2025年の新潟クラシックストリートの最後を飾るのは、北区フィルハーモニー管弦楽団のスペシャルコンサートです。
午前中から市内各所で開催されていた公演はすべて終了し、りゅーとぴあ・コンサートホールで、このコンサートだけが単独で開催されました。
19時の開演まで時間がありましたので、東ロビーでこの原稿を書いていますと、いつしか開場待ちの列が東ロビーにまで伸びていて、私も慌ててその列に並びました。
すぐに開場となり、入場して2階正面に席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。客席は次第に埋まり、なかなかの入りになりました。
昨年からスペシャルコンサートが設定され、昨年はヴァイオリンの鍵冨弦太郎さんのコンサートでしたが、今年は北区フィルハーモニー管弦楽団です。
楽団設立当初から見守ってきた私としましては、北区で地道に活動している北区フィルハーモニー管弦楽団の記念すべきりゅーとぴあデビューを見守らなければという勝手な責任感を感じ、この公演を楽しみにしていました。
開演時間となり拍手の中に団員が入場しました。弦5部は、いつもより若干多めで、私の目視では 11-12-10-8-5 でした。コンマスは、ゲストコンマスの庄司愛さんです。
指揮の長谷川正規さんが登場して、ベートーヴェンの交響曲第7番の第1楽章で開演しました。最初の出だしから快調で、フレッシュさ、躍動感に溢れ、これぞ北区フィルというような生き生きとした演奏で、期待通りの快演でした。
ここで新潟ジャズストリート実行委員会委員長で、新潟クラシックストリートの最高責任者でもある高坂さんが登場して、挨拶と2010年の北区文化会館の開館とともに結成された北区フィルの紹介、そしてコンマスの庄司さん、指揮者の長谷川さんの紹介がありました。
続いて曲目紹介があり、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーボ」と「フィンランディア」を続けて演奏する旨の案内がありました。
まずは弦楽合奏で「アンダンテ・フェスティーボ」です。これは期待以上の素晴しい弦楽アンサンブルであり、結成当初からこのオケの演奏を聴き続けてきた私でも驚くほどの美しさでした。いつもの北区文化会館と違って、豊かな響きのコンサートホールが弦楽の美しさをさらに引き立てていたのかも知れません。最後にティンパニが加わって、壮大なフィナーレとなり、感動を誘いました。
続いては「フィンランディア」です。テューバとトロンボーンを中心とする重厚な金管群のコラールに始まり、木管が美しく歌い、弦が加わりました。
帝政ロアシアの圧政に苛まれる重苦しさが重厚なサウンドで表現され、ティンパニに導かれて、低弦の響きとトランペットの叫びから、明るく勝利の凱歌が上げられました。そして、木管が美しくフィンランディア賛歌を奏で、ヴァイオリンのトレモロと大太鼓の重低音の上に、弦が賛歌のメロディを引き継ぎ、壮大に歌い上げ、勝利を喜び、感動のフィナーレとなりました。
高坂さんが登場し、ここからは12月のファミリーコンサートのプログラムからの曲を演奏するとの説明がありました。
まず最初は、懐かしい「サンダーバード」のテーマです。高坂さんによるあの「ファイブ!フォー!スリー!トゥー!ワン! Thunderbirds
Are Go!」というカウントダウンとともに、子供の頃に毎週聴いていたテーマが演奏されました。これを懐かしんでいると年がわかりますね。
これは迫力満点で、ノリノリに演奏してくれました。聴かせどころでの音外しが1か所ありましたが、そんなことは些細なこと。勇壮なマーチを力強く演奏し、オーケストラ演奏の楽しさを示してくれました。なお、この曲だけ写真撮影可とのことでしたので、ピンボケですが写真を1枚撮らせていただきました。
高坂さんの曲目紹介があり、続いては映画「ロミオとジュリエット」愛のテーマとNHK大河ドラマの「篤姫」のオープニングテーマの2曲が続けて演奏されました。
「ロミオとジュリエット」は、しっとりとロマンチックに、悲しい愛の物語を美しく歌い上げて、うっとりとさせました。最後の庄司さんのソロとともに、情感豊かに終わりました。
「篤姫」のオープニングテーマは、美しいメロディをゆったりと歌わせ、これぞ大河ドラマというようなゴージャスなサウンドで壮大に歌い上げ、最後はしっとりと終わりました。
高坂さんにより7月の定期演奏会の案内があり、最後はベートーベンの交響曲第7番の第4楽章が演奏されました。
煮えたぎるマグマの如く、熱く、熱く燃え上がり、心はズキズキ・ワクワク。カルロス・クライバーも真っ青の、興奮と感動のフィナーレとなりました。
この曲は先ほどのシベリウスの2曲と同様に、7月20日の第13回定期演奏会の曲目であり、まだ2か月半もあるというのに、今からこれほどの完成度というのはたいしたものですね。
カーテンコールが繰り返された後、高坂さんが出てきて挨拶があり、アンコールに「浜辺の歌」が演奏されました。しっとりと情感豊かな演奏が、興奮と感動の演奏会の最後を締めくくる極上のデザートとなりました。
これで今年の新潟クラシックストリートは終わりになりましたが、フィナーレを飾るにふさわしい北区フィルハーモニー管弦楽団の演奏に胸を熱くしました。
結成直後の有志による演奏を聴き、第1回ファミリーコンサート、第1回定期演奏会から、このオケの成長を見守ってきた私としましては、りゅーとぴあで演奏する姿を前にして、感慨深く感じました。
子育てする親の気持ちの如く、オケの成長を実感し、ついにここまで来たか!という驚きと喜びで胸がいっぱいになり、目には涙がこみ上げてきました。
私のように毎年北区まで遠征しているファンは別にして、客席は北区フィルを初めて聴く人が多かったものと思いましたが、その実力に驚いたのではないでしょうか。
中央区の皆さんは、アマオケといえば長い歴史を誇る潟響ばかり思い浮かべるのではないかと思いますが、北区フィルの魅力と実力をまざまざと見せつけてくれたものと思います。
結成してまだ10数年というのに、ここまで急速に成長し、今後のさらなる活躍を確信して、コンサートホールを出ました。
朝からたくさんの演奏を聴きましたが、最後を素晴らしい演奏で終わることができて良かったです。歩き回って足腰は疲れましたが、心地よい疲労です。
(客席:2階C3-11、1日フリーパス券:¥2000) |