今日はこどもの日。ゴールデンウィークも明日で終わりです。私にとってゴールデンウィークの最大のイベントが今日の新潟クラシックストリートです。
かつては、ゴールデンウィークと言えばラ・フォル・ジュルネ新潟で賑わっていた時代もありましたが、今となっては、古き良き時代の思い出です。地方都市でも、金沢では大型の音楽祭が開催されていますが、観光・文化都市の金沢と張り合っても勝ち目はなく、新潟は身の丈にあったクラシックストリートで盛り上がりましょう。
ということで、旅行することもなく、大人しく過ごしていたゴールデンウィークでしたが、今日の日に向けて、体力を温存していました。
今日は天候に恵まれて、清々しいこどもの日になりました。まさに行楽日和になりましたが、クラシックストリート日和でもあります。
缶・ビンのゴミ出しをして、早めに家を出ました。長丁場に備えて白山神社近くのコインパーキングに車をとめて、古町通を歩きました。
どこをどう巡るかがクラストの楽しみなのですが、このときにはいくつかの候補を絞れておらず、歩きながら熟慮を重ねました。
そして最初の10時30分スタートの公演に選んだのは、西堀のジャズ喫茶スワンでの江口鮎美さん、細木久美さん、岡田保紀さんによる公演です。開演5分前に到着しましたが、既に満員で、立ち見になりました。
開演となり、ピアノの細木さん、コントラバスの岡田さんとともに、フルートの江口さんが、フォーレの「シシリエンヌ」をゆったりと演奏し、その美しい調べにうっとりしました。
その後はクロード・ボリングの「フルートとジャズ・ピアノ・トリオのための組曲」からの4曲が演奏されましたが、クラシックとジャズを融合させた音楽は、ジャズ喫茶で聴くには最適なプログラムであり、楽しく聴かせていただきました。
ここで近くの店で昼食の予定を立てたのですが、まだ11時というのに長い列ができていました。今後の予定もあり、並ぶのは時間の無駄になりますので断念しました。
次の12時からの公演は、混雑を避けて、りゅーとぴあで新潟中央高校コーラス部の合唱でも聴こうと考えて古町を歩き、途中の上古町のなじみの店で昼食をいただこうと思いましたが、まだ準備中でしたので断念しました。
予定が狂って気持ちが変わり、急遽次の予定を変更して方向転換し、某所で簡単な昼食を摂り、12時開演の2つ目の公演は、古町6番町のパルムでの小菅文さんと品田真彦さんの公演にしました。
品田さんのピアノ独奏でシューベルトの「楽興の時第1番」が演奏され、引き続いて、ソプラノの小菅さんによりシューベルトの歌曲の「春の想い」「グレートヒェンの祈り」「ズライカ
第一」の3曲が歌われ、声量豊かな透明感のあるリリックソプラノにうっとりとしました。
そして、品田さんの独奏でブラームスの「間奏曲」が演奏され、アンコールにシューベルトの「音楽に寄せて」が、しっとりと歌われて公演は終了しました。狭い空間で聴くピアノとソプラノ。贅沢な時間でした。
階段を降りて古町通に出ますと、古町6番町ストリートの無料会場で、12時30分からのAkihaミュージックバンドクラブの子どもたちの演奏が始まるところでした。聴きたいところではありましたが、次の予定がありますので、その演奏の様子を横に見て、古町通りを歩き、りゅーとぴあへと向かいました。
急ぎ足でりゅーとぴあの館内に入りますと、ホワイエでは、12時30分開演のりゅーと古楽集団の演奏が行われていました。林豊彦先生のリコーダーと飯田万里子さんのチェンバロが、響きの良いホワイエに美しく響いていました。
ちょうど終演になるところで、もっと聴きたいところでしたが、仕方ありません。終演後に林先生の大小様々なリコーダーを見せていただき、飯田さんのチェンバロの説明を拝聴してコンサートホールに移動しました。
13時30分からは、敬和学園高等学校混声合唱部です。混声合唱で「ほらね、」と今年の合唱コンクールの課題曲の「Das
edle Herz」の2曲を歌って、県内最高峰の実力を示しました。
その後は力強い男声合唱で「斎太郎節」を歌って圧倒し、透明感のある女声合唱で「瑠璃色の地球」を歌って魅了しました。
そして再び混声合唱で信長貴富の曲を歌い、曲ごとに編成を変えて、多彩な演目で楽しませてくれました。最後はミッションスクールの敬和学園高校の定番曲の「ハレルヤ」で感動のステージは終演となりました。
急いでホワイエに移動して、次は14時開演の Trio
Pardon で、バリトンの和田達也さん、ヴィオラの山本 成さん、チェロの山田 慧さんの3人のユニットによる演奏です。
バリトンの和田さん作曲の「プレリュード」に始まり、ハイドンの「バリトントリオ」が演奏されました。これまで知ることのなかったバリトンという珍しい楽器を初めて目にし、その演奏を聴けたことは貴重でした。
続いては15時開演のアンサンブルフィーデルです。新潟のヴァイオリン界のレジェンド・鈴木和子先生を中心に活動している弦楽アンサンブルですが、毎年聴かせていただいています。
今回は村山和子先生のピアノによるショパンのピアノ協奏曲第1番第2楽章、そして村山先生の指揮によるヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲第1番が演奏されましたが、音楽を演奏する喜びが伝わり、その演奏を楽しませていただきました。
終演が数分延びたため、急いでホワイエに行きますと、15時30分開演のキャトルフルートの演奏が始まっていました。
キャトルフルートは、14年間活動したメンバーに変更があり、水島あやさんと手島尚子さんが脱退され、高垣さららさん、吉井美月さんが加わって、今回が新しいキャトルフルートのお披露目となりました。
すでに1曲目は終わっていましたが、2曲目から聴かせていただき、期待にたがわぬ素晴らしい演奏を楽しませていただきました。メンバーが変わってもキャトルフルートの魅力は失せることなく、西山直子さんを中心として今後のさらなる活躍が期待されました。
次はどこに行くか思案しましたが、足に疲労が蓄積して長く歩く体力はありませんでしたので、近めの会場を選び、東中通のスタジオスガマタに向かいました。
16時30分からの公演は、ルミエリシテです。加藤優里さん、水嶋沙織さんの二人によるピアノユニットの演奏です。
モーツァルトの「2台ピアノのためのソナタ」で始まり、連弾でサン=サーンスの「死の舞踏」、2台ピアノでシャブリエの「スペイン狂詩曲」を演奏し、アンコールは連弾でサン=サーンスの「白鳥」と、聴き応えのある色彩感に溢れる演奏を楽しませていただきました。
上古町に出て、なじみの店で夕食をと思いましたが、スープがなくなったので閉店という張り紙がありました。ここも賑わったようで何よりでした。
夕食は断念して、寄り道せずに急ぎ足でりゅーとぴあに戻りますと、ホワイエでは17時に開演した でぃがでぃなエチゴの3人による演奏が佳境を迎えていました。
シタールの斉藤勇さんを中央に、左にタブラの福井智弘さん、右にタブラの大野美千絵さんが、設置された台の上に座って演奏していました。
シタールとタブラという日頃聴く機会がないエスニックなサウンドに魅了され、切れ目なく続く演奏に一気に引き込まれました。楽譜はなく互いに目を配り合いながら、途中「さくらさくら」のメロディが出てきたりと、即興で様々に形を変えて延々と演奏が続きました。
超絶技巧のシタールをはじめ、3人の演奏に圧倒され、これを聴けた喜びを感じました。寄り道をせずに急いで歩いてきたご褒美に違いないと感謝しました。
そして、今年のクラシックストリートの最後を飾るのは北区フィルハーモニー管弦楽団スペシャルコンサートです。
7月の定期演奏会の演目と、ファミリーコンサートで演奏した曲など、多彩な曲を、見事な演奏で楽しませてくれて、このオケの素晴らしさを否応なく知らしめてくれました。
結成直後の有志による演奏を聴き、第1回ファミリーコンサート、第1回定期演奏会から、このオケの成長を見守ってきた私としましては、りゅーとぴあで演奏する姿を前にして、感慨深く感じました。
子育てする親の気持ちの如く、オケの成長を実感し、ついにここまで来たか!という驚きと喜びで胸がいっぱいになり、目には涙がこみ上げてきました。
結成してまだ10数年というのに、ここまで急速に成長し、今後のさらなる活躍を確信して、コンサートホールを出ました。
すべての公演を終えてりゅーとぴあを後にし、暗い白山公園を抜けてコインパーキングへとゆっくり歩きました。
古町界隈を歩き回り、日頃運動不足の老体にはきつい1日で、まさに足は棒になりましたが、心地良い疲労感です。万歩計の数字は1万2千を超えていました。良い音楽を聴いて心豊かになり、歩き回って良い運動になりました。
街を歩いているとき、大学の同級生2人を含め、多くの友人と出会いました。皆さん新潟の春のイベントを楽しんでいるようで何よりでした。
ホール会場は除いて、どの会場も満員御礼でした。立ち見も多く、店内に入りきらずに、入場を断念した人も多かったようです。こういうイベントをきっかけに、衰退続く古町地区が活性化すると良いですね。 |