新潟では7月以来の東響ですが、私は先週、川崎名曲全集と東京芸術劇場でのフレッシュ名曲コンサートを2日続けて聴いたばかりです。今日の演目のブラームスの協奏曲も、川崎名曲全集で、エドウィン・アウトウォーターの指揮、岡崎慶輔のヴァイオリンで聴いています。指揮者、独奏者が変わって、どんな演奏になるのか、大変興味深く感じました。
また、今日の独奏者のアラベラ・美歩・シュタインバッハーは、1981年ミュンヘン生まれで、母が日本人だそうです。2001年10月、20歳のときにミュンヘン交響楽団とともに新潟に来演し、そのときはベートーヴェンの協奏曲を演奏し、感銘を受けた記憶があります。
当時はミドルネームの美歩は使用しておらず、日系人とは知りませんでした。当時のプログラムの紹介記事を見直してみましたが、日系人の記載は全くありませんでした。その後、日本での本格的演奏活動の開始ともに、ミドルネームを使用するようになりましたが、親近感が違いますね。前回の新潟来演から11年、今回はいかにと期待が膨らみました。
五泉での三船さんのコンサートから大急ぎでりゅーとぴあに到着。すでに開場されていましたが、予想より早く着き、ロビーをぶらついていましたら、かえでねこさんに声をかけていただきました。過分なるいただき物まで頂戴し、恐縮いたしました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。これからもよろしくお願い申し上げます。
さて、拍手の中に団員が入場。拍手に応えて、東響の皆さんも全員揃うまで起立して待っています。最後にニキティンさんが登場して一段と大きな拍手が贈られました。先週の川崎、東京でのコンサートでは拍手なしで素っ気なかったので、新潟方式は良いですね。
真紅のドレスが艶やかなシュタインバッハーさんとウィグルスワースが登場して、ブラームスの協奏曲です。先週川崎で聴いたばかりの曲ですが、まず段違いに音が良いです。ホールの違いは馬鹿にならず、先週の貧弱なサウンドとは裏腹の、潤いのある、ゴージャスなオーケストラサウンドです。やっぱりりゅーとぴあは素晴らしいのだなあと実感しました。
演奏ももちろん素晴らしく、シュタインバッハーさんは音量も十分あり、音色も美しかったです。第1楽章終盤のカデンツァなどは聴きほれるほどでした。オケも緊張感があって聴き応えがありました。
今日のオーボエのトップは荒さんではなく、池田さんでしたが、第2楽章冒頭のソロは少し素っ気なく感じました。もう少しロマンチックに演奏して欲しかったかな。でも良い演奏でした。
第3楽章も情熱あふれるもので、胸の高鳴りを感じました。11年ぶりのシュタインバッハーさんでしたが、容姿の素晴らしさ、演奏の素晴らしさは一段と磨き上げられ、感動的な演奏でした。
アンコールのクライスラーも凄い演奏で、唖然と聴きほれるばかりでした。良い演奏を聴いた喜びで、前半だけで大満足でした。
後半は悲愴です。独特のためを作ったりして、特徴を出そうとした演奏でしたが、東響の皆さんの頑張りで、迫力ある演奏を楽しめました。第3楽章の爆発振りはたいしたもの。第4楽章は少し速めで、悲愴感には乏しかったように感じました。表面上は泣き顔だけれど、裏ではアカンベーしているような、そんな印象を受けました。まあ、娯楽として楽しめた演奏でよかったです。最後にフライング拍手がなく、沈黙の数秒を堪能できたのも良かったです。今日の聴衆は素晴らしかったです。
終演後シュタインバッハーさんのサイン会がありましたが、CD買う余裕と、時間的余裕がなかったので、後ろ髪を引かれながら、駐車場に急ぎました。
演奏に容姿は関係ないのかもしれませんが、美しい人が弾くと、美しい音楽はより美しく響きます。そんなことを思いながら帰路につきました。
*今日のコンサートマスターはニキティンさんですが、奥様は三船優子さん。その三船さんのコンサートを聴いたあとに、ご主人のコンサートを聴くというのも風流ですね。帰りは一緒なのかな。(どうでもいいことですね。)
*プログラムに、コンサートマスターの高木さんが9月いっぱいで退団するという記事がありました。30日(松戸)まで出演予定があるようですが、私は先日の東京芸術劇場でのコンサートが最後となりました。そのときは退団の情報はなく、驚いてしまいました。でも聴くことができて良かったです。
(客席:2階C5−**、S席:定期会員:¥5500) |