TOGO Museum Emsemble 第20回記念演奏会
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2018年6月2日(土) 14:00  阿賀野市立吉田東伍記念博物館
 
TOGO Museum Emsemble
 Vn: 井口 歩、小島健弘、奈良秀樹、松村牧子
 Vla: 長尾 幸、Vc: 安部信之介、Cb: 冨岡 章、Chem: 丸山洋子
 

J.S.バッハ:主よ人の望みの喜びよ

(楽器紹介)

パッヘルベル:カノン

(休憩10分)

ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
  協奏曲第1番 ホ長調 RV269「春」 (独奏:松村)
  協奏曲第2番 ト長調 RV315「夏」 (独奏:井口)
  協奏曲第3番 へ長調 RV293「秋」 (独奏:小島)
  協奏曲第4番 ヘ短調 RV297「冬」 (独奏:奈良)

(アンコール)
  ふるさと

 阿賀野市の安田地区にある吉田東伍記念博物館のミュージアムコンサートです。吉田東伍はこの地の出身で「大日本地名辞書」を13年かけて独力で編纂し日本歴史地理学の先駆者と称されているそうです。
 この博物館の友の会の皆さんが、この博物館に附属する吉田東伍生家の大広間でコンサートを開催し、今回は20回目の記念コンサートになります。
 演奏するのはTOGO Museum Emsembleです。メンバーを見ますと新潟で活躍するお馴染みの人たちが並んでいます。奈良さんが社会人になった直後の20年前から弦楽四重奏でこのコンサートを始めたそうです。今回は20年目の20回記念ということで、総勢8人での演奏です。
 私は阿賀野市で長く仕事をしてきましたが、このコンサートを知る機会がなく、2年前の第18回演奏会を聴いて以来2回目になります。

 しばらく天候が落ち着きませんでしたが、昨日の午後から天候が回復し、今日は清々しい快晴になりました。やはり青空は気持ち良いですね。

 駐車場は狭いですので、早めに吉田東伍記念博物館に赴きました。この博物館は阿賀野市の安田市街にありますが、案内板は小さく、初めての人には分かりにくいように思います。

 開場までの間、博物館を見学しましたが、展示物は多くないですので、すぐに見終わってしまいました。開場の案内があり、博物館隣の東伍の生家に移動しました。

 戸は開け放たれ、会場の大広間は外に開放され、庭にも椅子が並べられていました。私は腰が悪く、畳の上で座って聴くのは苦痛ですので、庭先の椅子に席を取りました。天気も良いですので、庭先で野外コンサート気分で聴くのも風流です。

 主催者の挨拶があり、以後奈良さんのMCで演奏が進められました。左から順に、ヴァイオリンの松村さん、奈良さん、井口さん、小島さん、ヴィオラの長尾さん、チェロの安部さん、コントラバスの冨岡さんと並び、右後方にチェンバロの丸山さんです。

 1曲目は「主よ人の望みの喜びよ」です。ちょっとけだるいような、ゆったりとした演奏で、聴く人の心を癒しました。残響などあるはずもないですが、音は外まで良く届き、問題なく音楽に浸れました。

 ここで奈良さんによる各楽器の紹介がありました。それぞれの楽器の演奏も交えながら楽しく紹介してくれました。

 2曲目は「カノン」。ヴァイオリンのフォーメーションが変わって、左から小島さん、松村さん、奈良さんの3人が前に出ての演奏でした。奈良さんの分かりやすい曲目解説があり、3人のヴァイオリンが同じメロディをずらして演奏して音の厚みを生んでいることが良く分かりました。

 休憩の後はメインの「四季」全曲演奏です。奈良さんの詳しい曲目解説を交えながら、1楽章ずつ演奏されました。「春」、「夏」、「秋」、「冬」でソリストが交代し、ヴァイオリンの並びも変更されました。
 「春」のソリストは新潟交響楽団コンミスの松村さんで、「夏」はヤマハ音楽教室やオケで活躍されている井口さん、「秋」は新潟室内合奏団コンマスの小島さん、そして「冬」は新潟メモリアルオケのコンマスの奈良さんです。
 各奏者とも、活発な活躍をされている実力者ですので演奏は素晴らしく、バックのメンバーとも良く調和し、聴き応えある演奏に仕上がっていました。
 奈良さんの解説も分かりやすく、聴き飽きた感のあるこの曲の魅力を再認識できました。小編成である分、曲の構成もよく分かって勉強になりました。

 アンコールに「ふるさと」を演奏して終演となりましたが、音楽を聴く環境としては非日常的な大広間での演奏も良かったと思います。天候にも恵まれ、直射日光を受けると暑かったですが、日陰では爽やかな風が吹きぬけて、庭で聴くバロック音楽も風流でした。

 新潟在住の音楽家だけでこんなにも高水準で魅力的な音楽が創り出せるというのも素晴らしいことだと思います。奈良さんが話されていましたが、このコンサートを始めた20年前は、技術的に「四季」を自分たちで演奏することは困難であり、一緒に演奏してくれるチェンバロ奏者もいなかったそうです。今ではこんなにも素晴らしい演奏で魅了してくれますものねえ・・。やはり20年の歴史の重みを感じます。

 そして、コンサートホールでなく、民家の広間という日常的な空間で、変に構えることなく気兼ねなく音楽を楽しむという企画も良いと思います。主催者の皆さんに敬意を表し、次のコンサートを楽しみにしたいと思います。

(客席: 庭先の正面、入館料:¥300)