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青年海外協力隊:

国際協力学習ノート

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    派遣前訓練参加の事前学習として作成しました。

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    国際協力学習ノート

    派遣前訓練参加の事前学習として作成しました。
    各資料をもとにして、青年海外協力隊として求められる知識を自分なりにまとめたものです。

    1. ODA(政府開発援助)

    1.1. 援助の基本理念

    ODA大綱(政府開発援助大綱/1992年閣議決定)では、援助の基本理念として次の4つを掲げています。

    1. 人道的考慮
      開発途上国の飢餓と貧困を見過ごすことはできない。
    2. 相互依存性の認識
      開発途上国の安定と発展は、世界全体の平和と反映に不可欠であり、両者は相互依存関係にある。
    3. 環境の保全
      全人類が共通の課題として取り組まなければならない。
    4. 自助努力の支援
      開発途上国が自助努力に基づいて自国の開発をするめることが、真の経済的自立につながる。

    1.2. ODAの形態

    日本のODAは次のように分けられます。

    • 二国間贈与
      開発途上国に対しての直接援助で、返済義務がありません。
      • 無償資金協力
        一般無償、水産無償、食糧増産援助など。
      • 技術協力
        研修員受入、専門家派遣、調査団派遣、機材供与、青年海外協力隊など。
        →JICAが担当
    • 二国間貸付(借款)
      開発途上国に対しての直接援助で、低利で返済期間が長いという緩やかな条件で資金を貸し付けます。
    • 国際機関への出資・拠出など
      国際機関を通じた援助を行います。

    1.3. ODAを行う意義

    ODA中期政策では、日本がODAを行う意義を次のように掲げています。

    1. 世界第二の経済大国であり、ODAの最大供与国である日本の責務。
    2. 日本への信頼や評価の向上につながること。
    3. 世界の平和と安定に寄与することで、資源、エネルギー、食料などの供給を海外に依存するわが国の国益増進に役立てること。

    2. JICA(国際協力事業団)

    2.1. 役割

    1974年8月1日、JICAはわが国による技術協力を実施することを目的に設立されました。
    JICAが担当しているのは、二国間贈与の技術協力と無償資金協力の調査・実施促進業務です。

    2.2. JICAの国際協力事業

    1. 技術協力事業
      • 研修員受入
        開発途上国の技術者や行政官を日本に招き、国の発展に必要な技術や知識の習得のための研修を行います。
        開発途上国の青年を日本に招き、日本の青年との交流を深めます。(青年招へい事業)
      • 専門家派遣
        開発途上国に専門家を派遣し、技術・知識を伝えます。
      • 機材供与
        技術を適切に効果的に伝えるために、機材を供与します。
      • プロジェクト方式技術協力
        研修員受入、専門家派遣、機材供与を組み合わせた、総合的な援助を行います。
      • 開発調査
        どのような開発計画が可能か、有効かを調査します。
    2. 青年海外協力隊派遣事業
    3. 技術協力のための人材の養成・確保
      研修を通じた援助人材の養成、国際協力専門員の確保、専門家候補者の登録を行います。
    4. 無償資金協力のための調査・実施促進業務
      無償資金協力についての事前調査や、実施促進業務を行います。
    5. 開発協力事業
      政府ベースの援助と民間企業の海外投資の連携し、民間企業の経済協力を支援します。
    6. 移住者・日系人の支援
      移住者子弟の人材育成を目的とした研修、支援を行います。
    7. 災害緊急援助業務
      被災国または国際機関からの要請に応じて、総合的な災害援助協力を行います。

    3. 青年海外協力隊

    3.1. 理念

    青年海外協力隊は、開発途上地域の住民と一体となって当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的とする、海外での青年の活動を促進し助長するための事業です。(国際協力事業団法第21条1項2号)

    3.2. 事業の特徴

    青年海外協力隊事業の特徴は、次のとおりです。

    • 開発途上国の住民と一体になり、国づくりに貢献します。その国の住民と同じ食べ物、言葉、文化・習慣を尊重しながら社会に溶け込み、その地域の人づくり、国づくりに協力します。
    • 報酬の性格を持たないボランティア活動です。
    • 隊員は開発途上国からの要請をもとに派遣されます。各国政府から要請がなされ、その要請に応える形で募集・選考を行い、隊員に必要な訓練を施して派遣されます。
    • 帰国した隊員は、協力隊での体験を日本社会に還元しています。隊員が養ってきた語学力、異文化への適応能力、現地事情の知識を帰国後の活動において発揮し、日本人の開発途上国理解や地域の国際化に貢献しています。

    3.3. 歴史

    青年海外協力隊は、1965年4月20日、外務省所轄の政府事業として発足しました。
    1974年8月1日、JICAが発足し、青年海外協力隊事業が引き継がれました。

    4. 開発途上国

    4.1. 定義

    開発途上国/途上国の分類は、組織ごとに独自の基準を設けており、統一された定義はありません。
    ちなみに、OECD(経済協力開発機構)のDAC(開発援助委員会)の分類では、2001年の1人あたりのGNPが9205ドル以下の国々を開発途上国と呼びます(2003年現在)。

    参考:DACの分類(2003年1月1日現在)
    後発開発途上国 開発途上国の中でも特に開発の遅れた国々。国連総会の決議で認定されている。(49か国)
    低所得国 2001年の1人あたりのGNPが745ドル以下(23か国(後発開発途上国を除く))
    低中所得国 2001年の1人あたりのGNPが746ドル〜2,975ドル(45か国)
    高中所得国 2001年の1人あたりのGNPが2,976ドル〜9,205ドル(32か国)
    高所得国 2001年の1人あたりのGNPが9,206ドル以上(1か国)

    4.2. 南北問題

    先進国と開発途上国間の経済格差問題のことです。主に北半球に先進国が位置し、南半球に開発途上国が位置することから「南北問題」と呼ばれます。

    5. グローバル・イシュー

    地球規模問題。一国だけでの取り組みでは対処が困難であり、地球規模での取り組みが必要とされる諸問題のことです。
    グローバル・イシューには、環境、ジェンダー・WID、人口・エイズ/感染症、教育、貧困などがあります。

    5.1. 環境(自然環境)

    開発途上国では次の環境問題が発生しています。

    • 自然環境の悪化
    • 生物多様性の減少

    (自然破壊、森林の減少、水質汚濁、水産資源の減少、野生動物の減少、大気汚染など)

    これは、次のことが原因となっています。

    • 人口増加
      農村部での森林の農地転用、過放牧、焼畑、森林伐採など。
    • 貧困
      人口が増加した都市部における生活環境の悪化、過度の開発など。

    JICAでは開発途上国の環境問題への取り組みとして、自然環境保全協力を行っています。

    • 人類の安全保障・・・人類の生存基盤であるかけがいのない生態系の保全
    • 持続可能な開発・・・開発途上国および国民の生活環境の保全
    • 貧困緩和

    5.2. ジェンダー・WID

    ジェンダーとは、男女の社会的・文化的性差のことをいいます。
    WIDとは、開発のすべての段階に女性が積極的に参加できるように配慮していこうという考えのことです。

    開発途上国の女性は、社会的に不利な立場に置かれていることが多く、それはその社会の公平な発展を阻害する要因となっています。一般的に女性は識字率、就学率が低く、食事、医療面でも男性が優先されてきました。そのため、女性の経済的自立が妨げられたり、人口家族計画や保険衛生改善計画などの実施を困難にしてきました。

    女性の置かれた社会、経済状況の改善に配慮した開発事業を計画・実施する必要があります。
    このような考えを「ジェンダー・WID」と呼びます。

    5.3. 人口・エイズ/感染症

    開発途上国の人口増加は多くの問題を引き起こしています。開発途上国の人口増加は資源需要の増大を招き、農地の拡大、森林の伐採といった環境破壊や、食糧不足、貧困などの問題を引き起こしています。これらは、人口増加がその社会の経済的・社会的受け皿に見合っていないことが原因です。
    開発途上国には、食料や医療サービスの援助による死亡率低下がもたされましたが、貧困のため子供を多く出産する傾向は残りました。そのため、経済的・社会的発展がないままに人口が増加するといった問題を招くことになりました。
    JICAでは人口増加の対策として、医療機材、避妊具、医薬品の提供などの行い、個々人が出産を選択・決定できるような活動を展開しています。

    エイズの問題は、その国の社会の生産年齢人口を襲うことから、国家経済の低下、貧困の拡大を引き起こします。また、医療費の増加、教師の減少、エイズ孤児の発生、感染者の人権問題といった社会問題へも発展していきます。
    マラリア、結核などの感染症は、生命の危機といった保健上の問題だけでなく、開発途上国の経済・社会開発の阻害要因となっています。劣悪な生活環境、医療サービスの欠如、予防知識の欠如、栄養不良、安全な水供給の欠如などの問題が事態をさらに深刻にしています。
    JICAではエイズ/感染症問題に対して、予防のための知識普及や教育活動、検査、研究に取り組んでいます。

    5.4. 教育

    開発途上国では子供の教育に次のような問題点があります。

    • 就学率の男女格差
    • 就学率の地域格差
    • 不適切な学習環境
    • 中途退学者が多いこと

    原因は次のとおりです。

    • 教育予算の不足
    • 有資格教員の不足
    • 貧困
    • 男女格差
    • 教育に対する社会的認識の欠如、親の理解不足

    JICAでは教育問題に対して、次のような協力を行っています。

    • 学校の整備
    • 教員の技能改善
    • カリキュラム開発
    • 教科書の十分な配布
    • 教育行政官の計画能力向上支援
    • 学校運営への地域住民の参加促進

    5.5. 貧困

    貧困の定義には、さまざまな考え方が存在しています。
    世界銀行の「世界開発報告」(1990年)では、次のように定義しています。

    • 貧困・・・年収370ドル以下、11億1600万人、開発途上国人口の33%
    • 極度の貧困・・・年収275ドル以下、6億3300万人、開発途上国人口の18%

    「世界開発報告」では、絶対貧困を「人間としての条件に関するどのような妥協的な定義に照らしても、ほど遠い栄養不良、非識字率、疾病、高い乳幼児死亡率、短い平均寿命の水準を脱却できない状態」と定義しています。

    貧困の原因や背景として、貧困の悪循環があります。
    貧困の悪循環は、次のようなことをいいます。

    貧困→低所得→低教育、食糧不足→児童労働依存、疾病→人口増加、労働力不足→さらなる貧困→...
    貧困状況から抜け出すことが簡単にできない環境になっています。

    JICAでは貧困削減への取り組みとして、次のような事業を行っています。

    • NGOと協力した地域レベルでの母子保健や家族計画、社会的弱者支援、コミュニティ開発、地場産業育成、人材開発など。(直接的な貧困対策事業の拡充)
    • JICA事業全般への貧困削減の視点の組み込み。ジェンダー、環境など他の分野で貧困削減の視点を組み込んでいます。

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    開発援助用語

    • 開発途上国
      2001年の1人あたりのGNPが9205ドル以下の国々のことをいいます。(2003年現在/OECD(経済協力開発機構)のDAC(開発援助委員会)の分類)
      世界人口の8割が住んでいます。

    • DAC(開発援助委員会)
      OECD(経済協力開発機構)の委員会の1つ。
      援助情報の交換、政策の調整、加盟国の年間援助実績および政策についての年次調査、援助額・条件に関する勧告の採択、加盟国の援助統計の発表などをおこなっています。

    • 構造調整
      世界銀行、IMF(国際通貨基金)が1980年代初期に導入したプログラム。
      資金支援の見返りとして、一定の経済・社会の構造改革を行うことを条件として求めました。この条件は、政府の介入を極力押さえ、市場原理に委ねるということでした。
      金融・貿易面での規制緩和、公共企業の民営化、民間企業の自由な競争の促進により、経済の活性化を図るのが狙いです。

    • BHN(基本的な人間のニーズ)
      基本的な人間の生活を営むのに必要とされるものを援助しようとする概念。
      具体的には、教育、保健衛生、農業等のことです。

    • インフラストラクチャー(インフラ)
      経済活動や社会活動を支える基盤。
      経済インフラは、道路、鉄道、港湾、かんがい設備、電力などです。
      社会インフラは、住宅、保健、衛生、上下水道、教育などです。

    • 持続可能な開発
      「将来の世代がそのニーズを満たす能力を損なわないように、現在の世代のニーズを満たすような開発」と定義されています。
      世代間の公正、将来の世代のための環境・資源の保全と現世代内の構成(BHNの充足)のこと。

    • 参加型開発
      開発の過程に地域住民を参加させる開発の手法です。
      地域社会の現状やニーズに対する援助者の理解を深め、地域住民の当事者意識を引き出すことを目的とします。

    • ODA
      政府開発援助。
      政府が開発途上国に対して提供する資金や援助のことです。

    • NGO
      非政府組織。
      営利を目的とせず、非政府の立場から国際協力や地球規模問題に取り組む組織のことです。
      政府とは異なる視点やノウハウ、機動性を持っていることから、緊急援助などの分野で評価されています。また、最近では国連や国際会議に参加し、各国の政策に影響を与えています。

    • 南北問題
      先進国と開発途上国間の経済格差問題のことです。主に北半球に先進国が位置し、南半球に開発途上国が位置することから「南北問題」と呼ばれます。

    • グローバル・イシュー
      地球規模問題。一国だけでの取り組みでは対処が困難であり、地球規模での取り組みが必要とされる諸問題のことです。
      グローバル・イシューには、環境、ジェンダー・WID、人口・エイズ/感染症、教育、貧困などがあります。

    • 地球温暖化
      最近の人間活動の結果、地球の温度が上昇している現象。
      人間活動の結果、温室効果ガスが大気中に排出され、温室効果が高まり、地球温暖化の現象が生じるようになりました。
      異常気象、自然災害の頻度上昇などが起こると予想されています。

    • 絶対的貧困
      最低の生活水準に達することができない状態を指します。
      「世界開発報告」では、絶対貧困を「人間としての条件に関するどのような妥協的な定義に照らしても、ほど遠い栄養不良、非識字率、疾病、高い乳幼児死亡率、短い平均寿命の水準を脱却できない状態」と定義しています。

    • 成人識字率
      15歳以上の人で、内容を理解しながら読み書きができて、日常生活について短く簡単な文章を書ける人の割合です。

    • 人間開発指標(HDI)
      人間開発を測定するための指標。
      人間開発の3つの側面 1) 寿命(出生時の平均余命)、2) 知識(成人の識字率と平均就学年数)、3) 所得(1人あたりの購買力平均ドル)から算出されます。

    • ジェンダー・WID(開発と女性)
      ジェンダーとは、男女の社会的・文化的性差のことをいいます。
      WIDとは、開発のすべての段階に女性が積極的に参加できるように配慮していこうという考えのことです。

    • リプロダクティブ・ヘルス
      性と生殖に関する健康権利のことです。
      人権と性の視点から妊娠、出産、避妊、その他について肉体的、精神的、社会的に男女の健康を保障し、子供をいつ何人産むかについて女性自らの意思で選択できる自己決定権を尊重する考え方です。

    • 開発教育
      開発途上国の現状と問題を理解するための教育。
      低開発の根源的要員や北と南の関係および人類の平和と反映のあり方について、理解を促進することを目的としています。

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    覚えておきたい略語

    JICA 国際協力事業団 Japan Internatinal Cooperation Agency
    JOCV 青年海外協力隊 Japan Overseas Cooperation Volunteers
    ODA 政府開発援助 Official Development Assistance
    NGO 非政府組織(民間援助団体) Non-Governmental Organization
    WID 開発と女性 Women In Development
    BHN 人間としての基本的なニーズ Basic Human Needs
    HRD 人的資源の開発 Human Resources Development
    GNP 国民総生産 Gross National Product
    GDP 国内総生産 Gross Domestic Product
    DAC 開発援助委員会 Development Assistance Committe
    WHO 世界保健機構 World Health Organization
    UNDP 国連開発計画 United Nations Development Programme
    HDI 人間開発指標 Human Development Index
    UNV 国連ボランティア United Nations Volunteers

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