行こうか行くまいか、つい先日まで迷っていたのですが、演目が私が大好きなマーラーの9番ということもあり、思い切って松本へ遠征することにしました。チケットは当日券もあるようでしたが、数日前にネット購入してスケジュール調整し、この日を待ちました。松本は2009年8月のサイトウ・キネン・フェスティバル松本に参加して以来8年ぶりとなります。
マーラー大好きな私ですが、とりわけ交響曲第9番が好きです。学生時代にジュリーニ/シカゴ響のLPを買ったのがこの曲との最初の出会いでしたが、当時は曲の良さが分かりませんでした。その後時間が経ち、人生を積み重ね、40代半ばになった頃、突然この曲の魅力に目覚め、以来多数のCDを買い込み、コンサートにも駆けつけるようになりました。
しかし、新潟での生演奏は、2005年7月の第32回東響新潟定期(指揮:飯森範親)と2013年11月の新潟交響楽団第93回定期(指揮:松沼俊彦)の2回しかなく、必然的に2011年11月のラトル/ベルリンフィルを始め県外遠征も多数となりました。一番最近は2014年3月のインバル/東京都響ですので、3年以上生演奏を聴いておらず、そろそろ聴かねばと考えた次第です。
高速料金削減のため、早く家を出て、下道で柏崎まで行き、北陸道〜上信越道〜長野道経由で松本入りしました。途中のSAで昼食を摂り、ゆっくりと車を進めましたが、思いの外順調で、1時過ぎには駐車場入りし、開場までの間、物品販売を覗いたり、ロビーで休憩してコンサートに備えました。
2時にロビー開場されてワインが振る舞われていましたが、車で来たので飲めなくて残念でした。そして、2時半にホール開場。私の席は、1階席の後ろから2列目右寄りのA席。2階席の下で音響的に劣るかもしれませんが、ステージの見晴らしは良好です。
開演時間から5分以上経った頃にようやく団員が入場。拍手で迎えましたが、ステージいっぱいの大編成のオケは壮観です。メンバー表を見ますと有名どころがずらりと揃っていて、まさにオールスターメンバーです。遠目でよく確認できませんでしたが、コンマスは都響の矢部さんでしょうか。
ルイージさんが登場して開演です。クリアで濁りのないオーケストラサウンド。やや速めに進み、感情過多になりすぎない程よい演奏です。
さすがに名手揃いのオケですので、弦も管も打楽器も、何もいうことはありません。日本で聴ける最上の演奏ではないでしょうか。
第1楽章をじっくり聴かせ、第2楽章を軽快に鳴らし、第3楽章は爆発することなく抑制が効いていました。アタッカで第4楽章に突入するのが私の好みですが、咳払い休憩を長めにとって、ホールに無音の静寂が完全に戻ったところでおもむろに演奏を始めました。
ややゆっくりめに、感情豊かな演奏は私好み。寄せては返す波のごとく、うねりが私の心を揺り動かしました。終盤のホルンがベルアップして咆哮し、人生のクライマックスを奏で、ヴァイオリンが泣き叫ぶように燃え上がる箇所では涙が込み上げてきました。そして、人生の終末を迎えるかのように、音が消えゆき、数十秒の静寂の後、大きな拍手が沸き起こりました。
ルイージさんとSKOとで作り上げた渾身の演奏。何もいうことはありません。良い演奏でした。
感動を胸に、松本城を車窓から観光し、新潟へと帰路につきました。
(客席:1階29-47、A席:\18000) |