東京フィルハーモニー交響楽団長岡特別演奏会
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2019年9月7日(土) 14:00 長岡市立劇場 大ホール
指揮:アンドレア・バッティストーニ
  

レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
        第1曲 夜明けのジューリアの谷の噴水
        第2曲 朝のトリトーネの噴水
        第3曲 真昼のトレヴィの噴水
        第4曲 黄昏のメディチ荘の噴水

レスピーギ:交響詩「ローマの祭」
        第1曲 チルチェンセス
        第2曲 五十年祭
        第3曲 十月祭
        第4曲 公現祭

(休憩20分)

レスピーギ:交響詩「ローマの松
        第1曲 ボルゲーゼ荘の松
        第2曲 カタコンベ近くの松
        第3曲 ジャニコロの松
        第4曲 アッピア街道の松

     特別出演(バンダ):帝京長岡高等学校吹奏楽部

(アンコール)
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
アブレウ:ティコ・ティコ・ノ・フバ
 

 先週は仕事で休みがとれず、2週間ぶりのコンサートになります。今日は長岡まで遠征して東京フィルの演奏会です。
 新潟市は東京交響楽団と準フランチャイズ契約をし、毎年6回の定期演奏会やアウトリーチ活動をしていますが、長岡市は東京フィルと契約を結び、子供向けのコンサートや特別演奏会を開催しています。

 長岡での東京フィルの演奏会は、2000年5月以来何度か聴かせていただいていますが、昨年(指揮:広上淳一)は聴きに行けませんでしたので、2017年7月(指揮:チョン・ミョンフン)以来2年振りになります。また、バッティストーニの指揮で聴くのは2016年10月以来3年ぶりになります。

 今回の演目はレスピーギの「ローマ三部作」です。イタリア出身のバッティストーニとしては得意の曲と思われますし、「ローマの松」では地元高校生もバンダで共演するとのことで、新聞でも取り上げられ、期待が膨らみました。
 なお、「ローマ三部作」をまとめて聴くのは、2017年3月の東京交響楽団第100回新潟定期演奏会(指揮:飯森範親)以来2年半ぶりになります。
 演奏映えし、オーケストラの醍醐味を知るには最適なこの曲を、東京フィルのシェフ(主席指揮者)であるバッティストーニがどう調理してくれるか楽しみでした。

 ということで、フェーン現象による猛暑の中、長岡へと向かいました。車の外気温計は36℃を表示し、厳しい残暑です。
 大河津分水を渡り信濃川沿いを与板へ。いつもの農道を直進し喜多ICまで進み、長生橋を渡って長岡市立劇場に到着。家から55km、1時間半。快適なドライブでした。道中の田んぼでは稲刈りが真っ盛りで、秋を実感しました。
 思いのほか早く到着し、開場まで時間がありましたので、ロビーでゆったりと休憩しながら、この記事を書き始めました。

 長岡市立劇場は、昨年夏にリニューアル・オープンしました。外観は従前と変わりないですが、スロープやエレベーターが設置されてバリアフリー化され、ちょっとこぎれいになりました。ここに来るのは、昨年11月以来10ヵ月ぶりです。

 開場時間がちょっと早まって入場開始。私の席は後方中央のA席。見張らしが良くて好きな場所です。客の入りはほどほどで、両サイドにかなりの空席があり、もったいなく感じます。
 客席には知った顔もちらほら見られました。わざわざ新潟から聴きに来ている人も多いのに、長岡の人はもっと来なくっちゃねぇ…。
 ステージ上のオケの配置はオーソドックスな並びですが、左にピアノとチェレスタ、右にオルガンが配されています。拍手の中に団員が入場。最後にコンマスが入場し、大きな拍手が贈られました。

 バッティストーニが颯爽と登場し、最初は「ローマの噴水」です。朝もやが立ち込める中に夜が明け、眩しいくらいの朝日に照らされて一日の活動が始まり、晴れ渡った真昼の空の下に勝利の歓喜に酔い、やがて夕暮れを迎え、遠くから聴こえる教会の鐘の音が静かに響く中に夜がふけていく。南欧の明るさを感じさせる色彩感あふれる爽やかな演奏でした。美しい上質なオケの響きにうっとりと聴き入りました。

 2曲目は「ローマの祭」です。指揮台の楽譜が片付けられ、暗譜での指揮です。ステージ左袖にトランペット3人が並び、荒々しい前奏に引き続いて生き生きとしたファンファーレで演奏が始まりました。競技場で猛獣を前に逃げ惑い、犠牲になった殉教者を弔い、秋にぶどうの収穫を祝い、そして賑やかに盛り上がる公現祭。多彩な打楽器群やマンドリンなどが活躍し、華やかで聴き映えする曲であり、オーケストラの楽しさを満喫させてくれました。ブラボーとともに大きな拍手が贈られて休憩に入りました。

 後半は「ローマの松」。公園で元気に遊びまわる子どもたちの明るい光景。一転して、地下墓地から聴こえる使者たちの悲痛な叫び。その暗闇に優しく差し込む月の光。小鳥がさえずる中に夜は開け、その静けさを打ち砕くローマ軍の進軍。ステージ両側に帝京長岡高校生を主とする大編成のバンダが登場し、壮大なフィナーレへ向けてホールをブラスの大音響で満たしました。これで盛り上がらないはずはなく、ホールは感動と興奮で埋め尽くされました。

 アンコールは「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」を弦楽でしっとりと演奏し、「ローマの松」の興奮を鎮めてくれました。上質なデザートに感謝です。
 これでも十分でしたが、もう1曲楽しいラテンナンバーを演奏し、客席の手拍子とともに盛り上がって終演となりました。

 東京フィルを手中に収め、存分にドライブするバッティストーニ。さすがに楽しませてくれます。東京フィルの皆さんも、ホルンやクラリネットの聴かせどころのソロもばっちり。まさにイタリア!というような、深刻ぶらない爽快な演奏に心躍りました。やっぱり音楽は楽しくなくっちゃ、ねえ・・。

 楽しい音楽にストレス解消され、ウキウキ気分で農道経由で家路に着きました。往路より早く、あっという間に家に着きました。

 と、ムーティ指揮フィラデルフィア管のCDを聴きながら書いていますが、この名盤も生演奏の迫力にはかないませんね。

 

(客席:29-25、A席:¥4000)