東京交響楽団 第48回新潟定期演奏会
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2008年5月18日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:ユベール・スダーン
ピアノ:リーリャ・ジルベルシュテイン
 

 

シューベルト:交響曲第1番 ニ長調 D.82

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26

(休憩20分)

シューベルト:交響曲第4番 ハ長調「悲劇的」D.417

 
 

 晴天の日曜日。大変過ごしやすい陽気です。今日は東響定期。先回が4月27日でしたから、まだ3週間しか経っていません。個人的には来月のミッコ・フランクの回を新潟に回してほしかったところですが、音楽監督のスダーンの回を外すわけにもいかず、調整が大変なのでしょうね。シューベルトの交響曲は「未完成」と「ザ・グレート」しか聴かない私にとっては、今日のプログラムは今シーズンの定期公演の中では一番魅力的ではありません。プロコフィエフのピアノ協奏曲は好きなのですけれど・・。でも、こういう日頃聴く機会のない曲を聴くことが定期会員になったメリットといえます。

 ということで、あまり期待せずにホールに向かいました。案の定といいますか、渋い演目ということもあって、今日は空席が目立ちます。定期会員以外のフリーの客は少ないように思われます。先日の小澤さんのコンサートは、立ち見も含めて超満員でしたから、大きな違いです。

 拍手の中、いつものように奏者が入場します。今日のコンマスは高木さんです。編成は小さめで、ステージ中央に小さく集まって、指揮台は置かれていません。ティンパニは通常のもののほかに、小型のものがセットされており、シューベルトではその小型のティンパニが使用されました。東響のステージ衣装は濃紺が多いのですが、今日は黒です。何か意味があるのでしょうか。

 1曲目はシューベルトの交響曲第1番です。これまで聞いたことのない曲です。馴染みやすいメロディが出てきたりもするのですが、さすがに第1番。若さを感じます。何と16歳のときの作品です。聴きやすい曲ではありますが、あまり魅力は感じませんでした。しかし、演奏そのものは良かったと思います。キビキビしたスダーンの指揮ぶり、それに呼応する東響の乱れのないアンサンブルが印象的でした。

 2曲目はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。シューベルトの初期の交響曲の間に、どうしてプロコフィエフが挟まるのか、私には理解できません。スダーンの真意はどうなんでしょうか。オケの編成が大きくなり、ステージいっぱいに拡大されました。この曲は好きな曲であり、アルゲリッチ/アバド盤を愛聴しています。ジルベルシュテインは良く知りませんでしたが、堂々として力強い演奏でした。スダーンと東響のサポートもすばらしく、CDでは味わえないダイナミックな演奏を堪能できました。ホールも大いに盛り上がり、私も大満足でした。

 休憩後は再び小編成に戻って、シューベルトの交響曲第4番です。この曲も日頃聴くことはなく、もちろん生演奏は初めてです。今度は指揮台が置かれています。この辺はスダーンのこだわりなのでしょうか。演奏はすばらしく、指揮棒を使わないスダーンの指揮に、東響が見事に応じていました。新コンマスの高木さんを中心に、オケのまとまりも素晴らしく、管も弦も乱れは全くありません。小型のティンパニの音も良かったです。演奏としては文句ないものと思いますが、個人的には曲を楽しめたとは言えません。確かに聴き応えありましたが、コンサートのメインの曲としては、やはり魅力は乏しいと感じました。

 アンコールを期待しましたが、そのまま終演となってしまいました。東響の演奏のすばらしさを改めて実感し、音楽監督のスダーンとの息もピッタリなのは良かったと思います。とんでもない名演奏だったのかもしれませんが、曲自身には魅力を感じませんでした。そんな中で、プロコフィエフは良かったです。文句なく楽しめました。これだけでも今日のコンサートに来た甲斐があったという気がします。

 次の定期はマーラーの復活。大いに楽しみです。

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、5000円)