ヴァリ・コローリ vol.3
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2018年5月19日(土) 14:00  だいしホール
 
ピアノ:小林浩子、金川 唯、加藤桜子
 
第1部

ラヴェル:水の戯れ (小林浩子)

ドビュッシー:映像第1集 (加藤桜子)
        1 水の反映、2 ラモーを讃えて、3 運動

ベートーヴェン:ピアノソナタ 「月光」第1楽章 (小林浩子)

ドビュッシー:喜びの島 (金川 唯)

(休憩15分)

第2部

ドビュッシー:月の光 (加藤桜子)

ドビュッシー:前奏曲集第1巻 より (金川 唯)
        第5曲 アナカプリの丘、第7曲 西風の見たもの

メンデルスゾーン:無言歌集 より (小林浩子)
        甘い思い出 Op.19-1、紡ぎ歌 Op.67-4

グリーグ:抒情小曲集 より (加藤桜子)
        春に寄す Op.43-6、夜想曲 Op.54-4、家路 Op.62-6

ショパン:英雄ポロネーズ Op.53 (金川 唯)

ショパン:練習曲第8番 (金川 唯)

ショパン:バラード第4番 Op.52 (小林浩子)
 

 これからの新潟の音楽界を支えていくと思われる若手ピアニスト3人のジョイントコンサートです。 今回は第3回ということですが、昨年に引き続いて聴かせてもらうことにしました。 Vari Colori とはイタリア語で「様々な色」という意味だそうです。まさに三人三様の様々な色を見せてくれるものと思います。

 蒸し暑い夏日の昨日がうそのように、今日は気温が下がって肌寒くなりました。天気もすぐれず、雨が降り続いて生憎の天候になりました。

 いつものように、三吉屋で中華大盛りを食べ、小雨降るなか、だいしホールに向かいました。到着しますと、ちょうど開場時間となり、一番最初に入場し、いつもの場所に席を取りました。客の入りとしましては、それなりにというところでしょうか。

 開演時間となり、青いドレスでショートカット・ヘアが爽やかな小林さんが登場し、ラヴェルの「水の戯れ」で開演しました。クリアでクリスタルのような音の輝きが美しかったです。まさに水と戯れた至福の時間でした。

 ここで小林さんによる挨拶があり、続いてクリームレモン色のドレスの加藤さんが登場して、ドビュッシーの「映像第1集」の3曲です。豊潤な音の響きが心地よく、胸に迫りました。

 次はプログラムにはないプレゼントということで、小林さんが再登場して、ベートーヴェンの「月光」の第1楽章が演奏されました。柔らかな慈愛に満ちた音楽が流れ、山上に大きく輝く満月をイメージしました。

 続いて、薄いシルバーピンクのドレスの金川さんが登場し、ドビュッシーの「喜びの島」です。パワーが溢れ、荒々しく雄たけびを上げるような、火山島が噴火して噴煙を上げるかのような光景を思い浮かべました。

 休憩後の後半は、まずプログラムにないプレゼント曲として加藤さんによりドビュッシーの「月の光」が演奏されました。照明が落とされて、曲のイメージにぴったりな粋な演出に感動しました。演奏は温かさがあり、秋の月見のような、ほんわかした月のイメージを思い浮かべました。

 ここで加藤さんによりこのコンサートについての説明があり、続いて金川さんが登場して、ドビュッシーの「前奏曲集第1巻」からの2曲が演奏されました。
 強靭なピアノタッチから生み出される切れのある音。ジャズテイストも感じさせ、激しい感情を露わにして、燃え上がって爆発しました。

 続いて黒地に赤い花のドレスに衣裳換えした小林さんが登場し、メンデルスゾーンの「無言歌集」より2曲が演奏されました。「甘い思い出」はそれこそ甘くソフトであり、「紡ぎ歌」は糸車が軽快に回転するかのようでした。

 次は加藤さんが登場して、グリーグの「抒情曲集」からの3曲です。「春に寄す」では蝶が舞う爽やかな春風を感じ、「夜想曲」の美しい響きにうっとりとし、「家路」はスキップしながら帰り道を急ぐ光景が目に浮かびました。

 続いて金川さんが登場し、ショパンの「英雄ポロネーズ」です。力で押し切り、有無を言わせぬパワー溢れる演奏に圧倒されました。

 ここで金川さんの挨拶があり、プログラムにないプレゼント曲として、ショパンのエチュードが演奏されました。スピード感に溢れた激しい演奏に心奪われ、お見事と言うしかありません。

 最後は小林さんが登場してショパンの「バラード第4番」です。熱い思いを胸に秘め、抑制の聴いた演奏でしたが、最後は感情を露わにして燃え上がりました。コンサートの最後を飾るに相応しい素晴らしい演奏だったと思います。

 柔らかな雰囲気で優しく包み込むような加藤さん。対極的に攻撃的に鋭角的に訴えかける金川さん。柔の加藤さんと剛の金川さん、その中間的な小林さんというところでしょうか。三人それぞれの個性が溢れ、同じベーゼンドルファーから全く違った音色を生み出していました。

 コンサートの運営・進行も素晴らしく、配布されたプログラムも洒落ていて、内容も充実していて良かったです。次回はどのように成長して、どんな曲を聴かせてくれるでしょうか。楽しみですね。

 新潟の音楽界の次代を担うであろう三人の益々の発展を祈念しつつホールを後にしました。外は肌寒かったですが、良い音楽を聴いて後で、心は寒くありません。
 

(客席: F-6、¥2000)