風はあるものの、まずまず天候は回復し、クラシックストリート日和となりました。新潟ジャズストリートの開催ノウハウを元にして、ラ・フォル・ジュルネ新潟の関連イベントとして2011年に始まったこのイベントも、回を重ねて今年は第6回となりました。第1回から参加させていただいている私は、今回ももちろん参加です。
第4回を除いては5月5日のこどもの日に開催されており、すっかりとGWに欠かせないイベントとなったように思います。
これも採算無視で開催を続けておられる関係者の皆さまの努力の賜物と思います。演奏も出来ず、何も貢献できない私は、毎年欠かさずに参加することが責務だと考えております。
という堅苦しいことは止めにしまして、要するに私は音楽が好きであり、特に新潟ゆかりの音楽家の活躍が楽しみなのです。身近なところにもすばらしい音楽家がたくさんおられることの驚きと、その演奏の楽しみを、このイベントで知ることが出来ます。今回もフル参加は出来ませんが、イベント開始の12時から夕方まで参加させていただきました。
市内27会場で、12時から20時まで、126組、374人の音楽家による演奏が繰り広げられます。どの会場を、どう回るか思案するのが悩みであり、楽しみでもあります。体が2つ、3つ欲しくなってしまいますが、悩んだ末に、私が聴いた公演をご紹介しましょう。
最初は若きピアニスト二人の演奏を聴くべく、音楽文化会館へと向かいました。途中白山公園を通りましたが、白山神社の藤の花がきれいに咲き、強風にゆれていました。
最初の公演は、片山奈菜子さんと堀川遥名さんの演奏です。音文の練習室に着きましたら、ちょうど堀川さんの演奏が始まっていました。
堀川さんと片山さんが挨拶代わりに1曲ずつ演奏し、その後堀川さんがドビュッシーを3曲、片山さんがグラナドスを演奏しました。
まず、まだ中学3年生という堀川さんの演奏に驚嘆しました。まだあどけなさが残る少女が、こんなにも表現力豊かに演奏をするなんて、信じられなかったです。
そして、高校2年生の片山さんは、さらに安定感があり、もはや高校生ではなく、ひとりのピアニストというべきでしょう。練習室の小型グランドピアノから、輝きのある音と、生き生きとした音楽を聴かせてくれました。
片山さんは、5月28日に開催される新潟中央高校音楽科ロシアンメソッド公開ピアノレッスンの受講生に選ばれ、今日演奏したグラナドスで臨まれます。モスクワ音楽院の先生から指導を受け、さらに成長し、輝かれることでしょう。
アイドルとしても十分に通用する美少女二人の演奏を前に、新潟の音楽界の層の厚さと水準の高さを思い知らされたように思います。
演奏を離れれば、まだ普通の中学生、高校生です。これからどう発展していかれるか、お名前を頭に刻んでおきたいと思います。
急いでホールに上がって、楽しみにしていた新潟中央高校コーラス部(指揮:立川祐子先生)の公演です。新潟市ジュニア合唱団と並んで、私に合唱のすばらしさを教えてくれた合唱団であり、今年も是非聴かせていただこうと思いました。
どの曲も良かったですが、中でも楽しみしていたのが、チルコットの 「A Little Jazz Mass 」です。中央高校の貴重な男子学生3人のピアノトリオの演奏とともに、宗教曲でありながら、ポップでジャジーなこの曲の楽しみを伝えてくれました。全曲聴いてみたかったです。
そして昨年同様に「瑠璃色の地球」で泣かされました。アンコールは「Hail
Holy Queen」でノリノリの興奮の中に終演となりました。
団員の入退場も、MCも、振りも、ひとつひとつの動作が大変洗練されており、好感度満点です。良き指導者に恵まれているんだなあと思いました。
続いてはスタジオAでの宮崎真滉さんの演奏です。大器との評判を耳にし、ちゃんと聴かねばと思っていましたので、これは外せませんでした。
演奏は予想以上のもの。先ほどは片山さんの演奏に感激したばかりでしたが、再びの感動です。演奏する姿は大人のピアニストであり、プロのピアニストのリサイタルを聴いているような錯覚を覚えました。しっかりと自分の音楽を創り出し、聴き手に伝わってきます。
しかし、演奏後の振る舞いはいかにも高校生であり、このギャップの大きさが魅力に感じました。演奏に入ったととたんに音楽の神が乗り移ったかのように豹変されます。天性のものを持っておられるのでしょう。良い音楽を聴かせていただきました。
次は金川唯さんの演奏を聴きたかったのですが、他の公演との時間関係と会場との距離等を考え合わせて断念し、古町6番町へと歩きました。クラシックストリートというからには、ストリートでの公演も聴かねばなりますまい。
ということで、トリオ・アルテミスの演奏を聴きました。ピアノの吉崎千晴さんのMCで、フルートの前波史絵さん、新潟の葉加瀬太郎と称されるヴァイオリンの小島健弘さんとの三重奏で楽しませていただきました。
用意された椅子席は満席となり、立ち止まって聴き入る人たちも多数おられました。行き行く人を引き付けるだけの魅力ある演奏でした。
このような商店街のアーケードの中で、すばらしい音楽を聴けるなんて、まさにクラシックストリートの真骨頂でしょう。
古町6番町から上古町をゆっくりと歩いて白山神社へ。散策する人たちで賑わっていましたが、クラシックストリートのパンフレットを持っている人とも数人すれ違いました。皆さん楽しんでおられることと思います。
白山公園を抜けて、りゅーとぴあ横の通路を音楽文化会館へ向けて歩きましたが、木々の緑が春風にそよぎ、青空をバックに太陽の光を浴びて鮮やかに輝いていました。春爛漫ですね。この時期の新潟は最高です。
続いては、音楽文化会館のホールでのアンサンブル・フィーデルの演奏です。昨年も聴かせていただいております。西区で活動されているこのアンサンブルは、私が仕事で格別にお世話になっているKさんが出演されますので、この公演も外せません。
ヴァイオリン1:4人、ヴァイオリン2:4人、ヴィオラ:2人、チェロ:2人の編成で、パンフレットに書かれたメンバーよりヴァイオリンが1人ずつ増えています。これに2曲目では村山和子先生が加わりました。
他公演でも活躍されている高橋百合さんをコンミスとして、なかなかのアンサンブルを聴かせてくれました。弦楽四重奏を弦楽アンサンブルで演奏するという変則的な内容ですが、しっかりと音楽が伝わってきました。
各奏者の技量の違いが私にもわかりましたが、音楽を演奏する楽しみが聴く側にも伝わるほのぼのとした演奏に心が温まりました。
スタジオAに移動して、今度は淺香みのりさんの演奏です。これまで何度か聴かせていただいており、音楽の中に息づく生命感に感銘を受けていました。
クラシックストリートでは第4回での演奏を聴かせていただいています。また、2014年5月の新潟室内合奏団とのグリーグのピアノ協奏曲の感動は、今なお胸に残っております。
先日のLFJ新潟でのステージは他公演との重なりにより聴けませんでしたので、今回は聴かねばなるまいと考えていました。
さすがに芸大の大学院生。1曲ごとに曲目紹介もあり、落ち着きある立ち居振る舞いは、まさにプロの音楽家です。演奏はダイナミックであり、力があります。それは音が大きいということではなく、心を動かす力があるということです。最前列で聴いていた私は圧倒されるばかりでした。
ヤマハのコンサートピアノから繰り出されるきらびやかな音の洪水。強奏でも音の濁りはなく、多彩な曲目を、それぞれの味付けで楽しませてくれました。もう少し大学院で勉強すると話されていましたが、これからの活躍がますます期待されます。
ここでそろそろ帰らねばならない時間となりましたが、もう一つ小林浩子さんの演奏を聴きたいと想い、Dr.可児に行ってみましたが、狭い店内は混み合っていましたので退散し、帰路に着きました。
新潟ジャズストリートと並んで、このようなイベントを、採算抜きで市民の手で作り上げているということはすばらしいと思います。
衰退が進む古町周辺の商店街を盛り上げるすばらしい企画であり、賞賛されるべきであり、行政も、マスコミも、もっと支援すべきイベントだと思います。
来年も5月5日に開催されるものと思いますが、もっともっと市民に認知され、LFJ以上のイベントになってほしいと思います。
(1日フリーパス、¥1000) |