第4回 新潟クラシックストリート
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2014年5月3日(土)   新潟市内各所
 
 
12:00 新潟市美術館
浅香みのり
  ブラームス:ピアノソナタ第2番 第1、第2楽章
  ブラームス:ピアノソナタ第3番 第1、第2楽章

12:30 NTT東日本ショールーム
フルートアンサンブルNIMA
  (途中から)
  ベートーヴェン:運命
  ゴンドラの歌
  モーツァルト:交響曲第40番
  カッチーニ:アヴェマリア
  ラデツキー行進曲

13:30 ジョイアミーア
佐々木友子(Vn)、山田美子(Pf)
  ブラームス:ヴァイオリンソナタ第1番ト長調 op.78

14:00 シープクラブ吉野
ミルフィーユ
  (途中から)
  ショッカー:3つのダンス (フルートデュオ)
  ドヴォルザーク:家路 (ソプラノデュオ)
  ブラームス:ハンガリー舞曲第6番 (フルートデュオ)
  スメタナ:モルダウ (ソプラノデュオ)

15:00 りゅーとぴあスタジオA
渋谷陽子(Vc)、山田美子(Pf)
  ベートーヴェン:チェロソナタ第3番

15:30 音楽文化会館ホール
新潟フルートアンサンブル・アカデミー
  サティ:ピカデリー
  ブラームス:ワルツ
  J.シュトラウス:トリッチ・トラッチ・ポルカ
  ドビュッシー:アラベスク第1番
  スメタナ:モルダウ
  スーザ:星条旗よ永遠なれ

16:30 りゅーとぴあスタジオA
田中幸治と新潟ブラス・ブラス・ブラス フルートトリオ
  ペトルミュー:3本のフルートによる「4つの細密画」
  スカルラッティ:クォルテティーノ
  ルイス・モイーズ:4つの小品
  チャイコフスキー:葦笛の踊り

18:00 スタジオスガマタ
成田瑞季、金川唯 (2台ピアノ)
  モーツァルト:2台ピアノのためのソナタ K.V.448
  バルトーク:ミクロコスモスからの7つの小品 BB120
 
 
 

 LFJ新潟の興奮と感動がまだ続いていますが、本日はLFJ新潟とならんで、春の新潟には恒例となった「新潟クラシックストリート」が開催されました。
 今年は第4回となり、古町周辺を中心として、市内24ヶ所で全116もの公演が開催されました。天候に恵まれ、市内を巡るに絶好の陽気となりました。

 これだけの数の公演がありますと、どれを選ぶかも一苦労です。出演者、演奏曲目もさることながら、会場と移動時間も考慮しなければなりません。難しい選択に頭を悩ましましたが、このようなイベントがあるのは素晴らしいことであり、主催者、出演者の皆様に感謝したいと思います。

 ちょっと早めに出かけて、某所のコインパーキングに駐車。車はここに置いて、あとは徒歩での移動とすることにしました。

 まずは、クラシックストリートには関係ないですが、三越で開催されている岩合光昭写真展「ねこ歩き」を鑑賞。そう、私は猫好きなのであります。ちなみに、我が家の猫の写真も入り口に掲示してもらっています。

 その後は早めに昼食。三吉屋で中華そば大盛り。振り返りますと、クラシックストリートのときはいつも三吉のラーメン食べていることに気付きました。

 さて、腹ごしらえも終わって、いよいよクラシックストリートの開幕です。最初に選んだのは、新潟市美術館での浅香みのりさんのピアノです。LFJ新潟の交流ステージで、迫力ある演奏で脅かされ、もう一度じっくりと聴いてみたかったからです。

 美術館までの道はちょっと遠かったですけれど、晴れ渡った空の下、汗を拭き吹き到着しました。常設展示場での演奏で、絵画を鑑賞しながら演奏を聴けるという利点があります。
 会場に行きますと、ドレス姿の浅香さんがリハーサルをしていました。大きな展示室の中央にグランドピアノと客席が設置されていました。席を確保し、絵を見ながらリハの演奏を聴いていました。

 開演時間となり、浅香さんの挨拶の後、演奏が開始されました。会場を考慮してか小声で話され、よく聞き取れませんでした。浅香さんはリサイタル用のドレスでばっちりと決めておられ、大変きれいでした。
 曲目は、ブラームスのピアノソナタ第2番と第3番。LFJでは3番の第1、第2楽章が演奏されましたが、今回はこれに2番の前半が加えられて30分の公演にまとめられました。
 演奏は力強いタッチで迫ってくるような勢いを感じましたが、緩徐部での繊細さも垣間見えました。力で押すだけでなく、3番の第2楽章の歌わせ方も良かったです。
 今日は部分的な演奏でしたが、全曲を聴いてみたかったです。これから演奏を重ねられ、素晴らしいピアニストに育っていかれるものと思います。今月は新潟室内合奏団とのコンチェルト演奏(グリーグのピアノ協奏曲)も控えていますが、好演が期待されます。
 会場の展示室は直方体であり、いわばシューボックス型。響きは抜群で、音響的にもコンサートにはぴったりです。美術館ですから、静寂であり、照明も落とされ、音楽を鑑賞する環境としては最高です。
 会場には音楽好きの私の学生時代の同級生もおられてビックリ。以後、行く先々でお会いして、好みの一致に驚いてしまいました。

 次はジョイアミーアでの佐々木友子さんのヴァイオリンを予定していたのですが、時間がありましたので、通りすがりに、NTT東日本ショールームに寄り、フルートアンサンブルNIMAの皆さんのフルート演奏を聴かせていただきました。女性2人、男性1人による三重奏でしたが、曲の編曲も良くて、楽しませていただきました。

 そしてジョイアミーアに移動。ここはかなり広くて、ステージもありますので、好きな会場です。ステージ前の席を確保し、アイスコーヒーを飲みながらリハーサルを聴いていました。
 一旦控え室に戻られ、いよいよ開演。ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番の全曲を演奏してくれました。ヴァイオリンには芯の通った力強さがあり、広い会場にも十分な音量で響き渡ったものと思います。ピアノの山田さんとの息もピッタリで、うっとりと聴き入っていました。

 続いては、りゅーとぴあスタジオAでの渋谷さんの公演を予定していたのですが、移動の途中にある古町4番町のシープクラブ吉野に寄りました。
 フルートデュオ、ソプラノデュオ、そして伴奏のピアノからなるミルフィーユの皆さんの演奏が行われており、途中から聴かせていただきました。狭い会場は満席であり、入り口近くで立っての鑑賞。
 ピアノ伴奏での歌、フルート二重奏が交互に演奏されましたが、アットホームな、サロンコンサート的な楽しい雰囲気の演奏であり、日常の中で、音楽を気軽に楽しもうというクラシックストリートの趣旨を良く表わしていたと思います。

 そして、りゅーとぴあに移動し、本日のメインとして外せない渋谷さんの演奏に臨みました。早めに入場し、最前列の席を確保しました。まるで追っかけですね。
 大ファンである渋谷さんの演奏。曲目は私の好きなベートーヴェンのソナタ3番。これ以上のものはありません。渋谷さんの直近で聴くチェロの音色は力強く、圧倒されるようでした。激しく、ときに優しく、情熱的に響く音色に心は踊り、精神的高揚を感じました。当然ピアノの山田さんの素晴らしさもあってのことです。
 ちなみに、山田さんは先ほどの佐々木さんの公演のピアノも担当されていました。お忙しいですね。そして、譜めくりはなんと佐々木さんじゃないですか。皆さん協力し合っているんですね。
 演奏もさることながら、渋谷さんの演奏姿にうっとりして、内容の濃い30分間を過ごすことができました。渋谷さんを縫いぐるみにして、リビングに飾っておきたいなあなどと、ばかな妄想をしている私です。

 続いては音楽文化会館に移動して、新潟フルートアンサンブルアカデミーの皆さんの演奏を聴きました。水島あやさんをはじめ、新潟の若手の美人フルート奏者が参集。色とりどりのドレス姿が美しかったです。
 新潟フルート界の重鎮・榎本正一さんがコントラバスフルートで、7人の美女たちの演奏を最後方で下から支えていました。
 ピッコロからコントラバスフルートまで、多彩なフルートでの演奏は聴き応えあるものでした。編曲の良さもあり、原曲同様、あるいはそれ以上に楽しめたようにも思います。

 りゅーとぴあに移動して、チラシ集めなどしていますと、仕事関係でお世話になっている同業者のご家族にお会いしました。私は家族の中で浮いた存在であり、ひとりで音楽を楽しむのが常であり、家族で音楽を楽しまれるなんてうらやましいです。

 続いてスタジオAに移動。新潟ブラス・ブラス・ブラスにも出演される新潟フルート界を語るに外せないベテラン奏者、市橋靖子さん、中林恭子さん、浅利守宏さんによる三重奏で、ピアノ伴奏は田中幸治さんという豪華メンバーです。新潟ブラス・ブラス・ブラスの公演は本日昼、夜の2回あり、その間をぬっての演奏となります。
 浅利さんの軽妙なMCで演奏が進められました。さすがに新潟を代表する奏者たちですから、一味もニ味も違うものであり、その卓越した演奏に唖然と聴きほれるばかりでした。
 田中先生との共演ということで、演目は当初の内容とは変更され、ピアノとフルート三重奏のオリジナル曲(モイーズの4つの小品)が演奏されました。予定演奏時間をオーバーする内容たっぷりな演奏に大満足でした。

 その後は音文でもうひとつ聴こうと思ったのですが、この公演が伸びて途中からになりますので断念し、私の本日最後の楽しみの、金川唯さんの公演が行われるスタジオ・スガマタへゆっくりと足を進めました。
 りゅーとぴあから外に出ますと、県民会館周辺には若者(一部中年らしき姿も・・)が多数。調べましたら、モーニング娘。のコンサートがあったようです。

 ゆっくり歩いて、開演30分前に到着。中では金川さんと、大学で同じ先生について勉強している後輩の成田さんが入念なリハーサルをしていました。最前列に席を取り、リハから聴かせていただきました。ソロと違って2台ピアノで音を合わせるのは大変でしょうね。
 客席には各会場で会ってばかりいる私の同級生を始め、知った顔が多数ありました。皆さん金川さんに注目しているようですね。

 黒いドレスに着替えられたお二人が登場して開演です。金川さんの演奏はコンチェルトさんで開催されたインストアライブで聴かせていただいていますが、力強いタッチで、胸に迫ります。大学で同じ先生について学ばれているお二人は、息もピッタリ。
 モーツァルトの2台ピアノは、実はここだけの話「のだめカンタービレ」で千秋とのだめの演奏を聴いて好きになったのですが、若い二人の演奏は緊張感の中に情熱がほとばしり、勢いあるものでした。
 スタジオ・スガマタの狭い空間にフルコンサートピアノが2台置かれ、音量豊かなのですが、決してうるさくはならず、良くコントロールされていたと思います。
 モーツァルトで十分満足でしたが、バルトークは、現在音大で音楽を学んでいる若い二人にはぴったりだったのではないでしょうか。この曲は、バルトークのミクロコスモスからバルトーク自身が7曲選んで2台ピアノ用に編曲したものですが、性格の違う短い各曲をうまく弾き分けて、色彩感豊かな音楽を作り出していたように思います。
 終演後は二人が入り口でお見送りしてくれました。まだまだ成長過程にあるお二人。これから勉強を積まれ、益々成長された姿を見せてくれるに違いありません。

 クラシックストリートの公演はまだまだ続きますが、私の予定はこれでおしまいです。渋谷さんをメインに置き、浅香さん、佐々木さん、金川さんを聴こうという計画は予定通りこなすことができました。そのいずれもが期待を裏切らず、その実力の高さを再認識できました。各公演の間に聴いた他の公演も外れはなく、大満足の一日でした。
 振り返りますと、やたらフルートの演奏が多かったことに気付きました。いずれもが好演奏であり、新潟のレベルの高さが垣間見えました。

 各会場を徒歩で回って疲れましたが、良い運動になって良かったです。早くも来年が楽しみです。関係者のご苦労は計り知れませんが、心より感謝申し上げます。 

(1日パスポート券:\1000)