石丸由佳 オルガン・リサイタル 〜夢見る宇宙とオルガンと〜
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2021年6月26日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
オルガン:石丸由佳
おはなし:佐治晴夫
プラネタリウム投影:一般社団法人 星つむぎの村
 
J.S.バッハ:コラール《我汝に呼ばわる主イエス・キリストよ》BWV 639

J.S.バッハ:トッカータとフーガ へ長調 BWV540

J.S.バッハ:平均律第2巻 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV870

(休憩20分)
 
パルムグレン:星は瞬く

マルコ・エンリコ・ボッシ:オルガンのための5つの小品 Op.104 より
               第1曲 アントレ・ポンティフィカーレ
マスネ:タイスの瞑想曲

フォーレ:「レクイエム」より イン・パラディスム 〜楽園にて〜
マリル:カリヨン

(アンコール)
J.S.バッハ:主よ人の望みの喜びよ
 
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 りゅーとぴあ専属オルガニストに就任して2年目となる石丸由佳さんのリサイタルです。新潟から羽ばたち、全国で活躍する石丸さんは、現在日本で最も活躍しているオルガニストの一人と言えましょう。

 そんな石丸さんの演奏を聴くのは、6月4日の「音コン・チアフルコンサート」以来3週間ぶりですが、正式なコンサートとしては、昨年12月の「りゅーとぴあ オルガン・クリスマス コンサート2020」以来でしょうか。そのときはチケットを買いながら、業務多忙のため行くことができませんでした。
 その前の10月21日の「1コイン・コンサート」も平日のため行けませんでしたので、8月8日の「オルガンサマーデイズ2020・1コイン・オルガンコンサート」以来です。
 正式なリサイタルとしては、昨年6月20日の「石丸由佳オルガン・リサイタル」以来1年ぶりになります。ちなみに、石丸さんは、2011年2月に、第22回シャルトル国際オルガンコンクールのグラン・プリ受賞記念リサイタル、2012年10月に、第2回のリサイタルを開催しており、りゅーとぴあでのリサイタルは4回目ということになりましょうか。

 今回のリサイタルは、「夢見る宇宙とオルガンと」と題され、プラネタリウムの投影と物理学者の佐治晴夫先生のお話があるとのことで、非常に楽しみでした。
 同じ内容のコンサートは、りゅーとぴあに先行して、5月9日にサントリーホールで開催されるはずでしたが、緊急事態宣言に伴って7月14日に延期されましたので、新潟が先になりました。(サントリーホールでは前半の曲目が一部異なります。)

 今日は梅雨の中休みで天候に恵まれ、すがすがしい土曜日となりました。いつものように、カメの水替え、ネコのトイレ掃除、洗濯、掃除機掛け、ごみ出し等のルーチンワークを終えて家を出ました。

 ワンパターンではありますが、いつものように、上古町で極上の冷やし中華をいただきましたが、今日は半チャーハン付きにしました。チャーハンも美味しく、幸せ気分でりゅーとぴあへと向かいました。

 ちょうど開場時間となり、列に並んで、私も入場しました。今回は客席の間隔を空けず、制限を設けずに通常通りに発売されましたので、久しぶりに密集・密接状態でのコンサートとなりました。
 ステージにはスクリーンが設置され、左手に演台とピアノが置かれていました。客席は次第に埋まり、オルガンのリサイタルとしてはなかなかの入りとなりました。

 開演時間となり、石丸さんが登場。バッハの「我汝に呼ばわる主イエス・キリストよ」で開演しました。荘厳な雰囲気の中に、オルガンの重厚な響きが心を癒しました。

 石丸さんの挨拶があり、佐治さんが紹介されて、ステージに登場。ピアノの音を出したりしながら、倍音のことなど、パイプオルガンの魅力について物理学的に説明してくれました。

 佐治さんの話の流れで、2曲目はバッハの「トッカータとフーガ ヘ長調」を、スクリーンに演奏の様子を映し出しながら演奏し、パイプオルガンの魅力を堪能しました。

 続いては、佐治さんが関わったNASAの宇宙探査機ボイジャーの話があり、興味深く聞かせていただきました。ボイジャーに載せた円盤にバッハの曲を収録するのを決めたのは佐治さんなんですね。

 そして、ボイジャーが辿った道のりを映像で振り返りながら、バッハの「前奏曲とフーガ」を演奏。宇宙を感じさせるオルガンの調べを聴きながら宇宙旅行を楽しみました。最後にボイジャーが撮影した点にしか見えない地球を投影し、前半を締めくくりました。

 休憩後の後半は、佐治さんのリクエストによるパルムグレンの「星は瞬く」で開演しました。ピアノ曲をオルガンに編曲したもので、オルガンでの演奏は今日が初演とのことです。笛のような音色で癒されました。

 後半も佐治さんのお話しとともに演奏が行われました。宇宙と人間、聴覚の重要性、音から音楽へ。壮大なテーマでの話を興味深く拝聴しました。あまりにも内容の濃い話であり、新書を1冊読んだような充実感とともに疲労感も感じました。
 話の流れの中に、ホールの天井へのプラネタリウムの投影とともに演奏が行われました。ボッシの「アントレ・ポンティフィカーレ」のオルガンの壮大な響きに身を委ね、マスネの「タイスの瞑想曲」は、しっとりと心に染み入りました。
 そして、フォーレの「イン・パラディスム」にうっとりし、マイルの「カリヨン」で、壮大な宇宙旅行を終えて、地球へと帰還しました。

 石丸さん、そして佐治さんに大きな拍手を贈られ、1階席後方でプラネタリウムを投影した2人の担当者にも拍手が贈られました。
 アンコールとして、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」を穏やかな音色でしっとりと演奏し、コンサートは終演となりました。

 石丸さんのリサイタルというより、佐治さんの講演会に石丸さんがゲスト出演という感じでした。佐治さんは86歳とは思えない元気な話しぶりでした。数々の講演をこなしているだけあって話は上手であり、ピアノを弾いたり、美声で歌ってみたりと終始大活躍でした。
 ちょっと異色なりサイタルに戸惑いも感じましたが、壮大な宇宙と人間の歴史について考え、ヒトと音楽の関わり、さらにはパイプオルガンの素晴らしさを再認識した内容の濃いコンサートでした。

 正直言えば、あくまで石丸さんのリサイタルですので、話を短くして、演奏曲目を増やして欲しかったというのが本音でしたが、プラネタリウムの投影も美しく、新たな試みを賞賛したいと思います。
 クラシックに限らず、宇宙に関わる曲は数多くあり、これからもプラネタリウムのほか、他のホールで石丸さんがやっているプロジェクションマッピングを駆使したコンサートを、りゅーとぴあでも企画してくれると良いかなと思います。

 

(客席:2階C7-11、¥2500)