東京交響楽団川崎定期演奏会第84回 Live from MUZA!
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2021年12月5日(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ジョナサン・ノット
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
コンサートマスター:小林壱成
 
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83

(休憩20分)

ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
 もはや恒例になった東京交響楽団の無料配信です。10月24日の東京交響楽団名曲全集第170回に引き続いて、今回も視聴させていただくことにしました。11月6日にも生配信があったのですが、翌日の新潟定期と同じプログラムでしたので、これは視聴しませんでした。

 今回の指揮は音楽監督のノットさんです。オミクロン株の拡大に伴って外国人の入国が禁止されましたが、ノットさんはその前から来日しておられ、入国制限にかからないで何よりでした。ちなみにノットさんは、帰国せずに、年末の第九公演まで日本に滞在することにしたそうです。ありがたいことです。
 前半で共演するピアニストはゲルハルト・オピッツさんです。当初はニコラ・アンゲリッシュの出演予定でしたが体調不良で来日できず、オピッツさんに変更になりました。オピッツさんはちょうどコンサートで来日していたようですね。過密スケジュールの中、協奏曲の演奏を引き受けてくれるとはたいしたものです。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待つ新潟方式が川崎でもすっかりと定着しました。最後にコンマスの小林さんが登場して大きな拍手が贈られました。オケはヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、オケのサイズは14型です。今日の次席は何とニキティンさん。2列目には田尻さんと廣岡さんが並ぶという強力な布陣です。

 前半はブラームスのピアノ協奏曲第2番です。この曲は、2018年11月の第110回東響新潟定期でノットさんの指揮(ピアノ:アルパース)で聴いており、また、2003年7月の第21回東響新潟定期ではスダーンの指揮で聴いていますが、このときのソリストはオピッツさんでした。何か因縁深いものを感じます。(この曲は人気曲のためか、このほかにも、新潟定期では2013年11月の第110回東響新潟定期で大友直人さん指揮で演奏されています。)

 マスクを着けたオピッツさんとノットさんが登場し、マスクを外して演奏開始です。全身を使った流麗な指揮のノットさんと、堂々として風格漂うオピッツさん。これぞブラームスとばかりに、渋くも力強く突き進みます。天に昇るような第3楽章での伊藤さんのチェロの独奏も美しかったです。
 有無を言わせないような信念に満ちたブラームスに、オピッツさんの凄さを感じました。さすがにドイツを代表するピアニストですね。代役がオピッツさんで幸いだったと思います。

 後半はルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲です。珍しい曲ではありますが、2016年5月の大阪フィル第498回定期演奏会で、ウルバンスキの指揮で聴く機会がありました。ノットさんはどんな演奏を聴かせてくれるでしょうか。

 前半同様に、拍手の中に団員が入場。最後に小林さんが悠々と出てきて一礼し、大きな拍手を受けてチューニングとなりました。オケのサイズは大きくなって16型になりました。多彩な楽器が並び、ハープが2台、チェレスタやピアノもあり、ステージいっぱいの大編成です。

 ノットさんが出てきてマスクを外して演奏開始です。指揮台に譜面台はなく、暗譜での指揮です。ティンパニの連打で、ちょっとおどろおどろしい音楽が始まりました。
 管弦楽のための協奏曲というだけあって、各楽器が次々と現れます。それぞれが見事に自分をアピールし、壮大な音楽世界を作り上げていました。
 東響の実力が如実に示され、暗譜で見事にまとめ上げたノットさんを賞賛したいと思います。演奏終了と共にガッツポーズをしたノットさんが演奏の良さを物語っていました。

 素晴らしい演奏を讃え、団員が引き上げた後もノットさんが出てきて、拍手を受けていましたが、ノットさんのうれしそうな姿が印象的でした。

 このような素晴らしい演奏を無料配信していただいた東響に感謝し、配信サイトを後にしました。

 
 
(客席:PC前、無料)