ミュンヘン交響楽団演奏会
  ←前  次→
2001年10月26日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:抜井 厚
ヴァイオリン:アラベラ・シュタインバッハー
 
ベートーベン:「エグモント」序曲 作品84

ベートーベン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

(アンコール) 
クライスラー:レスタティーヴォとスケルツオ

(休憩)

ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」

(アンコール)
ベートーベン:祝賀メヌエット
山田耕筰:赤とんぼ
ベートーベン:エグモント序曲より終曲部分

 
 
 

 今回は、新潟市芸術文化振興財団創立10周年記念、りゅーとぴあ開館3周年記念ということで、外来のオケとしては格安で楽しめるコンサートです。ただし、ミュンヘン・フィルは知っていますが、ミュンヘン交響楽団は全く知らないですし、指揮者の抜井さんも不勉強で知りません。ドイツのオケですから、それなりの演奏は期待できるだろうと、あいまいな気持ちでチケットをゲットしていました。

 例により、5時過ぎに職場を出たのですが、出かけようとしたときに急な仕事が舞い込みました。同僚に後を頼んで何とか出かけることができました。
 6時半過ぎに会場に着くと、かなりの混雑です。最近までテレビCMを流していたので、チケットがさばけていないのかと思ったのですが、意外にも満席。満席のホールも久し振りです。今回は、3階席中央(Iブロック)に席を取りました。このホールは3階席が一番音のバランスが良く聞こえるとの評判だからです。しかし、3階席は傾斜が急で、狭苦しく感じるのが難点です。ただし、3階席最後方であってもステージが間近に感じられるのがこのホールの最大の長所です。

 さて、エグモント序曲で演奏の開始。正統的ないかにもドイツ的なきちっとした演奏です。音のバランスも良く、弦の音がきれいです。
 オケは、第1ヴァイオリン10、第2ヴァイオリン8、ヴィオラ6、チェロ5、コントラバス3、その他管・打楽器で総勢50人ほどのやや小さな編成で、ステージ上に、こぢんまりとまとまっています。指揮者の抜井さんは、手を大きく振りながら、メリハリのある指揮ぶりです。演奏内容は可もなく不可もなく。

 2曲目はシュタインバッハー登場。真っ赤なドレスが印象的です。日系二世のはずですが、プロフィールには触れられていません。東欧系の顔立ちで細身の体型。ヴァイオリンの音色は美しく、全く刺激的な音はしません。音は柔らかく、オケと溶け合っています。盛り上がりのなさを危惧しましたが、カデンツァではきっちりと決めてくれました。アンコールは、逆に情熱を感じさせる演奏であり、魅力的でした。

 休憩の後、おなじみの運命。これまた正統的、教科書的な名演でした。オケ自身、低弦の人数が少ないので、音の厚みが乏しく、激しさ、情熱が薄まって聴こえてしまいます。もっと爆発してくれてもいいのになあ、と個人的には思ったのですが、これはこれで、統制の取れた、安心して聴ける名演とも言えましょう。正直言えば、ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管で聴いたときのような驚きが欲しかったように思います。

 アンコールは3曲。2曲目は観客との合唱の共演。ここまで堅苦しい真面目な演奏で通してきたのに、ここにきて急に会場に合唱を求められてもねえ。ニューイヤー・コンサートじゃないんだから。サービス満点とも言えるけど、最後までベートーベンで押し通してくれた方が良かったかも。なんて、思っているへそ曲がりは私くらいかな。
 

(3階 I ブロック5-19)