石丸由佳 オルガンリサイタル
  ←前  次→
2011年2月13日(日) 16:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
パイプオルガン: 石丸由佳
 
 
J.S.バッハ:トッカータ、アダージョとフーガ ハ短調 BWV564

J.アラン:幻想曲 第2番

J.ギユー:トッカータ 作品9

Ch.M.ヴィドール:オルガン交響曲 第6番 ト短調より 第1楽章アレグロ

(休憩20分)

J.S.バッハ:前奏曲とフーガ イ短調 BWV543

後藤 丹:故郷による幻想曲

後藤 丹:さくら幻想曲

C.フランク:祈り Op.20

F.メンデルスゾーン:オラトリオ<聖パウロ>より 序曲/W.T.ベスト編曲

(アンコール)
J.S.バッハ:27のコラール より わが心の切なる願い BWV727
 
 
 「第22回シャルトル国際オルガンコンクール グラン・プリ受賞記念」と冠されたコンサートです。受賞記念の世界コンサートツアーの前に、地元新潟市で初リサイタルを開催することになりました。
 りゅーとぴあで初めてパイプオルガンに出会い、「りゅーとぴあオルガン研修講座」を受講し、オルガニストとしての勉強をスタートしたというのはすばらしいことと思います。
 りゅーとぴあをホームグランドとする私にとって、喜ばしいことであり、是非とも応援せねばなりません。ということで、ほかに聴きたいコンサートがいろいろあったのですが、万難を排して駆けつけました。

 立春が過ぎ、しばらく比較的過ごしやすい日々が続いていましたが、昨日から雪模様。強風が吹き荒れています。雪が降ったり止んだりと、目まぐるしく天気が変わります。
 ちょっと早めに着いたので、県民会館の情報ラウンジで音楽雑誌を読んで時間をつぶし、開場時間になったのでりゅーとぴあに向かいました。
 すると、何と開場待ちの長い行列ができていてびっくり仰天。裏のカフェの前をぐるりと回って、裏の入り口のところまで列ができていました。私も行列に並んで、お気に入りの3階のサイド席に席を取りましたが、開演時間には1階前方を除いて、ほとんどの席が埋まりました。オルガンのコンサートでこれだけの集客は新記録じゃないでしょうか。わが街が生んだスターを応援しようとたくさんの人たちが集まったに違いありません。

 赤い衣裳の石丸さんが登場して開演です。前半の4曲は、シャルトル国際オルガンコンクールの課題曲であり、グランプリを取った見事な演奏を聴くことができました。粒立ちの良い、きらびやかな音がホールいっぱいに満ち溢れ、万華鏡でも見るかのような印象でした。オルガンの音量も大きめで、演奏効果を高めていたように思います。中でも、ギユーのトッカータは聴きものでした。りゅーとぴあのオルガンからこんな音が出るなんてと驚きを感じました。

 後半は、バッハの後、新潟の作曲家である後藤氏による曲が照明の演出を交えながら演奏されました。さくら幻想曲ではミラーボールが使われて、ホールいっぱいに桜吹雪が舞うような効果を生んでいました。1階席に後藤氏も来られていて、拍手を受けました。続くフランク、メンデルスゾーンも落ち着いた照明が使われ、演奏を盛り上げていました。

 石丸さんの挨拶があった後、アンコールが演奏されましたが、中学生のとき、りゅーとぴあで初めてオルガンを弾いたときの曲とのことでした。
 
 はちきれるような、エネルギーあふれる演奏、若さが爆発すような音の輝き。ロックでも聴くような、悪く言えば荒っぽい演奏ともいえます。しとやかな山本さんの演奏とは正反対です。
 しかし、これまでのオルガンコンサートでは感じることのなかった、精神的高揚を感じました。オルガンからこんなにも明るく、輝きのある音が出るなんて、驚きを禁じ得ません。

 初リサイタルとは思えない落ち着いた演奏であり、多彩な演目で、ボリュームもたっぷりでした。譜めくり、ストップ操作をしていたのは、われらが山本さんに良く似ていましたが、遠目で確認できませんでした。

 期待以上の満足感で、幸せ気分で帰路に着きました。これから世界でコンサート活動を始められますが、そのデビューコンサートに立ち会うことができて良かったです。
 なお、テレビ取材が入っていて、3月3日の夕方の「新潟一番」で放映されるそうです。 
 

(客席:3階J2-14、会員割引:1350円)