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フィリピン活動記:

第2号報告書

第2号報告書(赴任6か月目)として、以下の項目について報告します。


1. 任国での生活
2. 任国の業務水準
3. 配属の現状の変化について
4. 活動報告
5. 今後の活動計画

※ 文中には「付録参照」とありますが、付録は掲載していません。ご了承ください。
※ プライバシーを考慮して、掲載している画像には軽くぼかしをいれています。ご了承ください。


1. 任国での生活

1.1. 生活環境

(1) 住居環境

隊員のアパートは、配属先と同じバランガイ*1)にあり、トゥゲガラオ市中心街より約7km離れています。配属先へは徒歩で15分、トゥゲガラオ市中心街までトライシクルまたはジープニーで約15分、5ペソで到着します。
アパート周辺には国立病院があり、そのため多くの店と人とで賑わっています。雑貨屋、薬屋、食堂、露店などが立ち並び、中には24時間営業の店まであります。郊外にありながらも、非常に便利で快適な場所です。

*1) 自治体の最小単位。集落。

(2) 生活上特に問題の無い点

  • 物資
    トゥゲガラオは比較的大きな街であり、店も多く、生活に必要なものは何でも購入することができます。トゥゲガラオでは手に入らないもの、たとえば、活動に必要なコンピュータ機材などはマニラに行けば手に入ります。物資面では特に困るようなことはありません。
  • 物価
    フィリピンの他の地域と比べると、物価が低く、すごしやすいです。
    食料品は非常に安く、食費は1日100ペソ以下で十分足ります。また、娯楽施設が少なく、お金を使うようなこともありません。そのため、逆に生活費が使いきれず余ってしまう状態です。
  • 食事
    ここルソン島北部は野菜の産地であり、野菜料理が多いです。また、市場でも野菜の種類は豊富で値段も非常に安いです。野菜を多く摂取できるので、栄養面で心配することはありません。

(3) 創意工夫した点

  • セキュリティ
    セキュリティ強化のため、自宅に鍵を追加しました。現在、外側2重、内側3重に鍵をかけられるようになっています。
    鍵を追加した理由は、既存の鍵の強度が弱いためです。以前自宅で寝ていたとき、遊びに来たフィリピン人が自宅の鍵をこじ開けて部屋に入ってきました。幸い知り合いであり悪意の無い人だったので良かったのですが、この状態だといつ侵入されてもおかしくないということがわかり、鍵を追加することにしました。
    実際には、自宅近辺の治安は非常に良いです。アパートの敷地内には大家の自宅があり、住み込みのお手伝いさんが3人住んでいます。お手伝いさんたちや他の住人たちとはよく話をしたり酒を飲んだりしているため人間関係は良好で、それがセキュリティ強化に役立っています。彼らは、セキュリティ上問題がある場合は忠告してくれます。(たとえば、ドアは閉めたか?鍵はかけたか?夜に洗濯物を干すな、夜は1人で出歩くな、など)
    また、ここカガヤン州は失業率が4%台と国内でもっとも低く、犯罪の話も聞きません。治安は良いようです。
    治安面には問題がないですが、念のため鍵を追加しました。
  • 家財道具など
    家財道具や電気設備などは質が悪いため、ある程度は自分で治すようにしています。
    たとえば、洋服タンスは立て付けが悪いため、購入後に一度ばらして組み立てなおしました。電源コンセントや蛍光灯はすぐ壊れるので、これらも自分で治すようにしています。
  • 温水器
    シャワー用の温水器を設置しました。
    トゥゲガラオは12月から3月にかけては気温が下がり、10度台まで冷え込む日もたびたびあります。水のシャワーを浴びていたため、体調を崩して風邪を引き、1週間ほど休んだことがありました。
    温水器は高価ですが、体調を崩すよりは良いと考えて、設置しました。

1.2. 生活状況

(1) 任国の人との交際

人国での人間関係はとても良好です。配属先、大家、周辺の住民など幅広く付き合っています。
問題は配属先の人事異動に関わる人間関係が少々微妙なことですが、これについては後述します。
配属先の人とは一緒に遊びに出かけたり、食事に行ったり、飲みに行ったり、パーティーに行ったりします。たわいも無い話や、配属先での問題点を話したりします。交流を深めることでお互いに信頼度が増し、活動がしやすくなります。
大家や周辺の住民とは一緒に酒を飲む機会が多いです。大家の家がアパートの敷地内にあり、食事や飲みによく誘われます。近所の露店や商店;八百屋、果物屋、トロトロ、ラーメン屋の店主ともよく会話します。バランガイを歩けば声をかけられることが多くなりました。彼らと積極的に会話し、近辺の情報を得るようにしています。
週の半分以上は現地人と酒を飲んでいます。さすがにこれだけ酒を飲んでいると体が疲れるし、自分の時間をもてなくなりますが、これも協力隊活動の1つだと思って交流を深めるようにしています。

(2) 余暇の過ごし方

余暇は遊んだり、勉強したりと充実した時間をすごしています。
特に、現地の人と一緒に遊びに行ったり、飲みに行ったり、パーティーに招待されることが多いです。最近では自分から現地の人を招いてパーティーを開くこともあります。
トゥゲガラオ市街までショッピングにでかけることもあります。市街地は店が多くあるため、ショッピングモール、露店街、市場などを散策します。市場には食材が豊富にそろっていて、食料を買ってきて自炊をしたりします。


1.3. 語学の習熟度

(1) 英語

聞き取りの能力は上達しており、フィリピン英語を普通に聞いてわかるようになりました。フィリピン英語は独特の発音であったりタガログ語が混じっていたりしますが、今では問題なく理解できるようになりました。
逆に話す能力はまだまだです。発音は会話の中で教えてもらいながら勉強しています。文法は全然上達しておらず、もっと勉強する必要があります。英語の勉強時間を確保して上達につなげていくのが今後の課題です。

(2) タガログ語

タガログ語は簡単な会話ならできるようになりました。自分の意思を伝えること(おなかがすいた、眠い、好き、嫌いなど)や、買い物、値下げ交渉をすることができます。
ある程度のタガログ語を話すことは重要です。フィリピン人の中には英語がうまく話せない人もいるからです。
タガログ語は自分で勉強するほかに、会話の中で教えてもらったりしています。タガログ語だけでなく他の現地語;イロカノ語、イバナグ語を教えてもらうこともあります。
今後も簡単な会話を中心にタガログ語を勉強していきます。

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2. 任国の業務水準

2.1. 情報システム

(1) 情報システムの状況

配属先には情報システムと呼べるものはありません。教職員はオフィスソフトを使って文書を作成し、紙ベースで情報管理を行っています。中にはMS-ExcelやMS-Accessなどを使って情報管理をしている人もいますが、あくまで個人利用であり、組織としての情報管理は紙ベースで行っています。
全体的に情報システムを導入している企業、組織は少ないです。機材の導入コストや維持費が高いからです。情報システムの稼働率、信頼性を確保するための安定した電力確保が必要となり、発電機や無停電電源装置を自前で設置しなくてはならないため、それらの購入費や維持費が必要となります。情報システムはあまり普及していません。
情報システムを導入している数少ない企業や病院では、スタンドアロンシステムをよく見かけます。これらはMS-DOSやWindowsをベースとしたものです。
任地ではネットワークを利用したクライアント・サーバ型やWebシステムは見かけません。任地ではLAN、インターネットが普及しておらず、したがってネットワークを使いこなせる技術者が少ないためだと考えられます。

(2) 日本との比較

情報システムの費用対効果は、日本とフィリピンにおいては大きく異なります。
日本においては、情報システムを導入する目的は「企業利益の追求」です。情報システムを導入することによって、人的コストの削減、時間的コストの削減を実現し、利益に結びつけるという考え方です。最近では、情報システムを導入することによって顧客にサービスを提供するという考え方がありますが、これも最終的には「企業利益の追求」が目的です。
ところがフィリピンにおいては、情報システムを導入したところでコストの削減は期待できません。人件費が安いため、時間的コスト削減を図って業務を効率化する必要が無いからです。業務の効率化を図るよりも、従業員を増やすことで企業利益が増えるからです。
日本と同じ方式で情報システムを導入したのでは、「企業利益の追求」という目的を達成できないばかりか、運用、保守費用など余計なコストがかかる結果となります。
もっとも、情報システムとコストを考えるには、従業員の基礎学力、識字率などを考慮にいれて計算しなければなりません。この点はもう少し研究していく必要があります。
しかしながら、情報システムの費用対効果における日本とフィリピンの違いについては留意すべき事項です。


2.2. コンピュータ利用水準

(1) エンドユーザ

エンドユーザ*2)のコンピュータ利用能力、技術は高水準です。彼らは自在にオフィスソフトを使いこなし、業務に役立てています。ドキュメント作成が中心ですが、中にはMS-ExcelやMS-Accessなどを用いて情報管理を行っている人もおり、その利用水準は日本以上と考えられます。
コンピュータ利用能力、技術、すなわちコンピュータリテラシは、教育機関でしっかりと教えているわけではありません。しかし、実際には彼らはコンピュータを上手に使いこなしています。彼らは物怖じせず好奇心があるため、新しい技術でもすぐに使いこなす能力が備わっているからと考えられます。

*2) 情報システムの利用者、一般ユーザのこと。

(2) コンピュータ技術者

豊富な技術、知識を持つ優れたコンピュータ技術者は少ないです。
優れたコンピュータ技術者が少ないがために、新しい技術、機材の導入が遅れたり、それらを使いこなす人材が育たなかったりという結果になっています。特にネットワークの知識や技術を持っている人が少なく、ネットワークの導入が遅れる原因となっています。
他の国立大学(State University)の技術者と話す機会がありました。私の配属先と同様、予算を工夫してコンピュータやネットワーク機材を購入しているようですが、優れた技術者、経験を持っている技術者が少ないため、導入がうまくいっていないようです。
優れたコンピュータ技術者が少ない理由は、次の通りです。

  • インフラが貧困であること
    全般的にインフラが貧困であり、それが理由で新しい技術の導入が遅れています。新しい技術の導入が遅れるため、それを勉強したり体験したりする機会が遅くなり、結果的に他の地域と比べて新しい技術を持っている技術者が少なくなっています。
    なお、ここでのインフラとは、ネットワーク回線(LAN、インターネット回線)、電力などです。
  • 教本が少ないこと
    教本が少ないため、コンピュータ技術者が技術を勉強することが困難になっています。
    フィリピンでは書籍は輸入に頼っているため非常に高価になっており、簡単に入手することが出来ない状況です。簡単に入手できないため、教本を用いた勉強は困難になっています。
    配属先ではコンピュータ技術の教本を購入していますが、古い本ばかりです。新しい教本の購入頻度が、日々進歩するコンピュータ技術には追いついていないようです。
  • 豊富な経験を持つ技術者が少ないこと
    豊富な経験を持つコンピュータ技術者が少ないため、コンピュータ技術がなかなか広まりません。
    豊富な経験を持つ技術者は給料の高いマニラ首都圏の企業などに行ってしまい、地方には少ないという状況です。豊富な経験を持つ技術者が少なくなるため、優れたコンピュータ技術者が育たないという結果になっています。

2.3. 今後協力が必要な分野

(1) インフラの整備

コンピュータ技術に関するインフラの整備に関して技術協力が必要です。インフラを整備することで、情報システムの導入促進、新しい技術の普及、コンピュータ技術者の技術向上が期待できます。
具体的には、次の2点です。

  • ネットワーク
    ネットワーク(LAN、インターネット回線)の設置、技術指導の協力が必要です。ネットワークの普及拡大により、新しい技術の利用、コンピュータ技術者の技術向上が期待できます。また、インターネットがすべての地域で平等に利用できることにより、都市部と地方との情報格差も小さくなります。
  • 電力
    停電を抑えることにより、情報システムの導入促進が期待できます。情報システムの稼働率向上、信頼性向上、購入費および維持費の削減により、情報システムが導入しやすくなるからです。

(2) コンピュータ技術者への技術指導

コンピュータ技術者への技術指導が必要です。
技術者を育てることで、新しい技術の導入、普及、さらなる技術者の育成が期待できます。


2.4. 協力する必要がないと思われる分野

(1) エンドユーザへのコンピュータ基礎教育

仕事でコンピュータを利用しているエンドユーザは、すでにコンピュータを使いこなしています。物怖じせず好奇心が強いため、新しい技術に慣れるのが早いです。コンピュータ基礎教育における協力の必要はありません。
逆に日本国内のエンドユーザこそコンピュータ基礎教育が必要です。日本人、特に年輩者は保守的な傾向があり、そのため、コンピュータの利用能力、技術習得能力はフィリピン人より低いと考えられます。国際協力より先にむしろ日本国内においてのコンピュータ基礎教育の方が必要です。

(2) 機材の購入支援

配属先や周りの機関では、少ない予算ながらも工夫して機材を購入しているようです。
たとえば、隣の州の国立大学(State University)では、毎年計画的に数台ずつコンピュータを購入しています。
少ない予算を工夫して機材を購入している彼らの自助努力を維持させるために、その購入支援は控える方が良いと考えます。
むしろ、機材を購入してもそれを上手に利用できていないため、機材の購入支援よりも技術指導の協力が必要です。


2.5. コンピュータ技術以外における協力の必要性

フィリピン人と一緒に生活、行動するなかで、特に必要と思われる協力分野は見当たりません。任地トゥゲガラオは失業率が低く、治安も悪くありません。そのためかストリートチルドレンもほとんど見かけません。道路のような経済インフラは日比友好道路など日本の協力ですでに整備されています。
彼らは何かに不満を持っている様子もありません。私から見ると不便な点;頻繁に起こる停電や断水などがありますが、彼らはそれを気にすることなく幸せそうに暮らしています。確かに日本と比べると貧乏ですが、それなりにうまくやっているようです。
私が問題と考えている点でも、彼らは問題としていないこともあります。たとえば、配属先の校舎は学生数に対して教室が少なく、校舎外で青空教室を行っている授業もあります。これを問題点として指摘しましたが、「外で授業をしたほうが涼しいため、先生も学生も好んで青空教室で授業をしている」と言われました。彼らが問題と思っていないのであれば、それについて協力する必要は無いし、協力すべきでもありません。
あえて協力が必要な分野をあげるとすれば、次の点です。

  • 都市交通の改善
    任地トゥゲガラオ市は数年前に市になったばかりで、都市化が進行中です。ファーストフード店が次々とオープンし、大型商業施設も増えています。
    しかし、まだ都市交通は発展していません。
    市内の主な交通機関はトライシクルです。それが原因で交通渋滞、排気ガスが深刻な問題になっています。通勤時間帯は大渋滞を引き起こし、市民はハンカチで口を覆いながら歩いています。この問題を解消するため、交通機関をトライシクルからジープニーに置き換えるなどの対策が必要です。(しかしながら、トライシクルが多いということはその運転手が多く、それが失業率低下の原因となっているとも考えられます。トライシクル置き換えの際はこの点を考慮しなければなりません。)
    トゥゲガラオを起点として、各地へ向かう路線バスが多数運行されています。それらの路線バスのターミナルは会社別に場所が異なります。同じ行き先でも違うターミナルのためわかりにくく、また、バスターミナル間の移動が大変です。市内のバスターミナルを一箇所または方向別にするだけで乗客にとって便利になり、経済効果があるのではないかと考えます。
    市内は交通量が多く、通勤時には大渋滞が起こります。原因のひとつに、信号機が1基もないということがあげられます。信号機を導入することで、交通渋滞を減らすことが可能と考えられます。
    都市交通の改善により、さらなる都市の発展が期待できます。
  • 植林
    マニラとトゥゲガラオの間には山間部があり、そこをハイウェイが通っています。
    その山々の大部分は木が少なく、禿山のようになっています。木が少ない山には畑があり、農地開拓のために木を伐採したということが容易に想像できます。
    その山々では、木を伐採したことが理由による土砂崩れがたびたび発生しています。土砂崩れは、付近の住民の生活を脅かすだけでなく、経済インフラであるハイウェイが分断されることによる影響が懸念されます。
    土砂崩れの問題を解決するために、植林によって木々を育てる必要があります。

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3. 配属先の現状の変化について

3.1. 人事異動

第1号報告書で報告したとおり、大規模な組織変更が行われました。
前学部長の部下が学長に昇格、その影響で、前学部長は降格に、現教員の中の1人が学部長に昇格しました。前学部長と親しい人たちは、他の部署や別校舎に異動になったり、降格になったりし、彼らの部下が昇格するといった人事異動が行われました。
この組織異動により、人間関係が複雑になっています。
私の周りでは、学部内では、前学部長の派閥、現学部長と教員たちの派閥が生まれています。どちらの派閥も見た目は仲がよいですが、実際には陰口を言ったり、会議の際に意見対立が発生したりしています。
私は常に中立な立場を通し、仕事についてはどちらにも話を通すようにしています。他の教員から「現学部長はどうだ?」、「前学部長をどう思う?」などと聞かれることがありますが、「私は給料をもらっていないので興味がない」と答えてはぐらかしています。


3.2. 機材について

前学部長の退任時に、彼の部屋で埃をかぶっているサーバ1台、Hub1台を発見しました。使っていないのはもったいないと思い、これらの機器を活用することにしました。彼の話ではこれらの機器は故障したため使っていないとのことでしたが、調べてみたところ異常はありませんでした。現在、学部内ネットワークを構成する機器として活用しています。
彼は退任時にいくつかの機材;プリンタ2台、外付CD-ROMドライブなどを持ち去ってしまいました。はっきりいいって困りますが、現学部長や他の教員がそれに対して何も文句を言わないので、それはそのままにしています。


3.3. 予算について

第1号報告書で予算について報告しましたが、組織変更後に予算状況が変わりました。
組織変更前は、予算がまったく無い状態でした。200万ペソのプロジェクト予算はすべて使い果たしてしまい残っていませんでした。その他の予算、コンピュータの保守費や機材の新規購入費は無いが申請すれば予算がつくかもしれないとのことでした。
組織変更後は、コンピュータ維持費を含めて年間50万ペソの予算があることを現学部長より聞きました。
組織変更前と変更後とでなぜ予算状況が違うのか詳しい理由はわかりません。学部長が変わり予算に変更があったのか、それとも、前学部長が予算を隠していたのか、一切不明です。
なお、50万ペソはコンピュータ維持費には十分な予算と考えています。私は予算をできるだけ使わない方針で活動計画を立てていたので、私の活動にとってもこれは十分な予算です。


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4. 活動報告

4.1. コンピュータ教室の環境再整備

(1) 背景と問題点

工学部内にはコンピュータ教室があり、コンピュータ学科を中心にコンピュータを使った授業が行われています。
コンピュータ教室の問題点は次のとおりです。

  • コンピュータ環境が劣悪である
    半分以上のコンピュータは正常な動作をしていません。設定に問題があるものや、ハードウェアが壊れているもの、必要なソフトウェアがインストールされていないものがあります。そのため、授業では5人の生徒が1台のコンピュータを利用しているといった状況です。
  • 誰もコンピュータを管理していない
    管理者がいないため、誰もコンピュータの状態を把握しておらず、壊れたものは壊れっぱなしになっています。
  • セキュリティが確保されていない
    セキュリティ設定が一切されておらず、学生によって環境が壊されたコンピュータが存在します。また、教員の話では、パーツ類やマウスを盗んでしまう学生もいるようです。

(2) 活動目標

  • コンピュータ教室の現状を調査し、問題点を認識させること
    コンピュータ教室の現状をカウンターパートとともに調査し、その結果を他の教員や学部長に報告します。
    これにより、コンピュータ教室の現状と問題点を認識させ、コンピュータ管理の必要性を理解させます。
  • コンピュータの設定方法、管理方法を指導し、コンピュータ教室の環境再整備を行うこと
    コンピュータのトラブルシューティング、OSのインストール、アプリケーションのインストール、セキュリティの設定を指導し、コンピュータ教室の環境を再整備します。

(3) 活動内容

  • コンピュータ教室の現状調査と報告
    カウンターパートとともに、すべてのコンピュータの調査を行いました。
    調査にあたってはチェックシートを作成し、その項目にしたがってすべてのコンピュータの調査を行うという方法をとりました。この調査の過程で、カウンターパートのコンピュータ知識の確認を行い、わからない項目、単語を指導しました。
    すべてのコンピュータの調査後、問題点をまとめて報告書を作成し、学部長に提出しました。さらに、学部長にコンピュータ環境の再整備に必要な機材と予算の見積もりを説明しました。
    報告書を「付録1・コンピュータ教室の現状調査報告書」として添付します。(第1号報告書「3.2.2. コンピュータ教室」も参照)。
  • コンピュータの環境再整備
    カウンターパートとともにコンピュータの環境再整備を行うことにしました。
    まずは、コンピュータの設定方法、管理方法のマニュアルを作成し、カウンターパートに配りました。
    しかし、実際にはカウンターパートにこれらの指導を行う機会はありませんでした。
    なぜならば、学部長が報告書を読んで事の重大性を把握し、外注業者を呼んでコンピュータを修理することにしたからです。
    結局、カウンターパートと私は何も行わず、外注業者がすべてのコンピュータを修理、設定してしまいました。

(4) 活動成果

  • コンピュータ教室の現状と問題点を認識させたこと
    カウンターパートとともにコンピュータ教室の現状を調査して学部長に報告することで、現状と問題点を認識させることができました。
    コンピュータの設定方法、管理方法を指導するには至りませんでしたが、学部長が外注業者を呼んだということは、問題点を認識してそれを自分たちで解決したということであり、結果的に彼らが自助努力に基づいて行動したことなので良かったと考えています。

(5) 今後の課題

  • コンピュータの設定方法、管理方法を指導し、自分たちで管理できるようにすること
    コンピュータ学科の先生でも、コンピュータは使うものであり管理するものではないという認識を持っています。誰もコンピュータを管理しないということは、いざというときに対処できないのではという懸念があります。
    今回は、コンピュータの設定方法、管理方法を指導するには至りませんでした。別の機会に指導を行うことを考えています。


4.2. 学部内LANの再構築

(1) 背景と問題点

学部内にはLANがありますが不完全であり、次の問題点を抱えています。

  • 一部のコンピュータがLANに接続されていないこと
    一部のコンピュータはLANに接続されていません。
    コンピュータはコンピュータ教室、教職員室、学部長室、図書館の4部屋にあります。そのうち、コンピュータ教室と学部長室のコンピュータはすべてLANに接続されていますが、教職員室と図書館のコンピュータはLANに接続されていません。
    教職員室にはLANケーブルが数本配線されていますが、どのコンピュータもつながっていません。
    図書館には最近になってコンピュータが1台設置されましたが、LANケーブルは配線されていません。
    ところで、図書館にコンピュータが設置された理由には配属先の人間関係が絡んでいます。人事異動により前学部長が降格となりましたが、彼は退任後に教職員室から離れた図書館内に部屋を構えることになり、コンピュータ1台がそこに設置されることになりました。同じ身分でありながら他の教職員と別の部屋を構えることは問題ですが、私は中立的な立場を保ち、この問題は指摘しないようにしています。
  • ネットワークが活用されていないこと
    ネットワークを利用できる人材がいません。そのため、LANが設置されていても誰も使っていません。LANが設置されているのに使わないのは大変もったいないことです。
  • インターネットに接続されていないこと
    LANはインターネットに接続されていません。
    過去にインターネット接続を試みたらしいのですが、失敗に終わっているようです。

(2) 活動目標

  • LANケーブルの作り方を指導すること
    学部内LANは学内の人間が設置したものではなく、外注業者が設置したものだと聞いています。
    LANの再構築の際に人材が必要になることと、今後は学内でLANの保守を行えるようにすることを目的として、教員にLANケーブルの作り方を指導します。
  • すべてのコンピュータをLANに接続すること
    教職員室と図書館のコンピュータはLANに接続されていません。これらをLANに接続します。
    教職員室には新たにHubを設置、LANケーブルを作成し、それらを用いて室内のコンピュータをLANに接続します。
    教職員室内に設置したHubから図書館へのLANケーブルを設置し、図書館内のコンピュータをLANに接続します。
  • LANレイアウトを変更すること
    今後のインターネット接続に備えて、LANレイアウトの変更を行います。
    LANレイアウトの変更計画を「付録2・ネットワーク再構築計画書」として添付します。
  • ネットワークの利用方法を指導すること
    ネットワークの利用方法を指導し、LANの有効活用を目指します。
    具体的には、プリンタ共有、ファイル共有、メッセージングサービスの利用を目指します。
    プリンタ共有を行うことで、どのコンピュータからもプリンタを利用できるようになります。学部内にはプリンタは少なく、印刷を行う場合はプリンタのつながっているコンピュータに移動して作業をしています。プリンタを共有することでどのコンピュータからも作業ができるようになります。
    ファイル共有は、コンピュータ同士でのファイルのやり取りを簡単にします。
    メッセージングサービスは、コンピュータ利用者同士で会話ができる機能です。これを導入することにより、ネットワークの利便性を伝えようという作戦です。

(3) 活動内容

  • LANケーブルの作り方の指導
    LANケーブルの正しい作り方を指導しました。
    任地ではLANケーブルの誤った作成方法が広まっており、そのため、正常に動作しないLANケーブルが多いようです。そこで、LANケーブルの作成方法を知っている教員には、正しい作成方法を指導することにしました。
    資料(「付録3・LANケーブル作成資料」を参照)を作成し、それをもとに指導を行いました。
    教員4人(うち、LANケーブル作成初心者2人)に指導を行い、LANケーブルを正しく作成できるようになりました。また、教員は授業を通して学生に指導し、学生もLANケーブルを作成できるようになりました(図4-A参照)。
  • 図4-ALANケーブル作成の授業の様子 図4-A:LANケーブル作成の授業の様子
  • 教職員室へのLAN敷設
    教職員室にLANを敷設し、室内すべてのコンピュータをLANに接続しました。
    教職員室に新たにHubを設置し、教員と学生がLANケーブルを作成して、コンピュータとHubとをつなぎました(図4-B参照)。
  • 図4-B教職員室に設置したHub 図4-B:教職員室に設置したHub
  • LANレイアウトの変更
    ネットワーク再構築計画(「付録2・ネットワーク再構築計画書」を参照)を学部長に提出し、それに基づいてLANレイアウトを変更しました。
    私が教員に計画を説明し、教員が学生に指導を行い、実際には学生が動くという方法で工事を行いました(図4-C参照)。
    LANレイアウトの変更により、教職員室に設置した基幹Hubを中心としたLAN構成とし、将来のインターネット接続への準備ができました。
  • 図4-C工事を行う教員と学生 図4-C:工事を行う教員と学生
  • 既存LANの問題点
    LANの再構築を行っている最中に、いくつかの問題点が出てきました。
    • いくつかの既存のLANケーブルが正常に動作しないこと。いくつかの既存のLANケーブルは誤った作成方法で作られており、正常に動作しませんでした。これは、教員が作ったものなのか、業者が作ったものなのかはわかりません。これらの一部は作り直しました。
    • コンピュータ教室のLANが正常に動作しないこと。コンピュータ教室のLANの配線状態が悪く、正常に接続できない端末が多いことがわかりました。このLANは業者が敷設したものと聞いています。コンピュータ教室内のすべてのLANケーブルを撤去して作り直し、配線しなおすことにしました。

(4) 活動成果

  • 教員がLANケーブルを正しく作れるようになった
    教員がLANケーブルを正しく作れるようになりました。今まで誤った作成方法でやってきていましたが、今回、実際に間違いであったことを身をもって体験したため、今後は正しい方法で作るようになると思われます。
  • LANケーブルを作成できる人材が増えた
    LANケーブルの作り方の指導を通して、LANケーブルを作れる人材が増えました。今後、自分たちでLANの保守や拡張を行うことが期待できます。
  • 教員がLANケーブル作成の授業を行った
    LANケーブルの作成方法を学んだ教員が、授業を通して学生にそれを指導しました。
    教員が技術を学んだと同時に、彼らが学生にも指導できるようになったことは大きな成果です。
  • ほとんどの教職員用コンピュータがLANに接続された
    すべてのコンピュータがLANに接続するには至っていませんが、ネットワーク化に向けて前進しました。
  • LANレイアウトを変更した
    将来のインターネット接続に対応するように、LANレイアウトを変更しました。

(5) 今後の課題

  • コンピュータ教室のLAN再構築
    コンピュータ教室のLANケーブルをすべて作り直し、配線しなおします。これにより、コンピュータ教室内のコンピュータがLANに接続されることになります。
  • コンピュータのLAN接続100%を実現すること
    LANに接続されていないコンピュータがまだいくつか存在します。LANを拡張し、それらを接続するようにします。
  • ネットワークの利用方法を指導すること
    今回は、ネットワークの利用方法を指導するまでには達しませんでした。
    すべてのコンピュータのLAN接続が完了してから、ネットワークの利用方法の指導を行います。

4.3. インターネット接続方法の調査

インターネット接続方法の調査と検討(表4-i参照)を行い、電話会社PLDTのDSLサービスを申し込みました。
過去の失敗から、ダイヤルアップ、衛星は選択しませんでした。

表4-i:インターネット接続方法の比較

ダイヤルアップ 衛星 DSL
導入費 P0(機材購入済み) P20,000 P3,000
維持費 P3,000/月 P15,000/月 P3,000/月
速度 56kbps 600kbps 256〜512kbps
備考

未開通

配属先の地域は現在DSLサービス提供外となっています(なお、トゥゲガラオ市街地は既にサービスが開始されています)。電話会社PLDTによると、この地域は官庁街であるため将来的にサービスを提供する予定とのことです。サービス提供開始時期は未定です。2月開始予定と聞いていましたが、今のところその気配はありません。
DSL接続の申し込みは副学部長とともに行いました。

LANとインターネットを接続するルータには、Linuxを用いたIPマスカレード機能を利用することにしました。
他には、市販の小規模LAN向けルータを利用する方法、WindowsのNAT機能を利用する方法があります。
市販の小規模LAN向けルータは、市場を調査した結果、売っていないことが判明しました。
WindowsのNAT機能を利用する方法は、Windowsにセキュリティ上の問題があることから、利用しないことにしました。
Linuxサーバの導入、運用には、高度な知識が求められます。私が構築することもできますが、私以外に運用できる人がいなくなるため、Linuxを導入することには多少抵抗がありました。しかしながら、カウンターパートがLinuxに興味を持ち、勉強する意欲があるため、Linuxを選択することにしました。現在、カウンターパートにLinuxを用いたサーバ構築方法を指導中です。


4.4. Linuxの紹介

(1) 背景と問題点

情報システムやネットワークサーバにLinuxを導入することで、コストの削減が期待できます。
日本では特にサーバ分野でLinuxの導入が進んでいますが、フィリピンではまだ普及していません。
配属先では、Linuxという名前は知られていますが、実際にどういうもので何ができるのかをわかっていないようです。当然ながら、Linuxを使いこなせる技術者はいません。
そこで、Linuxを紹介することにしました。

(2) 活動目標

実際にLinuxの動作を見せて触らせることで、どのようなことができるのかを紹介します。また、配属先におけるLinuxの活用方法を探ります。

(3) 活動内容

  • Linuxサーバの紹介
    Red Hat Linux 8.0を用いてサーバを構築してその動作を紹介しました。構築したサーバは、Windowsドメインコントローラ、Webサーバ、その他各種ネットワークサーバです。
    次の方法で紹介しました。
    • サーバの動作とその設定方法を見せた。
    • ドメインコントローラの機能を用いて、Windowsサーバの代替にもなることを説明した。
    • 実際にインストールとサーバの設定を体験させた。
  • Linuxクライアントの紹介
    Red Hat Linux 8.0を用いてLinuxクライアントを構築し、Open Officeをインストールしました。
    実際にLinuxクライアントを教員と学生に触らせて、様子を見ました。
    教員も学生も興味を持ち、抵抗無く使っていました。ある教員は、Open Officeを実際に業務に使うなど、問題なく操作しているようでした。

(4) 活動成果

  • Linuxサーバへの興味を持たせた
    低価格で導入できること、ネットワーク設定の容易性から、導入メリットが大きいということを把握させました。
    カウンターパートは、Windowsよりもメリットが大きいことを感じ、実際にLinuxの勉強を始めました。
  • Linuxクライアントを導入できる可能性があることがわかった
    教員も学生も抵抗無くLinuxクライアントを使いこなすことから、Linuxをクライアントとして導入しても問題がないことがわかりました。

(5) 今後の課題

  • Linuxサーバの構築を指導すること
    カウンターパートにLinuxサーバの構築を指導し、運用できるようにします。

4.5. Web技術の紹介と指導

(1) 背景と問題点

カウンターパートや教員たちはWeb技術に興味を持っていますが、Web技術を身につけている技術者がいないため、満足な勉強ができないでいます。
彼らにWeb技術を紹介し、指導を行うことにしました。

(2) 活動目標

Webシステムの構築手法を紹介します。

(3) 活動内容

  • WebサーバApacheのインストールと設定の指導
    WebサーバApacheが何であるかを紹介し、実際にインストールと設定を指導しました。
  • Perlを用いたWebシステムの構築指導
    スクリプト言語Perlを紹介し、実際にインストールを行いました。
    Perlを利用したユーザログオン画面、掲示板システムの構築を指導しました。
    システム構築の指導にあたっては、プログラムの細かい動作やアルゴリズムの説明を避け、とにかく動作させることでPerlを利用したWebシステムの動作概要を説明しました。

(4) 活動成果

  • カウンターパートに自信をつけさせたこと
    カウンターパートが、Webシステム構築を体験し実際に自分で構築できたことから、Webシステム構築の勉強に自信を持ったようです。
    私はプログラムの細かい動作の説明はあまりしなかったのですが、カウンターパートは自分の力でプログラムを改良するなど自分自身で勉強を行い、意欲を見せています。
    カウンターパートは、PostgreSQLやMySQLといったオープンソースのデータベースを勉強し、イントラネット上で動作する情報システムを構築したいと語りました。

(5) 今後の課題

  • データベースの使い方を指導すること
    フリーソフトウェアであるPostgreSQLまたはMySQLの使い方を指導し、データベースを使えるようにします。
  • Webサーバとデータベースの接続方法を指導すること
    Webサーバとデータベースの接続方法を指導し、Web上で動作するデータベースシステムの構築を目指します。

4.6. 国家経済開発庁第2地域事務所内LANの敷設

(1) 背景と問題点

国家経済開発庁第2地域事務所(National Economic and Development Authority Regional Office No.02、略称 NEDA RO2、以下略称)では、2年前より、情報共有を目的としたLANの敷設を計画していました。
LAN敷設のための機材(ネットワークインタフェースカード、Windows NT4 Server、Hub等)を購入しましたが、使いこなせる技術者がいないため、LANを敷設できないでいました。
昨年、NEDA RO2は配属先にLAN敷設を依頼しました。しかし、配属先にもLANを使いこなせる技術者がいないため実現出来ませんでした。
そこで、隊員がNEDA RO2内のLANを敷設、使い方の指導を行うことにしました。

(2) 活動目標

  • LAN敷設
    既存の機材を利用してLANを敷設します。
  • NTサーバ運用の指導
    Windows NT4 Serverを利用したユーザ管理の方法を管理者に指導します。
  • LANの使い方を説明すること
    LANを用いたファイル共有、プリンタ共有、メッセージングサービスの使い方を利用者に説明し、活用できるようにします。

(3) 活動内容

  • LAN敷設
    Hubと各コンピュータをLANケーブルで接続し、各コンピュータの設定を行いました(図4-D参照)。
    Windows NT4 Serverを用いてNTドメインを構築し、各クライアントがそのNTドメインに参加するように設定しました。
    配属先のカウンターパートにネットワークを勉強させるために、カウンターパートに作業を手伝わせました。
  • 図4-DNEDA RO2 LANレイアウト 図4-D:NEDA RO2 LANレイアウト(インターネットへは未接続)
  • NTサーバ運用の指導
    NEDA RO2のコンピュータ管理者に、Windows NT4 Serverを利用したユーザ管理の方法を指導しました。
  • LANの使い方
    利用者にLANの使い方のプレゼンテーションを行いました(図4-Eおよび「付録4・NEDA RO2 プレゼンテーション資料」を参照)。LANの概要を説明し、実際にデモンストレーションを行いました。
    NEDA RO2では情報共有を目指しているため、ファイル共有について解説しました。ファイル共有をすることで、コンピュータ同士で情報のやり取り、共有ができます。
    プリンタの共有は、現在必要とされていませんが、LANの機能のひとつとして解説しました。
    メッセージングサービスは、業務とは関係がない機能ですが、ネットワークの利便性を理解させることができると考え、使い方を説明しました。
  • 図4-ENEDA RO2でのプレゼンテーションの様子 図4-E:NEDA RO2でのプレゼンテーションの様子
  • 既存LANケーブルの問題
    LAN敷設の段階で問題が発覚しました。
    すでに設置されていたすべてのLANケーブルは誤った作成方法で作られていました。問題なく動作はするのですが、将来LANを拡張した際に障害が発生することが考えられます。

(4) 活動成果

  • LANを敷設、活用できるようにした
    LANを敷設し、業務で活用できるように指導しました。

なお、この活動に対してNEDA RO2より礼状と感謝状をいただきました。

(5) 今後の課題

  • LANケーブルの問題
    すべてのLANケーブルを作り直さなければなりません。これらは誤った作成方法で作られていました。将来LANを拡張した際に障害が発生することが考えられます。
  • 今後の運用、保守について
    NEDA RO2には新規にコンピュータ技術隊員が配属されました。今後の運用、保守の指導は、彼に任せたいと考えています。

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5. 今後の活動計画

5.1. 予定している活動

(1) 学部内LANの再構築(継続)

学部内LANを完成させ、すべてのコンピュータをLANに接続します。
コンピュータ教室においては、LANケーブルをすべて作り直し、再度配線を行います。
LANの完成後には、ネットワークの利用方法を利用者に説明します。

(2) インターネットへの接続

DSLが設置され次第、LANのインターネットへの接続を行います。
LANとインターネット間のゲートウェイには、Linuxを用いたサーバを利用します。
そのため、カウンターパートに対して、Linuxサーバの構築方法を指導します。

(3) Web技術の紹介と指導

PostgreSQLまたはMySQLを用いて、データベースの操作方法を指導します。
Webサーバとデータベースの接続方法を指導し、Web上で動作するデータベースシステムの構築を目指します。


5.2. 計画中の活動

(1) 全コンピュータのLinux化

全コンピュータのOSをLinuxにすることを検討しています。
利点は次のとおりです。

  • ライセンス経費の問題、海賊版ソフトウェア使用の問題が解決できる。
  • 豊富なフリーソフトウェアを利用できるため、コスト削減が期待できる。
  • 学生、教員のスキルアップが期待できる。

問題点は次のとおりです。

  • 既存のアプリケーションが動作しなくなる。
  • 学生、教職員に使い方を指導する必要がある。

(2) Web利用によるイントラネットシステム構築

学部内の情報システムを、Webを利用したイントラネットシステムとして構築することを検討しています。
そのためには、Linuxを用いたサーバ構築、PostgreSQLまたはMySQL、PerlまたはPHPの使い方の指導が必要です。
構築にあたっては、現状分析、設計の順に行い、ドキュメントを作成します。

(3) 管理棟、他学部のLAN構築

学部内のLAN構築とインターネットへの接続が完了したら、他の校舎;他学部、管理棟のLAN構築を行うことを考えています。
これらの校舎にもネットワーク装置がありますが、使用されていません。既存の機材を活用したLAN構築を行います。


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