山形交響楽団 新発田公演
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2018年7月29日(日) 16:00  新発田市文化会館 大ホール
 
指揮:垣内悠希
トランペット:松岡恒介
 


ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲

ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調

(休憩15分)

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」

(アンコール)
シューベルト:「ロザムンデ」間奏曲



 

 新発田市民文化会館では、開館35周年記念イベントとして2015年8月に山形交響楽団特別演奏会(指揮:大井剛史)が開催され、オーディションで選ばれたソリストによるモーツァルトのピアノ協奏曲のほか、ベートーベンの交響曲第7番が演奏されました。翌年の2016年7月にも演奏会(指揮:山下一史)が開催され、今度はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」他が演奏されました。さらに2017年7月の演奏会(指揮:永峰大輔)ではベートーヴェンの交響曲第5番他が演奏されました。

 このように毎年この時期に新発田市で山形交響楽団の演奏会の開催され、ベートーヴェンの交響曲が演奏されるようになりました。そして今回の4回目は、垣内悠希さんの指揮で、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」です。このままベートーヴェンの交響曲チクルスを継続していくのか気になるところですが、初回から聴いていますので、止めるのもはばかられ、今回も聴きに行くことにしました。2000円という低料金も魅力です。

 東から西へと進む変則的な進路を取った台風は西日本を通過しています。新潟は強風こそ吹いているものの空は晴れ渡っています。フェーン現象で気温はぐんぐん上がり、気温は38℃を超えて、ギラギラ太陽が容赦なく照りつけています。
 昼食後早めに家を出て、某所で休養を取り、新発田市文化会館に到着しました。ロビーではすでにたくさんの人が開場待ちしていました。
 開場とともに入場し、Aブロック正面の席に着きこの原稿を書き始めました。当日券がかなり販売されていましたので、客席はそれなりの入りというところでしょうか。ステージ上では、コントラバス奏者が練習していました。

 開演10分前から楽団事務局の方と指揮者の垣内さんによるプレコンサート・トークが行われました。曲目解説のほか、演奏で使用されるナチュラル・ホルンの紹介が奏者による演奏を交えて行われました。

 開演時間となり、拍手の中団員が入場し、起立して拍手に応え、コンミスの登場とともに、大きな拍手が贈られました。弦5部は、私の目視で8-7-5-5-3で、小規模な編成です。

 垣内さんが登場して、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲で開演しました。ホールはデッドで、ほとんど残響がなく、直接音だけが聴こえるため、オケの音色はドライに感じます。演奏は軽快であり、オケのアンサンブルはばっちり。今日の公演の成功がすぐに分かりました。

 2曲目は山響のトランペット奏者の松岡さんを迎えて、ベートーヴェンの師であるハイドンのトランペット協奏曲です。柔らかなトランペットの響きが心地良く、爽やかさを感じさせました。

 そして後半はベートーヴェンの「英雄」です。これは快演と言っても良いでしょう。小型のオケの機動性が遺憾なく発揮され、躍動感溢れる演奏になりました。スピーディで、ウキウキするような心地良さを感じました。第3楽章でのナチュラルホルンも見事に決まっていました。アタッカで第4楽章へと突入し、アクセル全開のうちにフィナーレを迎えました。

 アンコールにシューベルトの「ロザムンデ」間奏曲をしっとりと演奏し、「英雄」での興奮をクールダウンして終演となりました。

 山響と垣内さんは今回が初めての共演だったそうですが、初めてとは思えない見事な演奏でした。速めにオケをドライブする垣内さんの指揮。それにひるむことなく応えて突進するオケ。小気味良い快演に精神的高揚感を感じ、満足感を胸に会場を後にしました。来年もきっと開催されることを期待して、新々バイパスを新潟市へと車を進めました。
 
 

(客席:A-11-18、¥2000)