K.ジェンキンス 「平和への道程」演奏会
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2012年5月20日(日)15:00 長岡市立劇場 大ホール
 
指揮:船橋洋介
メゾソプラノ:坂本 朱(*)、ソプラン:高橋さやか、テノール:内山信吾、バス:大井哲也
ムアッジン:ムラット=チエヴィッキ
ボーイソプラノ:今井鈴子、梅澤小春
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:長岡フェニックス合唱団(合唱指揮:山本義人)
 
第1部
映画「スターウォーズ」のテーマ
映画「ティファニーで朝食を」より ムーン・リバー (*)
映画「タイタニック」より My Heart Will Go On (*)
映画「ニューシネマ・パラダイス」メドレー
ガーシュウイン:Summer Time (*)
ガーシュウイン:I Got Rhythm (*)

(休憩15分)

第2部
K.ジェンキンス:The Armed Man A Mass for Peace 平和への道程
   1.The Armed Man 
   2.Call to Prayers(Adhaan)
   3.Kyrie
   4.Save Me From Bloody Men
   5.Sanctus
   6.Hymn before Action
   7.Charge!
   8.Angry Flames
   9.Torches
   10.Agnus Dei
   11.Now the Guns Have Stopped
   12.Benedictus
   13.Better Is Peace
 
 

 昨年3月に開催するはずのコンサートでしたが、直前に起こった東日本大震災の影響で中止となりました。それから1年を経て、満を持しての開催となりました。

 K.ジェンキンスの「平和への道程(みちのり)」の全曲演奏は日本初演ということで、興味を持ち、聴くことにしました。とはいえ、正直言って、K.ジェンキンス(カール・ジェンキンス)という作曲家については、この公演をを知る前には何の知識もありませんでした。同じK.ジェンキンスでも、キャサリン・ジェンキンスなら知っているのですけれど。

 昨日から新潟は好天が続き、今日も朝から快晴であり、まさに行楽日和となりました。長岡遠征もドライブを楽しむにちょうど良かったです。小千谷、十日町の某所での用事を済ませ、会場入りしました。

 ホールはかなりの盛況で、9割程度は入っていたようでした。拍手の中楽員が入場。東響新潟定期なら、最後にコンマスの一礼があるのですが、そのままチューニングになりました。

 前半は、坂本さんの歌を交えてのポップスコンサートでした。迫力あるスターウォーズで観客の心をつかみ、その後の演奏が進められました。坂本さんは声量に問題ないはずですが、マイクを使用していました。ダンスを踊るような船橋先生の指揮ぶりも面白かったです。
 おなじみの曲ばかりで、リラックススして聴けて良かったです。こういうポップスコンサートは好きなのですが、新潟ではほとんど聴く機会がなく、大変楽しめました。

 休憩後は、いよいよ「平和への道程」です。ステージ後方に合唱団が陣取りましたが、女声が多く、人数的には男声陣は少なかったです。

 軍靴の響きを表す足を踏み鳴らす音で演奏が開始されました。合唱団の歌声が素晴らしく、オケの好演と相まって、曲に引き込まれていきました。ステージ両サイドに字幕が表示されたのも良かったです。

 11年前のコソボ紛争の犠牲者に捧げれた曲であり、全13曲からなりますが、いずれも胸に染み入る曲ばかりでした。2曲目はイスラム教の礼拝への呼びかけであり、内容もさることながら、なかなか聴く機会がないので、面白く聴けました。

 いずれの曲もなじみやすく、良かったですが、特に12曲目のBenedictusは、チェロのソロが美しく、良かったです。TVのCMでも使用されたことがあり、聴き覚えがありました。

 2000年の初演以来、世界で1200回以上演奏されているそうですが、こんなに素晴らしい曲が日本初演とは意外です。
 イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教の言葉がテキストとして用いられ、被爆者である峠三吉の「原爆詩集」の一節も歌われています。まさに、言語や宗教、文化の違いを超えた、人類普遍の平和への願いを表現しているものと思います。

 1年待って演奏されただけに、歌う側の思いもひと際大きかったものと思います。シティフィルの皆さんの演奏も見事であり、まとめ上げた船橋先生の力も偉大です。

 はるばる長岡まで遠征しても聴く価値のある素晴らしい演奏でした。何より日本初演に立ち会えた喜びはひとしおです。これきっかけに、日本でも演奏される機会が増えることを期待したいと思います。

 毎回珍しい曲を取り上げる長岡の合唱団の頑張りには敬意を表します。次回は何を取り上げるのか、早くも楽しみです。
 

(客席:28-37、B席:3000円)