軍事の世界では、英語が事実上の共通語である。したがって軍事問題の研究は、多くの専門用語、たとえば「Revolution in Military
Affairs」(RMA=軍事における革命)、「Surface to Air Missile」(SAM=艦対空ミサイル)など英語表現の意味を理解することから始まるといってもよい。同時に「海上幕僚長」、「自衛艦隊」などのわが国固有の専門用語も「Chief
of Maritaime Staff」、「Self Defense Fleet」のように英語で表現しなければ国際的に通用しない。本書はそのための有効な文献となりうる英和対訳の軍事用語集で、著者は軍事とインターネットを専門とする翻訳家である。
カバーする分野は国防機関、戦術、技術など実に多岐にわたり、収録用語数は英和が約38,000語、和英が約39,000語に及ぶ。また特定の組織で使われる用語には、「海将補=Rear
Admiral」(海自)のように注を付けるなど、実用面の配慮も行き届いている。翻訳という性格上、本誌の和訳と微妙に異なる例も見られるが、実務として防衛関係の英語に携わる者にとっては必携の一冊といえよう。(Y.T.)
(『世界の艦船』2007.7 P.118より転載)
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