第15回新潟クラシックストリート Trio Pardon
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2025年5月5日(月)14:00 りゅーとぴあ コンサートホール・ホワイエ
Trio Pardon
バリトン:和田達也、ヴィオラ:山本 成、チェロ:山田 慧
 
和田達也:プレリュード

ハイドン:バリトン・トリオ Hob IX より
  No.81 D major より V Vivace
  No.97 D major
  No.70 G major

(アンコール)
  曲目不詳
  

 コンサートホールから急いでホワイエに移動して、次は14時開演の Trio Pardon です。バリトンの和田達也さん、ヴィオラの山本 成さん、チェロの山田 慧さんの3人のユニットです。

 桐朋学園で学んだ仲間ですが、古楽に転身した3人でユニットを組んだそうです。珍しいバリトンという楽器が興味深く、是非とも聴きたいと思っていました。
 このトリオによる演奏会は、6日に旧第四銀行住吉町支店で予定されており、それを聴きに行く代わりにここで聴かせていただこうということで、この公演は外せないと考えました。

 バリトンの和田さんを中央に、左にチェロの山田さん、右にヴィオラの山本さんが並びましたが、調弦用のネジが左右8個ずつも並び、ギターのようなフレッドもある巨大なバリトンは、存在感たっぷりで見応えもありました。

 1曲目は、挨拶代わりに和田さん作曲の「プレリュード」です。バリトンの音を初めて聴きましたが、他の楽器と同様の厚みのあるふくよかな音でした。シンプルで穏やかな曲を、3人の美しいアンサンブルで聴かせて、聴衆の心をつかみました。

 ここで山田さんの挨拶があり、大学の同級生であることなど説明があり、和田さんによりバリトンについての解説がありました。
 16〜18世紀にかけて愛好された楽器ですが、楽器専門の職人でない人が作ったりして、弦をやたら多く付けたりしたことなどを楽しく聴かせてくれました。弓で弾くだけでなく指ではじいたりするそうです。
 そしてトリオ名の Pardon の意味を説明しましたが、当時はバリトンという決まった呼び方がなく、パードンとも呼ばれていたそうです。そして、弦が多いため調弦に時間がかかり迷惑を掛けるので、許しを願う pardon という意味も込めて、Trio Pardon にしたそうです。

 2曲目はハイドンのバリトン・トリオから81番の第3楽章、調弦を挟んで97番、再び調弦を挟んで70番と連続して演奏されました。
 曲については良くわかりませんが、柔らかで穏やかな3種類の弦楽の調べに癒やされ、いにしえの時代を思い浮かべ、優雅なひとときを過ごしました。
 音域が近い楽器で、どの楽器が鳴っているのかわからなくなったりもありましたが、うっとりと聴き入りました。

 山田さんの挨拶があり、アンコールを、曲名は伝えませんでしたが、繰り返しなしで演奏すると断って演奏し、珍しい楽器による興味深い演奏会は終演となりました。

 その後和田さんにバリトンを見せていただきましたが、上面に弓で弾くガット弦が6本張られ、その下に指で弾いたりもする金属製の細い共鳴弦が10本張られているという2階建ての複雑な構造でした。
 古い楽器だと思いましたが、今回使用した楽器は、つい最近製作された物とのことでした。その後も古楽愛好家に取り囲まれていらっしゃいました。6日の公演が盛況となりますように・・。
 

(客席:3列目左)