今年もこの日がやってきました。私はこの日を楽しみに1年間生きているといっても過言ではありません。毎年欠かすことなく聴かせていただいています。
ウィーンフィルが来ようが、ベルリンフィルが来ようが、私はジュニアオケを選びます。と、毎年同じことを書いていますが、そういう気概でこのコンサートに臨んでいます。だれも褒めてくれませんが、本当に万難を排して、このコンサートを聴いているんですよ。
さて、今年のB合奏のメインはショスタコーヴィチの交響曲第5番という重量級プログラムです。昨年の「火の鳥」にも驚きましたが、今年のショスタコーヴィチにはもっと驚きました。春先にこの噂を聞いたとき、本当かと耳を疑ったのですが、本当だったんですね。
ということで、早めに昼食を摂り、りゅーとぴあ入り。まだ開場待ちの列は延びておらず、チラシ集めをして、おもむろに列に並びました。この原稿を書き始めたところで開場時間となり、いつもの2階正面に席を取りました。今日は3階席は使用されませんでした。
席を確保した後は、ロビーコンサートに臨みました。いつもは3階のバルコニーで聴くのですが、3階への階段が閉鎖されていたため、ロビーで聴きました。
藤井先生の新作のファンファーレで開演。各グループとも見事な演奏でしたが、特に新コンサートマスターの田邉君とヴィオラの阿部さんの二重奏が素晴らしかったです。
開演時間となり、A合奏から演奏開始です。小学生中心の初級クラスという位置付けですが、アンバランスな楽器編成ながらも、ちゃんとしたオーケストラサウンドを生み出していました。5月から練習してここまでできるというのは素晴らしいと思います。メンバーは毎年入れ替わっているはずですが、A合奏の最近のレベルアップには驚きです。
続いてはB合奏です。ステージ準備の間に団員による挨拶があるのですが、今年は男2人組で、芸人顔負けの元気の良いギャグを飛ばして会場を沸かせました。
最初は「マイスタージンガー前奏曲」です。永峰さんの指揮に応えて、ちょっと速めにグイグイと飛ばし、若者らしく明るく元気に演奏し、さすがジュニ・オケと唸らせられました。
休憩を挟んで、いよいよショスタコーヴィチです。第1楽章冒頭の弦の唸りを聴いて、名演が確信されました。ぐいぐいとオケをドライブする永峰さんに、悠々と食らいつくオケの面々。聴かせどころの管楽器のソロもお見事。緊張感を保ち続ける演奏は、とてもジュニアとは思えません。ジュニアという枠を外して考えても、高水準な演奏であり、潟響も新大オケも負けそうです。
この曲は、5月の東響新潟定期で、ノットの指揮で聴いたばかりですが、当然プロにはかなわないものの、与える感動は決して劣ることはありません。
張り詰めた緊張感に息を呑む第3楽章から、開放されて大爆発する第4楽章へ。一糸乱れぬアンサンブルで、感動と興奮のフィナーレへと駆け上がりました。これでもかと打ち鳴らす太鼓の連打に、私の心も揺り動かされました。感動の涙が込み上げ、ホールに響くブラボーの声に負けずと、力の限り拍手しました。
きっといい演奏をしてくれるとは期待していましたが、これほどの演奏になるとは予想せず、ただただ驚くばかりでした。かつての「伝説のチャイ5」に勝るとも劣らない、歴史に残る快演だったと思います。
アンコールはもちろん「威風堂々」。高校3年生はこの曲で退団です。その思いが込められた演奏は、どんなプロオケでもかないません。先日東響で聴いたばかりですが、私にとっては、やっぱりジュニアですね。終盤の山本さんのオルガンが加わる頃には、感動の涙が抑えきれず、目から頬へと流れ落ちました。
この感動を生きがいに、私は生きています。この感動を楽しみに、1年間歯を食いしばって働いています。来年のこの日を楽しみに、これからの1年を頑張っていきたいと思います。
(客席:2階C3-7、¥700) |