毎年恒例になった東響定期+α「日本のオーケストラシリーズ」です。東響定期と同じ客席で、他のオケを聴き比べできるというのが売りであり、定期会員にとってはうれしい企画です。
2009年の山形交響楽団に始まり、2010年はなぜか茂木オケでしたが、2011年は仙台フィル、2012年は京都市交響楽団と続き、そして今年は札幌交響楽団です。
札響の素晴らしさは伝え聞いていましたが、これまで聴いたことがなかったので、大変楽しみにしていました。指揮の尾高さんは、今年3月のN響新潟公演以来の来演となります。
今週末は天候がすぐれず、雨模様。気分も落ち込んでしまいます。今日も肌寒く、冷たい雨が降ったり止んだりと、生憎の土曜日となりました。札響による北欧音楽を聴くにはふさわしいのかもしれませんけれど・・。
ということで、気分晴れぬまま、少し早めに会場入りし、4時半からのロビーコンサートに臨みました。ヴァイオリン2、チェロ、コントラバスの4人により、ロッシーニの弦楽のためのソナタが演奏されましたが、期待以上の素晴らしい演奏でした。ヴァイオリン2人の掛け合いが聴き応えがあって楽しめました。響きの良いホワイエに響く弦楽のアンサンブルが心地良かったです。これを聴いて、早くも大満足であり、今日のコンサートの成功が予感されました。
開演時間となり、拍手の中楽員が入場。最後にコンマスが出てきて一礼というのが新潟では一般的ですが、コンマスも一緒に出てきて、そのままチューニングとなりました。
尾高さんが登場して、最初は「カレリア組曲」です。初めは、ホールの響きを確かめるかのように、おっかなびっくりというような感じでしたが、その後少しずつ音が出るようになりました。
「ペールギュント」でエンジンがかかり出し、「山の魔王の宮殿にて」で良く鳴るようになりました。「二つの悲しい旋律」で、弦楽アンサンブルの素晴らしさを感じさせ、「フィンランディア」でエンジン全開。速めのテンポで盛り上げて、前半の終了となりました。前半は、お馴染みの名曲のオンパレードでいたが、飽きることなく楽しめました。
休憩後の交響曲第1番は何も言うことなしの名演奏でした。最初のクラリネットのソロからしてお見事であり、一気に曲に引き込まれました。
ホールに慣れたのか、オケの音色は前半以上にクリアとなり、混濁のない、透明感のある演奏を聴かせてくれました。尾高さんの曲作りのなせる業なのでしょうが、気合が入って緊張感があり、切れのある、小気味良い演奏に心躍りました。これまでに聴いたこの曲の演奏の中で一番に思いました。
尾高さんの挨拶の後、エルガーの弦楽セレナーデが演奏されましたが、これまで以上の弦楽のきれいさに感激しました。前半はざらついて雑に感じた場面もありましたが、見事に修正され、美しい弦楽の調べを聴かせてくれました。いつまでも、このまま聴いていたいと思っているうちに終演となってしまいました。
札響は素晴らしいオケですね。このような明るく、生き生きして、クリアな音色は、東響定期では聴けません。初めてのホールでの演奏で、最初は戸惑った面があるのかもしれませんが、演奏も、音色も、演奏するうちに良くなっていったのが面白かったです。
新潟と札響は、尾高さんを介して素晴らしい出会いをすることができました。ここまで凄い演奏が聴けるとは予想していませんでしたので、満足感でいっぱいです。今度は本拠地のKitaraで聴いてみたいものです。
そして、今日の聴衆も素晴らしかったです。フライング拍手もなく、尾高さんが指揮棒を下ろすまで、しばらくの余韻を楽しむことができました。
挨拶の中で、尾高さんが、ホールの素晴らしさと、聴衆の素晴らしさを話されていましたが、単なる社交辞令ではなく、本当に良かったと思います。聴く側も素晴らしい演奏に感化されたのでしょうか。
明日は小出郷文化会館で「新世界」と「運命」を演奏します。きっと熱演を聴かせてくれることでしょう。今夜はおそらく新潟泊まり。新潟の食とお酒を楽しんでもらいたいですね。
(客席:2階C5−**、S席:定期会員招待) |