新潟室内合奏団第67回演奏会
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2014年5月17日(土) 18:45  新潟市音楽文化会館
 
指揮:高野裕之
ピアノ:淺香みのり
 


モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲 K.492

グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16

(アンコール) ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲より 第18変奏

(休憩20分)

ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 Op.60

(アンコール) ドヴォルザーク:チェコ組曲 より ポルカ
 
 
 申し訳ありませんが、正直申し上げて、新潟室内合奏団というより、淺香みのりさん目当てでこの公演に出かけました。
 淺香さんと新潟室内合奏団は、昨年新発田で「皇帝」を演奏し、歴史に残る名演と評されましたが、残念ながら私は聴くことができませんでした。
 淺香さんは、先日のLFJ新潟の交流ステージや新潟クラシックストリートで聴く機会があり、その音楽的魅力を知ることができました。今回はグリーグのコンチェルトを演奏するとあって、何としても聴かねばと思っていました。

 県民会館は松任谷由実のコンサートがあり、賑わいを見せていましたが、こちらも負けていません。ほぼ満席といって良いのではないでしょうか。年齢層も幅広く、人気の高さが伺えます。

 かっこいい高野さんが登場して、最初はフィガロの結婚序曲です。さすがに見事なアンサンブルであり、新潟室内合奏団のうまさが感じられました。キビキビした高野さんの指揮の下、小編成ならではの、小気味良い演奏を聴かせてくれました。

 続いては、アズキ色のドレスに身を包んだ淺香さんが登場し、いよいよグリーグです。ティンパニのトレモロの後のピアノの一撃でノックアウト。すごい!。天に突き刺さるようなこの一音を聴いただけで、今日の名演が約束されたように感じました。
 手を大きくかざし、ときどき後方にのけぞるようなしぐさ。その演奏姿も魅力的であり、天から音楽の神が舞い降り、乗り移ったかのようでした。
 ダイナミックで情熱に溢れる第1楽章。魂が揺り動かされるというのはこういうことをいうのでしょう。そして、ゆったりと叙情的な第2楽章。天に上るような優しさも垣間みられ、緩徐楽章での表現力も豊かで、決して力だけで押すのではないことを示してくれました。そして、興奮の第3楽章。フィナーレでは感動のあまり、目に涙が溢れてきました。
 アンコールは、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲から、あの有名な第18変奏。歌わせ方がうまいですね。これも全曲聴いてみたかったです。
 東京藝大大学院1年という淺香さん。まだ若いというのに素晴らしい表現力を持っています。新潟室内合奏団の好サポートもあって、見事なコンチェルトに仕上がっていたと思います。期待に違わぬ演奏を聴くことができて大満足でした。プロでもこれほどの感動は得られないかも・・。

 これで今日はおしまいでも良いように思えましたが。後半がメインのドヴォ6。これを聴かないと新潟室内合奏団の皆さんに失礼ですものね。
 ドヴォルザークで聴くのは8番、9番ばかりであり、6番は実演で聴いたことはありませんでした。演奏される機会が少ないというのはやはり理由があるわけであり、これまで録音で聴いたことはありますが、退屈していたように思います。
 しかし、高野さんと新潟室内合奏団の作り出す音楽には、躍動感、生命感があり、爽やかさが聴いていて心地良かったです。決して飽きることなく、この曲の魅力を知ることができました。

 アンコールにポルカを演奏して終演。新潟にはいくつものアマオケがありますが、それぞれの魅力があって良いですね。その中にあって、新潟室内合奏団は、合奏団という名が示すように、合奏する喜びが伝わってくるように思います。

 今年で創立30周年ということで、秋には特別なプログラムが用意されており、何とマーラーの4番!。室内オケで聴くマーラーの交響曲というのは楽しみですね。

 

(客席:10-9、\1000)