野上詩織 比護慧子 デュオリサイタル 〜夏送りの調べ〜
  ←前  次→
2017年8月26日(土)14:00 スタジオスガマタ
 
ピアノ:野上詩織
ソプラノ:比護慧子
 
第1部 ピアノ:野上詩織

 ショスタコーヴィチ:24のプレリュードとフーガ op.87 より 第1楽 番 ハ長調
 ショパン:夜想曲 op.9 より 第1番 変ロ短調 、第2番 変ホ長調
 ハイドン:ビアノソナタ Hob.XV:20 ハ短調
 ボロディン:小組曲より 第5番 夢、第6番 セレナード、第7番 夜想曲

(休憩15.分)

第2部 ソプラノ:比護慧子 ピアノ:野上詩織

 へンデル:オペラ「リナルド」より 「私を泣かせてください」
 ロッセリーニ:運命の歌
 プッチーニ:オペラ「ジャンニ・スキッキ」より 「私の大好きなお父さん」
 源田俊一郎・編:ふるさとの四季

(アンコール)
 ヴェルディ:オペラ「椿姫」より 「乾杯の歌」

 新潟中央高等学校を卒業した若き音楽家二人のコンサートです。2015年3月にコンチェルトさんで開催された「野上詩織インストアライブ」に参加させていただき、野上さんの人柄に惚れ、ゲスト出演した比護さんの歌声に驚嘆したことが記憶に新しいです。あれから2年半大学で学ばれ、どのように成長されたかをこの目、この耳で確かめようと参上したしだいです。

 期待を胸に、スタジオスガマタに到着。すでに多くの人たちが集まっておられましたが、最前列は空いていましたので、ずうずうしくも、1列目正面のベストポジションを確保させていただきました。

 前半は野上さんのピアノ独奏です。野上さんは朱鷺色のドレスで登場。成人され、すっかりと大人の女性に成長されましたが、清楚な雰囲気は昔のままです。曲目紹介を交えながら演奏が進められました。
 演奏技術を誇示するわけではなく、さりげなく、爽やかな音楽が、心に優しく響いてきます。人間性、人柄が音楽に表れているようで、疲れ気味だった心が癒され、何かほっとした気分になりました。聴く人を幸せにする演奏は簡単にできるものではありません。良い演奏でした。

 後半は比護さんの歌です。薄い黄緑色のドレスで登場。野上さんは伴奏ということで、黒いドレスに衣裳換えされていました。
 ヘンデルで開演しました、前回同様に歌声の素晴らしさに驚きました。東京藝大声楽科3年に進まれ、声量豊かで、安定感が加わって、立派な歌手に成長されました。もちろん声の若さは感じられ、円熟した歌声とは違いますが、これから声の深み、落ち着きが醸し出されて行くことでしょう。声楽家は年を取ることも大事ですものね。
 2曲目は図書館で曲を調べていたときに偶然見つけた秘曲とのこと。当然はじめて聴く曲でしたが、椅子に座ってじっくりと、しっとりと歌ってくれました。このときバックのカーテンを開けるという演出もありました。
 プッチーニは私の娘の結婚式のチャペルで某ソプラノ歌手さんに歌っていただいて、涙なしで聴けないのですが、胸に響きました。
 最後の日本の歌曲も良かったです。お馴染みの古き良き時代の名曲・唱歌がメドレーで歌われましたが、日頃の研鑽の成果が見事に発揮されていたと思いました。声楽家の歌う日本の歌曲は聴きにくいこともときにあるのですが、表情豊かに楽しく聴かせてくれて良かったです。アンコールに「乾杯の歌」を楽しく、明るく歌って終演となりました。

 配布されたプログラムも素晴らしく、お二人の人柄の良さが偲ばれます。思わず応援したくなっちゃいます。新潟発の若い才能。これからさらに磨かれて、光り輝いていくことでしょう。これからも見守っていきたいと思います。
 
 

(客席:1列目中央、\500)