向島町有井、翻訳業、金森國臣さんは軍事、防衛分野で最大の収録語数を誇る「最新軍事用語集」を発行した。日本で唯一人の民間の軍事ターミノロジスト(専門用語研究者)で15年かけて蓄積してきた語彙を整理編集して一冊の本にまとめた。
「最新軍事用語集」はA5版、1007頁。収録されている語数は英和3万8000語、和英3万9000語で日本では最大の語彙が収録されている。情報通信分野を含め技術革新によって著しく変化する軍事防衛分野では必携の用語集となっている。データベース専門の東京都大田区、日外アソシエーツから出版した。定価は8800円。
金森さんは日本電気、電子化辞書を作る会社を経て翻訳家として独立、主に防衛関係の仕事を請け負ってきた。軍事・防衛関係の辞書はなく、自分で情報管理し体系化した辞書を作り、15年間の蓄積が評価され、出版元から用語集編集の依頼があった。
編集過程で出版社とのやりとりはインターネット上でのメールと電話で済ませ「編集者とは一度も顔を合わせないで本が出来あがった」と地方にいてもパソコンで東京と結び、時代の先端をいく仕事をこなしたと自負していた。
軍事用語は憲法9条ともからみ微妙で米軍であれば駆逐艦が自衛隊は護衛艦に、要撃も迎撃に、偵察ヘリコプターは観測ヘリコプターに表記を変えなくてはならず絶えず変化する国際情勢を視野に入れ、時代に適合した語彙を当てはめるのに苫労した。
昨年7月、ハワイ沖で実施した環太平洋合同演習で米海軍中将を補佐する語学将校がこの用語集を問題なく使いこなし大いに役だったという報告を受けた。「目指すところは現場での実用に耐え得るどうかで、その点評価があり、嬉しかった」と話していた。
用語集は軍事関係者や軍事技術と民生技術が重なっている企業などで裾野は広いという。防衛省は別にして軍事防衛分野の辞書を手掛けてているのは日本では金森さん唯一人。
「目分なりによく編集したと思っている。これだけの分厚い量になりびっくりしている。電子辞書は書き換えられ時代とともに変わってくるが本は06年時点で確定したもので現在の状況を照らし出す上で貴重な資料にもなる」と出版の意義を述べていた。
情報管理と体系化を得意とする金森さんはホームページ作成の注文にも応じている。
(地元日刊紙である「山陽日日新聞」2007年2月11日号より引用)
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