東京交響楽団第79回新潟定期演奏会
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2013年9月23日(月・祝) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:飯森範親
ヴァイオリン:川久保賜紀
オルガン:山本真希
コンサートマスター:水谷 晃
 


ラロ:歌劇「イスの王様」序曲

ラロ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調 作品21 「スペイン交響曲」

(休憩:20分)

サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 作品78 「オルガン付き」
 
 

 7月以来の東響新潟定期です。今回は、先日の新潟市ジュニアオケの定期ですばらしい演奏を引き出してくれた飯森さんの登場です。飯森さんの新潟定期出演は昨年10月の第74回以来ですから、約1年振りということになります。今回は昨日の東京オペラシティでの公演と同じ内容であり、われらが山本さんとの共演ということも大きな楽しみです。

 今日は秋分の日。快晴の空が爽やかで、絵に描いたような秋晴れとなりました。1年中こうならいいのになあ、と思わせるような気持ち良い休日です。
 恒例のロビーコンサートも聴こうかと思っていたのですが、諸般の事情で断念しました。今日は新潟市内だけに限ってみてもたくさんの公演があり、秋葉区文化会館ではN響メンバーによる公演、隣の県民会館では、宮川彬良さんと新日本フィルによる公演が行われています。隣同士のホールで、東京交響楽団と新日本フィルが演奏しているなんて、新潟もすごいですね。日時がずれてくれたらどちらにも行けたんですけれどねえ・・。

 ということで、駐車場の混雑を見込んで、早めのホール入り。時間があったので、屋上を一回りしました。雲ひとつない青空。秋風が心地良く、気分爽快になりました。

 開演時間となり、拍手の中団員の入場。今日のコンマスは、8月の佐村河内守のコンサートと同様に水谷さんですが、新潟定期としては初登場です。そして次席は廣岡さんです。

 飯森さんが登場して、最初は珍しいラロの序曲です。ダイナミックにオケを鳴らす飯森サウンド。小気味良い演奏は、いかにもオーケストラを聴いたというような満足感を感じます。長いチェロのソロもきれいでした。

 続いては、赤ピンクのドレス姿が美しい川久保さんが登場して、「スペイン交響曲」です。川久保さんの新潟への来演は、2012年のLFJ新潟以来であり、東響新潟定期への出演は、2006年5月の第36回以来2回目となります。個人的には、チャイコフスキー・コンクールで、1位なしの2位になった直後の2002年12月に、今回の演目と同じ「スペイン交響曲」の演奏を聴いたことがあり、今回はどのような演奏を聴かせてくれるか期待が膨らみました。。

 さて、演奏は繊細というよりは力強いもの。グァダニーニの落ち着きのある重厚な響きが、ホールいっぱいに、音量豊かに響き渡りました。早めのテンポの飯森さんの指揮に応えて、グイグイと突き進むような演奏に感じました。さすがに実績を積み上げられている川久保さんの演奏は、安定感があり堂々としています。個人的には、もっとしっとりと、メランコリックに演奏しても良いのではと感じましたが、飯森さんが飛ばしていましたので、歌う間もなく突き進んだという感じです。ソリストアンコールを期待したのですが、休憩に入ってしまいました。

 後半は、山本さんが登場して「オルガン」です。前半同様に、飯森さんはスピードを上げて、グイグイと飛ばします。オケを存分に鳴らして、ゴージャスなサウンドは心地良く感じます。しかし、第1楽章後半の、オルガンが加わる部分は、もっとゆっくりと、ゆったりと歌ってほしかったように思います。
 第2楽章も爆演というべきもの。飯森さんの指示なのでしょうが、オルガンの音量も豊かで、豪華なサウンドがホールを満たしました。飯森さんは身振り大きくオケを煽っていました。オケも一生懸命にスピード全開でしたが、雑に感じないでもありませんでした。

 普通に考えれば、こんな快演に文句などないはずですが、正直言って、何かむなしさを感じました。音響的には楽しめましたが、いい音楽を聴いたという感慨、満足感が沸かなかったのです。精神的高揚を感じることなく終演を迎えました。
 先日のジュニアオケに感じた興奮を、東響からは感じないなんて、どうしたことでしょう。ダイナミックで賑やかで良かったことは間違いないのですが、家に帰った今、胸に残るものはありません。私の精神状態が悪いのでしょうか。
 山本さんのオルガン演奏は良かったです。会場からも一番大きな拍手が贈られていました。もっと感動しても良いはずなのに、醒めた自分が寂しく感じられました。


  開演前や休憩時間中に、舞台裏からボレロのメロディが聴こえてきました。もしかして、アンコールの練習でもしているのかと、密かに期待していたのですが、アンコールなしで終演となりました。残念でした。考えてみれば、アンコールにボレロはないですよね。

  新コンマスの水谷さんは、今日が新潟定期初登場でしたが、最後に正面だけでなく、四方に礼をしていたのが印象的でした。今後の活躍が期待されます。

  

(客席:2階C5−**、S席:定期会員:¥5500)