするほどのように思われました。


2013年10月14日(月・祝) りゅーとぴあ コンサートホール
東京交響楽団第80回新潟定期演奏会
指揮:ジョナサン・ノット

 演奏はくっきりとした輪郭のある、透明感のあるものでした。これ見よがしの派手な演出はなく、冷静さを保って、節度あるものでした。大音響にもかかわらず、音が飽和することはなく、解像度の高い演奏でした。アルプスの景色が目に浮かぶような、色彩感のある演奏であり、音の饗宴に酔いしれました。弦は美しく、管も打楽器も、渾身の演奏だったと思います。オルガンも加わって、オケを聴いたという満足感でいっぱいになりました。次期音楽監督・ノットの新潟初登場という記念すべき今日の公演は、ノットの実力を知らしめるに十分すぎるものであり、東響の新時代到来を予感させるものでした。


その他としましては、

2013年5月19日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
りゅーとぴあ・1コイン・コンサート vol.64 山本貴志

2013年6月30日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
茂木大輔のオーケストラ・コンサート No.9  ベートーヴェン「第九」徹底解説!

2013年10月26日(土) りゅーとぴあ コンサートホール
札幌交響楽団 新潟特別演奏会

2013年11月10日(日) りゅーとぴあ コンサートホール
新潟交響楽団第93回定期演奏会

なども良かったと思います。

 これらの中から、ベスト1を選ぶとすると、東響次期音楽監督のジョナサン・ノットによる「東京交響楽団第80回新潟定期演奏会」でしょうか。