東京交響楽団第78回新潟定期演奏会
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2013年7月21日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ユベール・スダーン
ピアノ:中村紘子
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 


ルーセル:交響曲第3番 ト短調 作品42

ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21

(休憩20分)

ベルリオーズ:劇的交響曲 「ロメオとジュリエット」 作品17 抜粋

    第1部 「序奏」争い、騒動、領主の仲裁
    第3部 「愛の場面」
    第4部 「愛の妖精の女王マブ」
    第2部 ロミオただひとり、悲しみ、遠くから聴こえる音楽会と舞踏会、
          キャピュレット邸の大饗宴
 
 

 今日は新シーズン2回目の新潟定期です。スダーンさんの指揮は今年の3月(第76回)に聴いたばかりですが、音楽監督として新潟で演奏するのはこれが最後になりますので注目されます。

 今日は参議院選挙。朝からトラブル続きで大変な一日でしたが、このコンサートは外せませんので、万難を排して駆けつけました。

 昼のロビーコンサートを聴き、一旦帰宅して一休みし、夕方再びホールに出直しました。今日は朝方は雨がぱらつく曇り空でしたが、昼過ぎより青空が広がり出して、気温も上がり、日差しが強く感じられました。

 ホールに入場すると、ホワイエで、東響のCDが販売されていましたが、その中に以前限定発売され、すぐに完売になったスダーンさんのブルックナー6番のCDがありました。昨日のサントリー定期で再販売されるという情報は東響のホームページに出ていたのですが、新潟でも販売されていたのはラッキーでした。私もせっかくなので買いましたが、運よくスダーンさんのサイン入りをゲット。私の次の人で完売になりましたので、良いタイミングでした。

 ホールの入りはいつも程度でしょうか。拍手の中に団員が入場。拍手に応えて、全員揃うまで起立して待ってくれて、拍手にも力が入ります。最後にニキティンさんが登場して一段と大きな拍手が贈られました。編成が大きく、ステージいっぱいのオケは壮観です。

 スダーンさんが登場。足腰でも悪いのか、椅子に座っての指揮でした。最初はルーセルの交響曲です。初めて聴く曲でしたが、最初からヘビーな曲で、オケもエンジン全開。曲もさることながら、オケの音色の素晴らしさに驚嘆しました。
 管も弦もきれい音色で、強奏部でも音の濁りがなく、大音響でありながら、音の解像度が良く、クリアに響きます。ニキティンさんのソロも美しかったです。いきなりの大曲で、聴き応え十分。オーケストラの生演奏の醍醐味堪能できて、初めから大満足でした。

 続いてはショパンのピアノ協奏曲です。大御所の中村さん登場。中村さんの新潟定期登場は、2008年12月(第51回)以来です。ピアノ界の重鎮だけあり、演奏も重く、力強いものでした。お年を感じさせず、力でねじ伏せるように、大音量でガンガン攻めてきました。
 偏屈者の私の好みとしては、もっと力を抜いて、軽く弾いてほしかったです。メランコリックなはずの第2楽章も力が入っていて、マシンガンで攻撃されているように感じました。巨匠的な、風格ある演奏ということもできましょうが、私の期待するショパンとは異なっていました。ちなみに、この曲の演奏としては、ベレゾフスキーの演奏が一番好きです。心洗われるような第2楽章は最高です。

 後半はベルリオーズのロミオとジュリエットです。声楽のない管弦楽の部分の抜粋が演奏されました。これが前半以上に良い演奏で、東響の素晴らしさに驚嘆するばかりでした。
 ブラスの重厚な響き、そして弦のアンサンブルの素晴らしさ。オーボエもフルートも素晴らしかったです。東響のメンバーの気合の入り方は半端じゃなく、集中力は凄かったです。2階席まで息遣いが伝わってきました。

 こんなにも凄い演奏は久しぶりに思います。音楽監督のスダーンさんが指揮するときの東響は見違えるようです。一糸乱れぬアンサンブル。切れがあり、厚い音の響き。今日の演奏に限って言えば、世界のメジャーオケにも対抗できる演奏じゃなかったでしょうか。コンサートホールの響きもいつもよりクリアで、美しく感じられました。

 スダーンさんの新潟での最終公演にふさわしい名演奏だったと思います。ショパンは別にして、ルーセルとベルリオーズの素晴らしさは、私の文才では表現しきれません。早くも今年のベストコンサート候補に上げたいくらいです。ブラボーの声が上がり、会場の盛り上がりも最高。皆さんも満足だったようです。

 これでスダーンさんとお別れというのは寂しいですが、毎年新潟で名演を聴かせてくれたことに感謝したいと思います。
 

(客席:2階C5−**、S席:定期会員:¥5500)