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尾道てのひら怪談への応募

尾道てのひら怪談への応募作品(金森國臣)

尾道てのひら怪談への応募作品

尾道てのひら怪談への応募作品(金森國臣)

尾道てのひら怪談」という怪談小説コンテストが開催されました。応募期間は、2016年12月11日から2017年2月11日。

字数の上限が800字だったので、気楽に応募したのですが、残念ながら、すべて選外でした。せっかくなので、ホームページを作成し、記録として残すことにしました。

応募した作品は、以下の三点です。

  • 向島の山賊
  • 箱灯(はこあかり)
  • 流し目の三毛

(2017年8月 金森國臣)


向島の山賊

子供の頃に聞いた話なので、ずいぶん以前のことになるが、昔は干汐に山賊が出ていたという。江戸時代であれば、よその島から手漕ぎで出張って来てワルサをすることもあったのだろう、とそのときは思っていた。

つい最近、地元の古老に話を聞く機会があり、昔のことがいろいろと解ったのであるが、なんとなく干汐の山賊についても尋ねてみた。すると、確かに出ていのだという。干汐だけでしょうか、とさらに尋ねると、江奥と向東にも出没していたらしい。

少し具体的に場所を特定してみると、干汐は、黒崎鼻の突端を曲がる稲積新開のところで、元の海水浴場あたりになる。江奥の場合は、川尻の地蔵院の横から江奥に抜ける道の途中に溜め池が二つあるが、王子池ではなく奥池のほうらしい。向東は、尾道大橋に向かって登って行って、しまなみ街道が上を通っている二番潟で間違いはない。

いずれも、いまでも人家が疎らになって途絶える場所である。街灯がない時代には、新月ともなれば真っ暗闇になったであろうことは容易に想像がつく。山賊が出たとしても不思議ではない。

出ていた時期が気になって、それも尋ねてみたが、給料日のあとが多かったとの答えであった。これには驚いてしまった。月給制が始まるのは、おそらく明治の頃からなので、それほど古いことではない。となると、島民同士で互いに追い剥ぎをしていたことにもなりかねない。

島の辻辻には御堂や常夜燈が建ち、塞ノ神が祀られていて、古人は邪気の侵入に警戒を怠らなかったのであるが、それもなんとなく頷けるような気がし、少しゾクッとしてしまった。


箱灯

尾道の新開では、店先に箱灯(はこあかり)を点けている。掛け行灯のようなものであるが、ステンドグラス製でキラキラとして美しい。かつては遊興街であったが、いまは 垢抜けた店も多く、若い女性客も増えている。

ユキコとナオコはそのなかの馴染み客だ。二人は市立大に入学して以来の友達だ。田舎暮らしが初めてで戸惑っているユキコの面倒をみたことで、大の仲良しになった。行きつけのカフェバーもあり、お酒の飲み方もここで覚えた。マスターの硬軟取り混ぜた話にも惹きつけられ、一か月に数回は訪れている。

卒業も間近になったとき、ナオコが変なことを言い始めた。ユキコと一緒に来たときだけ、灯りが強くなるという。私はエスパーかよ、とおどけてはみせたが、少し胸がざわついた。最初は軽くあしらっていたマスターもナオコのあまりの熱心さに折れて、それでは実験してみようということになった。

その日は新月で寒々とした夜であったが、狭い小路には三十個余りの箱灯が並べられ、見物もチラホラといる。いよいよ点灯となったとき、ユキコは胸がドキドキとして来た。すると、その心臓の鼓動に合わせるかのように光が明るくなる。まるでホタルのようだ。みなは呆気にとられてしまった。「サヨナラを言っているんだよ」と誰かがポツッとつぶやいた。

すると、ユキコの眼からみるみる涙があふれ出てきた。ここにあるのはユキコが手掛けたものだ。寂れる一方の新開を復活させるため、マスターに頼まれて出したアイデアだ。最初はお金が足りなかったが、なんとか実現し、いまでは町興しのシンボルになっている。

箱灯たちは、ささやくように光を発し、小路を照らし続けている。マスターはニコニコと微笑み、ナオコはユキコの背中をやさしくさすっている。この小さな世界に、まるでおとぎ話しが舞い降りてきたかのように、光は満ちあふれて輝いている。

註記:この作品は、次の中国新聞の記事に触発されて書きました。

尾道市立大美術学科3年の下元綾華さん(21)が、ひろしまベンチャー育成基金(広島市中区)の「ひろしまヤングベンチャー賞」金賞に選ばれた。尾道に多い小路を照らすステンドグラス「箱灯(はこあかり)」を制作。「夜の魅力アップに使われたらうれしい」と話す。

流し目の三毛

長江三丁目の高橋さんは、夫妻でパン屋工房を営んでいます。弟子が一人の小さなお店です。場所は久保町の薬師堂小路です。

横路地を少し奥に入ったところにあり、店の前は坪庭のよになっていて、ちょっとした隠れスポットになっています。こだわりの味で多くのファンを引きつけています。

ふだんは、自転車で通勤しているのですが、その日は朝の散歩も兼ねて、ぶらぶらと坂道を下りました。

長江口の鉄橋に差し掛かったとき、ミャーと鳴き声が聞こえて来ました。少しくぐもった弱々しい声です。猫であることはすぐにわかったのですが、見あたりません。早朝の薄明かりのなかを目をこらして見ると、ガードレールの下に三毛猫がうずくまっています。

口のあたりに血が滲んでいて、交通事故にあったようです。面倒なことになったと思いましたが、呼び止めるようにまた鳴きます。誰も見ていないし、知らん顔をしようかと思いましたが、猫は七代祟るとのたとえもあります。店につれて帰ることにしました。

店内の明るい場所でよくみると、右の後足がだらんと垂れて、一目で重傷だとわかります。素人ではどうすることもできません。尾道水道に流してしまおうかと口走ったものの、キッと睨まれたような気もして観念しました。

伝手を頼って高須の動物病院に連れて行くと、内臓は大丈夫のようだが、足が折れているので、これから手術をするとのことでした。入院が必要なので、三日後に来て下さい。費用は、七万円ぐらいはみていて下さい、とあっさり言われてしまいました。

どれだけの売り上げが野良猫のために消えてしまうのかと考えると、情けない気分になり、落ち込んでしまいました。

約束の日に引き取りに行くと、猫とはいえ、ギブス姿は痛々しく、一気に同情の念が涌いてきました。子供がいなかったこともあり、何くれとなく面倒をみるうち、最初は人間に対する警戒を解かなかったものの、次第に甘えるような仕草もみせるようになりました。

そうなると、可愛さはつのるばかりで、鼻水が出た、食欲がなさそうだと病院へ駆け込む始末になりました。人間よりも治療費が掛かるような溺愛ぶりです。足の傷も治り、部屋の中を元気に駆け回るようになったので、外に出しても大丈夫になりました。しかし、独りで留守番をさせるのも不用心だと、店に連れて行くことにしました。

衛生のこともあるので、通販で購入したキャットハウスを店先に組み立て、そこで店番をさせるせることにしました。時々いなくなるものの、高歩きをすることもなく、一日中おとなしく座っています。

とくに愛想を振りまくようなこともなかったのですが、あるときから妙な噂が立ち始めるようになりました。パンを購入したお客にだけ、流し目をするらしいのです。

虎の八方にらみと同じで、見る角度によって、そう見えるだけのことだろうとは思うのですが、いまのSNSの拡散力で、たちまち、流し目の三毛として知られるようになりました。近隣の三原や福山はおろか、広島から訪れる人もいて、土日には行列ができることも珍しくありません。

事情をよく知るご近所の人達は、これこそまったく猫の恩返しだと三毛の頭をなでてくれます。

しかし、そうであれば、何時かはフッといなくなるのではないかとの不安が頭をよぎりますが、それも杞憂のようで、相変わらず泰然と日向ぼっこをしています。

朝凪の路地に流るるベーグルの香りのどけき尾道の春

ツブヤキ

字数が800字の制限はともかく、40行の制限がやっかいで、これには閉口した。20字×40行以内で何か書けと言われても、書きようがなかった、

このホームページでは、読みやすさも考えて、改行をかなり入れてあるので、もちろん40行には収まっていない。

もうひとつ気になったことは、尾道を題材にすることが、条件に挙げられているのだが、数点の受賞作を斜め読みした限りでは、「尾道」のところを「三原」や「福山」に書き換えても成立する話が多い。

作品数の多さから考えて、全国にはヒマな人が十分に沢山いて、書きためていた話をその都度、はき出しているのではないかと想像したりもした。

内容についても、どちらかと言えば都市伝説風のものばかりと言ってもよく、いちおうは怪談との条件が付いているのだから、多少は怖い話があってもよさそうなものだと、これにも不満を持った。

ただ、これは主催者の好みに関わることなので、どうにもならないから、次に機会があって、仕事がヒマだったら、読んだだけでも気持ちが悪くなるような話を、嫌がらせに書いてみようかとも思ったりしている。


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