東響ロビーコンサート 〜弦楽四重奏〜
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2016年5月29日(日) 13:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール ホワイエ
 
第1ヴァイオリン:田尻順、第2ヴァイオリン:福留史紘
ヴィオラ:青木篤子、チェロ:伊藤文嗣
 


J.S.バッハ:フーガの技法 より

モーツァルト :アダージョとフーガ ハ短調 Kv.546

ベートーヴェン :大フーガ変ロ長調 作品133

(アンコール)
J.S.バッハ:小フーガ

 東響新潟定期の日に恒例のロビーコンサートです。今回はアシスタントコンサートマスターの田尻さんが率いる弦楽四重奏です。

 当初はバルトークの弦楽四重奏曲がプログラムにありましたが、曲目変更され、すべてフーガにちなんだ曲となりました。

 開演時間となり、4人が登場しました。最初はプログラムになかったバッハの「フーガの技法」が演奏され、以後田尻さんの解説で演奏が進められました。
 バッハのフーガに始まり、バッハに影響を受けたモーツァルトとベートーヴェンのフーガを演奏し、アンコールに再びバッハのフーガを演奏して終わるという構成は良く考えられており、お見事です。

 モーツァルトの「アダージョとフーガ」は、ウィーンでバッハのフーガの楽譜を目にして刺激されたモーツァルトが、クラヴィコード2台によるフーガを作曲し、その後アダージョを加えて弦楽合奏用に編曲したものだそうです。
 そしてベートーヴェンの「大フーガ」は、もともと弦楽四重奏曲第13番の終楽章として作曲されたものですが、曲の中に尊敬するBACHの名が隠されているそうです。福留さんの演奏を交えながら、田尻さんが解説し、興味深く拝聴しました。

 フーガの演奏は難しく、一歩間違えるとカオスに陥ると田尻さんが話されていましたが、東響が誇る4人のトップ奏者は、そんな不安は微塵も感じさせず、見事なアンサンブルで楽しませてくれました。

 残響豊かなホワイエに響く弦楽の調べは美しく、豊潤な響きが天上から降り注ぎました。昼下がりのひと時を優雅な気分で過ごすことが出来ました。こんな素晴らしい演奏を無料で聴けるなんて幸せだと思います。

  

(客席:左側、無料)