長岡市民合唱団第30回定期演奏会
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2018年5月20日(日) 14:00  長岡リリックホール コンサートホール
 
指揮:船橋洋介
オルガン:山本真希、西岡誠一
ピアノ:齋藤淳子、金子陽子
ソプラノ:石上朋美
合唱:長岡市民合唱団、合唱指揮:草川正憲
 

第1部 指揮:船橋洋介、ピアノ:齋藤淳子、金子陽子

作詞・榎木冨士夫、作曲・サン=サーンス/寺島尚彦:
  合唱ファンタジー 混声・動物のカーニバル
    1.王様とライオン、2.にわとりの二重唱、3.ぼくはらば、
    4.象のワルツ、5.カンガルー、6.海のしじま、
    7.ピアノのおけいこ、8.化石の森、9.旅の白鳥、
    10.フィナーレ

第2部 オルガン:山本真希

バルバトル:ノエル集 第2組曲より「汝ら優しき大いなる神」

フォーレ:レクイエム ニ短調 Op.48 より「ピエ・イエズ」 (ソプラノ:石上朋美)
フランク:荘厳ミサ曲 イ長調 Op.12 より 「天使の糧」 (ソプラノ:石上朋美)

レゾン:オルガン曲集 第1巻 第2旋法によるミサ曲より
      「パッサカリアによるトリオ」
バッハ:パッサカリア ハ短調 BWV582

(休憩15分)

第3部 指揮:船橋洋介、オルガン:山本真希、西岡誠一

ヴイエルヌ:盛儀のミサ
    1.キリエ、2.グローリア、3.サンクトゥス、4.ベネディクトゥス
    5.アニュス・デイ

フォーレ:ラ・シーヌ賛歌

(アンコール)
見上げてごらん夜の星を
 

 長岡市民合唱団は1981年に創立されましたが、プロオケとの共演を度々行い、その活動の活発さと意欲的なプログラムは県内最高ではないでしょうか。私は2002年4月に東京フィルと共演したヴェルディの「レクイエム」を聴いて以来何度か聴かせていただいています。
 この合唱団は数々の曲の新潟初演を果たし、ペーテル・ブノワの「盛儀のミサ」(2008年4月)やカール・ジェンキンスの「平和への道程」(2012年5月)は、何と日本初演であり、私も聴かせていただきました。今日の演奏会のメインであるヴィエルヌの「盛儀のミサ」も新潟初演ということになりましょう。

 ということで、今日の演目も魅力的で多彩であり、山本真希さんが出演されるというのも魅力的であり、早々にチケットを買って楽しみにしていました。

 昨日のぐずついた天候から一転して、今日は朝から晴れて、清々しい日曜日になりました。絶好のコンサート日和(?)ということで、長岡まで予定通りに遠征することにしました。
 いつものように、分水・与板経由で、快適なドライブで長岡入りしました。リリック・ホールに着きますと、ホール前の広場で催し物が開催されていて、ものすごい人だかりでした。覗いてみますと、多数の店が出ていて、私も気に入った物がありましたので、買い物しちゃいました。

 開場10分前にホールに戻りましたが、まだ開場の列がはできておらず、私が率先して並びますと、その後に列が長々とできました。そして開場時間となり、中ほど中央に席を取りました。

 ステージには中央には2台のピアノが向かい合うように設置され。その左に大オルガン(電子オルガン)、右には小オルガン(ポジティフ・オルガン)がセットされており、ピアノの調律が入念に行われていました。
 ちなみに、大オルガンはオランダのヨハネス社製スウェーリンク25(2段手鍵盤+ペダル鍵盤、47ストップ)で、小オルガンはイタリアのザニン社製ポジティフ(1段鍵盤、3ストップ)です。

 開演時間となり、合唱団が入場。女声陣は色とりどりのカラフルなネッカチーフを巻いておられました。男声は少なく17人のみでした。
 ピアニスト2人と指揮の船橋さんが登場して、第1部が開演しました。演目は、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」に歌詞を付けた「動物のカーニバル」で、お馴染みの曲にユーモラスな歌詞が付けられて、楽しく歌われました。ゲストのソプラノの石上さんも合唱団の中に入っておられ、ソロをとる場面もありました。2台のピアノの演奏も素晴らしく、合唱団の熱演を引き立てていました。

 合唱団が退場し、ピアノが左右の壁際に片付けられて第2部が開演しました。第2部はゲストの山本さんの演奏で、ソプラノの石上さんも共演しました。
 山本さんが登場して、ステージ右側の小オルガンによりバルバトルの小品が演奏されました。3つのストップを使い分けて多彩な音を紡ぎ出し、チャーミングな演奏で楽しませてくれました。

 ここで山本さんの挨拶と解説がありました。石上さんが登場して、山本さんは左の大オルガンを演奏してフォーレの「ピエ・イエズ」が歌われました。もともとが美しい曲ですが、オルガンの荘厳な響きに載せて、より美しく歌われました。

 石上さんの挨拶があり、続いてフランクの「天使の糧」がオルガンとともにしっとりと歌われて、汚れた私の心に染み渡り、胸を打ちました。

 続いては山本さんの大オルガンの独奏です。レゾンの「パッサカリア」をさらりと演奏し、続けてこの曲のメロディを基にして作られたバッハの「パッサカリア」が壮大に、華麗に演奏され、電子オルガンとは思えない重厚なサウンドと迫力に酔いしれました。


 休憩後の第3部はいよいよメインのプログラムです。合唱団のほか、2人のオルガン奏者、指揮の船橋さんの全員が上下黒の衣裳で登場し、ヴィエルヌの「盛儀のミサ」です。
 山本さんが大オルガン、西岡さんが小オルガンを演奏し、大きなアクションで指揮する船橋さんにより、合唱団の熱演が引き出されました。2台のオルガンによる絢爛豪華な音響と荘厳な響きが残響豊かなホールに響き渡り、ホールは大聖堂になったかのようでした。
 2つのオルガンが必要ということもあって演奏機会も少ないものと思いますが、美しい曲でした。こんな曲をプログラムにあげて聴かせてくれた合唱団の皆さんに感謝したいと思います。

 続いて、山本さんの大オルガンとともにフォーレの「ラ・シーヌ讃歌」が美しく歌われ、美しいメロディと歌声が心を癒し、至福の時間を与えてくれました。

 大きな拍手に応えて、アンコールにピアノ伴奏で「見上げてごらん夜の星を」が感動的に歌われて終演となりました。

 合唱団の素晴らしさ、大きなアクションで感動の歌声を作り上げた船橋さんの素晴らしさはいうまでもないですが、山本さんのオルガンも光っていたと思います。山本さんなしではこの感動はなかったはずですし、第2部の迫力ある演奏も目立っていました。

 めったに聴けない曲を聴かせてくれるこの合唱団のすばらしさを再確認しました。来年はオルフの「カルミナ・ブラーナ」とのことです。楽しみですね。 

(客席: 11-11、¥1500)