東京交響楽団第74回新潟定期演奏会
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2012年10月13日(土) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:飯森範親
ヴァイオリン:大谷康子
合唱:にいがた東響コーラス、合唱指揮:安藤常光
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 



サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61

(休憩20分)

ラヴェル:ダフニスとクロエ(全曲)
 
 

 先月に引き続いての東響新潟定期です。いつもは日曜日なのですが、今回は土曜日の開催。間違えそうでした。今日は仕事だったのですが、早めに切り上げて、コンサートに臨みました。本当なら昼のロビーコンサートも聴きたかったのですが、仕事のため断念しました。

 いつもは東京での公演の後に、新潟定期となるのですが、今回は新潟が先で、明日川崎での公演となります。合唱団との音合わせなどもあり、団員の皆さんは前日から新潟入りされていたようです。しっかりとリハーサルを積んで、素晴らしい演奏を聴かせてもらえるものと思います。指揮が毎回楽しませてくれている飯森さんというのも期待が膨らみます。

 今日は周辺の各ホールともに公演が重なり、文化の秋真っ盛りです。駐車場の混雑を予想し、早めに会場入りしました。時間があったので、屋上を散歩しましたが、爽やかな風に青い空。実にすがすがしかったです。一年中こういう陽気なら良いのですけれど、かなわぬ夢です。今のうちに、たっぷりと日光に当たっておきましょう。

 ホールに入るとステージいっぱいに椅子が並べられ、ステージ後方に合唱団席が組まれていました。合唱団席の前にはマイクが立てられていました。客の入りは7割程度でしょうが、サイド席の空席が目立ちました。9月、10月、11月と連続しての定期開催となったことや、今回は変則的に土曜日開催となったりして、都合が付かなかった人も多いかもしれません。

 いつものように拍手の中に団員が入場。今日のコンサートマスターはニキティンさん、次席は田尻さんでした。飯森さんと、薄オレンジ色のドレスが若々しい大谷さんが登場し、前半は、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番です。好きな曲なのですが、なかなか生で演奏される機会がなく、私は今回が初めてです。

 まず、ヴァイオリンの低音での出だしが、堂々としており、音量も豊かで、大谷さんの名演が確信されました。力強く鳴り、高音にも潤いがあるガルネリの響きが心地良かったです。オケの演奏も文句のないもので、東響の弦楽の美しさに酔いしれました。いつも以上のアンサンブルの良さに驚きを感じました。もちろん管も良かったです。
 ロマンチックな第2楽章、力強く燃え上がる第3楽章。さすがに大谷さんです。若い奏者にはない落ち着きと風格を感じました。ブラボーを叫びたいくらいの胸の高鳴りを感じましたが、小心者の私は声を出せませんでした。

 休憩時間に大谷さんのサイン会があったのですが、入場前にインフォでN響のチケットを買ったら手持ちが少なくなり、CDを買えず、サインは断念しました。残念。

 後半は、「ダフクロ」。組曲版の演奏は聴いたことがありますが、全曲版の生演奏は初めてです。ステージいっぱいのオーケストラと合唱団。見ているだけで心が高鳴るようで、視覚的効果も絶大です。
 合唱とオーケストラが重なり合い、音の洪水に酔いしれました。1時間近い全曲を切れ目なしで演奏し、正直言えば少し冗長に感じましたが、演奏は素晴らしいものでした。
 前半同様に弦の響きの良さに感銘し、管の素晴らしさに息をのみました。ウィンドマシーンを始めとして、様々な楽器が奏でられ、新潟では東響定期でしか味わえない贅沢だと思います。
 エネルギッシュな飯森さんの指揮に応えて、迫力と切れのある演奏、そして抜群のアンサンブル。東響の実力をまざまざと見せ付けられました。素人の私には、凄い演奏としか言いようがありません。こんなにも燃え上がった演奏を聴かせてくれるとは驚きでした。

 これまでいろいろなオケを聴いてきましたが、やっぱり東響ってすごいんだなあと再認識しました。CDでは決して味わえない、生ならではのオーケストラの醍醐味を堪能し、幸せ気分で家路に着きました。


*めったに演奏されないサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番ですが、12月に諏訪内さんが新潟で演奏します。重なるときは重なるのが面白いですね。

*準・メルクル/リヨン管弦楽団(NAXOS)の「ダフニスとクロエ」(全曲)のCDを聴きながらこの文章を打っていますが、なかなか良い演奏です。お勧めします。

 

(客席:2階C5−**、S席:定期会員:¥5500)