新潟交響楽団第106回定期演奏会
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2021年6月27日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:大河内雅彦
 

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲

リスト:前奏曲(レ・プレリュード)

(休憩15分)

シューマン:交響曲第3番 変ホ長調「ライン」

(アンコール)
シューマン:トロイメライ

 今日はたくさんの魅力あるコンサートが重なって、どこに行くか悩ましい日曜日になりました。主なものだけでも、新潟市では新潟交響楽団と北区フィルの定期演奏会、新潟シューマン協会の例会、長岡市では新潟バッハ管弦楽団合唱団、上越市では上越市民吹奏楽団の定期演奏会といった具合です。

 特に新潟交響楽団第106回定期演奏会と北区フィルハーモニー管弦楽団第9回定期演奏会が同時刻開催というのが何とも残念であり、どちらに行くか悩まれた人も多いのではないでしょうか。

 北区フィルにつきましては、2011年5月の有志によるコンサート、2011年10月の第1回ファミリーコンサート、2012年6月の第1回定期演奏会以来、その発展・進化を見守り、応援し続けている私としましては、コンミスが加藤礼子さんということもあって、今回の定期には是非とも行きたかったのですが、残念ながら苦渋の選択を迫られました。

 北区フィルのメインはブラームスの1番という良く聴く曲で、前回の潟響定期でも聴いたばかりです。一方潟響は新潟で生で聴く機会がほとんどないシューマンの「ライン」ということで、今回は潟響を選択しました。
 潟響がシューマンを演奏しているときに、新潟シューマン協会の例会が同時刻に別に開催され、「ライン」をピアノ連弾で演奏しているというのも皮肉ですね。

 実はチケットを買う寸前まで迷っており、りゅーとぴあのインフォメーションで、駐車場の割引を受けるためにチケットを買おうとしたとき、潟響のチケットは置いていたのに、北区フィルのチケットは置いていなかったというのが最後の決め手となったというのが真相です。

 ともかく、新潟のような地方都市では、クラシック好きの人口は多いとは言えず、年に何度もないオーケストラの演奏会を同じ日時にしないよう配慮いただければ幸いです。
 まあ、アマオケですので、商業的な興行としての公演ではありません。皆さん職業をお持ちなわけで、日程が先に決まっていて、他のオケの予定など考慮することは難しいのでしょうね。

 さて、今回の定期演奏会は、「ライン川へご案内。」というキャッチコピーにありますように、シューマンの交響曲第3番「ライン」をメインプログラムに据えています。指揮は、2019年6月の第103回定期演奏会から潟響の指揮を執っている大河内雅彦さんです。
 ちなみに、潟響の定期演奏会では、2015年6月の第96回定期演奏会でシューマンの交響曲第1番「春」、2010年6月の第86回定期演奏会で交響曲第2番を演奏していますが、第3番は今回が初演と思われます。
 東響新潟定期でも、2009年の第56回新潟定期でシューマンの交響曲第2番は取り上げられていますが、これまでに第3番は演奏されていません。そう考えても、今日の演奏は貴重です。

 と、前置きが長くなりましたが、今回が106回という長い歴史を誇る新潟交響楽団の定期演奏会です。昨年11月の第105回定期演奏会に引き続いて、今回も聴かせていただくことにしました。

 梅雨の中休みで、昨日は爽やかな好天でしたが、今日は曇り空で、気分も晴れません。雨が降らないだけ良しとすべきでしょう。ネコと戯れ、ゆっくりと昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。

 開場時間間際に到着。開場待ちの列が長く伸びているものと思っていましたが、それほどでもなく拍子抜けという感じでした。私は混雑を予想して指定券を奮発していましたが、買うまでもなかったかもしれません。でも、蜜を避けて、ゆったりと楽しめるのは良いですね。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待つ新潟方式です。最後にコンミスの松村さんが登場して大きな拍手が贈られました。
 弦5部は、10-8-7-9-7と、ちょっとアンバランスな編成です。まだコロナ禍でオケに参加できない団員もおられるようであり、そのためかもしれませんね。

 チューニングを終え、大河内さんが登場して、1曲目は、「魔弾の射手」序曲です。出だしの聴かせどころのホルンが頑張ってくれて、スムーズに物語へと誘われました。アマチュアですので多少のアンサンブルの乱れはありますが、各主題とも無難に演奏し、この曲の世界がうまく表現されていたと思います。

 2曲目は「レ・プレリュード」です。これは聴き応え十分な素晴らしい演奏だったと思います。1曲目に感じた不安定さはなくなり、管楽器群の頑張りもあって、第1部から第4部の各場面の聴かせどころもばっちりと決まり、迫力溢れるクライマックスで精神的高揚を誘いました。オーケストラの楽しみ・喜びを知らしめてくれ、気分良く休憩に入りました。

 後半はシューマンの「ライン」です。重厚感を感じさせる第1楽章に始まり、各楽章ともしっかりと聴かせてくれました。荘厳な第4楽章からアタッカで第5楽章へ。明るく爽やかなフィナーレへと突き進みました。
 個人的には馴染みにくい曲で、CDを持っていてもめったに聴かないのですが、生で聴きますと楽しみが違いますね。管楽器、特にホルン軍団のパフォーマンスが光っていました。曲の魅力を再認識させてくれるような魅力溢れる演奏だったと思います。

 カーテンコールの後、大河内さんの挨拶があり、アンコールはシューマンで一番有名な曲との紹介があって、「トロイメライ」が演奏されました。オケをバックに、コンミスの松村さんのヴァイオリンソロで、しっとりと、爽やかに演奏され、静かな余韻の中にコンサートは終了しました。

 大河内さんは2年の契約だったそうですが、コロナ禍で半年延長され、今日が最後の演奏会となりました。次回からは、何と松沼俊彦さんが再登場します。熱い演奏が期待できそうですね。

 次回の第107回定期演奏会は、11月21日(日)に、創立90周年記念として開催され、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」ほかが演奏されます。
 また、12月19日(日)には、第21回新潟第九コンサート2021が開催されます。少しずつコロナ前に戻りつつありますが、予定通り開催されることを祈りたいと思います。

 

(客席:2階C3-7、指定券:¥1500)