今年度最初の東響新潟定期です。昨夜のサントリーホールでの第640回定期演奏会と同じ内容です。今回の指揮者はウルバンスキ。昨年10月の第92回新潟定期で新潟デビューし、今回は2回目の新潟来演となります。個人的には音楽監督のノットよりも好きです。
ウルバンスキは、東響定期の前に、先週は大阪フィルの定期演奏会を指揮しており、偶然にも関西への出張があって、フェスティバルホールでの定期演奏会を聴くことができました。精緻で、知的な中に、燃える感情を秘めた演奏に感動し、その実力を再認識しました。今日の演奏も期待が高まります。
共演するロマノフスキーは今年32歳のウクライナ生まれのピアニストです。2013年5月の第77回東響新潟定期に出演しており、わずか3年での新潟再登場です。
ロビーコンサートを聴いた後、某所でひと休みして出直しました。新シーズンの開幕コンサートであり、賑わうかと思いましたが、ちょっと空席が目立ったのが残念でした。開演のアナウンスが英語でもされていましたが、新しい取組でしょうか。
拍手の中団員が入場。今日のコンマスはニキティンさんです。ロマノフスキーとウルバンスキが登場し、最初は、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。この曲は大好きなのですが、新潟で演奏される機会がありません。生演奏を聴くのは2008年5月の第48回東響新潟定期以来8年ぶりとなります。
最初のクラリネットからばっちりと決まり、以後軽快に演奏が進められました。複雑なこの曲を、分かりやすく、明解に指揮し、爽やかに演奏しました。ピアノも快活であり、生命感にあふれていました。曲の魅力を再確認できた良い演奏だったと思います。アンコールにショパンのノクターンを詩情豊かに演奏し、前半の終演となりました。
調べてみましたら、ロマノフスキーは前回の定期ではアンコールを3曲演奏しており、そのときもショパンのノクターン第20番を演奏していました。
休憩後の後半は、チャイコフスキーの交響曲第4番です。この曲は人気曲でもあり、新潟でもしばしば聴く機会がありますが、東響新潟定期で取り上げられたのは、2004年7月の第27回定期以来、実に12年ぶりとなります。
指揮台に譜面台はなく、暗譜での指揮です。冒頭のファンファーレがばっちりと響き渡り、以後きびきびとした指揮に応えて、精緻な演奏が繰り広げられました。
演奏は理知的で、感情を高ぶらせることなく、常に冷静です。ロシアの泥臭さはなく、都会的な洗練された演奏でした。この曲は感情を爆発させるような爆演が多いのですが、今日の演奏は、禁欲的な、さめた印象を受けました。
ところどころ東響らしからぬ「アレッ?」と感じる部分もあり、何となく不完全燃焼のようにも感じましたが、これはこれで良い演奏だったと思います。
ウルバンスキと東響との主席客演指揮者としての3年間の契約はこれで満了となり、今後このすばらしい指揮者との共演を楽しめないのは残念です。これから大指揮者へと羽ばたいていくものと思います。また聴く機会があることを楽しみにしたいと思います。
さて、東響新潟定期の新シーズンが開幕しました。大谷さんが去り、世代交代しながら、東響がこれからとどう発展していくのか見守って行きたいと思います。
(客席:2階C*−*、S席:定期会員 \5600) |