2021年コンサート・マイ・ベスト10



 今年も新型コロナ感染に明け暮れた1年でした。中止や延期されたコンサート、出演者が変更されたコンサートなどいろいろありました。
 その中でも、最も残念だったのは、毎年楽しみにしている「新潟市ジュニア合唱団第31回定期演奏会」と「新潟市ジュニアオーケストラ教室第40回演奏会」が、ジュニア音楽教室内の感染発生のため中止されたことです。私にとって1年で最も楽しみなコンサートであり、落胆にくれましたが、来年に期待したいと思います。

 では、例年のように、心に残ったコンサートを、順にご紹介しましょう。

 

2021年1月16日(土)15:00 朝日酒造エントランスホール
大瀧拓哉 ピアノリサイタル

 前半は藤倉大とシルヴェストロフ、後半はリストのロ短調ソナタが演奏されました。パワフルながらも美しい響きに包まれる演奏は大瀧さんならではです。残響豊かなホールと、入念に調律されたスタインウェイが相まって、極上の音楽が届けられました。
 

2021年3月14日(日)14:30 新潟市秋葉区文化会館
新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団第7回演奏会

 鍵冨弦太郎さんとのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が演奏されました。抜群の演奏技術に支えられて、燃え上がるようなヴァイオリン。力強さと情熱にあふれ、グイグイと演奏に引き込まれました。ヴァイオリンとオケとが互いにせめぎ合い、鬼気迫るような演奏に息を呑みました。
 

2021年3月21日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
東京交響楽団新潟特別演奏会 「2021弥生」

 モーツァルトの交響曲第40番とレクイエムが演奏されました。小編成ながらも、豊かな低音で厚みを感じさせたオーケストラの美しさ、美しい歌声で魅了したソリストたち。そして、心打つ音楽に仕上げたマエストロのすばらしさ。それぞれが見事なパフォーマンスでホールを埋めた聴衆を魅了しました。
 曲はレクイエムではありましたが、新型コロナ禍で落ち込んだ心に、一条の光のような明るさとパワーとをいただいたように感じました。


2021年5月9日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
東京交響楽団第119回新潟定期演奏会

 高関さんは、突然のピンチヒッターとは思えぬ指揮ぶりで、オケからパワーを引き出し、苦難の社会に光を照らし、元気と勇気を与えてくれました。明日からの生活に希望を与えてくれた音楽の力の素晴らしさを実感しました。
 

2021年7月3日(土)14:30 新潟市民芸術文化会館 スタジオA
平林弓奈 ピアノリサイタル

 平林さんの魅力が全開した期待通りの演奏でした。クリスタルのような弱音の美しさもありますが、スリムで華奢な身体からは想像できないパワーに溢れる演奏は驚きです。
 スタジオAに置かれているヤマハのCFIIIから、これほどの音を出せるピアニストは、そうはいないんじゃないでしょうか。大音量でも濁りは全くなく、色彩感が豊かでクリアに響きます。私は最前列でしたので、圧倒的な音量にノックアウトされました。
 

2021年7月10日(土)14:00 新潟市民芸術文化文化会館 コンサートホール
笛田博昭 テノールリサイタル

 期待にたがわぬ笛田さんの歌声。声量豊かに、ホールいっぱいに響き渡り、聴く者の心を魅了しました。まさに新潟の宝です。世界でものトップ級と言っても過言ではないでしょう。
 

2021年11月7日(日)17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
東京交響楽団第123回新潟定期演奏会

 スピード感、躍動感にあふれる切れのある演奏は心地よく、胸が高鳴り、否応なしに感動させられました。これほどの演奏はめったに聴けるものではなく、これまでの東響新潟定期演奏会の歴史の中でも屈指の演奏に違いありません。前半後半ともお見事としか言いようはなく、ウルバンスキ恐るべし、東響恐るべしです。
 

2021年11月14日(日)17:00  柏崎市文化会館 アルフォーレ 大ホール
クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル

 スピード感に溢れ、流麗で軽やかなピアノに感銘を受けました。豊潤なホールの響きがピアノをソフトに響かせて、極上のサウンドを作り出しました。
 最高のホール、最高のピアノ、そして最高の演奏。三位一体となり、至福のひと時を過ごさせていただきました。はるばる柏崎まで遠征した甲斐がありました。
 

2021年11月21日(日)14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
新潟交響楽団創立90周年記念第107回定期演奏会

 石丸由佳さんとのサン=サーンスの交響曲第3番は、大音量で鳴り響くオルガンに負けずとばかりに、オケもフルパワーで駆け抜けて、興奮と感動のフィナーレを迎えました。
 大オルガンを備えたこのホールならではの曲であり、録音では決して味わえない生演奏の迫力を肌で感じ、今この時間に、このホールにいることの幸せと至福の喜びを感じました。
 

2021年12月18日(土)17:00  新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism0/Noism1「境界」

 後半のNoism0が圧巻でした。フィナーレでの斬新な演出にはあっけに取られ、ただただ圧倒されるばかりでした。音楽、映像、照明を含めて、最高のパフォーマンスで魅了されました。この精神性の高さの前ではひれ伏すしかありません。さすがにNoism0です。これぞNoism0です。感動以外の何者でもありません。
 
 
 
 この中で、ベスト1は、「東京交響楽団第123回新潟定期演奏会」です。ウルバンスキの指揮に見事に応えた東響の素晴らしさに息を呑みました。
 そして、次点は、音楽ではありませんが、Noism0/Noism1「境界」です。ラストの感動は実演を見た人にしかわかりません。新潟にNoismがある幸せを、多くの市民に知ってもらいたいですね。