恒例になった東京交響楽団の生配信です。昨年末の第九に引き続いて、新年最初は、ミューザ川崎での名曲全集第183回で、指揮は大友直人さん、ピアノは上原彩子さんです。せっかくの生配信ですので、今回も聴かせていただくことにしました。
新潟は相変わらずの雪模様。今日も冷え込みは厳しく、雪降る外を窓から眺めますと、外出する意欲は失せて、大人しく家で過ごすことにしました。
ゆったりと昼食を摂り、ニコ響のサイトに接続しますと、ミューザのステージが映し出されていました。ステージ中央にピアノが設置されており、左手に並ぶハープ2台が目立っていました。
開演時間が近づくにつれ客席は埋まってきて、PCの画面を見ながら、こちらもコンサートに臨む気分が高まってきました。
開演時間からかなり遅れて団員が入場。全員揃うまで起立して待つ方式が定着しましたね。オケのサイズは14型で、対向配置でない通常の並びです。最後にコンマスの小林さんが登場し、黒いマスクを外して一礼し、チューニングとまりました。次席は田尻さんです。
青紫色のドレスの上原さんと大友さんが登場して、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」で開演です。大谷さんは白髪が美しく、指揮棒なしです。
有名なパガニーニの主題と怒りの日のメロディが次々と形を変えていくこの曲ですが、第18変奏までひたすら待つというのが正直なところです。でも、そこに至る過程でも聴き所はたっぷりとあります。
何やらつぶやくような表情で演奏する上原さん。時折オケに視線を送ります。東響の各パートも素晴らしいパフォーマンスを発揮し、各変奏の対比もも鮮やかです。
お待ちかねの第18変奏を、ゆったりと、これでもかとロマンチックに歌わせ、胸が熱くなりました。大友さん、上原さん、グッドジョブです。束の間の夢の世界から、ギアチェンジしてフィナーレへと駆け抜けました。
パワーと情熱に溢れる上原さんのピアノはさすがですね。東響のサポートもお見事でした。この曲の上原さんの演奏は、昨年3月の第124回新潟定期で聴いていますが、そのときの感動が蘇りました。
感動の演奏にホールは盛り上がり、大きな拍手に応えて、ソリストアンコールとして、ラフマニノフの前奏曲を演奏して休憩に入りました。
後半はエルガーの交響曲第2番です。第1番は2015年の第88回新潟定期で聴いていますが、第2番聴くのは初めてかもしれません。大友さんは後半も指揮棒なしです。
なかなか美しい曲ですね。大きなうねりを繰り返しながら、淡々と音楽が進みます。柔らかなオーケストラサウンドには角がなく、強奏の場面でもまろやかであり、これがエルガーらしさでしょうか。
ゆったりと大河のように流れる第2楽章から軽快さのある第3楽章へ。打楽器の連打がいいアクセントになっています。
第4楽章は静かにゆったりとテーマが奏でられ、次第に熱量を増し、美しいメロディとともに大きな盛り上がりを見せて、ゆったりとした癒やしの中でフィナーレとなりました。
総じて各楽章とも緩急様々。次々と違った楽想が現れては消え、捉えどころのなさも感じます。演奏時間も1時間と長大であり、冗長さも否めません。この辺が演奏会に取り上げられる機会が少ない要因かもしれませんね。
感動で胸が高鳴るという音楽ではないですが、東響の美しい演奏に身を委ね、ゆったりとした音楽の流れに乗って、癒やしの時間を過ごすことができました。
今回も東響が創り出す美しい音楽を無料で聴かせていただきました。音質も優れており、団員のお姿を間近に見ながら音楽を楽しめるのが配信の魅力です。東響に感謝しながらニコ響のサイトから切断し、この原稿を書きながら余韻に浸りました。
今日の演奏は1週間タイムシフトで視聴できますので、皆さんも是非視聴してください。なお、次の生配信は2月19日に予定されていますので、楽しみにしましょう。
(客席:PC前、無料) |