新潟混声合唱団第50回記念定期演奏会
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2021年11月13日(土)17:00 新潟市音楽文化会館
指揮:佐藤 匠
ピアノ:梅津幹子
弦楽:新潟交響楽団室内アンサンブル
 
T 50回を振り返る 〜未来へのはじまり〜
   1.Ave Maria (アルカデルト作曲)
   2. 風がハミング (永澤亀作曲)
   3. ぜんぶ (相澤直人作曲)
       さくらももこの詩による無伴奏混声合唱曲集 「ぜんぶここに」より
   4. 雨 (高田三郎作曲)
      混声合唱組曲「水のいのち」より
   5. 初心のうた (信長貴富作曲)
      混声合唱とピアノのための「初心のうた」より
   6. 群青 (小田美樹作曲、信長貴富編曲)
      混声四部合唱版
   7. 生命の春 (やなせたかし詩、市原俊明作曲)
      第50回記念委嘱曲(初演)

(休憩10分)

U 一日限りのラジオ番組をON AIR 〜中島みゆきの曲とともに〜
   混声合唱とピアノのための「中島みゆき」(信長貴富編曲)
                       パーソナリティ:遠藤麻理
(休憩15分)

V 現代ミサ曲の響き 〜公募合唱団員とともに〜 
                   弦楽:新潟交響楽団室内アンサンブル
   「MASS」 (S.ドブロゴス作曲)
      1. Introitus
      2. Kyrie
      3. Gloria
      4. Credo
      5. Sanctus
      6. Agnus Dei

(アンコール)
  夜の歌
 

 新潟混声合唱団は、毎回興味深い楽曲を演奏してくれていますが、 実際にはなかなか聴く機会がなく、個人的には、2016年11月の第50回新潟市合唱祭での短い演奏を除けば、 2015年7月の第45回定期演奏会以来であり、今回は6年振りとなります。なお、この第45回定期演奏会は、現在の常任指揮者の佐藤匠さんの就任記念の演奏会でした。
 また、 2010年9月の第40回記念定期演奏会も聴かせていただいており、今回は第50回記念定期演奏会です。長い歴史の中での節目の記念演奏会ですので、今回も是非とも聴かせていただこうと思いました。

 第1部は過去の思い出の曲と未来に向けての新曲を、第2部では中島みゆきの曲を、第3部では公募団員も含めて、ドブロゴスの「Mass」全曲が新潟交響楽団室内アンサンブルとともに演奏されます。盛りだくさんなプログラムですが、第2部に、ラジオ番組で人気の遠藤麻理さんが出演するというのが注目されました。

 さて、新潟混声合唱団は、1970年に第1回定期演奏会を開催し、以後年1回の定期演奏会を重ねてきました。そして、50年目の昨年に第50回記念定期演奏会を開催するはずでしたが、コロナ禍で今年に延期され、9月12日に開催される予定でした。
 しかし、新型コロナ感染の拡大により会場の新潟市音楽文化会館は休館となり、演奏会の延期を余儀なくされ、今日の開催となりました。
 新型コロナ感染の感染者は急速に減少して小康状態となり、無事にコンサートも開催され何よりと思いますが、注目された第2部への遠藤麻理さんの生出演ができなくなり、事前収録したナレーションでの出演となったのは残念です。


 雑務を済ませ、冷たい雨が降るなか車を進め、いつもの白山公園駐車場に車をとめました。りゅーとぴあのインフォメーションで今日発売の某コンサートのチケットを買い、しばしロビーで休憩した後、音楽文化会館へと行きました。
 開場15分前でしたが、まだ列はできておらず、私が先頭になって列が作られました。時間となり、当然私が最初で入場かと思ったのですが、エレベーターで上がった人に先を越されてしまいました。まあ、どうでもいいですけれど。
 ホール内は女性客が圧倒的に多く、客席には十分に余裕はありましたが、わざわざ密集して着席する人が多かったです。おしゃべりも楽しみのうちなんでしょうね。私はいつもひとりですけれど。ステージ後方に合唱団のひな壇、中央にピアノが設置されていました。

 開演時間となり、ホールの照明が落とされ、暗い中に合唱団とピアノ、フメクリスト、指揮者が登場。合唱団員は女声が11人、男声が9人の20人で、全員がマスクを着用していますす。
 第1ステージが「Ave Maria」で開演しました。第1回定期演奏会の1曲目で歌われた曲だそうです。美しい曲なのですが、この曲を聴くと、ドリフターズの聖歌隊を思い出してしまいます。
 ここで指揮者の佐藤匠さんの挨拶があり、以後佐藤さんのMCで演奏が進められました。2曲目の「風がハミング」は、初代常任指揮者の永澤亀先生のチャーミングな曲です。永澤先生と言えば、学生時代に音楽の講義を受け、クラシック音楽に目覚めさせていただきました。永澤先生との出会いがなければ、今こんな記事は書いていなかったかもしれません。
 続いて「ぜんぶ」「雨」「初心の歌」の3曲が続けて歌われました。それぞれ合唱団にとって思い出の曲のようですが、美しい混声合唱にうっとりと聴き入りました。
 そして6曲目は、コロナ前に練習していた曲で、まだ演奏会では歌っていない「群青」です。東日本大震災に関連した曲で、胸に迫る曲であり、美しい演奏でした。
 そして最後に、第50回記念としての委嘱作「生命の春」(作詞:やなせたかし、作曲:市原俊明)が歌われました。今日が初演となりましたが、壮大に力強く歌い、感動を誘いました。演奏後には作曲者が客席からステージに呼び寄せられました。まだお若く見えましたが、素晴らしい作曲家ですね。

 短い休憩の後、場内が暗転した中に団員が入場。皆さんカジュアルな服装です。ひな壇には合唱団用の椅子が用意されていて着席しました。ステージ左側にはラジカセが置かれ、佐藤さんがスイッチを入れて開演です。
 第2ステージは、演出付きのステージとして、信長貴富編曲による混声合唱とピアノのための「中島みゆき」です。遠藤麻理さんを迎えて、架空のラジオ番組の公開生放送という趣向だったのですが、延期により遠藤さんが生出演できなくなり、収録での出演となりました。
 オールナイトニッポンのテーマ曲「Bitter Sweet Samba」に載せて、架空の番組「遠藤麻理のアフタヌーン新潟」のスタートです。
 合唱団員からの投稿を遠藤さんが読んで答えるという趣向で、合唱団のCMまである懲りようです。遠藤さんのユーモアあふれる洗練されたトークも面白く、楽しく聴かせていただきました。
 リクエストに応えるという形で、中島みゆきの「時代」「地上の星」「宙船」「糸」「誕生」が歌われましたが、信長貴富の編曲も素晴らしく、感動を誘いました。

 2度目の休憩後の第3ステージは、公募の合唱団も参加して、アメリカ出身のスティーブ・ドブロゴスの弦楽とピアノのための「MASS」です。弦楽は新潟交響楽団室内アンサンブルで、編成は3-3-2-2-1です。
 ステージ前方左にピアノ、中央に弦楽アンサンブル、後方に合唱団という配置です。暗転した中に合唱団、続いて弦楽アンサンブルが入場。佐藤さんが登場して開演です。佐藤さんは1部では白シャツでしたが、今度は黒シャツでした。
 ピアノに始まり、弦楽が加わって Introitusが演奏され、Kyrieで合唱が加わり、Gloria、Credo、Sanctus、Agnus Deiと、宗教曲の形式に従って演奏が進められました。
 ミサ曲とはいうものの、現代曲だけあって、暗さは感じさせず、ゴスペルやジャズのテイストに溢れ、軽快で楽しめました。コンミスの松村牧子さん率いる弦楽アンサンブルも美しく、コントラバスがジャズテイストを醸し出し、いい味付けをしていました。
 宗教曲を楽しく聴くというのも変な話ですが、気持ちよく聴かせていただきました。演奏中に関わらずお喋りする方がおられましたけれど・・。

 アンコールは一番歌われている曲という「夜の歌」をしっとりと歌い、2番では弦楽アンサンブルも加わって、美しいハーモニーで魅了し、記念すべき50回目の定期演奏会は終演となりました。

 盛りだくさんのプログラムで、終演は16時20分。飽きることのない内容は素晴らしかったです。50年の歴史を礎に、第3代常任指揮者の佐藤さんの指導の下、ますます大きく羽ばたいて欲しいと思います。

 最後に、50回おめでとうございました。
 
 
(客席:9-8、¥1000)