オルガン・トリニティ 〜歴代専属オルガニストによるジョイント・コンサート〜
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2018年7月28日(土) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
オルガン:吉田 恵、和田純子、山本真希
 
山本真希
 J.J.フローベルガー:トッカータ ト長調 FbWV103
 F.C.deアラウホ:2声の上声部による分割ストップのティエント第53番
 P.deアラウホ:バッターリァ
 J.C.F.バッハ:「ああママに言うわ」変奏曲
 J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
        ライプツィヒ・コラール集 より
         「来たれ、創り主なる聖霊よ」BWV667
 デュリュフレ:「来たれ、創り主なる聖霊よ」によるコラール変奏曲 Op.4

(アンコール)
 J.S.バッハ:われら悩みの極みにありて BWV641

(休憩15分)

和田純子
 G.ムファット:トッカータ 第1番
 A.ケルクフォーヘン:ファンタジア
 J.S.バッハ:トッカータ ニ長調 BWV912
 A.ガブリエリ:小さなジャックによるフランス風カンツォン
 ブクステフーデ:「平安と喜びもて我は逝く」 BuxWV76
           「テ・デウム」BuxWV218

(アンコール)
 J.S.バッハ:ああ主よ、哀れなる罪人われを BWV742

(休憩15分)

吉田 恵
 J.S.バッハ:シュープラー・コラール集 BWV645-650
        目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声 BWV645
        われはいずこかに逃れゆくべき BWV646
        尊き御神の統べしらすままにまつろい BWV647
        わが魂は主をあがめ BWV648
        ああ、われらとともに留まりたまえ、主イエス・キリストよ BWV649
        イエスよ、汝いまぞ天より下りたまい BWV650
 レーガー:ソナタ第2番 ニ短調 Op.60

(アンコール)
 J.S.バッハ:最愛のイエスよ、われらここに集いて BWV731

 りゅーとぴあ開館20周年記念として開催された、りゅーとぴあの歴代専属オルガニストが集結してのコンサートです。懐かしい吉田さん、和田さんの演奏を是非とも聴いてみたく、早々にチケットを買って楽しみに待っていました。

 日本列島には台風が接近中ですが、新潟は天気は崩れず、ギラギラ太陽が照りつけています。車の定期点検を終えて、いつもの楼欄で冷やし中華大盛りを食べ、りゅーとぴあへと赴きました。

 チラシ集めをして開場待ちの列に並び、3階左手に席を取りました。客の入りは、いつものオルガン・コンサートよりかなり多く、まずまずの入りでしょうか。

 最初は、現在の専属オルガニストの山本さんです。山本さんは2006年4月から専属オルガニストとして八面六臂の活躍をされています。私は就任記念の1・コイン・コンサートを聴いて以来、今日までいろいろな場面で演奏を聴かせていただいており、改めて紹介するまでもないでしょう。
 フローベルガーのトッカータを生き生きと演奏したあと挨拶があり、スペイン、ドイツ、フランスと、多彩な曲を、多彩な音色で楽しませてくれました。
 オーバーホールを終えて若返ったグレンツィングオルガンの華やかな音色を存分に味合わせてくれました。特に最後のデュリュフレは、これぞオルガンというような豪華なサウンドで魅了し、アンコールのバッハでクールダウンしました。

 続いては第2代専属オルガニストの和田さんです。和田さんは2002年4月から2006年3月までの4年間専属オルガニストを務められました。この時期私は、単身赴任していたりしてコンサートに行く機会は少なかったですが、就任前の2001年9月のプロムナードコンサートでの演奏が最初で、就任直後の2002年8月の全国アマチュアオーケストラフェスティバルでのサン=サーンスの交響曲第3番(指揮:秋山和慶)での演奏や、2004年9月の1・コイン・コンサートを聴かせていただいています。
 挨拶の後演奏が進められましたが、選曲もあると思いますが、攻めの演奏といいますか、押してくる演奏に感じ、「華」も感じさせました。ガブリエリの洒落た演奏やバッハのトッカータでの奥行き感のあるサウンドが心に残りました。最後はブクステフーデの壮大な音楽で圧倒し、アンコールのバッハで〆ました。

 最後は初代オルガニストの吉田さんです。1998年4月から2002年3月まで専属オルガニストを務められました。1からスタートした開館当時のご苦労は計り知れません。何せ、それまで大オルガンは新潟には存在せず、オルガン文化も根付いていませんでしたから。作りたてのオルガンの調整も大変だったと思います。
 当時の私は単身赴任中で、仕事も多忙で、休日も休みがとれないことが多かったですので、コンサートに行く機会はまれでしたが、1998年10月の開館記念演奏会でのオルガン演奏を聴くことができました。単独の演奏会を聴く機会はなかったですが、東響新潟定期開演前のロビーでのポジティフオルガンの演奏を何度か聴かせていただきましたし、2000年6月の新潟大学管弦楽団サマーコンサートでのサン=サーンスの交響曲第3番でのオルガン演奏も聴いていました。
 まず在任中に幾度も演奏したというバッハのシュープラー・コラール集の6曲が続けて演奏されましたが、力強さ、貫禄といいますか、風格を感じさせる演奏で、多彩な響きで楽しませてくれました。
 ここで挨拶があり、音が出なかったり、出続けたりなど、当時の苦労話もありました。そして在任中演奏したかったものの演奏の機会を逃したというレーガーのソナタが演奏されました。
 壮大で華やか、音の大伽藍とでもいいましょうか、圧倒的なパワーときらめきで、大オルガンの20年の歴史を祝うに相応しい演奏だったと思います。新潟にこのような素晴らしいオルガンがある幸せを実感しました。アンコールにバッハを演奏して終演となり、最後は3人が登場し、大きな拍手が贈られました。

 リサイタルを3つ聴いたような、3時間に及ぶヴォリュームたっぷりの演奏会でした。三人三様の魅力ある演奏で、パイプオルガンの楽しみを存分に知らしめてくれました。里帰り演奏をしてくれた吉田さん、和田さんに感謝したいと思います。
 
 

(客席:3階 J2-14、会員割引:¥2700)