クァルテット・エクセルシオは、2009年から3年間に渡って、りゅーとぴあで、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの連続演奏会を開催し、新潟でもすっかりお馴染みになりました。ファンになった人も多いものと思いますが、私もそのひとりです。
最後の来演は、2012年2月の総集編のコンサートですから、久しぶりとなります。今回は、ベートーヴェン、ショスタコーヴィチ、ドヴォルザークという、時代も国も違う作曲家の名曲を、まとめて聴けるという趣向であり、興味深い内容です。通常料金でも2000円と安いのですが、東響新潟定期の会員は無料招待というのもありがたいです。
晴れ渡った空が気持ちよい土曜日ですが、今日は13時まで仕事でしたので、大急ぎでホールに向かいました。開演間際に入場したのですが、なかなかの盛況で、1、2階とも正面は満席でした。Dブロックに席をとりましたが、この場所も私のお気に入りです。
開演時間から少し遅れて4人が登場し、ベートーヴェンの2番で演奏開始です。女性陣は艶やかな赤いドレスで、ステージに花が咲いたようでした。左から第一ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第二ヴァイオリンという配置です。弦楽四重奏でこういう配置は珍しいのではないでしょうか。
常設の四重奏団だけあって、息はピッタリ。弦楽四重奏を聴くにはホールが大きすぎるように感じましたが、残響豊かなホールに美しいアンサンブルが響き渡っていました。各楽器の音が溶け合い、響き合い、まろやかな音を作り出していました。でも、ちょっと響きすぎかな。演奏は、せめぎ合うというよりは調和し合うようであり、ソフトに感じました。
続くショスタコービチは、曲調もありますが、ベートーヴェンとは違った緊張感のある演奏でした。深遠なハーモニーの中から、光り輝くように浮き立つ各奏者の対比が面白かったです。ショスタコーヴィチの四重奏曲は、これまでほとんど聴く機会はなかったのですが、なかなかいい曲に感じました。
後半はドヴォルザークのアメリカ。馴染みやすい名曲中の名曲ですので、楽しく聴くことができました。第二楽章などうっとりと聴き入りました。絶妙のハーモニーは、やはり常設の四重奏団ならではでしょうか。終楽章の盛り上がりも見事であり、大いに楽しめる演奏でした。(この曲の生演奏をつい最近聴いたような気がしたのですが、1年も前の話でした。)
アンコールを1曲演奏して終演となりました。終演時間は15時40分頃であり、時間的には長くはなかったのですが、内容はたっぷりのコンサートで、お腹いっぱいに楽しむことができました。
私の席では、ホールの響きが良すぎて、直接音の角が丸まって、ソフトな音響になりましたが、ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置が演奏効果を高めて良かったと思います。黒一点のチェロの大友さんが基礎を支え、その上で女性たちが舞踊っていました。
私はオーケストラの大音響が好きで、室内楽を緊張感を持ちながら聴くのは苦手なのですが、どの曲も楽しめて良かったです。またの来演を期待したいと思います。できれば、東響のように、新潟を準フランチャイズとして、定期的に来演してもらいたいですね。
(客席:2階D5−29、定期会員招待) |